名ゼリフと呼ばれるものにはどんな力があるのか。『パンチラインの言語学』(朝日新聞出版)を上梓した言語学者の川添愛さんは「たとえばアニメ『機動戦士ガンダム』の印象的なセリフには倒置法が多用されている。『新しい情報』を後ろに持っていくことで、聞き手はその後に続く言葉に注意を向けざるを得ない」という――。 『機動戦士ガンダム』を言語学から観る 名作に名ゼリフはつきものだ。みなさんにも、すぐに思い出せるドラマや映画、漫画のセリフが一つか二つはおありだろう。しかし、それらを名ゼリフたらしめているものは何だろうか?本書『パンチラインの言語学』の趣旨をざっくり言えば、そういった名ゼリフ(=パンチライン)を言語学の観点から眺めてみようというものだ。本稿では、国民的アニメ『機動戦士ガンダム』(1979~1980年放送)を取り上げる(*1)。本書の前項ではニュータイプの話でお茶を濁してしまい、言語学要素が

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