日本の高市早苗首相が今月行った台湾有事に関する国会答弁を巡り、中国との対立が深まっている。高市氏の発言は、仮定の安全保障上の緊急事態について単に説明しただけのように見えたが、中国側はこの発言を越えてはならない一線を越えたと受け止めた。中国はその後、経済・外交両面で報復措置を取り、習近平国家主席ら指導部は高市氏の発言撤回を求めて日本への圧力を強めている。一方、高市氏は政府の立場は一貫していると繰り返し述べ、自身の発言を撤回しない考えを示しており、日中関係は緊迫した膠着(こうちゃく)状態に陥っている。日中の対立は世界各国の首脳らの注目を集め、トランプ米大統領は中国との不安定な貿易休戦の維持を図る中、すでに両首脳と会談を行った。台湾について高市氏は実際、何を言ったのか 高市氏は首相就任前から、防衛政策の強化を志向していたことに加え、台湾の議員と近しい関係にあることで知られていた。そのため台

被爆 80 年目の8月6日を迎えるにあたり、原爆犠牲者の御霊に、広島県民を代表して謹んで哀悼の 誠 を捧げます。そして、今なお苦しみの絶えない被爆者や御遺族の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。 草木も生えぬと言われた 75 年からはや5年、被爆から3代目の駅の開業など広島の街は大きく変わり、世界から観光客が押し寄せ、平和と繁栄を謳歌しています。しかし同時に、法と外交を基軸とする国際秩序は様変わりし、剥き出しの暴力が支配する世界へと変わりつつあり、私達は今、この繁栄が如何に脆弱なものであるかを痛感しています。 このような世の中だからこそ、核抑止が益々重要だと声高に叫ぶ人達がいます。しかし本当にそうなのでしょうか。確かに、戦争をできるだけ防ぐために抑止の概念は必要かもしれません。一方で、歴史が証明するように、ペロポネソス戦争以来古代ギリシャの昔から、力の均衡による抑止は繰り返し破られてきま

岩波新書編集部のXアカウントにて、6月7日に「新書がもっと若者に流行ったらいいな、と常日頃から思っている。」というポストがされたところ、講談社ブルーバックスのアカウントが「じつは、ブルーバックスも新書です。日本で三番目に長い歴史を持つ新書レーベルです。」とリポスト。すると、二番目に長い歴史を持つ新書レーベルの中公新書のアカウントが「我ら三レーベル、生まれし日、時は違えども、新書の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、幅広い読者に本を届けん」と応答した。一連のポストは新書ファンの間で大いに話題となり、総リポスト数が5000、総インプレッション数が200万に届くほどの注目を集めた。 岩波新書は1938年、中公新書は1962年、ブルーバックスは1963年に創刊された新書レーベルで、それぞれの特色を活かしながら、現在もヒット作を生み出し続けている。今回のXのポストでは、お互いを意識しているこ

ホッテントリ時の宣伝用:「最終兵器彼女」の1巻が20%ポイント還元中です! 最終兵器彼女(1) (ビッグコミックス) 作者:高橋しん小学館Amazon 世界最大のヘッジファンドのドンが以前から提唱している「レイ・ダリオ」カーブが話題になっていました。 レイダリオカーブ、もう16まで来てるじゃん。 pic.twitter.com/NbmOiYU8EZ— Leona priv/acc (@leo_hio) 2025年4月9日 これについて、レイ・ダリオ本人からもトランプ関税に絡めて緊急メッセージが有りました。 https://t.co/Xpdl8fYoBg— Ray Dalio (@RayDalio) 2025年4月7日 全員読んでおいたほうが良いと思うので日本語訳のっけときます。トランプがなぜこれほどまでに「わたしたちにとっては自滅策にしか見えない政策」を強引に進めているかについて理解する

Published 2025/03/18 23:30 (JST) Updated 2025/03/19 14:19 (JST) 【ワシントン共同】18日付の米紙ワシントン・ポストは、太平洋戦争の激戦地、硫黄島で1945年2月に星条旗を掲揚した瞬間をとらえた写真を、米国防総省がウェブサイトから削除したと報じた。国防総省は多様性・公平性・包括性(DEI)重視を想起させる写真を削除する取り組みを進めている。米先住民の海兵隊員が写っていたため、該当すると認定したとみられる。 国防総省は、広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイを削除候補に指定。男性の同性愛者を指す「ゲイ」が名称に含まれるため誤認した可能性があると既に報じられている。DEI重視政策を取りやめる中、戦争の重要な記録が消去される動きが再び表面化した。 星条旗掲揚の場面はAP通信カメラマンが撮影し、歴史的な一枚としてピュリツァー賞を受

