三十代、既婚者の増田です。 ことの次第は、二月に入ってからすぐのことだった。友人がメタを購入した。 その友人、VRは初体験だったようで「とにかく凄いんだよ!」と興奮した様子で連絡してきたことを今でもよく覚えている。友人はVRの衝撃を大袈裟に語るので話半分で聞いていたのだが友人、唾を飲み込んだかのように1拍置くと「特にAVが凄いんだよ」と言った。 ほぅ…と俺は心のなかで呟いた。 俺は勤めて冷静に、あまり関心がない様子を装い何なら相手をちゃかす感じの相槌を打っていたのだが友人は構うことなく淡々とVRAVの良さについて舌を滑らせ今年一番の雄弁さを見せた。 想像していたよりもずっと凄かった あれはもうAVの革命だよ いいやAVどころじゃない、人類の革命だよ なんてことを三十代の男が恥ずかしげもなく言うわけだ。 俺は呆れた素振りをしながら笑い、通話は無事に終えた。だがそれから俺の心はざわつき、腰

出会い 露出度の高いアバターがミラーの前に集まって、バーチャルセックスの相手を品定めし合うjust H partyで、俺は「彼」に出会った。 後に教えてもらうディスコードのユーザー名をもじって、俺は彼に「ウサギさん」というあだ名をつけた。 あの頃のウサギさんは毎日のように違うアバターを着ていた気がする。見るたびに顔が違うなんて、怪盗ルパンとか怪人二十面相みたいなやつだ。まぁ、アバターも衣装もかわいいのがバンバン新発売されるから、気持ちはわかる。 ウサギさんはどうだか知らないが、俺はあのワールドでバーチャルセックスの相手を探していたワケじゃなかった。そんな勇気もコミュ力もないし、ミラーの前にたむろするエロアバターを眺めて、非現実感を味わうだけで満足だった。 小さくてかわいいアバターに手を振ってみたら、向こうも振り返してきたのが始まりだった気がする。あるいは逆だったか。なにせ数年前のことだから

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