2025年10月、主役である京都大学数理解析研究所の望月新一教授が、その最新状況に関するレポートを公開しました。 https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/IUT-report-2025-10.pdf 「宇宙際タイヒミュラー理論(IUT)」と呼ばれるこの理論は、数学界最大の難問の一つ「ABC予想」を解決したと主張するものです。 しかし、世界の数学者の間では、その正しさをめぐって意見が分かれています。 「宇宙際」とは何かそもそもですが、IUT理論の「宇宙際(inter-universal)」という言葉は、「国際(international)」をもじった造語です。国と国の関係を論じるように、複数の「数学的宇宙」の間の関係を議論する理論なのです。 通常の数学では、足し算と掛け算は一体不可分のものとして扱われます。しかしIUT理論では、これらを分離して別

数学の超難問「ABC予想」をめぐる論争に、決着がつくかもしれない。コンピューターの力を借りて、証明の正否を検証する動きが出てきた。京都大の望月新一教授(56)も、この試みに肯定的だ。証明が正しいかど…

ウィルソンの定理(ウィルソンのていり、英: Wilson's theorem)は初等整数論における素数に関する次のような定理である。 ウィルソンの定理 ― p が素数ならば (p − 1)! ≡ −1 (mod p) が成り立つ。 逆に、整数 p > 1 に対し、(p − 1)! ≡ −1 (mod p) ならば、p は素数である。
南米のキープ 結縄(けつじょう)は、紐や縄などの結び目を用いた記憶補助手段、もしくは原始的な情報媒体である。南米のインカ帝国下に行われたキープが最もよく知られているが、同様の方法が世界各地に伝わっている。このような記録方法は今日でも、カトリックのロザリオや仏教の数珠、ハンカチの結び等にも見ることができる[1]。 結縄は刻木(英語版)などとともに事物文字の一種に分類され、文字使用に至る先行段階と見なされる。言語の形式の単位、すなわち音素の単位や意味の単位との対応関係は一定ではなく、恣意的であったため、本来の意味での文字のレベルには達しなかったものと考えられている[2]。しかし、なかには言語との対応関係が見られるものもある。

下記の文章は、私が今年の某月某日に熊本県立熊本高校で1年生向けの講演をしたときの講演原稿に少し手を加えたものです。講演には特にタイトルはありませんでしたので、上のタイトルは後で私が付けました。講演の依頼及び原稿の掲載に同意して頂いた熊本高校の諸先生に感謝致します。 皆さん、こんにちは。今日は「世界の中の日本」という視点から今後の学問のあるべき姿や、そんな中で「頭を使う」とはどういうことかについてお話しするようにご依頼を受けています。これらについて、まずは私自身の経験から始めようと思います。 私は今から30年前、1995年の6月から1ヶ月半ほど、初めて数学の研究のための旅行でヨーロッパを数カ国旅しました。当時私は京大の博士課程の学生で、特にグラントやフェローシップもなかったので、自費で旅行しました。自費だったところが、実はよかったと思っています。いろいろ吸収しようと本気で頑張らざるを得ないで

$$\newcommand{A}[0]{\mathbb{A}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{inv}[0]{^{-1}} \newcommand{mfa}[0]{\mathfrak{a}} \newcommand{mfb}[0]{\mathfrak{b}} \newcommand{mfp}[0]{\mathfrak{p}} \newcommand{mfq}[0]{\mathfrak{q}} \newcommand{O}[0]{\mathscr{O}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Spec}[0]{\mathrm{Spec}} $$ この記事は駒場理数豚汁カレンダー9日目の記事です。 ハブ → 駒場理数サークルのHP Introductionこんにちは。Mark6 という者です。

序文 しばらく前から、プログラマーを対象とした圏論に関する本を書こうと考えていた。計算機科学者ではなくプログラマー、科学者ではなくエンジニア向けだということに注目してほしい。正気の沙汰ではないし、本当に恐ろしい。科学と工学の間に大きなギャップがあるのは否定できないと思う。自分自身がその分断の両側で仕事をしてきたからだ。それでも、物事を説明したいという強い衝動をいつも感じていた。簡潔な説明の達人だったリチャード・ファインマン1を心から尊敬している。自分がファインマンではないことは分かっているが、最善を尽くしたい。まずは、この序文――読者に圏論を学ぶ気を起こさせることを想定したもの――を公開することから始めようと思う。それによって議論を開始しフィードバックを募れることを願っている2。 ここからの数段落をかけて、この本はあなたのために書かれたものであり、数学のうちでも特に抽象的な分野を学ぶために
Map folding for a 2×2 grid of squares: there are eight different ways to fold such amap alongitscreases The discipline of origami or paper folding has received a considerable amount of mathematical study. Fields of interest include a given paper model's flat-foldability (whether the model can be flattened without damagingit), and the use of paper folds to solve mathematical equations up to the

表面を折りたたみ、別の面を広げることができる図形を「フレクサゴン」、フレクサゴンのうち六角形のものを「ヘキサフレクサゴン」と呼びます。最初のフレクサゴンとして知られる「ヘキサフレクサゴン」をイギリスの数学者アーサー・ハロルド・ストーンがどのように発見したのかを、YouTubeチャンネルのVihartが解説しています。 Hexaflexagons - YouTube Hexaflexagons 2 - YouTube 1939年、イギリスからアメリカに引っ越してきたアーサー・ハロルド・ストーンは、イギリス製のバインダーにアメリカ製の紙を挟んで使用しようとしたところ、紙がバインダーからはみ出ることに気づきました。 バインダーからはみ出た部分をハサミでカットして…… この紙束を暇つぶしに折りたたんで遊んでいたそうです。折りたたんだりひねったり四角にしたり六角形にしたり。 いろんな折りたたみ方に挑

