建設業者が納める労災保険料について会計検査院が調べたところ、2023~24年度に5771万円の徴収漏れが確認された。各労働局が業者側に誤った説明をしていたとして、検査院は厚生労働省に改善を求めた。 建設工事では、労災保険料は工事の請負金額などに応じて納め、小規模な工事は複数分をまとめて納付する。事務所での作業など、特定の工事にひも付かない業務に関しては、賃金などに基づき保険料を納める。 検査院は23~24年度に金額が確定した小規模工事に関する保険料を分析した。納付額が適正か疑わしい1050業者を選び、保険料の申告書などを調べた。 その結果、全47労働局で計807業者から計5771万円の徴収漏れが判明した。業者の報告の段階で工事が漏れていたり、事務所作業分の賃金が計上されていなかったりしたためで、各労働局は指摘を受けて徴収を進めている。 賃金に基づくべき保険料に関しては、40労働局が本来届け

厚生労働省の審議会は労使などの代表が出席して最後の議論を行い、今年度の最低賃金の引き上げ額について、全国平均の時給で63円とする目安を取りまとめ、4日夜、福岡厚生労働大臣宛てに答申しました。 目安の額としては過去最大で、地域ごとの目安は、東京、大阪、愛知などAランクの6都府県が63円、北海道、兵庫、福岡などBランクの28道府県が63円、青森、高知、沖縄などのCランクの13県が64円です。 審議会は今回の目安について、物価の上昇が続いていることや中小企業を含めた賃上げの流れが続いていることなどを踏まえて額を取りまとめたとし、Cランクが1円高いのは、AランクやBランクより物価や賃金の上昇率が大きくなっていることを考慮したとしています。 審議会が示す目安が60円台となるのは初めてで、この目安どおりに引き上げられれば全国平均の時給は1118円になり、現在900円台の31県を含めすべての都道府県で最

国会への提出が先送りされている年金制度改革関連法案をめぐり、厚生労働省は、柱の1つとして検討してきた、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする措置について、広く理解を得られないとして法案に盛り込まない方針を固めました。 年金制度改革関連法案をめぐり、厚生労働省は、この先も年金制度を維持できるようにするため、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする措置や、パートなどで働く人の厚生年金への加入を増やそうと企業規模の要件を撤廃することなどを検討してきました。 このうち、基礎年金を底上げする措置については、労働団体などから、厚生年金の受給者の給付水準が一時的に下がることや、年間1兆円から2兆円程度の国庫負担が追加で必要となることに懸念の声が出ています。 このため、厚生労働省は、広く理解を得られないとして法案に盛り込まない方針を固めました。 一方、将来的な基礎年金の給付水準を確保する観点

厚生労働省が提出準備を進める年金改革法案は2025年通常国会で最大の火種の一つとなる。少数与党の石破茂政権が成立させるには野党との調整が不可欠となる。賛否が割れやすい論点を検証する。「年金が月7000円減る。国が補塡すべきだ」。立憲民主党の石垣のり子参院議員は24年12月の参院予算委員会で訴えた。福岡資麿厚労相は「丁寧に検討していきたい」と答えるにとどめた。議論になったのは将来の基礎年金を底上

65歳以上の人が一定の収入を得ると年金が減額される「在職老齢年金」について、厚生労働省が高齢者の働く意欲がそがれないよう制度を見直す方向で調整していることがわかりました。 年金が減らされる収入の基準額を引き上げる案か、制度そのものを廃止する案を検討しています。 「在職老齢年金」制度は、一定の収入がある高齢者の年金を減らす仕組みで、65歳以上の人は現在、賃金と年金あわせて月額50万円を上回る場合に減額されます。 これについて厚生労働省は、高齢者の働く意欲がそがれているという指摘があることから、年金が減らされる基準を62万円や71万円に引き上げる案と、制度そのものを廃止する案を検討していることがわかりました。 制度を見直した場合、働く高齢者で収入の多い人の年金給付が増える一方で、将来世代の給付水準が低下することが課題となります。 また、厚生年金に加入している収入の多い人により多くの保険料を負担

フリーランスで働く人を保護する法律が11月1日に施行され、フリーランスに業務を委託した企業などの事業者に対して、報酬の減額の禁止やハラスメント対策が義務づけられます。フリーランスで働く人は国内には462万人いるとされ、雇われて働く労働者と異なり自由に働き方を決められる一方で、仕事を発注する側の企業などに比べて立場が弱いことから不利益を受けやすいとされています。 そこで、フリーランスが安心して働ける環境を作るため、11月1日に新たな法律が施行されました。 新しい法律では、フリーランスに業務を委託した企業などの事業者に対して、書面などで報酬額や支払い期日などの取引条件を直ちに明示するよう求めています。 さらに、業務委託の期間が1か月以上の場合は、通常よりも報酬を著しく低くする「買いたたき」や、あらかじめ定めた報酬の減額などを禁止します。 また、業務委託の期間が6か月以上の場合は、フリーランス

連日続く危険な暑さ。その影響は仕事場にも。 先月、仕事場で熱中症で死亡したり休業を余儀なくされたりした人は全国で188人にのぼり、7月としてはこの5年間で最も多くなったことが厚生労働省のまとめでわかりました。 これ以上の被害を食い止めるため、各業界では対応を迫られています。 未明から農作業 その訳は? 全国有数のオクラの産地、鹿児島県指宿市です。 日の出前の午前3時ごろ、周辺が暗い中、収穫を行う1人の男性、西中川祥並さん(36)です。高齢の両親とともにオクラを生産しています。 日中の時間帯を避けて日の出前から作業を始める西中川さん、理由は熱中症を防ぐためです。 オクラの収穫の最盛期は7月から8月にかけてで、西中川さんも5年ほど前までは朝6時ごろから収穫作業をしていましたが、暑さが厳しさを増す中、身の危険を感じるようになったといいます。 そこで、近隣農家からのアドバイスを受けたことをきっかけ

