6時間00分 慰安婦についての議論は、いくつもの論点といくつもの立場が錯綜している。 論点は、まず第一に、慰安婦の実態はどのようなものであったかであり、第二に、その慰安婦であった女性を我々はどう扱うかであり、最後に、海外からの慰安婦関連の日本批判にどう対応するかである。そして、論点ごとに論者の立場がちがっており、意見がちがっている。本書は、元慰安婦への“償い金”であるアジア女性基金の理事を務めた政治学者による、その苦闘の記録である。当然、第2の論点が中心になり、立場としては元慰安婦救済ということになる。私とは考えが近いものもあり、ちがうものもあるが、報道などではわかりにくいこの種の活動、任務の困難さが細部にわたって記録され、非常に興味深い一冊となった。 私自身は慰安婦について、次のように考えている。 特別な存在ではない。しかし、救済するのは当然だ 慰安婦は基本的に娼婦である。本質において

大沼保昭「「慰安婦」問題とは何だったのか」 稲葉先生のご推薦を受けて読みました。結論から申し上げれば、伊勢崎賢治「武装解除」とセットで読め、ということとなります。相乗効果はてきめんでしょう。言い換えれば、伊勢崎本を読んで感銘を受けた方には、ぜひとも手に取っていただきたいのです。 なぜセットで読むことをお薦めするかといえば、これら2冊は政治の現実という同じ対象を、まったく異なる観点からそれぞれ描いたものだからです。本書は、外部から政府(や国民、とするのが正確なところですが)に対して何らかの行動を求め、それを実現する過程を描いたもの。他方で伊勢崎本は、(現地人から見れば)政権内部の人間として政策をいかに実現していくのかを描いたもの。その交点に、世の中がどのように動いているかが鮮やかに立ち表れるでしょう。 対象が同じだというだけでなく、著者の姿勢もまた共通の基盤を持ちます。つまりは徹底的なリアリ
朝日新聞東京本社編集局長 外岡秀俊様 当ブログの4月1日付の記事を読んでいただいたそうで、ありがとうございます。実は、私はあなたと同い年で大学も同じで、あなたの1年後に朝日新聞から内定をもらいました。それを断ったとき、人事担当者に「去年の外岡君は文芸賞をもらったが、当社に入社した。自由に仕事ができる」と説得されたことを覚えています。そのころは私も「朝日文化人」の卵だったわけです。 そういう「進歩派」はNHKにも多く、世間で思われているほどNHKは(政治的には)保守的なメディアではありません。特に毎年8月になると、終戦記念番組で反戦平和を訴えるのが定番でした。私も1991年に終戦企画を担当し、取材班は国内と韓国で1ヶ月にわたって「強制連行」の取材をしました。当時のわれわれも「軍が朝鮮人の首に縄をつけて引っ張ってきた」という証言をさがしたのです。 しかしそういう証言は、数十人の男女の中で
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Congressional Research Service Memorandum April 3, 2007 SUBJECT:Japanese Military's "Comfort Women" System (pdf) ざっと上記資料に目を通しただけですが、下記の日韓の新聞記事は(韓国紙のは梗概だけですが)互いに嘘はついていないけれど、やや都合のいいところをピックアップして書いているという感じはあります。 ・産経新聞 ⇒「組織的強制徴用なし」 慰安婦問題 米議会調査局が報告書 ・朝鮮日報 ⇒「強制動員の証拠は明白」=慰安婦問題で米議会報告書−韓国紙 (時事が伝えた朝鮮日報のこの記事は、まだ日本語版に訳されていません ↓下に追記) 認識を新たにした点: この報告書が問題にしているのは「慰安婦システム」でした。つまり慰安所を置いて兵士たちに女性をあてがっていたのは日本軍だというその機構

慰安婦問題で不気味な沈黙を守っていた朝日新聞が、ようやく反撃(?)を開始した。きょうの夕刊の「ニッポン人脈記」というコラムによれば、慰安婦は北朝鮮の拉致と同じなのだそうである。「甘言を使って慰安婦を集めたのは、北朝鮮と同じ」だと吉見義明氏はいう。北朝鮮は、政府が公権力によって拉致したことを認めている。慰安婦がそれと同じだと主張するには、少なくとも「慰安婦を拉致せよ」と日本軍が業者に命じたことを立証しなければならないが、当の吉見氏は著書の中でそういう証拠はないことを認めている。彼のいう「広義の強制」とはその女性の前に自由な職業選択の道が開かれているとすれば、慰安婦となる道を選ぶ女性がいるはずはない。たとえ本人が、自由意思でその道を選んだようにみえるときでも、実は、植民地支配、貧困、失業など何らかの強制の結果なのだ。(『従軍慰安婦』岩波新書p.103、強調は引用者)という主観的な概念である。こ
雪斎殿のブログは概してコメント欄も含めて冷静な意見が多いのだが、今回の従軍慰安婦、米下院の決議に関わるエントリは少し変な方向に議論が流れているという印象がある。コメント代りに前回の私のエントリの補足も兼ねて多少意見を付け加えてみたい。 まず、米国の意図はあまり邪推しないほうがいいと思う。あの国はどこそこの国の政権を転覆すべしという意見を堂々と連邦議会の議員がインターネット上で公言する国柄である。副次効果に関しては大声で言わないというのはあるかもしれないが、原則部分はいつも明確に示されている。今回は純粋な人道問題扱いという事だ。別段米国議会として珍しい事ではない。 問題はコミュニケーションで、これは現在の日本の保守政治家全般が今回の問題をうまく切り回せていない印象がある。例えば、先の雪斎殿のエントリなどもそうであるが、当時の貧困地域の貧しさを理解してもらおうという意見が多い。これも普通にやる

