理化学研究所などのグループは、ショウジョウバエの腸で、これまで全く知られていなかった新しいタイプの「細胞死」が起きていることを発見したと発表しました。細胞が黒くなって死んでいくように見えることから「暗黒の細胞死」を意味する「エレボーシス」と名付けたということです。 これは、理化学研究所生命機能科学研究センターのユ・サガンチームリーダーなどのグループが発表しました。 グループでは、ショウジョウバエの腸で、一部の細胞に特殊なたんぱく質が現れ、内部から徐々に壊れて死んでいく現象が起こっているのを見つけました。 これまで動物の腸では細胞がみずから死んでいく「アポトーシス」と呼ばれる仕組みで古い細胞から新しい細胞に入れ代わると考えられていましたが、グループが詳しく調べたところ、ショウジョウバエの腸ではこの「アポトーシス」とは異なる仕組みで細胞が死んでいて、これまで知られていない新しいタイプの細胞死で

日本の科学技術研究をリードする理化学研究所で、大規模な雇い止めが迫る。研究アシスタント、事務業務員ら365人が雇い止めの対象となる。2013年4月に施行される改正労働契約法の影響で、同法では、有期雇用が5年を超えれば労働者が無期雇用に転換できる「5年ルール」が適用されるのだ。不当労働行為の救済を申し立てたが、契約満了には間に合いそうにない。対象者の怒りの矛先は、使用者だけではなく、法律にも向かった。 研究員のイイダさん(男性・51)は理研の正規職員だ。自身の研究室でも研究アシスタントが3月で雇い止めになる。 「アシスタントは研究室を支える仕事で業務は多岐にわたる。外部との連絡調整もあり、蓄積された経験や人脈は大切で、簡単に代替えがきくものではない。人事部に辞めさせられると困ると伝えたが、駄目だった」 イイダさんだけの意見ではない。記者は今回、3月で雇い止めになる有期雇用職員9人に話を聞いた

要旨 理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センター ビームライン開発チームの片山哲夫客員研究員(高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室研究員)、ストックホルム大学のキョンホァン・キム研究員、アンダース・ニルソン教授らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)[1]施設SACLA[2]を利用し、過冷却状態[3]にある水(H2O)の構造を捉えることに成功しました。 水は生命に不可欠な液体ですが、その挙動に関する理解は不完全です。例えば、温度を下げていくときの密度、熱容量[4]、等温圧縮率[5]といった熱力学的な特性の変化は、水と他の液体とでは逆の挙動を示します。そのため、水の熱力学的な特性については長年議論されており、いくつかの仮説が提唱されています。そのうちの一つが、水には密度の異なる二つの相があり、その間を揺らいでいるという仮説です。しかし、温度を0℃未満に下げた
要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター局所神経回路研究チームの細谷俊彦チームリーダー、丸岡久人研究員らの研究チーム※は、哺乳類の大脳皮質[1]が単純な機能単位回路の繰り返しからなる六方格子状の構造を持つことを発見しました。 大脳はさまざまな皮質領野[2]に分かれており、それぞれ感覚処理、運動制御、言語、思考など異なる機能をつかさどっています。大脳は極めて複雑な組織なため、その回路の構造には不明な点が多く残っています。特に、単一の回路が繰り返した構造が存在するか否かは不明でした。 今回、研究チームは、大脳皮質に6層ある細胞層の一つである第5層をマウス脳を用いて解析し、大部分の神経細胞が細胞タイプ特異的なカラム状の小さなクラスター(マイクロカラム)を形成していることを発見しました。マイクロカラムは六方格子状の規則的な配置をとっており、機能の異なるさまざまな大脳皮質領野に共通に存在して
アルミニウムの薄膜に微細な凹凸をつけ、カラーの色彩を表示することに理化学研究所のチームが成功した。色が半永久的に劣化せず、光学機器の部品などに応用が期待できるという。英科学誌に発表した。 光が物質に当たると特定の波長が吸収され、残りの波長は反射して人間の目に色として映る。チームはアルミニウムの表面に光の波長より小さいナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの凹凸をつけ、吸収される波長を制御して色を作り出す方法に着目した。 基板の上に樹脂製の微細な四角形を並べ、アルミニウムの薄膜で覆った。四角形の大きさなどを変えると吸収する光の波長が変わり、人間が見える多くの色を表示できた。大きさが違う四角形を組み合わせると色が混ざり、黒も表現できる。 インクやペンキは強い光や高温、酸化によって徐々に退色するが、この方法は変化しにくく、軽くて薄いのも利点。大型望遠鏡の材料などに応用が期待できるという。 田中


