ガラパゴスとは言うまでもなくエクアドル沖の諸島のことで、島名はそこに生息する最も有名な巨大なカメに由来している。ガラパゴス諸島はその隔絶性と、野生生物がその地域環境に適応して進化したことで有名だ。でも、日本だと別の意味がある。エンジニアで「オープンソース・ガイ」佐渡秀治は、2004年に冗談で日本を「ガラパゴス」と呼び始めた。もっとも、この言葉が一般で使われるようになったのは2007年になってからだ。その年、真に変革的な商品が発売され、日本は消費者向けテクノロジーの王座から引きずり降ろされた。iPhoneと呼ばれた商品だ。iPhoneの成功を受けて、専門家たちは日本が「ガラパゴス症候群」に苦しんでいると指摘するようになった。日本はあまりに内向きになり、国内市場の特殊性に焦点を当てすぎていて、グローバルな競争で遅れをとっている、と。 それまで支配的だった日本像は、西洋よりも少し早く未来に到達と

「科学的に正しい」 という言葉が揺らいだのは、2020年、世界がCOVID19のパンデミックに直面したときだと思う。 「科学的に正しい」 数理モデルに基づき、感染者数の推移と予想のグラフと「最悪のシナリオ」が毎日のように報道された後の話だ。 人々はグラフを見つめ、「科学」が未来を予測してくれると信じていた。 ところが、現実はモデル通りには進まなかった。 感染者数が想定を上回ると「『想定外』を言い訳にする専門家は間違っている」と非難が沸き上がり、予想よりも被害が軽いと「オオカミ少年が経済を殺す」と叩く連中もいた。「科学的に正しい」とはデータに基づき客観的な立場から判断したものだから、現実世界を最も合理的に説明できる―――そんな期待を裏切られたと感じた人もいたかもしれぬ。 その一方で、各国政府がとった施策や人々が自主的に取った行動が(吉凶に関わらず)何かしらの影響を与え、モデル通りの未来にはな

https://anond.hatelabo.jp/20250930160407 「女性とか学生とか高齢者に働いてもらえばよくね?」 「そのために労働条件よくすればよくね?」 に丁寧に答える 女性の労働参加率25歳〜60歳の、男性の労働参加率は95%くらいで 女性は80〜88%くらい https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/03/c_01.html育休を考えると、かなり限界に近い 専業主婦が居る現役世帯は566万世帯で、全体の23%にあたるが、独身を含めたら生産年齢の女性の15%くらいだ https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo02-15.html 一応、「無理やりひねり出したら女性の余力があと5%ある」と考えておこう

東北大学が一般入試を廃止!?日本の大学からペーパーテストがなくなる日

※この文章は、黄金頭さんへの返信のかたちをとった、私なりの反出生主義についての考えをまとめた文章です※blog.tinect.jp こんにちは黄金頭さん、p_shirokumaです。拙著『人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造 (ハヤカワ新書)』をお読みくださり、ありがとうございました。今回私は、どうしてもこの本を読んでもらいたいブロガーさん数名におそれながら献本させていただきました。受け取ってくださったうえ、ご見解まで書いてくださり大変うれしかったです。 『人間はどこまで家畜か』を黄金頭さんに献本したかった理由は2つあります。 ひとつは、黄金頭さんが書いたこのブログ記事のおかげで『リベラル優生主義と正義』に出会えたからです。リベラル優生主義と正義 作者:桜井 徹ナカニシヤ出版Amazon 今は8000円台で推移していますが、一時期、この本には30000円ぐらいのプレミアがついていま

気候変動に取り組むうえでの大きな困難の一つは、世の中に悪い情報源が蔓延していて、悪質な情報もばらまかれていることだ。左派の気候変動活動家たち(気候変動問題について何かしようと自身の時間と労力を費やす傾向が最も強い人たち)は、「100社の企業が世界の排出量の70%を引き起こしている」とか「10%の富裕層が排出量の半分を占めている」といった馬鹿げた主張をする疑似左派的な情報を入手してしまいがちだ。それから右派。彼らは、以前だと気候変動を否定することにやっきだったけど、最近になってグリーンエネルギーへの巨大な不信感(金融関係者を除けば、グリーンエネルギーは「恐怖、不確実性、疑わしい」)を煽り立てている。こうしたとりまく事象から、クタクタになってしまうんだ。結果、多くの人たちが、気候変動への議論を避けがちになってるんだと思う。 こうした状況には、本当にイライラしてしまう。世の中には、本当にたくさん

