今回の文章は以前に取り上げた「コスプレ事件の裏にある中国社会の多層構造」を逆側から見て、急速に発展した社会が生み出している歪みを解説したものです。 若者世代から見た老人世代の姿を紹介しながら、前時代的な価値観が現代社会にどのような影響をもたらしているのか、そしてタイトルの言葉に代表される価値観の変化をお伝えします。 以前にも取り上げたように、中国におけるZ世代(1995〜2010年生まれ)は、世界でも珍しい「三つの時代が同時進行する社会」を生きる世代です。現代的価値観を持つZ世代と、儒教的な家族観や地域共同体の考えが根強く残る老人のあいだでは、頻繁に衝突が起きています。 公共空間を占拠する老人代表的な事例として、つい最近に広州に住む方が投稿した「我在地铁站“怒怼”在里面乘凉遛娃的大爷(私は地下鉄駅で子どもを遊ばせるおじいさんを怒ってディスった)」を紹介します。 前提知識として、中国は共働き

(CNN) 中国の今年の婚姻数が、記録を開始して以降で過去最低の水準にまで落ち込む見通しとなりつつある。当局の統計で明らかになった。中国では政府が結婚を促し、出産を奨励するためのキャンペーンを打ち出しているにもかかわらず、人口危機は深刻化している。中国政府にとって、結婚や出産の落ち込みは大きな課題だ。政府は、労働人口の減少と、高齢化が減速する経済に与える影響について、懸念を強めている。 当局が発表した今年1~9月の婚姻数は約474万組で前年同期の569万組から16.6%減少した。 婚姻数は1300万組以上を記録した2013年をピークに減少基調にある。専門家によれば、今年の婚姻数は22年に記録した過去最低の683万組をも下回る見通し。婚姻数の記録は1980年ごろに始まっていた。 昨年は婚姻数が回復したが、これは新型コロナ対策の厳格な行動制限が解除されたことによって抑圧されていた需要が解放さ

20代~30代で「高度専門職」と「経営・管理」ビザが多い 23年12月時点で、在日中国人は約82万2000人(出入国在留管理庁)。山梨県(約80万3000人)や佐賀県(約80万1000人)の人口に相当し、全在日外国人の約3分の1を占める。中国人の人口で最も多いのは東京都、続いて埼玉県、神奈川県の順。全人口の半数以上が東京近郊や大阪などの首都圏に集中しており、2000年以降、ほぼ右肩上がりで増えている。同統計によると、在留資格別では「永住」が最も多く、次に「留学」、「技術・人文知識・国際業務」となっている。 近年増えているのは「高度専門職」(高度な知識・スキルにより日本の経済発展に貢献する外国人のための在留資格)や「経営・管理ビザ」の取得者だ。年齢別では、20~39歳の「働き盛り」が全体の半数を占め、男女比では女性が男性よりやや多い。かつてのような「不法滞在者」や「犯罪者」は大幅に減少して

中国のインターネット検閲(グレートファイアウォール)が市民の情報取得や意識にどのような影響を与えているかを明らかにするため、北京の大学生約1800人を対象とした大規模なフィールド実験を行った。研究者らは、参加者の一部に検閲されていないインターネットへのアクセスを18カ月間提供し、その影響を追跡した。 実験の結果、単に検閲されていないインターネットへのアクセスを提供するだけでは、学生たちの政治的に機密性の高い情報の取得にほとんど影響を与えないことが明らかになった。アクセス権を持った学生の約半数はツールを全く使用せず、使用した学生もほとんどが外国のニュースサイトを閲覧しなかった。この結果は、中国の若者が政治的に機密性の高い情報に対して低い需要を持っていることを示唆している。 しかし、外国の特定のニュースサイトにいかないと正解が分からないクイズに金銭がもらえるインセンティブを与えると状況は大きく

