私は、百貨店在籍時代に、首都圏と大阪の両方の店舗に勤務した経験がある。大阪の店に勤務していた時、あるプロ野球チームが負けると、必ずと言っていいほど電話してきて苦情を言う酔った客がいた。 私が電話に出たところ、「おまえはどこの出身だ」と尋ねてくる。「東京です」と答えたところ、「何だ、徳川か」。そこで、すかさず「そういうお客様は豊臣さんですね」と返した。決してギスギスしたやり取りではなく、なんだか呼吸が合って親しくなってしまった。それ以来、件のチームが負けても苦情の電話が来ることはなかった。代わりに奥さんを連れて来店され、チケットを買ってくださったり、買い物をしてくださったりと、長い間お付き合いすることになった。 埼玉で生まれ、首都圏で仕事をしてきた当時の私にとって、大阪の人々の会話に醸し出される阿吽の呼吸は、一種不思議なものだった。厳しい言葉も、大阪弁にくるまれて、特有のボケとツッコミで交わ

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