心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され女性の通称名で暮らしている京都市の会社経営者に対し、経営者が加入する国民健康保険組合は、戸籍上の男性の名前ではなく、この通称名で保険証を交付したことがわかりました。性同一性障害の人たちでつくる団体は、珍しいケースで配慮のある対応だとしています。 しかし、国民健康保険証の名前は男性のままで、病院で名前を呼ばれるときなどに苦痛だとして、本人が加入する京都府酒販国民健康保険組合に保険証の名前を変えてほしいと求めていました。 組合が厚生労働省に問い合わせたところ、保険証の名前は組合の判断で決められるという回答があり、去年8月、通称名を記載した保険証を交付したということです。 性同一性障害の人たちでつくる一般社団法人「日本性同一性障害とともに生きる人々の会」によりますと、保険証で通称名が認められるのは珍しく、配慮のある対応だとしています。 NHKの取材

8年前の冬、ある性同一性障害者が自ら命を絶った。名は「優子」。女性の体に男性の心を宿し、その相克にさいなまれ続けていた。母は願う。個人がそうありたいと思う性を受け入れる社会を――。 母の今の思いを、記者が聞いた。 ◇ あの子が大人になってから、2人でよく釣りに出かけました。 「釣れるかねぇ」 「釣れるといいねぇ」 そう話しながら堤防から糸を投げました。また行こうねと、約束していたんですけど……。 《私は29歳になったばかりの女性です。しかし幼少の頃から女の子が好む「ままごと」や「縫いぐるみ」は嫌いで、「ミニ四駆」や「少年ジャンプ」を愛好していました。スカートは制服なので仕方なく穿(は)いていました》(優子さんの仮処分申し立ての陳述書から) 「そういうのが好きな女の子なんだな」と思い、性同一性障害とは気がつきませんでした。女の子が最高に着飾り、思い出に残る成人式。「一度は着物をきちんと着たい

性同一性障害のため戸籍の性別を男性から変更した静岡県西部の女性が、地元のゴルフクラブが入会を拒否したのは不当として、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は1日、入会拒否を違法と認め、一審静岡地裁浜松支部に続いてクラブ側に110万円の賠償を命じた。 川神裕裁判長は「性同一性障害を理由とした不合理な取り扱いは許されない。女性はいわれのない不利益を被り、人格の根幹部分に関わる精神的苦痛を受けた」と指摘。日本国籍であることだけが入会条件で、クラブ側の「既存会員が強い不安や困惑を覚える」とした主張は「抽象的で具体性に欠く」と退けた。 判決によると、女性は1998年、性同一性障害と診断され、2010年に性別適合手術を受け、戸籍の性別を変更した。12年6月、クラブに入会を申し込んだ際、提出した戸籍謄本などから性別変更したことが分かり、入会を拒否された。 女性は判決後、「一、二審と勝訴し、マ

心と体の性が一致せず、男性に生まれながら女性として社会生活を送ってきた人は、刑務所内でも女性として扱われるべきか。傷害致死罪で実刑が確定し、男性刑務所で服役中の性同一性障害の受刑者が処遇の見直しを求めている。弁護団は「本人が真に立ち直って罪を償うためにも、自覚する性別に従って服役できるようにすべきだ」と刑務所に申入書を出した。 処遇の見直しを求めているのは、神戸刑務所(兵庫県)で服役中の受刑者(42)。同居していた男性への傷害致死罪で今年6月に懲役7年の刑が確定した。 弁護団によると、男性として生まれたが、幼少期から女性と自覚。18歳で女性ホルモン投与を始め、20代で性別適合手術を受けた。ただ、戸籍変更にはさらに手術をして性器を希望する性別に合わせた形に変える必要があり、心身への負担が重いことから断念。2004年、戸籍は男性のまま女性名に変更する審判を大阪家裁に申し立て、認められた。 弁護

女性的な名前に改名したことを会社に報告後、意思に反して名簿などを書き換えられ、心と体の性が一致しない性同一性障害であることが社内に知られたなどとして、愛知県内のヤクルト子会社社員が職場の工場を相手取り、人格権の侵害に対する慰謝料など330万円の損害賠償を求め、近く名古屋地裁に提訴する。 工場は同県日進市の「愛知ヤクルト工場」。朝日新聞の取材に「本人と逐次協議しながら進めており、適切な対応だった」と答え、争う方針を示した。 訴状などによると、社員は戸籍上は男性だが、性別の自己認識は女性の40代。私生活は女性として過ごし、職場では偏見などの不利益を恐れ男性として働いていた。女性ホルモンの投与などで容姿が変化し始めた2014年5月、同僚に「性同一性障害ではないか」と言われ、上司に同障害の診断書を出した。 一方、社内での公表や女性としての処遇は望まず、男性と一緒に着替える苦痛が増していたため更衣室