税の本質は略奪だ。 こん棒を手にしてた昔よりは洗練されてはいるものの、「ある人から奪い、ない人からも奪う」という本質は変わらない。こん棒が別の呼び名になり、略奪システムが巧妙になっているだけ。本書の前半を読むと、様々な試行錯誤と権力闘争の元に、人類の英知を結集し進化してきたものが、現代の税制だということが分かる(不完全じゃんというツッコミ上等。それは人類が不完全である証左なり)。 一方、脱税は多角的な側面を持つ。 上に政策あれば下に対策あり。税回避は、国家の略奪への対抗手段ともいえる。あるいは、政府よりも最適な資源配分をするための経済合理性を追求する行為だ。あるいは、法の抜け穴やグレーゾーンを見出し、そこで資源を最大化する戦略的なゲームだ。本書の後半を読むと、貧民から富豪まで、創意工夫を尽くして進化してきたものが、税回避のいたちごっこであることが分かる(これは人類の歴史が続く限り続く)。

NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク 作者:ユヴァル・ノア・ハラリ河出書房新社Amazonこの『NEXUS』は、ホモ・サピエンスが世界を支配しているのは、特別に賢いからではなく「虚構」を操作し大勢で柔軟に協力できる唯一の種であると示した人類史本『サピエンス全史』で一躍有名になったユヴァル・ノア・ハラリの六年ぶりの大作ノンフィクションだ。今回のテーマは、副題にも入っているように「情報」になる(メインのNEXUSはつながりとか絆を意味する単語だが、その意味はのちにわかる)。 われわれはDNAからブラックホールまで、あらゆるものについて膨大な情報を獲得し、積み上げてきたにもかかわらずどうして世はこんなにもままならないのか? いまだに戦争も貧困も根絶することはできない。長期的にみたら世界は平和になっていることも示されているが、少なくとも短期的には著しい落ち込みを示すこともある。 私たち

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課税と脱税の経済史――古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論 みすず書房Amazon税金は基本的にあらゆる人々の生活に関わり、その行動に影響を与える。たとえば消費税がいついつから上がるとなればその前までに駆け込み需要が発生するものだし、タバコ税が上がればこれを機会にタバコをやめようという人も現れる。 17世紀のイングランドでは窓の数に応じて課税される「窓税」があったのだが(なぜなら窓がたくさんある家に住んでいる人は裕福だと思われていたので)、窓の個数に応じて課税額が変わったので、人々は自宅の窓を塞いでまわった。理不尽な税金が課せられた時、国家を転覆させるほどの暴動に発展することも珍しいことではない本書『課税と脱税の経済史』は、こうした課税者側と、税金をなんとか逃れようとしてきた人々の歴史を紐解き、「公平な」課税方法は存在するのか。未来の課税方法はどのようなものでありえるのか。「真の課税負担者」は

「法の人類史」 [著]フェルナンダ・ピリー 法は、社会秩序を守る上で欠かせないとされている。では、それはどこから生まれたのか。古代ローマから近代ヨーロッパに至る法の支配の歴史は有名だが、西洋以外でも様々な社会が法を作ってきた。本書は、従来の西洋中心的な見方を改め、法の世界史を展望する。本書によれば、今日の法にはメソポタミア、インド、中国という3つの源流があった。何かと特別視されがちなローマ法は、実はメソポタミアの伝統に属する多様な法の1つであり、ユダヤやイスラムの法と同系統に属する。また、法が支配者を縛るのもローマ法の専売特許ではない。インドではヒンドゥーの法を司(つかさど)るバラモンが王の権力に制限を加えた。中国のように、皇帝は法に縛られないとするモデルは、むしろ例外なのだ。 さらに本書は、法には実用的な目的だけでなく、社会のビジョンを提示する役割もあると指摘する。例えば、ハンムラピ法

ローマ帝国は最盛期にヨーロッパから中東、北アフリカにまたがる広大な領域を支配し、現代でも幅広い地域でローマ帝国時代の遺構を確認することができます。新たな研究では、「ドイツの中でかつてローマ帝国に支配されていた地域とローマ帝国外だった地域では、人々の幸福や性格に違いがある」ことが判明しました。 Roma Eterna? Roman Rule Explains Regional Well-Being Divides in Germany - ScienceDirect https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666622725000012 Ancient Roman rule continues toshape personality and well-being in Germany, study suggests https

フジテレビの日枝久という人がいて、どうやら資本関係的には全然オーナーでもないのにすごい権力を握っているらしい(ホリエモンの買収を阻止するべく暗躍したのもこの人らしい)…という話は聞いた事ある人も多いんですが、一体何者で、どういう理由でそんなすごい権力を持っているのか?とかは知らない人も多いと思うんですよね。 で、フジテレビのこの問題に対する 『決定版』 と言ってもいいぐらいすごい本があるんで、それを紹介したいんですよ。 メディアの支配者(講談社文庫) 中川一徳 この本、フジテレビの歴史についてものすごくものすごく詳細にわかると同時に、とにかく単純に「面白い」ので、本当にオススメです。 この問題の「当事者w」の一人といっても過言ではない堀江貴文さんが、Newspicksの動画で特番みたいなのを組んでましたが… この動画で堀江さんや後藤さんをはじめとする出演者の人たちですら「これってどうしてこ

