「運転手」の問題は、どちらを選んでも「加害する」になる。そのため、「1人か5人か」を選ぶ消極的義務の中での問題となり、義務違反を最小化するために1人を犠牲にするという理屈は<一応は>成り立つ。 一方、「歩道橋」バージョンは、「善行する(5人を助ける)」と、「加害する(1人を殺す)」の衝突が起きている。 この場合私たちは、それぞれの義務を果たす、あるいはそれに背くといった、行為の性質の違いを考慮に入れなければならない。「歩道橋」の一人の加害が許されない理由は、異なった義務が衝突する場合、より厳格な消極的義務が優先されるからではないか。 『政治哲学講義』p.93より たとえ5人を見捨てることになるとしても、「加害しない(消極的義務の遵守)」ことを優先する。作為の方が不作為よりも責任を問われることは、医療倫理の「何よりも害を与えてはならない(Primum non nocere)」にも繋がるという

日本企業の最新データを分析した興味深い研究で、「取締役会に女性が増えるほど企業の利益率が下がる」という、直感的には予想外の結果が報告されました。 この研究は、日本の上場企業1990社を対象に18年間にわたりデータを精査したもので、具体的には取締役会における女性の割合が標準偏差(約7.8%ポイント)ぶん増えると、会社の利益率(ROA)が0.1ポイントほど低下する傾向が統計的にはっきりと示されました。 影響としては一見小さな変化ですが、分析の精度から見ても偶然とは考えにくい有意な結果です。 これは女性の活躍推進が強調される日本社会にとって意外な結果であり、「単に女性取締役を増やすだけでは会社は良くならない」という重要な教訓を私たちに投げかけています。 多様性の推進が企業の成長に必ずしも直結しないという事実は、社会や経営者が改めて受け止めるべき新たな課題なのかもしれません。 しかしなぜ日本では女

コンプライアンスの違反事例のようなことが起こると、企業の信頼を失う可能性があります。 それだけでなく、刑罰や行政指導の対象となり、余分な労力、コストがかかる事態に陥るかもしれません。 コンプライアンスの遵守は企業の社会的責任でもあるので、事例を見て違反しないための対策を考えることが重要です。本記事では、企業のコンプライアンス違反事例とコンプライアンス違反を避ける対策をまとめてご紹介します。 最後まで読めばコンプライアンス違反になる行動や考え方が分かり、自社で同じことにならないよう対策ができるでしょう。 コンプライアンス違反は、起こる前の対策が非常に重要です。 知らず知らずのうちにコンプライアンス違反をしないためにも、実際の事例をもとに自社の見直しをしてみましょう。 ▼ コンプライアンスについてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。 【最新|ハラスメントの種類一覧表】40のハラスメ

April 11, 2025 森元良太『統計学再入門 科学哲学から探る統計思考の原点』 森元良太『統計学再入門 科学哲学から探る統計思考の原点』(近代科学社、2024年)は、フィッシャー流の検定とネイマン=ピアソン流の検定の間の論争を原典を参照しつつ、言葉遣いに注意をはらいながら整理するという点で、類書がない本であり、勉強になる点が多い。統計的検定を使う時に感じる「うしろめたさ」や「モヤモヤ感」の正体を明らかにしようということで、さまざまな「うしろめたさ」「モヤモヤ感」の候補がいろいろと考察されていく。著者の指摘する「うしろめたさ」「モヤモヤ感」がピンとくる人にとってはうまくはまる本なのかもしれない。 ということで、十分読むに値する本だとは思うのだが、気になる箇所もある。そこで、読みながら気になった点についていつものように大小関係なくコメントしていきたい。なお、統計学の哲学そのものについて
赤いリンゴや赤い信号、赤い夕焼け──私たちは日常的に「赤」と呼ばれる色を当たり前のように見分け、言葉を交わしています。 でも、「私が見ている赤」と「あなたが見ている赤」は本当に同じなのでしょうか? この素朴な疑問は、実は意識研究の世界では長年にわたって議論されてきた大問題です。 なぜなら、外からは同じに見える刺激でも、人の頭の中で起こっている主観的な色体験が同一だと証明するのは極めて難しかったからです。 ところがこのたび、東京大学や英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)、豪モナシュ大学などの国際研究チームが、色の「類似度」をもとに人々の主観的な“色の構造”を比較する大胆な手法を開発し、大規模なオンライン実験で「私の赤」と「あなたの赤」の違いを初めて定量的に示すことに成功しました。 私たちはどこまで同じ“赤”を共有できるのでしょうか? 研究内容の詳細は『iScience』にて発表されま

大規模な航空事故では搭乗していた乗員・乗客が全員亡くなるような事例がありますが、航空機は年々安全になっています。マサチューセッツ工科大学(MIT)でフライトの安全と運用を専門にしているアーノルド・バーネット教授によると、2018年から2022年に世界で航空事故に遭い死亡する確率は「1370万回の搭乗で1回」だったとのことです。Airline safety: Still getting better? - ScienceDirect https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0969699724001066 Study: Flying keeps getting safer | MIT News | Massachusetts Institute ofTechnology https://news.mit.edu/202