性同一性障害で性別適合手術を受け、男性から女性になった被告に東京拘置所が女性ホルモン剤の投与を認めなかった問題で、この受刑者(29)が9日、身体的・精神的苦痛を受けたとして、国に慰謝料など1千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。 代理人弁護士によると、受刑者は男性として生まれたが、10代で性同一性障害と診断され、女性ホルモン剤の服用を開始。その後、性別適合手術を受け、20歳で戸籍上も女性になった。 昨年2月に交際相手を殺害した疑いで逮捕された後、警察署はホルモン剤投与を認めたが、その後に移った東京拘置所は認めなかった。昨年12月に東京地裁の裁判員裁判で懲役16年の判決を受け、確定。現在は関東地方の刑務所で服役中だが、刑務所でも女性ホルモン剤の投与を受けられていないという。 受刑者側は、「性別適合手術を… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 こ

北九州市立大は性同一性障害(GID)の学生の要望を受け、「心の性」に沿った通称名使用を認める制度を始めた。学籍簿や学生証、卒業証書などでも認められ、全国的にも珍しいという。通称名使用自体は他にも導入する大学が出てきているが、まだ緒についたばかりだ。【奥田伸一】 「大学入学後、君付けで呼ばれ抵抗感があった」。身体的な性は男性の4年生(23)は現在、制度に基づき女性名で通学している。幼い頃から友人の大半は女子で、中学生になると男子が好きになった。高校までは大半が海外暮らしで「国籍を気にすることはあっても、性別を意識する場面はなかった」。 2014年4月、大学内での通称名使用を保健師らがいる学生相談室に掛け合った。この年の2月に母親に悩みを告白し「女として生きる」行動の一つだった。

性同一性障害で女性に性転換した京都市の40代経営者が、フィットネスクラブから戸籍上の男性として施設を使うよう求められ人格権を侵害されたとして、運営元のコナミスポーツクラブ(本社・東京)に賠償を求める訴訟を近く京都地裁に起こす。性同一性障害特例法の規定で戸籍の性を変えられない事情があり、「人の生き方を不当に制約する法のあり方も問いたい」と訴える。 代理人の南和行弁護士(大阪弁護士会)によると、経営者は2009年6月、コナミが運営する京都府内のクラブに男性として入会。12年2月に性同一性障害と診断され、ホルモン剤の投与で身体的特徴も女性に近づき、昨年3月に性別適合手術を受けた。 日常生活を女性として送る一方、クラブに行く時は化粧を落とし、男性の服装で通っていた。手術を前に女性用の更衣室やトイレが使えるか、インストラクターに確認した。しかし、支店長の意向で「戸籍上の性別も変えないと無理」と伝えら

心は女性である性同一性障害の職員は、戸籍上の性別が男性である限り、女性トイレを使ってはならない――。経済産業省がこんな原則を示し、使いたければ異動ごとに職場で同障害を公表するよう求めていた。この職員は近く「人格権の侵害で、同障害を理由にした差別だ」として、東京地裁に行政訴訟と国家賠償訴訟を起こす。 弁護団によると、性的少数者が職場での処遇の改善を求める訴訟は初めて。 この職員は40代で、戸籍上は男性だが心は女性。入省後の1998年ごろ同障害の診断を受け、2009年に女性としての処遇を申し出た。診断から11年かかったのは、ホルモン治療や女性の容姿に近づけるための手術を重ね、「女性として社会適応できる」と思えるまで待ったからだ。11年には名前も女性的なものに変更。今では初対面の人にも女性として認識され、職場の女子会に呼ばれる。 経産省は、女性の服装や休憩室の使用は認めたものの、女性トイレの使用