7.では、どのような問いを探究しなければならないのか? だいぶ長い論考になってしまったので、改めて本稿が目指していたところを確認しよう。筆者は最初に岡真理による、「ホロコーストの犠牲者であるユダヤ人がなぜ?」と問うのは偽善なのではないか、との提言を取りあげた。該当箇所を引用しなおそう。 そうであるなら、「ホロコーストの犠牲者であるユダヤ人がなぜ?」という問いもまた、偽善的であるだろう。ホロコーストのような暴力の被害者なら、それが倫理的誤りであることを己が体験によって熟知しているはずであり、そうである以上、同じような暴力を他者に対して振るったりはしないはずだという考えが、この問いの前提にある。自らが被害者であるにもかかわらず、そのような暴力を他者にふるう者たちは歴史から――自らが被った暴力的体験から――何も学んでいないように見える。しかし、歴史から何も学んでいないのは、実はこのような問いをナ

エリート過剰生産が国家を滅ぼす 作者:ピーター ターチン早川書房Amazonこの『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』は、もともとカブトムシやチョウといった生き物の個体群動態について研究して生計を立ててきた研究者が、複雑系科学のアプローチを人間社会の研究に応用していった結果をまとめた一冊になる。 この著者らが切り開いた分野は「クリオダイナミクス」(歴史動力学)と呼ばれ、人類史に繰り返し現れるパターンが存在することを発見し、どのような条件が揃うとあるパターン(たとえば、国家の崩壊など)が発生するのか──を歴史の定量分析を通して研究している。「エリート過剰生産が国家を滅ぼす」はたとえ話や主観的な主張ではなく、彼らの研究を通して見えてきた「国家が滅びに向かう」具体的な要因なのだ。 二〇一〇年、各分野の専門家が今後一〇年の展望を予想するという科学誌『ネイチャー』の特集で、私はつぎのように明言した。米国

ぽんタブ │ NIPPON-BASHI SHOP HEADLINE │大阪・日本橋 @dendentown その昔(昭和30年代)、当時神戸で急成長していたスーパーのダイエーが、あまりに客が来すぎて会計時の釣銭(1円玉)が用意できない事態となり、やむなく私製の「1円金券」を作って釣銭の代わりにお客に渡したところ、その金券が神戸市内で大量に流通しすぎてダイエーの店舗のみならず日常の買物でも貨幣同等に使われる事態となり、日銀の神戸支店が「これを放置すると日本の貨幣体制が崩壊する」と大慌てで止めに入った……というエピソードを思い出しました 2024-06-03 17:02:50 Dan Kogai (小飼 弾) @dankogai 実は通貨の発行体は国家である必要はない。必要なのは「十分な信用」であって現況はたまたま最強の暴力装置で裏打ちされた最強の信用を持つ組織が公共事業にしてるだけ。実際H

ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤカワ文庫NF) 作者:トム スタンデージ早川書房Amazon約200年前の19世紀。科学は未発達で、現在は一般的なものが存在しない時代だ。抗生物質はみつかっていないし(抗生物質は20世紀)、ライト兄弟が飛行を成功させたのも1903年のこと。しかしヴィクトリア朝時代には「インターネット」はあったのだ──というのが、本書『ヴィクトリア朝時代のインターネット』の主張である。 いくらなんでもヴィクトリア朝時代(一般的に、ヴィクトリア朝は、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間を指す)にインターネットはないでしょと思うだろうし、実際現在と同じようなインターネットは存在しない。しかし19世紀には「電信」が存在し、それは現在のインターネットと同じものとして機能していた。都市間、国家間にケーブルを張り巡らせることで、今のインターネッ

ホロコーストという加害の歴史を背負うドイツは、イスラエル支持を強く打ち出してきました。ドイツ国内では、停戦を求めるデモ参加者が「反ユダヤ主義」と見なされ、逮捕・連行されることが相次いでいます。なぜドイツはイスラエルを擁護し続けるのでしょうか。国際政治史、ドイツ政治外交史が専門の東京大学法学部教授、板橋拓己さんと「ドイツとイスラエル」について考えました。 「過去の克服」の出発点 ――ドイツはナチ・ドイツ政権下でのホロコーストの加害者としての歴史を背負い、イスラエルは「ホロコースト犠牲者の国」であるということを打ち出してきました。両国は戦後、どのように関係を構築していったのでしょうか。ドイツ側から見れば、贖罪意識と国際社会への信用回復が重要であり、イスラエル側から見れば、自国の存続、つまり生まれたての国家をどのように守っていくかという中で、ドイツの支援が必要になったという関係から出発したと言

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