タチアナとセルヒーは高校で出会った。数年後、彼らはウクライナのナイトクラブで再会したのをきっかけに交際をスタート。2001年に結婚し、キエフ近郊のベッドタウン、イルピンのアパートで、2人の子供と犬と暮らしていた。タチアナは会計士、セルヒーはコンピュータプログラマーだった。 2月、ロシアがウクライナに侵攻し、戦火はすぐさま首都キエフへと近づいてきた。まもなく、ペレビニス一家の住む地域が砲撃された。ある夜、彼らのアパートが爆撃に遭い、タチアナと子供たちは地下に移動した。このとき、夫のセルヒーはウクライナ東部の故郷で病気の母の看病をしており、タチアナは最終的に、子供たちを連れて逃げることを決意した。 しかし、それが叶うことはなかった。43歳のタチアナと、18歳のミキタ、9歳のアリサ、そして彼らを助けていた教会のボランティアで26歳のアナトリー・ブレズニーは、日曜日、イルピンの崩壊しそうな橋を急い

ウクライナ・キエフ(CNN) 「お騒がせして申し訳ありません。兄弟のことで電話しております」 「私の夫について何か情報はありませんか」 「もしもし、安否確認にはこちらのホットラインに電話すればよろしいでしょうか」ウクライナ政府が運営するホットラインに寄せられた電話の音声の一部だ。ロシアとウクライナの戦争に終わりが見えない中、父母や妻、きょうだいなどは必死の思いで愛する人を探している。 だが、電話の向こうの震える声が探しているのはウクライナ人ではなく、ロシア人兵士の情報だ。 音声記録はホットラインを運営するウクライナ当局者がCNNに独占提供した。相談者の声ににじむ絶望と不安からは、ロシア政府が戦争に関する通信をいかに厳しく統制しているかが浮かび上がる。 一連の録音では、多くのロシア兵が自分たちの予定や派遣理由を知らない様子であることがうかがえる。ロシア兵が家族との通信を禁じられているとの報

スヴェトラーナ・ゴルブの電話は2月24日以来、鳴り止まない。ロシア中からかかってくる電話の向こう側にいるのは、ロシアの血なまぐさい戦争でウクライナに派兵されている息子や兄弟や夫の安否を知ろうと必死の家族たち。その声から涙ぐんでいることがわかる。 ゴルブは熱くなったスマートフォンを指して言う。 「もうたいへん。ものすごい数の電話があります。まさに涙の海です」 ゴルブは「兵士の母親委員会」の代表を務めている。ロシア兵士の権利擁護を訴えてきたNGOだが、いまや兵士の安否を心配する親族にとって頼みの窓口になっている。 「ほら、言ったでしょ」とゴルブは肩をすくめ、話の途中でかかってきた電話に出た。事務局はモスクワ北東部の住宅街にある。 「これがずっと続いています。大忙しです。ひっきりなしに来客があり、要望を受けます。家族の利害を法廷で代弁し、懸念を当局に持っていきます」 兵士の家族は何も知らされてい

1リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く