海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みの発見 -記憶痕跡(エングラム)がサイレントからアクティブな状態またはその逆に移行することが重要- 要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長と北村貴司研究員、小川幸恵研究員、ディラージ・ロイ大学院生らの研究チーム※は、日常の出来事の記憶(エピソード記憶)が、マウスの脳の中で時間経過とともに、どのようにして海馬から大脳新皮質へ転送され、固定化されるのかに関する神経回路メカニズムを発見しました。 海馬は、エピソード記憶の形成や想起に重要な脳領域です。先行研究により、覚えた記憶は、時間経過とともに、海馬から大脳皮質に徐々に転送され、最終的には大脳皮質に貯蔵されるのではないかとのアイデアがありますが、大脳皮質への記憶の転送に関して、神経回路メカニズムの詳細はほとんど分かっていませんでした。
18年度から着手 パラジウムに「重陽子」照射 理化学研究所は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)に含まれる長寿命の放射性物質を、生活に役立つ貴金属に変える実証実験に2018年度から着手する。理論上は可能とされるがこれまで実用化には至らず、「現代の錬金術」とも言われるが、実現できれば、処分に困る「核のごみ」の減量や有効活用にもつながるという。【岡田英】 実験は、内閣府が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT(インパクト)」の一環。まずは、核のごみに含まれ、放射線量が半減するのに650万年かかる放射性物質「パラジウム107」を、宝飾品や歯科治療、車の排ガス浄化用触媒などに使われる無害な貴金属「パラジウム106」に変える。理研仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の加速器で、「重陽子」(陽子と中性子各1個で構成)のビームをパラジウム10…

要旨 理化学研究所(理研)理論科学連携研究推進グループ分野横断型計算科学連携研究チームの横倉祐貴基礎科学特別研究員と京都大学大学院理学研究科物理学宇宙物理学専攻の佐々真一教授の共同研究チームは、物質を構成する粒子の“乱雑さ”を決める時間の対称性[1]を発見しました。 乱雑さは、「エントロピー[2]」と呼ばれる量によって表わされます。エントロピーはマクロな物質の性質をつかさどる量として19世紀中頃に見い出され、その後、さまざまな分野に広がりました。20世紀初頭には、物理学者のボルツマン、ギブス、アインシュタインらの理論を踏まえて「多数のミクロな粒子を含んだ断熱容器の体積が非常にゆっくり変化する場合、乱雑さは一定に保たれ、エントロピーは変化しない」という性質が議論されました。同じ頃、数学者のネーターによって「対称性がある場合、時間変化のもとで一定に保たれる量(保存量)が存在する」という定理が証
物質のもとになる元素のうち、日本の理化学研究所が11年前に人工的に作り出すことに成功した、113番目の元素について、国際機関が正式に元素として認定し、名前を付ける権利が日本に与えられました。日本が元素に名前を付けるのは、これが初めてです。 この元素は、九州大学の森田浩介教授を中心とする理化学研究所のグループが、11年前の平成16年7月に埼玉県和光市にある加速器と呼ばれる大型の実験装置を使って、ビスマスという金属に亜鉛を衝突させる方法で人工的に作り出すことに成功し、平成17年と平成24年にも改めて作り出すことに成功しました。 一方、ロシアとアメリカのグループも日本より5か月早く、平成16年2月に113番元素を人工的に作り出したと発表しましたが、データに不明確な部分もあり、元素の命名権がどちらに与えられるか注目されていました。 こうしたなか、化学に関する国際機関は30日、これまでに3回作り出す

理研、パニック抑制する細胞を発見 - パニック障害の治療法改善に期待 マイナビニュース 11月22日(土)10時0分配信 理化学研究所(理研)は11月21日、動物が危険を察知したときに、パニック反応を抑えて、冷静かつ適切に危険回避策をとれるようになるために不可欠な脳神経回路を発見したと発表した。 同成果は、理研脳科学総合研究センター発生遺伝子制御研究チームの岡本仁 チームリーダー(脳科学総合研究センター副センター長)、同 天羽龍之介 基礎科学特別研究員らの研究チームによるもの。米科学雑誌「Neuron」12月3日号に掲載される予定だ。 経験の浅いネズミは、天敵であるネコが現れる予感がする場面(猫の首輪の鈴の音が聞こえるなど)に遭遇すると、浅いながらの経験から危険を察知してパニック行動の一種であるすくみ行動を起こしてしまう。一方、経験を積んだネズミは、パニック反応を起こさないで、最も安全

