『公研』2020年8月号 第 606 回私の生き方 富野 由悠季・アニメーション監督 父への疑念 ──「富野由悠季の世界」展が昨年6月より開催されています(現在中断中、再開は9月の予定)。 富野 今回の「富野由悠季の世界」展で「与圧服」の写真を展示しています。これの開発に父が関わっていて、家に資料が残っていました。 この機会でしかできない話を一つさせてください。父の経歴についてです。父は昔の中学を卒業したあと、東京府立化学工業学校(化工)という専門高等学校へ進んでいます。父のアルバムにあった化工の写真を見ると、3階建てのコンクリート校舎の中央に時計塔があり、石積みの外壁の正面には三つのアーチ状の飾りが施された扉がある立派な建物でした。その前に軍人たちが集まっている写真は、子供の頃は軍の部隊写真だと思っていた。ところが、父は「俺の学校なんだ」と言っていました。 僕はそのアルバム写真を子供の頃

「『世界名作劇場』になったガンダムなんて見たくない」CG嫌いの富野由悠季氏が挑むCGアニメ「Ring of Gundam」制作秘話 ライター:徳岡正肇 残念ながらSIGGRAPHの特別講演は完全に撮影禁止であり,講演のオフィシャル素材も存在しないため,記事中の写真はCEDEC 2009での監督の講演時のものを使用していることを最初にお断りしておきたい 日本で初めて開催されたSIGGRAPH Asia 2009には大勢のクリエーターが集まっていた。そんななかで,ゲームのみならず日本の映像制作に多大な影響を与えた「機動戦士ガンダム」で知られる富野由悠季氏の講演が行われた。SIGGRAPHにおける富野氏の演題は「Ring of Gundam : No Hints forCreation in Your Manuals」(リング・オブ・ガンダム:マニュアルに創作のヒントはない)と題されており,ま
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