圏論の概要 #圏論(category theory) は、1942-45年にSamuel EilenbergとSaundersMac Laneによって代数的位相幾何学の研究の中で発明された数学の一分野であり、数学的概念を表現し議論するための抽象的な言語を提供する。 圏論の諸概念は、それらの例を数学のあらゆる分野で見つけることができる。 圏論に通底する哲学は、集合論を構成する 集合と関数 という原始的な概念を、集合と関数の概念を抽象化した、 対象と射 という概念に置き換えることである。 さらに言えば、それらを更に抽象化した 関手と自然変換 という概念に置き換えることである。 圏論が発明されて以来、そのアプローチは数学者が各々の主題を捉える方法に深いパラダイムシフトをもたらし、以前ではほとんど不可能だった重要な発見への道を開いた。 圏論の大きな成果の一つがトポス理論であり、これは全面的に圏論
初等トポス #集合論において、集合 $U$ の部分集合 $X$ は特性関数 $\chi$ によって表現する事ができる。 $$ X = \{x\in U\mid\chi(x)\}$$ 初等トポスとはカルテシアン閉圏のうち、このような構成が可能である圏の事であり、集合論的な操作を行うことができる圏である。 $\chi(x)$ が真であるとはつまり “$x\in X$“であるという事であるので、初等トポスとは集合への元の帰属関係 $\in$ を表現する事が出来る圏だと言っても良い。 部分対象 #まず集合の包含関係 $X\subseteq U$ を圏論的に一般化する。 $\mathbf{Set}$ においてはこれは包含写像 $X\hookrightarrow{} U$ によって表現できる。包含写像は単射であるが、 $\mathbf{Set}$ における単射はモノ射であるので、一般化する場合にもモノ
お久しぶりです。 今日のテーマは、平方剰余の相互法則の証明についてです。 平方剰余の相互法則を最初に証明したのはガウスです。 彼はこの定理を「黄金定理」と呼ぶほど大切にしており、生前に6つ、没後に発表されたものも含めて7つの異なる証明を与えました。これらは「第Ⅰ証明」から「第Ⅶ証明」と呼ばれています。 平方剰余の相互法則: ガウスの全証明 作者:倉田 令二朗日本評論社Amazon このブログでも以前から、平方剰余の相互法則に関する話題を取り上げてきました。 たとえば、証明に関しては ガウス和を使った方法(符号決定なし・第Ⅵ証明) ガウス和を使った方法(符号決定あり・第Ⅳ証明) 類体論的な方法(第Ⅵ証明の発展系) などです。 私自身もこの定理が好きで、特に類体論との関わりから第Ⅵ証明を中心に勉強してきました。 一方で、それ以外の証明にはあまり注意を払っておらず、以前に読んだときもどうも腑に落

「池に石を投げてできる波は、本当に“好きな形”に集められるのか?」 40年以上「絶対にこうなる」と信じられてきた波の法則――溝畑・竹内予想――が、わずか17歳の数学者によって覆されました。 この予想は、曲がった面の上で波(関数)がどのようにエネルギーを集められるか、という現代数学の根幹に関わる難問であり、もし正しければフーリエ解析や波動方程式の数々の難問の解決にもつながると期待されてきました。 しかし、カリフォルニア大学バークレー校のハンナ・カイロさんは、“ある特別な配置”を用意することで、波が「細い線状の領域に沿った重みの合計で全体の強さをコントロールできる」という従来の常識を破る反例を構築し、40年越しの「溝畑・竹内予想」が偽であることを突き止めたのです。 (※溝畑・竹内予想についてやや突っ込んだ解説を読みたい人は最終ページに飛んでください) 研究内容の詳細は『arXiv』にて発表され

Googleが「Gemini Deep Think」の強化版で国際数学オリンピックに挑戦し、金メダル相当のスコアを達成したことを日本時間の2025年7月22日に発表しました。当該AIはテスターによるテスト期間を経てGoogleAI Ultraの加入者向けに提供される予定です。 Advanced version of Gemini with Deep Think officially achievesgold-medal standard at the International Mathematical Olympiad -Google DeepMind https://deepmind.google/discover/blog/advanced-version-of-gemini-with-deep-think-officially-achieves-gold-medal-stan

ラモン・リュイ(カタルーニャ語: Ramon Llull; カタルーニャ語: [rəˈmon ˈʎuʎ])またはライムンドゥス・ルルス(ラテン語: Raimundus Lullus、1232年頃[1] – 1315年6月29日[2])は、マヨルカ王国・パルマ・デ・マヨルカ出身の哲学者・神学者・神秘家[4]。フランシスコ会第三会(在俗会)会員。 初期のカタルーニャ語文学において主要な作品を制作しており[5]、「カタルーニャ語の父」(カタルーニャ文学の祖[6][7])と呼ばれる。リュイはまた計算理論の先駆者とされ、特にゴットフリート・ライプニッツに影響を与えている[8][9][10]。 リュイの生涯(14世紀の写本) 1229年にはアラゴン=カタルーニャ連合王国のハイメ1世がバレアレス諸島のマヨルカ島に侵攻し、イスラーム教徒のムワッヒド朝を退けてマヨルカ島を征服(英語版)した[11][12]。

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