「いまが後継者誕生の瞬間かもしれない」──「GAFAM」が支配するテクノロジー業界についてそう語るのは、コロンビア大学ロースクールの教授ティム・ウーだ。 これまでも、グーグル、アップル、フェイスブック(現メタ)、アマゾン、マイクロソフトの頭文字をとって表現されてきたテック業界の主要メンバーたちは、Netflixを加えて「FAANG」になったり、最近ではテスラとエヌビディアの台頭で「MATANA」と呼ばれたりしてきた。 そんななか、米誌「アトランティック」が着目したのは、勢いを増す生成AIの分野で注目を集める「GOMA」だ。AIチャットボットとその類のものはまだ初期段階にあるとしながらも、「AIの世界では、すでにすべてがたった4社に集約されつつある。グーグル、オープンAI、マイクロソフト、アンソロピックである」と書く。 従業員数たった数百人のスタートアップ企業オープンAIは、2022年11月

(CNN) 今から約2億5000万年後、新たな「超大陸」の形成に伴って人類をはじめとする哺乳類は地球上から姿を消す可能性がある。研究者らがこのほど、そのような予測を発表した。 英ブリストル大学の科学者らが、スーパーコンピューターによる遠い未来の気候モデルを初めて活用。約2億5000万年の間に各大陸が1つの超大陸「パンゲア・ウルティマ」を形成した後、異常気象がどのように激化するのかを予測した。 その結果、超大陸は極めて高温で乾燥が激しく、人類や他の哺乳類が事実上暮らせない環境になることが分かった。人類と他の哺乳類は、過度の高温下で長期間耐えられるような進化を遂げていない。 研究では超大陸の気温や風雨、湿度の傾向をシミュレーションし、構造プレートの動きと海洋科学、生物学のモデルを駆使して二酸化炭素のレベルを計算した。 それによれば、約2億5000万年後の地球はパンゲア・ウルティマの形成で火山の

未来省(The Ministry for the Future) 作者:キム・スタンリー・ロビンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『未来省』は、『レッド・マーズ』、『グリーン・マーズ』、『ブルー・マーズ』の三作からなる火星三部作や『2312 太陽系動乱』などで知られるキム・スタンリー・ロビンソンが2020年に刊行した気候変動SF長篇だ。キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、本作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。 最初に概要と総評を紹介する 近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米で伸びているジャンルだが、本作は数あるcli-fiの中でもとりわけ大

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気候崩壊後の人類大移動 作者:ガイア・ヴィンス河出書房新社Amazon暑い日が続く今日この頃。日本国内は避暑で逃げようにも北海道ですら歴史を更新する猛暑が続き、どこに行けばいいのかと途方にくれてしまいそうになる。しかも、地球温暖化は続くのだ。このままだと、国外に居住地を移す人も増えてくるだろう。本書『気候崩壊後の人類大移動』は、そうした「人類大移動」の未来について書かれた一冊だ。我々はいつ、どこで、誰が移住を強いられるのか。我々はどこに行くべきなのか。また、そんなにたくさんの人類が移動することに現行のシステムはとても耐えられそうにないが、では今後世界はシステム・運用方法をどうかえていけばいいのだろうか。本書は国境問題や移民政策、食糧問題にジオエンジニアリングに都市計画まで、気候変動をとっかかりに無数のジャンルを網羅し検証していく科学ノンフィクションで、暑さに参ってしまっている人にオススメ

地球は人類を養えるのか? この前、国連かなにかの機関の奇抜な髪の色をした専門家が、「ロシアによるウクライナ侵攻と、世界的な干ばつにより、来年の世界の食糧事情が危険だ」というようなことを述べていた。 奇抜な髪の色はともかくとして、おれは、「ロシアによるウクライナ侵攻と、世界的な干ばつが重なったら、世界の食糧事情は危なくなりそうだなー」と思った。一つじゃない、二つだ。二つも大きな要素があったら、危ない。そう思った。 そう思ったおれは、「ひょっとして、地球の人口は地球が人類を養える上限を超えているのでは?」と思った。思って調べた。 まず調べて出てきたのはWikipediaの「適正人口」という項目であった。どこぞのだれかがいろいろな基準で算出した地球の適正人口は15億から20億人だという。 え、そんなに少ないの? というか、いろいろの基準がなかなかハードル高くない? とりあえず、食えることが満たさ

