ラーク便り 63 号(2014 年 8 月 31 日) 63 研究ノート 日本における反進化論思想と道徳教育の結びつき ―「サムシング・グレート」を例に― 藤井修平 はじめに 2008 年 2 月 21 日、 茨城県の県立高校で配布されていた道徳テキストに特定宗教団体の教 義の一部を伝えるために書かれた文章が引用されており、 これが憲法および教育基本法の政 教分離の原則に違反するとして、 茨城県高等学校教職員組合が県教育委員会に是正を申し 入れた。 これに対する県教育庁の回答は、 引用箇所の文章は宗教教育にはあたらず、 問題 はないというものであった (常陽新聞 2008/2/22)。 この際に問題とされたのが、 筑波大学名 誉教授の村上和雄による 「サムシング ・ グレート」 についての文章だった。 そして 「教科書 改善の会」 が 2011 年に育鵬社から検定教科書として出版した 『新
内閣府チームによる研究開発プログラムにおいて科学的手法に問題があったことが日本経済新聞のサイトに掲載された(日経産業新聞4月12日付)。 ■内閣府チーム、仮説段階の研究を表彰 :日本経済新聞 「このコンテストから新しい企業の研究の種を育てたい」。ImPACTの山川義徳プログラムマネージャー(PM)は2月、都内のシンポジウムで力を込めた。壇上に上がった新田ゼラチンや日本アロマ環境協会などの代表者に賞状を送り成果をたたえた。 コンテストの狙いは脳の健康に効果のありそうな食べ物や生活習慣などを見つけることだ。企業などからアイデアを募り、山川PMらが開発した脳活動の指標をもとに、アイデアを試した時の脳の変化を測る。脳の健康に効果のありそうなものを表彰するという内容だ。今回が2回目でコラーゲンペプチドの摂取、ラベンダーのアロマハンドマッサージが表彰された。 山川PMらは1月には、製菓大手の明治と高

2009年に、山口県で、ビタミンKを投与されなかった新生児が硬膜下血腫により死亡した事件がありました。ビタミンKは血液を固める作用のある因子の合成に必要で、ビタミンKが不足すると出血しやすくなります。新生児はとくにビタミンKが不足しやすく、ビタミンKが与えられない母乳育児の新生児の約2000人に1人がビタミンK欠乏性出血症を発症していました。先進国ではほぼ全ての新生児に出血予防のため、ビタミンKが与えられます。日本ではシロップ(ケイツーシロップ)として経口投与されます。 2009年の山口県の事件においては、助産師を相手取り、死亡した新生児の母親が損害賠償請求訴訟を起こしました。訴状によれば、助産師は母子手帳にビタミンKシロップを投与したという嘘の記載を行い、その代わりにホメオパシーのレメディ(薬理学的にはただの砂糖玉)を与えていました。助産師が所属していた「ホメオパシー医学協会」は、それま
いつも参考になるなぁと思って楽しみにしてるNHKラジオのなかの、大日向先生の育児相談の回。今日はこれ。 「言うことをきかせるために、お化けを使っても大丈夫?」 2歳3カ月の娘の「しつけ」について相談です。家には、リアルな絵の妖怪本があります。1歳頃、言うことをきかない娘に、「こんなに怖いお化けが出てくるぞ~」とおどかしてみたら、怖がって、見事に言うことをきいてくれるようになりました。以来、どうしても言うことをきかない時の最後の手段として使っていますが、暗闇を怖がったり、誰もいない場所には一人で行こうとしないなど、やや怖がりな子に育っている気がします。自分でも、言葉で理解させ、しつけをするはずのところを、お化け任せにしているようで、これでいいのか疑問に思ったりもします。しかし、効果てきめんで、お化けを使わずにはいられません。このままのお化けを使い続けてもいいのでしょうか? (こそだてカフェ|

