「バケモノの子」のDVDを借りに行ったら全部貸し出し中だった。 なぜか細田監督の作品の中でどうしても解せない「おおかみこどもの雨と雪」を借りて帰った。ついでに映画原作にして細田守初の小説、と書かれた同タイトルの本も買う。本を読んで、もう一度映画を見たら、少しだけ「解せなかった」部分の意味が分かった気がした。 今日は「おおかみこどもの雨と雪」映画と、小説の感想。 かなりネタバレあり。映画を見た方向けのレビューです。 私が「おおかみこども」を嫌いだった訳 このアニメを最初観たとき、正直失敗作だと思った。 娘の雪が語る、母のおとぎ話。 淡い語り口なのに、大学を休学し、相次ぐ妊娠出産、夫婦二人で自然分娩、医療機関には頼れず行政には追い詰められ、と相当ハード。 しっかりしているように見える花はあまりにも周りを頼らない。 ご近所、行政とのトラブルも逃げて謝って目を伏せるだけ。 優しく、健気で、いつも

赤ちゃん連れOKのママズ・クラブ・シアターで乳幼児にまみれながら『おおかみこどもの雨と雪』見てきました。0歳児と5歳児の世話をしながら見たので見落としているところも多々あると思いますが。 序盤、妊娠したヒロイン・花が便器を抱えて吐きまくるところで「これは好感が持てる映画だな」と素直に思ったことを記しておきましょう。だいたいフィクションの中のつわりって一回吐いて「…妊娠?」で終わりじゃないですか。実際自分の身につわりが起きて、2ヵ月以上船酔い状態でマーライオンのごとく吐き続けたときは、心底「聞いてない」と思いましたもん。そのほかにも出産直後のベッタベタの髪の表現といい、幼児に本を破られまくるところといい、夜泣きに弱ってうろうろするところといい、育児あるあるの連続。アニメーション映画でここまで乳幼児の育児を執拗に描いた作品があっただろうか。育児の苦労を描いてくれてありがとう! あとなんか映像が
2015.07.24 『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』『サマーウォーズ』細田守作品における女性ヒロインと家父長制 恋人さえいれば… バケモノの世界で暮らす人間は、九太だけではありません。バケモノ界の強者ツートップは熊と猪なのですが、猪には2人の息子がいます。次男は猪ですが、長男の一郎彦は、赤ん坊の頃に捨てられ、猪に拾われて育てられた人間です。この一郎彦が物語のクライマックスとなる大事件を起こすのですが、ここから先はネタバレとなりますので、知りたくない方はご遠慮ください。 バケモノ界に生きる人間・九太と一郎彦も、人間界で暮らす楓も、それぞれ「親子関係」に悩みを抱き、心に闇を抱えます。 九太は人間の親(実父が存命です)とバケモノの親(熊)の間で板挟みになります。一郎彦は、バケモノのような成長(性徴)が表れない自分に不安と負い目を抱き、顔を隠すようになります。楓は親からの期待に必死で答

2015.07.24 『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』『サマーウォーズ』細田守作品における女性ヒロインと家父長制 関係性が「壊れない」前提 彼女たちはみな、友達がいません。 同性異性問わず、悩みを相談したり、話を聞いてもらったり、話を聞いたりするような関係の友達が一人もいないのです。 篠原夏希に友達がいれば、自らのプライドのために夏希に気がある後輩に「恋人ごっこ」をさせることの残酷さを忠告されたでしょうし、花に友達がいれば、妊娠した時、出産する時、大学を辞める時など、様々なアドバイスや受けられる支援サービスなどの情報が得られたかも知れません。少なくとも恋人の死後、シングルマザーとして近所のすべてから孤立する事態には陥らなかったのではないかと思います。 クラスでいじめられている上、親ともうまくいっていない状態である楓に、恋人以外の人間関係も重要であると説いても伝わらないかもしれませ