理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが作ったSTAP細胞の一部が,論文に記したような新生児マウスの細胞から作ったものではないことが,理研の内部資料から明らかになった。小保方氏らが論文とともに公開した遺伝子データを新たな手法で解析したところ,STAP細胞に含まれるほぼすべての細胞が,8番染色体が3本ある「トリソミー」であることが判明。マウスの場合,8番トリソミーは胎児のうちに死亡し,生まれることはない。STAP細胞は新生児マウスから取って作ったのではなく,シャーレで培養された細胞だと考えられる。8番トリソミーは研究室で培養されているES細胞(胚性幹細胞)の2〜3割に見られるとの報告があり,この“STAP細胞”はES細胞だった可能性が高い。 資料によると,解析したのは理化学研究所統合生命医科学研究センターの遠藤高帆上級研究員ら。東京大学の研究グループが同じ手法で解析し,同様の結果を確認して

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理化学研究所などのグループが発表した「STAP細胞」について、共同研究者の山梨大学教授が10日、NHKのインタビューに答え「研究データに重大な問題が見つかり、STAP細胞が存在するのか確信がなくなった」として論文の取り下げに同意するようほかの著者に呼びかけたことを明らかにしました。 「STAP細胞」は、神戸市にある理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーなどのグループが作製に成功したと科学雑誌「ネイチャー」に発表し、新たな万能細胞として注目を集めました。 しかし、そのあと論文に不自然な画像やデータがあると研究者からの指摘が相次ぎ、理化学研究所などが調査を進めています。 これについて、論文の共同著者の1人でSTAP細胞の万能性を調べる重要な実験を担当した若山照彦山梨大学教授が10日、NHKのインタビューに答えました。 この中で若山教授は「信じていた研究のデータに重大な問題が見つかり、ST
※当記事を発表後、STAP細胞研究の論文内のデータに不自然な箇所があることが指摘されはじめた。 STAP細胞の研究論文内の不自然な画像データ: むしブロ また、2014年2月14日時点での再現性はまだ確認されていない。これらの点もふまえて、当記事を読んでいただければ幸いです。 ・STAP細胞と小保方晴子さんについての報道 先週、理化学研究所の研究グループがSTAP細胞に関する研究発表を行った。この研究成果が科学的に大きなインパクトをもつことと、研究を主導した小保方晴子さんが30歳の女性研究者であることから、連日のように加熱した報道が続いている。 報道の中には、研究成果とは直接関係のない小保方さんのキャラクターを全面に打ち出すようなものも多い。これに対し、より研究成果を強調するような報道を望む声もあがっている。研究成果の詳細を知りたいと思う人は多い。このブログでは、そのような層に向けて、あえ

はやいもので、2014年最初の月はもう終わろうとしている、しかし、そのひと月だけでも、幹細胞研究やがん研究に関するニュースがいくつか報じられていた。 ・小分子RNAによって悪性度の高いがんを正常な細胞に転換させる (鳥取大) ・神経幹細胞の分化制御に関わる小分子RNAを特定 (慶應・理研) ・化合物を加えてiPS細胞に似た集団を得る (京都大) だが1月最終週になって、とんでもない報告が飛び出すことになった。それが、理化学研究所・発生再生科学総合研究センター(理研CDB)のグループリーダー、小保方晴子博士らによる「STAP細胞」の報告である。 STAPというのは「Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency」の略。日本語では刺激惹起性多能性獲得細胞、と名づけられているそうだが、ようするに、「とある細胞に刺激をあたえたら、身体を構成するあらゆる

【ワシントン=中島達雄】細胞に強い刺激を与えただけで作製できる新たな万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の開発に理化学研究所と共にかかわった米ハーバード大の研究チームが、脊髄損傷で下半身が不自由になったサルを治療する実験を進めていることを30日明らかにした。 研究チームの同大医学部・小島宏司医師によると、脊髄損傷で足や尾が動かなくなったサルの細胞を採取し、STAP細胞を作製、これをサルの背中に移植したところ、サルが足や尾を動かせるようになったという。 現在、データを整理して学術論文にまとめている段階だという。研究チームは、人間の赤ちゃんの皮膚からSTAP細胞を作る実験にも着手。得られた細胞の能力はまだ確認中だが、形や色はマウスから得たSTAP細胞によく似ているという。
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