昨日、ぼくが数学監修をしたドラマ「相棒」が、無事放映された。 シーズン12の第2話「殺人の定理」だ。 ぼくは、リアルタイムで、超ハラハラしながら、鑑賞した。だって、ぼくが関与した部分の映像に不備があって、視聴者から批判を受けたり、ツッコミをアップされたりしたら、そりゃ大変だもん。これほど真剣にテレビドラマを観たのは初めてだった。一回観た範囲内では、不備はなかったように思う。 放映が終わったあと、即座にツィッターで検索したら、何百というツィートが続々と上がるのに感激した。こんなにもたくさんの人が観て、こんなにたくさんの人が感想を呟いているものか、と驚嘆した。 改めて、「相棒」というドラマの底力を思い知らされた。 それと同時に、ツィートの中にたくさんの「数学ファン」の声をみつけてうれしくなった。それらは、実際の数学をどちらかと言えば苦手としながら、遠い憧れや萌えを抱いている人々の感動の言葉だっ

グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。 かけ算の順番を入れ替えてはいけない? 私の主観ですが、少なくとも一年に一回は「かけ算の順番を入れ替えるとバツにされるのは納得がいかない」と保護者から問題提起がなされているように感じます。Wikipediaにも「かけ算の順序問題」という項目ができました。一連の「かけ算の順序問題」がまとめられています。おおよその流れは以下のページでご確認いただけます。 1 かけ算の順序指導の現状 2 「かけ算の正しい順序」に対する批判 3 「かけ算の正しい順序」を推進・擁護する主張 4 かけ算の順序問題の経緯 私が小学生の時は文章題でかけ算の順番を入れ替えても答えがあっていれば正解でした。 【筆者が小学生だった頃(昭和50年代〜60年代)】 正解 ○:5×3=15 正解 ○:3×5=15 小

社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。 こんにちは。わかりにくい解説をわかりやす~く組み替える職人の開米瑞浩です。 今日は珍しく(?)、本職に近い話です。昨日ネットでふと目にとまったある算数ネタについて書いてみることにしましょう。 なんでも「斜めに線を引いて交点を数えるだけで掛け算が簡単に計算できる、すごいね!」というもので、こういう方法です。 筆算で繰り上がりの処理をする手順を覚えなくても、「数え上げ」だけで答えが出るわけです。 昨日、twitterやfacebookで私が見ているTLでこれが話題になっていたのですが、この方法、計算テクニックというよりも「数」の性質を勉強するためのひとつの小ネタ(小学生向きです)としておもしろいところがあるので、ちょっと書いてみようと思いました。(ちなみ

「線を引いて交差した点の数でかけ算の答えが分かる」という驚くべき計算方法がありました。アメリカでは「日本の子どもはこうやってかけ算を計算している」と紹介されていますが、日本で生まれ育ってきたもののこんな計算方法は初めて見ました。古来インド式の計算方法ではとも言われています。 どのような計算方法なのかは、記事冒頭のビデオを見てもらえれば分かると思います。かけ算をしたい最初の数字の大きい位から順に斜めに線を引き、次の数字も大きい位から順に、今度は最初に引いた線に交差するように反対側から斜めに線を引きます。エリア毎の交差した点の数を左から順番に並べると、かけ算の答えになるというものです。 一体どうしてこの方法でかけ算の答えが導き出せるのか、そのからくりはまったくもって謎ですし、これがなぜ外国では「日本の」計算方法だと言われているのかも謎です。とはいえ面白いので、話のネタに覚えておくといいかもし

先日、「大数の法則と中心極限定理を恋愛小説風に語ってみる」 というおちゃらけ記事を書いたが、それにはきっかけがあった。 それは、数学のできない大学生のことだ。 私がいるWS大(学部)は入学が易しい。 出願者の母集団は米国のごく平均的な高校生だと思われるが、 その約80%に入学許可を与えている。 大学は入学した全ての学生に対して数学を最低1科目履修する事を義務付けているので、 かなり数学が苦手な学生も何らかの科目を履修することになる。 私は昨年、そうした数学が苦手な学生向けのコースを受け持った。 学生の数学的知識は、日本の公立中学3年生と同じくらいであったように思う。 公立中学と同じように、できる子は結構できるし、 できない子は平面上の直線の式も覚束ないという感じで、バラツキも結構大きい。 ちなみに、日本では「分数ができない大学生」というのが昔話題になったことがあったが、アメリカの簡単な
先日の記事それでも自然数の積は可換である - 吾輩は馬鹿であるは怒りにまかせて喧嘩腰に書いたもので、内心を有り体に言えば「屁理屈を捏ねて子供をいじめる半可通ども、この印籠が目に入らぬか」というようなものだったのだが、思いのほかの好反響で驚いている。 だが、さらに憎まれ口を聞くことにしたい。理由であるが、 誰が何と言おうが、指導要領や教科書に書いてあれば全て正しい テストの○や×に四の五の言うな という態度が、片や科学技術で飯を食うものとして、片や子供の頃教師の「善意」に苦しめられたものとして、絶対に許せないからだ。 スターリン体制をモデルにしたディストピア小説「1984年」の中で、作者ジョージ・オーウェルは主人公に 「自由とは、二足す二は四だと言える自由のことだ。これさえ認められれば、あとは全部ついてくる」 という台詞を言わせている。ところがその後、主人公は秘密警察に逮捕されることとなり、
かけ算の式の順序にこだわってバツを付ける教え方は止めるべきである 黒木玄 2012年12月24日更新 (2010年11月23日作成) (2015年11月4日に「ひとつあたり」を「一つ分」に置換した) ------------------------------------------------------------------------------ この文書は長過ぎるので以下の2つを最初に読んでおくと良いかもしれない。 掛順こだわり教育に関する資料[2012年10月17日] (中日新聞取材受諾メールに書いた資料) ベネッセの回答へのコメント (ベネッセによる回答のすべての段落にコメント) ------------------------------------------------------------------------------ ◇A59にまとめがあります。最初に読んで
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