2015.07.24 『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』『サマーウォーズ』細田守作品における女性ヒロインと家父長制 細田守監督作品『バケモノの子』を観てきました。 映像がきれい(とりわけ、光と影を映す鏡面としての水の描写が美しい)で、ストーリーもまあ面白かったものの、観終わった第一の感想は、「細田作品のヒロインって、毎度のことだがすぐ妊娠しそうだな……」でした。 あなたと私の共依存 「すぐ妊娠しそう……」というのは、自己評価が低いゆえに共依存スイッチが入りやすく、辛くても脳内麻薬で認識をゆがめて「私とっても幸せ!」と言って周りの助言を突っぱねてしまうので、取り返しのつかないところまで加速しやすいタイプの女性を表した言葉です(すべての妊娠や出産そのものを、共依存の結果だと見ているわけではありませんので悪しからず)。 『サマーウォーズ』のヒロイン篠原夏希も、『おおかみこどもの雨と雪』の

※ この記事は新ブログに移行しました ※ この記事は映画版『おおかみこどもの雨と雪』のネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。 どうして今この話題……と言われそうですけど、年末に録画していた金曜ロードSHOWをようやく観ることができたので、私としては「今一番熱い話題」なのです(笑)。 私にとって細田守監督の作品は、いつも「世間でものすごく評価されててみんな大好きだから、別に俺が観て楽しめる映画じゃないんだろうなー」くらいのテンションで観て、実際に観たら全力で土下座して「すいません、超面白かったです!」と絶賛しているくらいの距離感の作品です。 『時をかける少女』も『サマーウォーズ』も『おおかみこどもの雨と雪』も、観る前は「今回はあんまり俺の好きそうな映画じゃないな」と思っているのだけど、観てみたらどれも大好きです。『おおかみこどもの雨と雪』もすげえ面白かったし、三作品の中でも一番好きかも知
嫁が「おおかみこども」観てくれるらしいので、嫁の実況を予定しております。やった~!ぷりぷり怒ってる嫁が見れる~。かわいい~。— ズイショ (@zuiji_zuisho) July 10, 2015 僕は、嫁さんが文句を言ってるのが好きで、やっぱ人間、悪口を言うときが一番クリエイティビティが発揮されるじゃないですか。それで好きなんですけど、嫁さんは人格者なので「好きじゃないものを見るとそういう嫌な気持ちが湧くのであまり観たくない」ってスタンスなんですね。なので、「たぶんお前絶対嫌いだからおおかみこども観てよ」って言っても応じてくれなかったんですけど、どういうわけか今日は「じゃあ観てもいいよ」と言ってもらえたので、それの実況をtwitterでやっていました。 とりあえず宮崎あおいの離婚タイミングが早すぎて印象が悪いみたいな話をずっとしています #おおかみこどもを観る嫁の実況— ズイショ (@z
一粒で二度楽しめる細田アニメ 「よろしくお願いしまーす!」が「バルス!」のようにTwitterで猛威を振るった『サマーウォーズ』の放送から1週間、本日『おおかみこどもの雨と雪』が金曜ロードショーで放送される。2012年に公開された劇場アニメで、『サマーウォーズ』に続く細田監督のオリジナル作品第二作だ。 子供を二人出産してから最愛の人に先立たれ、一人で子育てしたものの都会での暮らしに限界を感じ、田舎に引っ越して狼と人間の間に生まれた子供たちの行く末を見届けるお伽話だ。 細田アニメは一粒で二度楽しめる。細やかで大胆な演出力と最高峰のビジュアルを満喫した映画の帰りに、“勝手に反省会”が大いに盛り上がるのだ。『サマーウォーズ』も、栄おばあちゃんが緊急事態にてんてこ舞いの政治家や消防署に激励の電話をかけまくるのは業務妨害じゃないの、世界の危機をインターネットの叡智を結集せずに家族の身内だけで問題を解

2013/3/3に、アニメ映画監督の細田守さんと思想家の東浩紀さんによる、上記のイベントがあって、その実況ツイートがあまりに面白いので、まとめました。 詳しくは、こちら→ http://peatix.com/event/10657 わかりやすさのために、@ktgwtky さんと@genroninfo さんの実況ツイートで主にまとめを構成し、適宜、@tachesan さんとかのツイートを補足的に組み込みました。 ゲンロン関係の方、問題あればリプライくださいな。