■肝内胆管癌について「“とんでもない医者”との出会いも……川島なお美、がん手術決意するまでの葛藤明かす」「川島なお美さん、手術後は抗がん剤治療拒み民間療法」:追記、追々記あり 川島なお美さんの死去が いろいろ報道されております。 ご冥福をお祈りいたします。 医療関係者の方は どうお感じでしょう? レトロスペクティヴな お話になってしまいますが (つまりは後出しジャンケン的な検討です)、 ちょっと考えてみたいと思います。 肝内胆管癌は肝臓の中の胆管にできた癌です。 胆管の解剖学的な分類は3つ 1. 肝臓の中を走る胆管は肝内胆管 2. 肝臓の外に出てから乳頭部の手前までを肝外胆管と呼びます。肝外胆管は、さらに2つに分けます。 a) 肝門部から 胆のう管の手前までの肝門部領域胆管 b) 胆のう管がつながって いるところから乳頭部の手前までの遠位胆管 医療関係者的に注意すべき点は 以下の通りです。

高等学校向けの保健体育副教材「健康な生活を送るために」(改訂版)(以下「副教材」と称する)は、はなばなしく登場した教材だった。 2015年3月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」では、「学校教育段階において、妊娠・出産等に関する医学的・科学的に正しい知識を適切な教材に盛り込む」ことがうたわれる。「妊娠・出産に関する医学的・科学的に正しい知識」についての理解の割合が、先進諸国の割合が約64%であるのに、現状(2009年)の日本では34%しかないというのである。 そこで、「認可保育園の定員拡大」や「ひとり親家庭への支援」などと並び、「妊娠・出産に関する医学的・科学的に正しい知識」を2020年までに70%に上げることが数値目標として掲げられた。 その「医学的・科学的に正しい知識」を盛り込んだのが、今回の副教材だったわけだ。 8月21日の会見で有村少子化相から、「この啓発教材は、8月下旬以降に全

先日の勉強会で、科学者の野島雅先生が 「水の結晶の実験」を行なってくれました。 花に向かって、やさしさや愛情の言葉をかけると、きれいな花が咲く。 とは、昔からよく言われていることですが、 問いかける言葉によって、水の結晶は変化するのか? という実験です。 野島先生が娘さんと、お水に「ありがとう」「だいすき」「ばかやろう」「嫌い」などの言葉掛けをしてきた結晶を顕微鏡で見たのですが、 やはり良い言葉をかけた方はきれいな結晶であったり、やさしい感じの結晶になっていたのですが、 悪い言葉をかけた方はトゲトゲしい感じになるなど、どれもきれいな結晶はできなかったです。 野島先生が言っていたのですが、言葉はその人の想いにより、同じ言葉でも意味合いが違ってきます。 確かに、嫌いな人に言う「大っきらい!」もあるし、好きな人に使う「大っきらい!」というのもありますしね。 そこで、今度は水に言葉掛けはぜずに

2014. 5. 7追記 改訂版を出しました。こちらへのコメントは締切ります。またこちらの訳文を引用する等はお控え願います(改訂版のほうでよろしくお願いします)。 A RoughGuide to Spotting Bad Science, Compound Interest Compound Interestは英国の大学院生(化学)と教員によるサイトで、日常的に見かける化学物質や化学反応の解説や、授業などで使える画像を提供されているところです。上記の、「ニセ科学を見抜くための大まかな指針(A RoughGuide to Spotting Bad Science)」という記事では、ニセ科学を見抜くための12のポイントをポスターにしたものがPDFなどで配布しています。 このポスターについて、先日国内の某サイトで紹介されていたのですが、自分自身でも訳をつけてみようと思いました。そこで、コメン
ぜひ多くの人に読んでいただき、「化学物質過敏症」とは何か、NATROM氏の主張は正しいのか、考えていただきたいと思います。本文の前に、ひと通り資料をご参照いただければ幸いです。情報が多いため、何度か読みなおしていただけると、より理解が深まるかと思います。 特に問題なのは、「医原病」発言、恣意的な例、NATROM氏が推測だけで臨床環境医学について語っている点、最初の頃は「負荷試験の結果がネガディブであれば、心因性であると証明される」と言っていました。最後の方にはテストに有意差がでなくても、「もちろん病気の否定にはなりません。」と言ってる所に注目してください。そもそも、まだ疾病概念が定まってない段階なのに、負荷試験の結果がポジティブじゃなかったら「心因性」の根拠となる、という判断は、医学者としておかしくないですか?研究者でもないですし。 続きを読む