「私も一歩間違えば、事件を…」きっかけは、雪に埋もれて亡くなった生後間もない女の子 不安や孤独、悩み吐き出す場所がほしい。ママにも“お昼寝”を

■ 年金機構から基礎年金番号の付番機能を剥奪せよ 我が目を疑うニュースが飛び込んできた。 性同一性障害者に年金共通番号 一時ネット閲覧可能に,共同通信, 2013年5月7日 日本年金機構が、性同一性障害で性別変更した人を判別するため、昨年10月から基礎年金番号10桁のうち前半4桁に共通する固定番号の割り当てを始めていたことが7日、分かった。この4桁の番号が性同一性障害者を示すと明記した機構の内部文書が一時インターネットで確認できる状態だった。 「内部文書が一時インターネットで確認できる状態だった」というのが意味不明だなと思いつつ、Twitterを検索してみたところ、この問題と戦っている方々のツイートと、問題提起のブログが見つかった。 GID(性同一性障害)年金基礎番号 強制付番問題について, URAIKADA | FTMTSのために, 2013年4月19日 急ぎで載せました「GID(性同
印刷 心と体の性が一致しない性同一性障害のため、女性から男性に性別を変えた夫(29)とその妻(30)=大阪府東大阪市=が21日、第三者の精子を使った人工授精で妻が産んだ男児(2)を嫡出子(ちゃくしゅつし=婚内子)と認めるべきだとして、戸籍訂正の審判を東京家裁に申し立てた。 民法772条を根拠とする嫡出子は、「結婚した男女間に生まれた子」と解釈されている。 男児は2009年11月に誕生。夫妻は当時住んでいた兵庫県宍粟(しそう)市に出した出生届を取り下げ、今年1月に夫の本籍がある東京都新宿区に、男児を嫡出子として改めて出生届を出した。 しかし、区は非嫡出子(婚外子)として扱ったため、今月2日、父の欄が空白となった男児の戸籍が作られた。夫と男児に血縁関係がなければ、嫡出子には当てはまらないという立場を国がとっているためだ。 購読されている方は、続きをご覧いただけます
統一地方選が終わったが、今回、日本で初めて同性愛者であることを公言する「ゲイ議員」が誕生した。東京・豊島区議の石川大我と中野区議の石坂わたるだ。 性的少数者であるLGBT(レズビアンやゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の政治家としては、世田谷区議の上川あや(今回3期目の当選)が有名だ。彼女は生物学的な性別と本人が自認する性別が一致しない性同一性障害で、戸籍の性別も男から女に変えている。 ニューズウィーク日本版は06年、「ゲイ in Japan」という特集を掲載した。「ゲイ人」レイザーラモンが「ふぉ~~」とやっていた頃である。その時に取材をさせてもらったのが石川で、当時は何人かの仲間と一緒に、ピアフレンズというゲイの若者向けの友達作りイベントを開催していた(ピアフレンズは今はNPO法人となり、その輪もずいぶん広がっている)。 その後、NHKの番組に出演したり、千葉県の人権関係の委員を
性同一性障害で女性から男性に性別変更した関東地方の夫が、妻との間で第三者の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)によりもうけた子について、嫡出子として出生届を役所に提出し、受理されなかったことが16日、男性への取材で分かった。同じケースで出生届が受理されなかった夫婦らと同日、法務省を訪れ、嫡出子として認定するよう要請した。 法務省はこうした夫婦と子について、遺伝的な父子関係がないのは明らかとして嫡出子と認めていない。男性は嫡出子と認めるよう求め、子は生後1カ月で無戸籍の状態。同じケースで子の無戸籍が明らかになったのは、男性に性別変更した大阪府東大阪市の会社員、前田良さん(28)の子に続いて2人目。 法務省などによると、ほかに11組の夫婦が出生届を提出。非嫡出子として届け受理されたとみられる。
心と体の性別が一致せず、時に大人以上の苦しみを抱えながらもさまざまなケアが置き去りにされている性同一性障害(GID)の子どもたち。医療、教育現場などの課題を取り上げた連載「境界を生きる~子どもの性同一性障害」(6月13~17日)に、当事者や家族を含め多くの反響をいただきました。記者が訪ねて聞いた思いを紹介しながら、改めて深刻な現実を考えます。【丹野恒一、五味香織】 ◇生きていてほしかった 自殺の我が子、心追う母 「親として、あの子を救えなかったことはこれからも悔やむと思います」。福岡県に住む都さん(44)からのメールには、我が子が自ら命を絶った悲しみがつづられていた。「私が話すことで役に立てるなら」と取材に応じてくれた。 早朝、刑事からの電話があったのは09年11月だった。21歳だったあゆみさんが東京都内で練炭自殺したとの知らせに、頭が真っ白になった。 あゆみさんは地元の高校を卒業後、夢だ
「なぜ私は女の子なのに、男の子の体なの?」。性同一性障害(GID)に苦しみ眠れない夜を過ごしてきた埼玉県の小学2年男児(8)が昨年秋から学校に女児としての通学を認められ、元気に登校できるようになった。「学校に認めてもらえなかったらフリースクールを探すしかない」と覚悟していた母親(46)はひとまず胸をなで下ろすが、悩みは尽きない。【丹野恒一】 昨年9月の始業式。校長は全校児童の前で語り始めた。「2年生に、体は男の子だけれど心は女の子の児童がいます。そのせいでずっと苦しんできましたが、思い切って女の子としてみんなの前に出てくることになりました。温かく見守ってください」 母親は保護者懇談会で子どもがGIDと診断されたことを打ち明けた。「どうしても女の子として学校に行きたいと言っています。希望をかなえてやりたい。お願いします」。異論は出ず、女児としての生活が始まった。 児童はもともと男女どちらでも
心と体の性別が一致しない性同一性障害との診断を受け、女性から男性に戸籍上の性別を変更した夫が、第三者の精子を使って妻との間に人工授精でもうけた子を、法務省は「嫡出子(ちゃくしゅつし)とは認めない」との見解を示した。全国で6件の出産例を把握、非嫡出子(婚外子)として届けるよう指示した。だが、同じ人工授精でも夫が生来の男性の場合は嫡出子として受理しており、「法の下の平等に反する」との指摘が出ている。 性同一性障害者が自ら望む性別を選べるよう、2004年に施行された特例法に基づき、兵庫県宍粟(しそう)市在住の自営業Aさん(27)が戸籍を「女」から「男」に変更したのは08年3月。翌月、妻(28)と結婚した。男性としての生殖能力はないため実弟から精子提供を受け、妻が体内受精で昨年11月に男児を出産した。 市役所に「嫡出子」として出生届を出そうとしたところ、宍粟市はAさんの性別変更を理由に受理を保
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