「辺境」からはじまる 東京/東北論 [編著]赤坂憲雄・小熊英二 十人の論者による東北論集だが、どれを読んでも、見えなかったものが見えて来る。 山下祐介は「疑似原発群」というキーワードで、中央から地方に持ち込まれるあらゆる地域開発の意味を暴く。大規模リゾート、ダム、道路、福祉や教育に至るまで、常に主導権は中央にあり、利益の大半が東京に還流し、失敗の責任は立地の人々がとらされる。その欺瞞(ぎまん)性は明らかになってしまった。しかしリスクは今や東京そのものにある、と喝破する。 仁平典宏は従来なかった「災間」という発想を提起した。今を災害と災害の間であると位置づける思想である。厄災が何度でも来ることを前提にし、それに耐えうる持続可能な社会を構想している。この発想は個人に強さを求めない。日本社会は今まで、自己責任を言いつのり、個人に痛みを強い、行政は合併で無駄を省き、国は「絆」で国民に責任を転嫁して

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