複数の男性職員が体に障害がある複数の入院患者に性的虐待を繰り返していたことが明らかになった福岡県大牟田市の病院で、患者の頭をたたいたり、大声で威嚇したりするなどの身体的虐待や心理的虐待もあったと、自治体に認定されていたことが福岡県への取材で分かりました。 福岡県大牟田市にある「独立行政法人国立病院機構大牟田病院」では、2021年ごろから複数の職員が体に障害のある入院患者11人に対し、下半身や胸を触ったりわいせつな言葉をかけたりする、性的虐待を繰り返していた疑いがあることがわかり、このうちの一部はすでに性的虐待と認定され、ことし5月に病院が会見して謝罪しています。 これについて、病院からの通報を受けた複数の自治体が障害者虐待防止法に基づいて調査を進めた結果、性的虐待のほかにも、複数の男性職員が身体的虐待や心理的虐待も行っていたと認定されていたことが、福岡県への取材で分かりました。 具体的には

昨年度、長時間労働が疑われる全国およそ2万6000の事業所に厚生労働省が立ち入り調査を行ったところ、45%にあたる1万1000か所余りで違法な時間外労働が確認されたことが分かりました。 厚生労働省は昨年度、労働者からの申告などで長時間労働が疑われる全国の事業所2万6117か所に立ち入り調査を行いました。 その結果、労使協定の上限を超えて残業させるなどの違法な時間外労働が1万1610か所で確認されました。 率にして対象の45%になり、前の年度より1.9ポイント増加しています。 このうち1か月の残業が ▽80時間を超えたケースは49%にあたる5675か所 ▽100時間を超えたケースは29%の3417か所でした。 中には月に127時間の違法な時間外や休日労働が確認された事業所もあったということで、法律違反が確認された事業所には労働基準監督署が是正や改善に向けた指導を行ったということです。 厚生労

今年度の最低賃金について議論していた厚生労働省の審議会は24日夜に決着し、物価の上昇が続いていることなどを踏まえ、過去最大となる時給で50円引き上げる目安でまとまりました。全国平均の時給は1054円となり、これまでで最も高くなります。 最低賃金は企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金で、現在の時給は全国平均で1004円です。 24日夜、労使双方が参加した審議会が決着し、時給で50円、率にして5%引き上げるとする目安でまとまりました。 引き上げ額は去年の43円を超えて過去最大です。 地域別では▽東京や大阪などのAランク、▽京都や静岡などのBランク、▽山形や鳥取などのCランクのいずれの地域も50円の引き上げとしました。 各地域でこの目安通りに反映された場合、全国平均の時給は1054円となり、これまでで最も高くなります。 引き上げにあたっては価格転嫁が十分にできていない企業があることを踏

『労働法はフリーランスを守れるか——これからの雇用社会を考える』書評✑ 濱口 桂一郎 UberEatsやamazon配達員など、アプリで仕事を請け負い、働きたいときだけ仕事をする、ギグワーカーと呼ばれる働き方が注目されています。時間にとらわれず、決められた職場もないその働き方は、一見とても自由そうに見えます。しかし、単発で業務を委託される個人事業主(フリーランス)は労働法上の「労働者」ではないため、労災保険が適用されず、最低賃金や長時間労働の規制対象にもならず、失業時の補償もありません。多くのリスクにさらされる人々を守るための枠組みを考える、橋本陽子さんの新著『労働法はフリーランスを守れるか―これからの雇用社会を考える』。労働法政策がご専門の濱口桂一郎さんによる書評を、『ちくま』2024年4月号より転載します。 「フリーランス」というといかにもかっこよく聞こえるが、「一人親方」というとなん

非正規で働く人たちを含むフルタイム労働者の去年の平均賃金は31万8300円と、2年連続で過去最高額を更新したことが厚生労働省の調査で分かりました。 厚生労働省は、年齢や業種ごとの賃金実態を把握するため、全国7万8000余りの事業所を対象に毎年行っている賃金構造基本統計調査の速報値を24日公表しました。 それによりますと、去年6月の非正規で働く人たちを含むフルタイム労働者の平均賃金は、31万8300円で2年連続で過去最高額を更新しました。 前の年からの伸び率は2.1%となり、1994年に記録した2.6%以来、およそ30年ぶりの高い水準となりました。 年齢別の伸び率では、 ▽55歳~59歳が1.7%だったのに対し、 ▽20歳~24歳が2.7%、 ▽25歳~29歳が2.8%と若年層の伸びが目立っています。 産業別では ▽電気・ガス・熱供給・水道業が41万200円で最も高く、 次いで、 ▽学術研究

総務省によりますと、家族の介護や看護を理由に仕事を辞める「介護離職」をした人は、 ▽2007年の14万5000人から ▽2012年には10万1000人 ▽2017年には9万9000人と減少が続きましたが ▽去年・2022年は10万6000人と増加に転じました。 離職を防ぎ仕事と介護を両立するための支援制度は、育児・介護休業法で設けられています。 「介護休業」は家族の介護に直面した時に介護サービスの手配など仕事と介護の両立に向けた体制を整えるため、家族1人につき最大93日間取得でき、3回まで分割可能です。 この期間は賃金の3分の2ほどの介護休業給付が支給されます。 「介護休暇」は要介護状態の家族の通院などのために、対象の家族1人につき年間5日、時間単位での取得もできます。 このほか、短時間勤務や残業免除の制度があります。 総務省によりますと、2022年の調査で介護をしながら働く人のうち介護休

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