専門とは関係のない慰安婦問題に首を突っ込むのは気が進まなかったが、膨大なコメント(しかも驚いたことにノイズがほとんどない)をいただいて感じたのは、「慰安婦問題」なんて最初からなくて、これは無から有を作り出した朝日新聞問題なのだということだ。これは私の専門(メディア)とも関係があるので、簡単に事実経過を書いておく。 前にも書いたように、私も朝日と同時に強制連行問題を取材していたから、朝日が吉田証言を派手に取り上げて1面トップでキャンペーンを張ったときは、「やられた」という感じだった(*)。しかしよく調べてみると、吉田の本は1983年に出ていて、当時はだれも相手にしなかった。しかも、それを追跡取材した韓国の済州新聞の記者が、そんな事実はなかったという記事を、すでに1989年に書いていた。しかし朝日が騒ぎ始めた1991年が「慰安婦元年」になったのである。 金学順が最初に慰安婦として名乗り出た
慰安婦問題を考えていると、どんどん鬱になってきます。かみぽこさんのところで英米マスコミの論説が紹介されていますが、「従軍慰安婦=性奴隷」という説がすっかり世界の常識になってしまっています。 従軍慰安婦問題:国際派保守派養成の必要性!? | かみぽこぽこ。 -楽天ブログ もし慰安婦が実質的に性奴隷であったのならば、慰安婦制度は東京裁判で取り上げられ、責任者は戦犯として処罰されていたでしょう。当時、慰安婦制度は機密事項ではなかったわけですし、日本軍による証拠隠滅があったとしても、連合軍が調査すれば十分な証拠は得られたはずですから。 しかし、従軍慰安婦問題が取り上げられたのは1970年代以降であり、それ以前は問題視されていませんでした。東京裁判でも戦争犯罪とはなっていません。 英米のマスコミですらそんなことも指摘できないほど、「従軍慰安婦=性奴隷」というステレオタイプは世界を覆ってしまっていま

2007年03月11日 従軍慰安婦問題:国際派保守派養成の必要性!? カテゴリ:カテゴリ未分類 さて、「かみぽこ政治学」です。 今日は先日書いた 「従軍慰安婦問題」 の続報だね。 まあ、一言で言えば、 だか~ら~♪ いったじゃないのお~♪ (「お恵ちゃん」松山恵子風でお願いします、はい。=苦笑) 小泉AA会議演説によって 「村山談話」「河野談話」の存在が 世界に浸透しているのだから、 安倍首相はその線に沿って 落ち着いていればいいものを 案の定余計なことを言って メチャクチャになっちゃったよね。(涙) ほんとこのお方の政治的センスの欠如には びっくりさせられるよね。。。(苦笑) 「お恵ちゃん、悲しいけん♪」 (伊予弁でお願いします。=苦笑) 安倍首相は国会で なにもとうとうと 従軍慰安婦はどうのこうのと 演説したわけじゃないんだよ。 ちょっと国会で一言二言 言っただけのようなもんだよ。

●従軍慰安婦「おわびの気持ち変わらない」安倍首相〜中国が火消し? 安倍首相の「おわび」を一斉報道 今日(12日)の従軍慰安婦問題の朝日新聞速報記事から2つ。 従軍慰安婦「おわびの気持ち変わらない」 安倍首相 2007年03月12日10時40分 安倍首相は11日のNHKのテレビ番組で、従軍慰安婦問題をめぐる自身の発言が波紋を呼んでいることについて「河野談話を継承していく。当時、慰安婦の方々が負われた心の傷、大変な苦労をされた方々に対して心からなるおわびを申し上げている。小泉首相も橋本首相も元慰安婦の方々に対し、(おわびの)手紙を出している。その気持ちは私も全く変わらない」と語り、元慰安婦に対する首相としての「おわび」も受け継ぐ考えを強調した。 首相は9日の参院予算委員会でも「(元慰安婦に対し)本当に心から同情し、すでにおわびも申し上げている。しかし、必ずしも発言が正しく冷静に伝わらない。事実
慰安婦をめぐって、なぜか海外メディアの報道が過熱している。驚くのは、その事実認識の杜撰さだ。特にひどいのはNYタイムズの1面に出た記事で、3人の元慰安婦の証言を引用して「過去の否定は元性奴隷を傷つける」と題しているが、彼らは強制連行とは関係ない。台湾人と韓国人は軍に連行されたとは証言していないし、オランダ人のケースは軍規に違反した捕虜虐待事件で、軍は抗議を受けて慰安所を閉鎖した。 LAタイムズもワシントンポスト(AP)もEconomistも、具体的な根拠をあげずに「性奴隷が存在したことは歴史的事実だ」と断定している。そろって慰安婦の数を「20万人」としているところをみると、出所は吉見義明氏の本の英訳(およびその孫引き)だと思われるが、この数字は当時の国内の公娼の総数が17万人だったことから考えてもありえない。秦郁彦氏の推定では、2万人弱である。しかも吉見氏でさえ、軍が強制連行した証拠は見
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