ぜひ多くの人に読んでいただき、「化学物質過敏症」とは何か、NATROM氏の主張は正しいのか、考えていただきたいと思います。本文の前に、ひと通り資料をご参照いただければ幸いです。情報が多いため、何度か読みなおしていただけると、より理解が深まるかと思います。 特に問題なのは、「医原病」発言、恣意的な例、NATROM氏が推測だけで臨床環境医学について語っている点、最初の頃は「負荷試験の結果がネガディブであれば、心因性であると証明される」と言っていました。最後の方にはテストに有意差がでなくても、「もちろん病気の否定にはなりません。」と言ってる所に注目してください。そもそも、まだ疾病概念が定まってない段階なのに、負荷試験の結果がポジティブじゃなかったら「心因性」の根拠となる、という判断は、医学者としておかしくないですか?研究者でもないですし。 続きを読む はじめに、現在の化学物質過敏症の認識・研究

【脳研究 – issues&ニセ科学問題】 脳について意外と知られていない15の豆知識 –GIGAZINE 15 Things You Didn’t Know about the Brain – Online Nursing Program 何かはてブでブクマが伸びてる記事があるなぁと思ったらこの記事ですよ。 まぁ世の中懲りずによくやるわと思いますね・・・取り上げる方も取り上げる方だと思いますが。もっとも翻訳しただけのGIGAZINEには何の責任もないはずですので、あくまでもその記事内容の方を色々論ってみようと思います。 基本的に、15項目挙げられたもののうち専門家の視点で見ると2, 6, 9, 13, 14に問題があります。中には「どう見ても神経神話(neuromyth)」と断言できるものもあれば、グレーゾーンかなぁ・・・というものもあります。ただいずれにせよ、科学的結論の出ない代物
【脳研究 – issues&ニセ科学問題】 これは、脳科学ではない – Procrastinator’s column 問題の記事群 神経神話に乗せられる政治は、さしずめ「神経政治」といったところか? / ミスリードされる「脳から見た男女差」:現代の神経科学はそこまで男女差を明確に示せるわけではない – 当blog 脳の解剖学的な男女差 – 生命の理解、そして「理解」の理解。 未熟な繁茂から選択による成熟 – 脳とネットワーク/The Swingy Brain 時々拝読しているblog「Procrastinator’s column」にて、面白い記事を見つけてしまいました。 それが、上記1番目リンク先のエントリ。 要するに2番目のリンク先の論説の数々についてのコメントなのですが、僕も当該論説をいくつか読んでみて呆れてしまいました。 ただ、この御仁は知る人ぞ知る曰く付きの人物で、以前にも
スプーン曲げが超能力ではなく、支点、力点、作用点を利用すれば簡単に曲がることを実演で証明する安斎さん=大阪市(写真:産経新聞) ■「欲得ずく」「思い込み」が落とし穴 霊視や前世占い、占星術といった「スピリチュアル(精神的な、霊的な)世界」がブームだ。それらを扱うテレビ番組は軒並み高視聴率を獲得し、ベストセラーになる出版物も多い。だが、中には疑似科学やオカルト現象を妄信し、だまされて被害にあう人もいる。科学の視点で批判してきた立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎さんは「『思い込み』と『欲得ずく』が錯誤への落とし穴」と注意を呼びかける。(伐栗恵子) 今月中旬に大阪市内で行われた関西消費者協会の講演会。安斎さんは趣味の手品を生かしながら、超能力やオカルト現象のトリックを暴いていく。 例えば、スプーン曲げ。丈夫な金属のスプーンを指で軽くさすっているうちに、ぐにゃりと曲がり、客席か
渋谷・東にレンタルスタジオ「BUZZ」 SNS映え特化など7フロア20室 みんなの経済新聞ネットワーク8/6(水)23:13 町田ゼルビアが天皇杯で初の8強 黒田剛監督、タイトルに意欲「なんとしても狙う」 京都に1-0、公式戦8連勝 東京新聞8/6(水)23:00

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