12月14 加藤喜之『福音派』(中公新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 アメリカ政治に大きな影響力を持つとされる「福音派」。中絶問題などでその影響力はうかがいしれますが、では、それ以外にどんな考えを持っていて、どのようにして政治に影響力をもつようになったかというと、日本人からはわからない部分も多いでしょう。 本書はそんな疑問に答えてくれる本ですが、その答え方が鮮やかです。キリスト教の教義に深入りしたり、歴史を遥か前まで遡ることなく、20世紀前半に登場したビリー・グラハムから1つの「運動」としての福音派を描き出します。 本書を読むと、日本にいるとなかなか見えてこない福音派がイスラエルを支持するロジックなど、アメリカ政治の背後にあるさまざまなものが見えてきます。 そのけっこうな部分は荒唐無稽だったりするわけですが、それが実際の政治に影響力を持ってしまっているのが現状であり、本書はアメリカ