去年の末に金曜ロードショーでやってたのを録画してたんですけど師走はそこらへん走ってる坊主にパイをぶつけるバイトが忙しくて、 今月も門松と鏡餅をショットガンで撃つバイトがずっと忙しくて(人を撃つとライフが減る)なかなか観れなかったのをやっとこさ観れました。明日からはもちろん鬼にジャイロ回転の豆をぶつけるバイトです。 当該作品についてデフォルトで否定的なスタンスのほか何故かとばっちりでミスチル桜井さんとケータイ小説についても否定的な記述があるのでむかつきそうな人はご注意ください。むかつくのってあれ身体に悪いじゃん?ご自愛ください。白湯飲め白湯。 おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚) 出版社/メーカー: バップ 発売日: 2013/02/20 メディア: DVD 購入: 4人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (35件) を見る 喩えの精度にまったく自信ないんですけ

細田守監督は『おおかみこどもの雨と雪』上映時のインタビューで明言していた。おおかみこどもを育てた母親の花を、現代を舞台とした物語で描いた理想的な親だと。 【前編】日本アニメの担い手・細田守監督が語る「映画を作る意味」 |ORICON NEWS 子どもたちの主体性を尊重し、覚悟を持って受け止め、成長を見守っていく姿は、非婚や少子化が進む世の中とは逆行しているとも受け取れる。 「だからこそ、子育てをする親を描くのが面白いと思いました。ただし、昔の“産めよ増やせよ”の時代を舞台にして『昔はよかった』という作品ではなく、ちゃんと舞台を現代に据えて、社会や学校で起こるさまざまな問題点も踏まえたうえで、『親になる』という覚悟や、ある種の潔さを見せたいと思いました」と、チャレンジを明かす。 同じインタビューで、現実を描くことから逆行した理想とも明言している。 「今のアニメは登場人物がいかにリアルか?
物語がはじまってから四分の一くらい、社会の包摂からはじきだされた家族を描いたパートは悪くない。 そのまま終盤までつらぬけば、それはそれで現代社会のリアリティを誇張したアニメ映画として傑作になりえたかもしれない。医療保険制度が整っているはずの日本でも充分な治療を受けられない人々はいるし、周囲の圧力を内面化して福祉を遮断してしまう家庭だってある。行政の支援をえられない立場の隣人は厳然として存在する。 苦痛に満ちた物語になるだろうが、娯楽としてまとめることも無理ではない。御伽噺の結末と同じにすればいいのだ。多くを語らなければ美しい物語として終えられるし、その後を自由に観客へ想像させることもできる。『おおかみこども』*1も、田舎への移住を物語の四分の三くらいで描けば、苦労する場面が少なくても描かれなかっただけと観客は思えただろう。 そうした構造のアニメ映画も存在する。原恵一監督の『河童のクゥと夏休
昨日無事TV放映されたので、昨年夏より温め続けていた、『もしおおかみこどもの花が発言小町で相談したら』をやります。元々、登場人物全員でやろうと思ったのですが、花メインで物語が展開するほうが楽しめると思いますので、花が相談したらということでやります。去年時点で思いついたものはあまり面白くなかったこともあり、ベースにしながら書き直しています。 ※おおかみこどもとの雨と雪が嫌いな方、まだ見たことがなくネタバレが嫌な方、小町話法が嫌いな人、(追記)そもそも花が小町で相談するのがおかしいと思う人はそっ閉じを推奨します。本日、おおかみこどもを観てきました。観ながら「ああ、これは小町で人気になるトピネタばかりだ!」と興奮し、『もしおおかみこどもの登場人物が発言小町で相談したら』が一気に10個ぐらいできたのですが、ネタバレになるので止めておきます。 — トピシュ (@topisyu) 2012, 8月