ニーアル・ファーガソンの予測「人口動態から見れば、中国は覇権をとれないかもしれない」 同様の問題を抱える米国との大きな違いとは

経済改革は繁栄をもたらしたが、習政権の強権体質が裏目に(中央のタワーは上海のテレビ塔) PHOTO ILLUSTRATION BY SHUNLI ZHAO/GETTY IMAGES <30年代には瞬間風速的にアメリカを抜くも、一人当たりの国民所得は少ないまま。先端技術で後れをとり、日本のような「貯金」もないままに急速な高齢化社会へ突入する、いびつな超大国が油断できない理由とは?>中国で改革開放政策が実質的に始まった1979年に、経済規模で中国がアメリカを超える日が来ると予想した人はほとんどいなかった。 当時の中国のGDPは1780億ドルにすぎず、対するアメリカはその15倍だったから、そんなことを言えば愚か者とのそしりを免れなかったろう。 だが2021年、中国のGDPは17兆7000億ドルに達した。これはアメリカのGDP(約23兆ドル)の約77%に当たる。購買力平価(PPP)で換算した場合
[Branko Milanovic, “Long term: Difficulties of import substitution and delocalization,” Global Inequality and More 3.0, March 11,2022] 〔※短期についての記事はこちら〕 輸入代替と国内生産への移行という困難ロシア経済の長期展望を考えるときには,いくつかの想定から手をつけつつ,歴史上の事例にも目を向けると役に立つ.2つの仮定が立てられる.第一に,現在のロシアの体制は,なんらかのかたちで今後10年,20年存続するかもしれない. 第二に,アメリカと西洋諸国による制裁は,ここで考える50年の期間のあいだずっと継続されると仮定できる.この仮定を支える論証は,次のとおり.アメリカによる制裁は,ひとたび実施されると解除するのはきわめて難しい.今日,すでにロシアに対して

地球人口が100億人に迫り、地球の負荷が激しくなっていく未来の危機にどう対抗すべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』 この『魔術師と予言者』は書名だけみるとファンタジィ小説だが、その実態は2050年、人口が100億に達した時の地球環境の危機について考察する大著である(総ページ数は700を超える)。現在の地球人口は約77億人だが、すでに限界ぎりぎりの地球の資源状況が人口が増えればここからさらに厳しくなっていくのは火を見るより明らかだ。 このままだと、食料も、エネルギーも、水も、気候も、すべてが破綻しかねない。では、我々は未来に備えて何をすべきなのか? その対抗策について、本書では科学の力を駆使することで、農業の生産性を上げ、エネルギーの供給量を増し、問題を解決せよ! と唱える一派らをノーマン・ボーローグを模範とする「魔術師派」。地球資源には限界があり、

【コラム】プーチン氏の戦争、勝てない場合のロシアの未来-ブランズ Henry Brands "Hal" 世界はウクライナの国家存亡をかけた戦いにくぎ付けになっている。戦争が長引く中、そろそろロシアがどうなるのかについても考え始めた方が良さそうだ。 プーチン大統領が率いるロシアは現在、近年にどの大国も経験したことがないほど急激かつ完全な孤立状態に陥っている。その先にあるのは、好ましい状況ではないだろう。 2月下旬以降、ロシアは経済、貿易、金融の面で制裁を受けている。債務不履行(デフォルト)へ突き進み、テクノロジー面のデカップリング(切り離し)も進行している。外国企業はロシアから撤退し、サッカーなどスポーツ界でもロシア代表は国際大会から排除されている。ロシアはキューバもしくは北朝鮮のような小さな独裁国家ではなく、つい最近まで国民が国際社会と深く結びついていた大国だ。それが今や、ある国が世界を

3月3日、営業停止のニュースを聞き、最後の買い物をしようとスウェーデン家具大手イケアのモスクワの店舗で行列を作る市民(ゲッティ=共同)ロシアのウクライナ侵攻を受け、西側各国がロシアに対してかつてない厳しい制裁を科している。フランスのルメール経済・財務相が「ロシア経済を崩壊させる」と述べた一方で、英国のジョンソン首相も「制裁の目的はロシアの体制転換」と断言。一部欧米首脳は制裁の狙いがプーチン政権崩壊であることを隠そうとすらしていない。 北大西洋条約機構(NATO)が軍事介入しない方針を打ち出した以上、侵攻を止められるのは、制裁措置がロシアに与えるダメージのほかない。制裁が実際、どれほど経済に打撃を与えるのかに国際社会の関心が集まっている。 こうした中、編集長が昨年のノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、プーチン政権を批判してきた同国の著名な経済学者ウラジスラフ

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