BtoBマーケティングや営業戦略においては、営業の人手不足や高齢化、コロナ、営業DX推進などの影響で、デジタル活用の重要性が向上している。しかし、BtoB業界では、事業特性(顧客や商材の特性)により、マーケティングや営業のデジタルシフトは非常に難しい側面もある。 そこで、弊社では、「BtoB企業のマーケティングや営業活動におけるデジタル活用の意識調査」を行った。このページでは年別の意識変化とコロナの影響について解説する。

「庶民の味方」と思いきや…… 世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、多様な商品を低価格で提供する「庶民の味方」として知られてきた。 ところが、新たな2つの調査結果によると「低・中所得層の家庭に恩恵をもたらす」という評判とは裏腹に、ウォルマートができた地域では、節約効果を上回る形で収入が減少し、「10年間で世帯収入が6%減少」していたことがわかった。 米誌「アトランティック」によれば、同調査はウォルマートが開業した地域と開業していない地域に住む人々の収入を約50年にわたって追跡し、それらを比較する言わば「臨床試験」の経済版だ。

「日本人の読み書き能力は世界トップクラス」という調査結果がありましたが、日本人の識字率が高いって本当ですか? 回答は「分からない」です。現在の日本人の識字率を科学的に調査したデータはありません。過去には1948年の調査があります。しかし、以下に述べる理由から、日本人の識字率が高いのか低いのかはまだ分かっていません。 GHQ提案による1948年の識字率調査 1948年の調査は、第二次世界大戦後の連合国軍の占領政策のもとGHQの「提案」によって、日本側が組織的に動いて実施されたものです。得られた結果は「日本人の読み書き能力は極めて高く世界トップクラス」という「常識」の科学的根拠だとされてきましたが、最近の研究で新しい事実が明らかになりました。 この調査は「代表性を有するデータ」を収集する方法論を開拓したうえで、全国規模で実査をおこないました。その学術的価値は極めて高いと諸学界から評価されていま

托卵は子供が父親であると信じている男性以外に、女性が別の男性とセックスし妊娠出産した場合によって発生する現象であるが、結論から先に書くと先進国調査における托卵率中央値は3.4% (N = 20,871, 95% CI: 3.12% to 3.61%)である。 托卵率は研究によってバラツキがあり、最高は英国200人サンプルの30%で(Philipp, 1973)、最低はスイス1600人サンプルの0.8%だ。この高い数字は外れ値として、1般集団からランダムに2600人サンプル選択した最も信頼性が高いとみられるの英国の托卵研究では托卵率は3.7%であった。 尚ランダム検査ではなく裁判によって…つまり夫が妻の托卵を疑って争いを起こした場合に…托卵が判明する確率はの中央値は16件の研究において27%だ。 これを多いと見るか少ないと見るかは別にして、日本に当てはめればザッと30人クラスに1人ぐらいは托

データを利活用してカスタマー・クライアント双方の「不」の解消を目指してきたリクルートが、今注力する領域は「データを用いた意思決定の質向上」とそのための「データの整備」です。 そこにフルコミットするため、新たに生まれた職種がアナリティクスエンジニアです。例えば、図書館を作るのがデータエンジニアで、図書館に収納された本を使って価値を生み出すのがデータサイエンティストだとすれば、本の整理や目録の作成などを通じてさながら司書のような役割を果たすのがアナリティクスエンジニアです。言うなれば「データの整備人」。 リクルートにおいては、データを用いた意思決定を加速させるうえで、必要不可欠の存在です。 とはいえ、まだまだ一般的には知られていないアナリティクスエンジニアの仕事。彼らは組織のなかでどのような役割を果たし、どのように事業へ貢献しているのでしょうか。そしてどんなバックグラウンドを持っているのでしょ

技術的負債を抱えたレガシーコード。変なメソッド名と入り組んだロジック、リファクタリングするならどちらが先?(前編) ソフトウェアの品質をテーマに研究をしている名古屋大学 森崎研究室は、ソフトウェアの技術的負債をなんらかの形で数値化する手法の研究の一環として、コードの読みにくさの原因となる要因などを分析した研究結果を発表するイベントをオンラインで開催しました。 今回発表された研究では、技術的負債を抱えたレガシーコードのリファクタリングで取り除かれた問題の90%以上が、メソッド名と実際の関数の動作が一致していない、あるいは関数名とコメントが矛盾しているなどの「命名的問題」、もしくは複雑で読みにくい多数の条件分岐や深いネストなどを抱えた「構造的問題」のいずれかであるという先行研究があることを踏まえ、どちらを優先してリファクタリングすると保守性や可読性が高くなるかを調査しています。 具体的には、命

株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長CEO:夏野剛)は、現在当社グループの複数のウェブサイトが利用できない事象が発生していることをお知らせいたします。この原因として、現時点では、当社グループが利用しているサーバーに対して、外部からの不正なアクセスが行われたことによる可能性が高いと分析しております。 お客様、お取引先様をはじめ、関係先の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。本件について、影響を最小限にとどめるべく、システムの保護と復旧に向けて、現在対応を進めております。現時点で判明している内容について、以下の通りご報告いたします。 1. 経緯 6月8日(土)未明より、当社グループの複数のサーバーにアクセスできない障害が発生しました。この事実を受け、データ保全のため関連するサーバーを至急シャットダウンしました。同日中に社内で分析調




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