先日、観光ビザを使って3年半ぶりに中国に行ってきました。中国は厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ政策」を経て、さまざまなITツールが活用されるようになり、“中国人にとっては”より便利になったんです。しかし、外国人観光客にとっては不便になったと感じました。 キャッシュレス化が進みすぎて街からATMや両替施設が激減 例えば、コロナ禍以降、中国で急速にキャッシュレス化が進んだことで、街からATMや、日本円を人民元にする銀行の支店や両替施設が減っていました。3年半ぶりの中国散策だったのに、街歩きでも不便さを感じました。 また、コロナ前は外国人観光客も利用できたシェアサイクル。中国で銀行口座を開設してオンライン決済サービスと紐づければ、観光客もシェアサイクルを利用できたのに、コロナ禍の3年間で銀行口座が凍結されてしまい、決済できなくなって、利用できなくなっていました。コロナ前は僕自身、中国国内で問題な

中国・新疆ウイグル自治区カシュガルで、モスクでの礼拝を終えたウイグル人らを見張る警察官(2017年6月26日撮影)。(c)Johannes EISELE / AFP 【11月17日 AFP】中国・新疆ウイグル自治区(XinjiangUighur Autonomous Region)の少数民族ウイグル人に対する弾圧の新たな事実が、中国政府関係者が米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)にリークした大量の内部文書によって明らかになった。NYタイムズ(New York Times)が16日付の紙面で報じた文書によれば、習近平(Xi Jinping)国家主席はウイグル人の取り締まりに「情け容赦は無用」とハッパを掛けていた。 【写真】新疆ウイグル自治区アクトの村で、AFPのカメラマンを追い出そうとする男性 文書には、習主席のこれまで非公開だった演説の内容や、ウイグル人監視や支配に

あなたの道徳心を数値化したら、何点なのか。「信用スコア」――いま、中国で個人の信用を採点するシステムの導入が進んでいる。システムの運営は地方自治体が行い、その目的は秩序維持やマナーの向上にある。ルールを破らない、寄付をし、ボランティア活動に従事する。そうした「善い」行いを続ければ、スコアは上がり、さまざまな優遇が受けられる。導入によって何が変わったのか。また懸念はないのか。現地で取材した。(取材・文:高口康太、撮影:岡本裕志/Yahoo!ニュース 特集編集部)中国東部の山東省にある威海大水泊空港からタクシーで約30分、栄成市に入った。大きな道路や広々とした緑地帯を眺めながら車は走る。一台も路上駐車の車を見かけない。警官やパトカーの姿は見えない。ハンドルを握るタクシー運転手の李さん(40代男性・仮名)は、こう言う。 「(警官は)目立たないようにしているだけです。監視カメラで見ているんです。


抗議活動が続く香港で、デモの呼びかけを行った団体の代表などがバットや鉄パイプで襲撃される事件が相次ぎ、市民の間で不安が広がっています。 男らは、バットで殴るなどし、岑さんと一緒にいた男性が腕などにけがをしたということです。 岑さんは29日夜、記者会見し「どんなに怖い目にあっても気になるのは香港の未来だ。私たちは引き続き、未来のために努力していく」と述べました。 この団体はたびたび大規模な抗議活動を主催し、31日には中国政府の出先機関の周辺でデモ行進を計画していて、岑さんは襲撃される前、団体の活動に反発する市民数人と言い争いになっていたということです。 また、郊外の新界地区でも29日午後、先月27日に行われたデモを呼びかけた男性が4人の男たちに鉄パイプや雨傘でいきなり殴られ、背中などにけがをしました。 地元メディアによりますと、今月18日の夜にも、先月行われたデモを呼びかけた男性が数人の男た

インターネットやSNSが普及する一方で、中国政府による情報統制はこの数年さらに厳しくなっている。日本では「技術革新で国民監視がしやすくなり、事件のことは気軽に話せない」「事件がなかったことにされているため、若者はそもそも天安門事件を知らない」といった報道がされているが、実際はどうなのか。 「中学時代に天安門事件の動画を見た」と話す「90後」(1990年代生まれ)の20代前半の男性に聞いた。 ※この記事は2019年6月4日に公開した記事を一部編集して再掲載しています。 兄のPCに入ってたドキュメンタリー動画天安門事件は中学時代に知ったが、どんな事件かは理解できなかった。Reuters僕が1989年の天安門事件を知ったのは約10年前、中学生のときです。 10歳近く年上で「80後」(1980年代生まれ)の兄は、当時ウェブデザイナーの仕事をしていて、自分のパソコンを自由に僕に使わせてくれました。パ

