今回の記事では,拙著『ストリング図で学ぶ圏論の基礎』の裏話として,本書を執筆した動機と,ほかの方からのフィードバック,さらに読者へのメッセージについてお話ししたいと思います。本書を執筆した動機私の専門は,信号処理や量子論です。信号処理アルゴリズムを開発する際には,そのデータの流れを図示することがよくあります。また,量子論においても,視覚的な理解を助けるために一連のプロセスをしばしば図で表します。これらの図が圏論のストリング図に相当するものであることを後で知り,圏論に興味を持ちました。量子論では,その対称性を記述するために群論がよく使われるのですが,圏論が群論をある意味で一般化した理論であるということも,圏論を学びたいと思った理由の一つです。また,圏論と関連がある関数型プログラミングに興味をもっていたことも理由として挙げられます。 このため,圏論の基礎をしっかりと学ぶことにしました。そこで

↓以前した同型の話 https://www.youtube.com/watch?v=2Rugm-STyQg ↓関手が「自然に同型」ということについての動画 https://www.youtube.com/watch?v=BAtQd5x40Bc ↓初心者向け圏論動画リスト https://www.youtube.com/playlist?list=PLeBc8K3RvbSyoSx4NURPQPBsoPMJAr7Tm ーーーーーーーーーーーーーーーー ■圏論の話を文字で読みたい人は↓からPDFをDLしてください。 http://alg-d.com/math/kan_extension/ 今回の話は第0章「自然変換・圏同値」で読めます。 ↓PDFではなく紙で読みたい人はAmazonで買えます https://amzn.to/3C08Qqn ーーーーーーーーーーーーーーーーVtuber

数学の対象は存在ではなく現象である。 というフレーズを思いついた。 1 という対象はどこにも存在しない。 整数という対象は存在しない。 整数の論理的条件に合致する現象について考えることしかできない。 最近、ホモトピー型理論 HoTT (Homotopy Type Theory) という理論を聞きかじった。 そこに univalence axiom (テキトーに訳すと「統価公理」)という要請がある。 ざっくりした理解で言えば、同じ振る舞いをする型は同じ型ということにする、という原理である。 実装の違いに依らず整数は整数、というような説明をされる。 この理論を計算機科学の文脈で捉えるだけなら実装と言っておけば良いのだが、 集合論に代わる基礎論の文脈からはこれをどう考えるのだろう、とどこか引っかかっていた。 整数のように振る舞う対象は整数である。 そう考えると、全ての自由巡回群は整数である。 集
これは、FOLIO Advent calendar 2021 の15日目の記事です。 圏論を機械学習に応用する話題の一つとしてLensで微分可能プログラミングを実装する話を紹介したいと思います。とはいえ圏論など気にせずLensを使ったニューラルネットワークを実装していきます。学習モデル、誤差関数、学習係数などの基本的な構成要素が全てLens(ParaLens)として実装できる様子を楽しんでいただければと思っています。 Lensって何? Lensはいわゆる getter と setter を組み合わせたデータ構造です。すなわち型sのデータ型から型aの値を取り出すgetter s -> a と、型sのデータ型を型aの値で更新して新しい型sのデータ型を作成するsetter (s, a) -> s から成っています。