美魔女とかとはほぼ無縁のところにいる母です。 昨日のおおかみこどもは全く生理的に受け付けなかった。 農業とか表現媒体としてのアニメーションも嫌いではないために余計に屈辱を感じた。 ああいうマイノリティを描こうとする時に多くの監督はドキュメンタリーを選ぶと思うんだけど、何故アニメ。しかも流行りの監督らしい。 流行っているといってもそれはアニメ界でのことで一般の家庭ではそんなに知られていなかった監督だと思う。 漠然と、「最近アキバなどに集うオタク層で支持されている監督が、ジブリの次を担う一般家庭向けのアニメを作った」と思っていた。 どちらかといえば好意的に。 ところが見終わった後の後味の悪さといったらない。金曜ということもあり家族で見たのだが、説明に困る場面も多く、これは家族向けではないと判断した。 すさまじいまでに普通に家庭を営んでいる私たちへの敵意が感じられる。 例えば都会で苦学生をしてい

先日(http://d.hatena.ne.jp/tdaidouji/20120725#p1)、「ようするにエロゲと同じだよな」と書いたら、凄くしっくり来たわけです。 花って、たぶん、鍵ヒロインあたりに一番近いんですよ。 間接的な話として、娘の雪と花との交流って、娘が「人間」への道を辿り始めると同時に画面から消えます。花と子どもとの関係は、なぜか息子の雨との間でしか題材として取り上げられません。 それはつまり、人間対人間の関係を描く気は毛頭ないってことでして。「自然」の側に向かった息子としか、花は対決しない。 なんなのって言いますと、作品的には、花の周囲には、それ以外の一切の「人間」キャラを置かない。男親の狼男も花に行動動機を与えるための道具でしかない(監督さんのインタビュー発言からも、花の行動に説得力を与えるのが最重視されてるのが見て取れます)し、田舎の人たちもそれ以上は関わってきません
好きなものは空と緑とS2000とバイク、ガンダムとラジコン・ミニ四駆、キャンプ、Perfume(かしゆか)、森高千里 ▼映画「おおかみこどもの雨と雪」 いやね、狼男の話だからと想像した話と全然違ったのですよ。狼男だということがばれて、猟友会に追い回されて、果ては撃たれて死ぬ、といったような感じを想像していたのですが。 (以下ネタばれあり、ご注意を) 2時間という映画物語の中で、ストーリーは淡々と進んでいきます。狼男との出会い、そして出産...そして悲劇は突然訪れます。 (ネタばれありですからね、いいですか?) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 父ちゃん死んじゃうんですよ、あっけなく。 ここまでがイントロダクション、ここからが本当の物語のはじまりだったことは、その後気づくことになります。 オオカミは野生であり、父は父性の象徴。突然の死を迎え、粗大ごみとし
http://www.ookamikodomo.jp/温泉あがってホカホカツヤツヤ肌状態のままレイトショー行ってみてきた。なんかこー!とくに! 奥さんと二人して、ものすごい勢いで首をかしげながら劇場出て喫煙所直行という経路を経ての、とりあえずのインプレ。 なんとなく絵柄が「エイリアン 9」の富沢ひとし氏を連想してしょうがなかった。 隣の席に居た、女子をこじらせたようなかんじのひとがクライマックス的なシーン以降ズビジョバ泣いてた。なんか刺さるひとには刺さるもんがあるのかもしれん。 焼き鳥にタレをつけるのはセックスの隠喩!!! とりあえずあの狼男のようには死ぬまいと思った。 狼男と狼嫁の身長差がちょうどおれと奥さんくらいだったのも、なんかちょっと神妙になった。 狼嫁、田舎にひきこもって自活しててもまったく日焼けしないのでたぶん妖怪の末裔。 以下、ごちゃごちゃと雑多にネタバレ全開感想。日記遅延

キキ @ifnolond あーーー俺も早くおおかみこども観て、DISってる人たちの精神的歪みを理解して一人PCの前でにやにやしたーーい!!!!!!! 2012-07-25 01:03:57

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