バッテリーに蓄えた電気だけで走る電気自動車(EV)は、当然のことながら化石燃料を一切消費しません。電気自動車の普及が著しいと言われる中国では公共交通である乗り合いバスを電気自動車に移行させる動きが強まっており、それに伴って化石燃料の消費量が減少するという事態が起こっているとのことです。 Electric Buses Are Hurting the Oil Industry -Bloomberg https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-04-23/electric-buses-are-hurting-the-oil-industry 2010年代前半、ベルギーで開催された業界イベントで中国のEVメーカーBYD Co.が電気バスの初期モデルを公表したとき、集まった人々たちは「冗談だろ」と真面目に取り合おうとはしませんでした。その様子をBYDで

一部の富裕層にアリペイ離れの現象が見られるという。アリペイの理財商品である余額宝の利回りは4%台。まとまった資金を持っている富裕層にしてみれば、余額宝よりも利回り7%台の銀行の理財商品の方が魅力的だからだと今日頭条が報じた。 アリペイのもうひとつの魅力「余額宝」 アリペイは、アリババが運営するQRコード方式スマートフォン決済で、都市部であればほぼどの店でも使えることから、街中の対面決済の主流な手段となっている。都市部で現金で決済する人は相当珍しい状況だ。 しかし、多くの中国人がアリペイを利用するのは、この決済機能だけではなく、金融機能にも魅力を感じている。 ひとつは、余額宝と呼ばれる理財機能。余額宝に入金をしておくだけで、4%以上の利子がつく。しかも、いつでも1元単位で引き出すことができるので、多くの人が給料をもらったら、限度いっぱいまで余額宝に入金してしまい、その日使う分だけを引き出して

【北京=川越一】中国政府は8日、海外で購入した商品に課す関税を引き上げた。中国人観光客が日本などで大量の買い物をする「爆買い」に歯止めをかけ、低迷する国内消費を促す狙いとみられる。中国人の爆買いの減少による、日本の百貨店など小売業の売り上げに対する影響が懸念される。 国務院(政府)関税税則委員会は3月に、今月8日から輸入品について、新たな税率を採用すると発表していた。中国財政省によると、高級腕時計の関税の税率を30%から60%に、酒や化粧品などの税率も50%から60%に引き上げた。中国政府は昨年6月、衣料品や紙おむつなど、一部の日用品の関税を平均で約50%引き下げた。輸入品の販売価格を低下させることで国内消費を刺激し、海外での「爆買い」の沈静化を狙ったが、旅行先での購買意欲の抑制には至っていなかった。中国国内の国際空港では同日から、輸入品の検査が強化された。関税の変更は周知徹底されてい

中国のバイドゥ(百度)が提供するAndroid用アプリに重大なセキュリティ上の問題が発覚。その影響範囲の広さから衝撃が走っている。この問題への対処は可能だが、感染経路などを考えると、今後の影響は広範囲に及ぶ可能性がある。 問題が見つかったのはバイドゥが提供しているAndroidアプリ開発キット(アプリ開発を容易にする部品集)の「Moplus」だ。Moplusは、特に中国で開発されているAndroid用アプリに多数採用されている。影響範囲が広い理由の一つは、開発キット自身がセキュリティ問題を抱えているため、それを使って作成されたアプリにも同様の問題が存在している可能性を否定できないためだ。 バイドゥには前科 バイドゥがセキュリティ問題を引き起こしたのは今回が初めてではない。日本語かな漢字変換ソフト「BaiduIME」に、入力した文字列をバイドゥのサーバーにアップロードする機能が備わっているこ

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