2014年11月13日,20世紀最大の数学者とも言えるA.Grothendieckが亡くなった.自分は学生時代吸い込まれるように彼の数学に惹かれた人間の一人であるので思うところが多く,この記事を書くことにした.少し客観性に欠くかもしれないが,個人的な意見だとして了承されたい. ●「収穫と蒔いた種と」 思えば,自分がGrothendieckという数学者に強い興味を持ったのは彼の著書である「収穫と蒔いた種と」を読んでからだと思う.とても意外なのが,学生の間に(教員の間ですら),あまり読んだ人が居ないという事実だ.というのも仕方ない理由もあり,とにかくなんといっても長い.そして,数学の話もそれなりにするので,それなりに知識がないと何を言っているか分からないという事だ.(自分も数学に関しては理解していないところも多い.) その中でGrothendieckが述べている事を簡単にまとめると「彼の数学は
圏論の教科書として、一つの定番と呼ばれる本がMacLaneのCategories for the Working Mathematician(邦訳:圏論の基礎)だ。この本は自分自身にとっても大学に入ってから最初に読みふけり、読み切った本としてとても親しみ深い本である。しかし、先日久しぶりに手に取って眺めなおしてみると、少し物足りないと感じるところや良くないと感じるところも多くある。そこで「圏論の基礎(以下CWM)」について今の立場から思う所をレビューしてみようと思う。 ●MacLaneのスタイル まず、CWMに限らずMacLaneの書く本(例えばHomology)は特徴がある。それは「具体から抽象へ」という流れを明確に意識している点だ。例えば、随伴関手の説明をするとする。すると、一般的な話をする前に自由ベクトル空間と忘却関手の話をする。自由グラフの話をする。それらの構造を意識しながら、共通
このサイトは学部では早稲田で物理を, 修士では東大で数学を専攻し, 今も非アカデミックの立場で数学や物理と向き合っている一市民の奮闘の記録です. 運営者情報および運営理念についてはこちらをご覧ください. 理系のための総合語学・リベラルアーツの視点から数学・物理・プログラミング・語学 (特に英語) の情報を発信しています. コンテンツアーカイブに見やすくまとめているのでぜひご覧ください. とりあえずは結論から. 【結論】圏論は具体的過ぎてクソ、formal category theoryをやろう👊 — リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日 何を言っているのか全く理解できていないが, とりあえず未来の自分のためにまとめておく. 圏論の基礎でとある命題を読んだぼく「なるほど」 その証明を読んだぼく「わからん」 Kan拡張を使って自力で証明したぼく「自明」 — リ

なにかあったらすぐtwitterに書いてしまうのであまり更新しません [anerror occurred while processing this directive] 「全ての概念はKan拡張である」この言葉はそれなりに有名になったと思いますが、これがどういう意味なのか、私なりの見解をここに書いておきたいと思います。 まず「すべての概念はカン拡張である(all concepts are Kan extensions)」というのは圏論の教科書『圏論の基礎(Categories for the Working Mathematician)』(以下、この本をCWMと呼ぶ)に書いてある言葉です。CWMの前書き(初版への序)には以下のように書いてあります。 圏論の基本概念が終わりの二章にまとめられている.たとえば極限の,より差し迫って必要となる性質,特にフィルター極限の性質,「エンド」の計算,
出典がまったく示されていないか不十分です。内容に関する文献や情報源が必要です。(2023年8月) 正確性に疑問が呈されています。(2023年10月) 出典検索?: "数学の統一理論" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE ·NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL数学の統一理論(すうがくのとういつりろん、英: unified theory of mathematics)に到達するためのいくつかの試みが歴史的に行われてきた。数学者は、すべての主題(科目)は一つの理論に収まるべきであるという明確な展望を抱いている。[要出典] 統一化のプロセスには、統制のための規律として「数学を構成するところのものは何であるのか」を定義することが一つの助けとなる。 例えば、力学と解析学は微分方程式の概念によって結びつけられ、一般に一つの主題として統合され
初版年月日 2020年4月 書店発売日 2020年4月14日 登録日 2020年2月28日 最終更新日 2020年4月23日 紹介数学は1つである――線形代数と微積分を柱に,集合と位相のことばで書かれた現代数学の基礎の先にはどのような世界が広がるのだろう.代数・幾何・解析が有機的に結合,交差し,数学をつくりあげるようすを圏論的視点から解説する,「21世紀の『数学原論』」. 目次 はじめに この本の使い方 第1章 圏と関手 第2章 環と加群 第3章 ガロワ理論 第4章 ホモロジー 第5章 微分形式 第6章 複素解析 第7章 層 第8章 曲面と多様体 第9章 リーマン面 第10章 楕円曲線 おわりに――ブルバキ『数学原論』について 【詳細目次】 はじめに この本の使い方 第1章 圏と関手 1.1 ファイバー積 1.2 圏 1.3 関手 1.4 圏の同値 1.5 表現可能関手 1.6 随伴関手

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