2015年1月より最低賃金1時間8.50ユーロ(約1200円)がドイツ国内全労働者と全産業で導入された。貧富の差を改善すべく開始された最低賃金法だが、ここに来て数々の問題が浮上している。(特記以外の画像は筆者撮影) 得をした人・370万人 「得をした人、損をした人」というと不評を買いそうだが、 まずは最低賃金法導入で誰が恩恵を受けたのだろうか。 昨年、連邦労働者社会省(BMAS)は同法導入により、370万人の労働者がその恩恵を受けると試算した。だが、現時点では予想どおりすべての労働者が恩恵を受けたのかどうか報告されていない。ドイツ連邦統計局は、5月の消費者物価指数が前年同月比0.7%上昇したと発表した。これで 4カ月連続のプラスとなった。(6月1日付け) ガブリエル経済・エネルギー相(SPD)は、昨年のインタビューで「最低賃金法導入により個人消費が活性化する」と言及した。現段階では同氏の
グッグッモーニン! 編集集団WawW ! Publishing代表の乙丸です。 過去の仕事は→ http://thnktnk.jp/achievements/仕事のご用命は masuno.otoma■gmail.com(■を@にかえて下さい) へ。 @masumasu_oさんをフォロー ■民主党の議員と日銀の岩田規久男副総裁のやりとりの 今日は、ロイターが、 「物価2達成の遅れは原油安、説明責任果たしている岩田日銀副総裁 | Reuters http://nzzl.us/mGaiUrN」 と報じている、4月23日午前の参議院財政金融員会での、民主党の議員と日銀の岩田規久男副総裁のやりとりの全文文字起こしをお送りします。 議員さんが経済学わかってなすぎて、というか単純に不勉強すぎて、岩田先生の議論をこれまでずっと追ってきた身としては、「こんなんで議員って職が勤まるんだ・・・」といった感想を

白い日銀、つまり現在の黒田日銀体制の前のふるい中央銀行の考えに染まった人たちが、今回の金融政策決定会合の前に、しきりに「市場関係者」スジに、「(10月末の)追加緩和が逆効果」なる珍説を流布していた。これを真にうけた無思考なアナリスト、エコノミスト、一部のメディアは、この点を記者会見で日銀総裁がどう応えるのかが「重大なイベント」であるかのような観測をしきりにあげていた。 私見では、まったく何を言いたいのか皆目わからない無知なる思考経路である。一国の経済状況が思わしくないときに積極的に緩和するのは当然過ぎるほど当然なことである。それを「逆効果」などという論点に注意をむけるというのはセンスの問題ですらない。恥ずかしいことである。 だがそのような質問をある記者が「市場関係者」の期待に応えてしたらしい。その一部始終が下の問答である。 黒田日銀総裁の2015年2月18日会見 http://www.bo
本稿では「なぜリフレ派は消費増税に反対なのか?」に焦点を絞り、その主張の裏にある理論モデルをご説明したい。 筆者からの注釈:この小文は【この節の要約】だけを読んでも概要が理解できるように書かれているため、忙しい方はそこだけでも読んでいただければ幸いです。 【この節の要約】衆議院総選挙で「具体的なマクロ経済政策実施の可否」が問われるのは、2012年12月実施の第46回に続き、今回(第47回衆議院総選挙)で2度目である。 カール・マルクスは著書「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」冒頭にこう書いている。 ヘーゲルはどこかで述べている。すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度あらわれるものだ。一度目は悲劇として、二度目は茶番として[*1]。 [*1] この引用の翻訳は岩波文庫『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』に基づくが、本稿向けに筆者が少し文章を手直ししている。 2012年12月に実

Paul Krugman “The Right Course for a Troubled Japan,” Krugman & Co., November 26, 2014. [“Structural Deformity,” The Conscience of a Liberal, November 20, 2014.] 苦しむ日本がとるべき道筋 by ポール・クルーグマン Stephen Crowley/The New York Times Syndicate 日本の安倍晋三首相が消費税増税の延期を模索してるのは,正しい.延期はいい経済政策だし,ぼくにとってはかなり新鮮な経験でもある――国のリーダーと会って,正しい政策の主張をして,その相手がまさにそのとおりにやってるんだもの.(もちろん,同じ主張をしてた人はぼく以外にたくさんいる.) ただ,懐疑の声もたくさんある.全面的に正当な疑いだ:

Journalism 5月号 2013 出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/05/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る こんな雑誌があることも知らなかったんだが、朝日新聞が『ジャーナリズム』という雑誌を出している。先日あるイベントにでかけたら、朝日新聞の服部桂氏もきていて、その雑誌の最新号(2013年5月号)をくれたんだが、これが「特集:『アベノミクス』と経済報道」というもの。で、帰りの電車の中でパラパラ見ていたんだが…… 壮絶なまでにひどいな、これ。だがこれが朝日新聞のみならず、日本の経済ジャーナリズムのお寒い現状を示しているという意味では、有益な面もあるのかもしれない。 まず冒頭は、「週刊エコノミスト」「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」の各編集長と、元「朝日新聞」との座談会で、内容はそれぞれの雑誌がつまらない自画自賛だが、その中で最近のアベノミ

2012/12/119:0 「二つの悪」の悪い方と戦う ―― リフレーション政策と政策ゲームの変更 矢野浩一 著者からの注釈:この小文は(この節の要約)だけを読んでも概要が理解できるように書かれているため、忙しい方はそこだけでも読んでいただければ幸いです。 ■「二つの悪」の悪い方 (この節の要約)この小文では「二つの悪の悪い方=デフレーション」と戦うための方策である「リフレ政策」について説明します。 「インフレが良いと言うのではない、デフレが悪なのである」石橋湛山(エコノミスト・政治家であり、第二次大戦前から戦中にかけて反軍国主義の論調を貫いたことでも知られる。以下、湛山)は生前そう繰り返し述べたそうです(半藤一利「戦う石橋湛山」東洋経済新報社)。湛山は、昭和恐慌(後述)の惨禍を目の当たりにしたエコノミストの一人ですが、その彼が死去してから約40年。我々はまだ、この二つの悪(インフレとデフ
2011/7/2622:40 デフレと金融政策に関する9つの論点 片岡剛士 わが国が先進国唯一である10年超にわたる持続的な物価の下落、いわゆるデフレーション(デフレ)の状態に陥っているのは周知の事実です。ではなぜ、デフレについて有効な政策が行われることがないのでしょうか。原因のひとつは、デフレや金融政策についての見解が共有されていないことにあるのかもしれません。以下ではデフレや金融政策についてのよくある見解について、問いを立てて筆者の考えをまとめてみることにしたいと思います。1.デフレの定義はないのではないか。 デフレとは財と貨幣の相対価格である物価の継続的な下落を指しており、内閣府やIMFの公式的な定義に即していえば、「二年以上の期間に渡って継続的に物価が下落すること」となります。平成23年7月1日の記者会見要旨(http://www.cao.go.jp/minister/1101_k
今年は中央銀行の役割に注目が集まりました。金融緩和、通貨安、各国の思惑が交差し、世界経済は不透明を極めました。インフレターゲット論の第一人者の学習院大学の岩田規久男教授と日銀出身のエコノミストJPモルガン証券の菅野雅明さんが徹底討論です。 菅野さんはインフレターゲット論を「おまじない」と厳しく批判。「きょうのおまけ」もご覧ください。
日本では10年以上に渡って事実上デフレ(物価下落)が続いている。その原因として、日本の中央銀行、すなわち日本銀行による誤った金融政策があることを厳しく批判した田中秀臣氏の著書『デフレ不況 日本銀行の大罪』(朝日新聞出版)が出版された。日本のデフレ不況と日本銀行の関係、またそれを打破する「リフレ政策」とは何か、など多方面にまたがるお話を伺った。 「物価が下がる」というより「私たちの財布の中身が減っている」 ――田中先生のご著書『デフレ不況 日本銀行の大罪』(以下、『デフレ不況』)ですが、「日本銀行(日銀)にはどんなミッションがあるのか」という基礎的なところから入り、その歴史までカバーされていて、通読することでまず「日本銀行とはどういう組織か」が一通りわかる作りになっていますね。棚卸し的というか、田中先生のこれまでの集大成といった感じする本だなと思いました。最初に日本経済の現状についてからお伺

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