東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏。ロシアによるウクライナ侵略からしばらくの間、テレビを始めとするメディアで見ない日はなかったといっても過言ではない、ロシア軍を専門とする安全保障研究者だ。ウクライナ侵略に踏み切ったプーチン政権に対して厳しい目を向ける氏ではあるが、自身の経験をもとに、市井のロシア人の生活から、国家観、社会を紹介する『ロシア点描』(PHP研究所)を上梓するなど、軍事以外の面での理解の必要性も訴えている。 ここでは、今回のウクライナ侵略に対する自身の見解や、研究者としての心境について伺った。(全3回の3回目/#1、#2を読む) ◆◆◆ この戦争は「ハイブリッド戦争」ではない ――話を戦争に戻します。今回の戦争は多様な主体や手段を用いるハイブリッド戦争であるか否か、識者の間でも分かれていますが、どう思われますか? 小泉悠さん(以下、小泉) ハイブリッド戦争をど

東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏。ロシアによるウクライナ侵略からしばらくの間、テレビを始めとするメディアで見ない日はなかったといっても過言ではない、ロシアを専門とする安全保障研究者だ。ウクライナ侵略に踏み切ったプーチン政権に対して厳しい目を向ける氏ではあるが、自身の経験をもとに、市井のロシア人の生活から、国家観、社会を紹介する『ロシア点描』(PHP研究所)を上梓するなど、軍事以外の面での理解の必要性も訴えている。 前編では、戦争が膠着状態にあること、それを打開するためロシアには動員という術があるが、プーチンは動員に踏み切れていないと小泉氏は指摘した。それはなぜか――。(全3回の2回目/#1、#3を読む) ◆◆◆ 動員は政治的賭け 小泉悠さん(以下、小泉) 核と違って人類滅亡の危険は無いから、ロシアは動員をかけてもいいはずなのにしていない。多くのロシア研究者が言っているの

◆◆◆ 一進一退の戦場 ――まず、ウクライナの直近の戦況について、小泉さんの見解は?(※インタビューは7月15日) 小泉悠さん(以下、小泉) 一進一退と思います。どちらも大勝ちできる状況にない。ロシア軍は火力が非常に強力で、要するに大砲やロケット砲の数というか、分厚さが半端ない。今は東部のドンバスを中心に真っ平らな地形で戦っているから、遠距離からロシア軍に一方的にやられてウクライナ軍は勝てていない。 ところが、ウクライナ軍はもともと軍隊が約20万人でその他の治安部隊は10万人、計30万人くらいの軍事力だったのが、今は動員で100万人に膨らんでいる。数の上ではものすごく大きな軍隊を持っているので、簡単には負けない。 ただ、ロシア軍に勝てないし、遠距離で戦うと圧倒的にロシア軍の方が強い。一方、ロシア軍は大砲で叩けるけど、占領する兵隊がいない。陸軍種の最大の機能は土地を占領することですが、ロシア

ロシア通で知られる日本維新の会の鈴木宗男参院議員が16日、自身の公式ブログを更新。ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に「ゼレンスキー大統領は『武器を供与してくれ、少ない』と訴えている。欧米諸国は協力する姿勢を示しているが、それでは戦争が長引き、犠牲者が増えるだけではないか」とし、「自前で戦えないのなら潔く関係諸国に停戦の仲立ちをお願いするのが賢明な判断と思うのだが」と続けた。 【写真】ロシアの侵攻状況(共同) 2月24日に始まった侵攻から約4カ月が経過しようとしているが、まだ終結は見えない。鈴木氏は「名誉ある撤退は『人の命を守る』上で、極めて大事なことである。また、物価高で世界中が悲鳴を上げていることを考えるべきだ」とロシアではなくウクライナに訴えかけ、「『ウクライナは負けない』と強弁してきたが、国力からしてロシアと1対1の戦いでは、その差は明らかである。ここはゼレンスキー大統領の勇気ある決

北海道・知床半島沖で乗客乗員計26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ ワン)」が浸水した事故で第1管区海上保安本部は25日未明、夜を徹した救助作業を進める中で新たに子ども1人を意識不明の状態で救助し、病院に搬送したと発表した。しかし、その後に死亡が確認され、死者は計11人となった。事故から3日目となった25日も、行方不明者の発見に向け懸命の捜索が続いた。 海保などによると、見つかった子どもは3歳の女児。知床岬灯台から東に14・5キロの海上で道の漁業取締船が24日午後9時前に発見し、巡視船が救助した。乗客乗員26人のうち、乗客は東京や大阪、福岡など9都道府県に住む24人。うち子どもは2人で、もう1人はまだ見つかっていない。既に見つかっていた大人10人(男性7人、女性3人)は知床岬の海上や岩場で救助され、いずれも死亡が確認されている。

JR恵比寿駅に設置されているロシア語の案内表示が、2022年4月初旬に撤去されていたことが分かった。JR東日本東京支社広報課は14日、J-CASTニュースの取材に、複合的な事情を踏まえての決定だと明かす。 「調整中」にJR恵比寿駅の西口改札内には、乗り入れている東京メトロ日比谷線の案内表示が掲示されている。 駅独自の取り組みとして日本語、英語、韓国語、ロシア語の4か国語で「中目黒」「六本木」と記していたが、広報課によれば4月7日の始発からロシア語の案内のみ無くした。J-CASTニュースが14日午前に確認すると、当該スペースには「調整中」と書かれた紙が貼られていた。 4か国語の表示は、東京五輪・パラリンピックを視野に、海外の乗客向けに設置した経緯があるという。役割を果たしたことに加え、(1)コロナ禍でインバウンド客が減少(2)六本木周辺にある駐日ロシア大使館に向かう客からの問い合わせ減少

ウクライナの首都キエフ近郊ブチャで、複数の遺体(写真外)が横たわる道路を歩く人(2022年4月2日撮影)。(c)RONALDO SCHEMIDT / AFP 【4月3日 AFP】ウクライナのハンナ・マリャル(Ganna Maliar)国防次官は2日、同国軍がキエフ州全域をロシア軍から奪還したと発表した。ウクライナを侵攻したロシア軍はこれに先立ち、首都キエフ近郊の主要都市から撤退。マリャル氏はフェイスブック(Facebook)に、「イルピン(Irpin)とブチャ(Bucha)、ホストーメリ(Hostomel)とキエフ州全域が侵略者から解放された」と投稿した。 3都市はいずれもキエフの北西にあり、2月24日に始まったロシア軍の侵攻により大きな被害を受けていた。イルピンとブチャは今週、ウクライナ軍により奪還されたが、戦闘により多数の民間人が犠牲となった。 ブチャに入ったAFPは、一つの道路で少

ロシアのフィギュアスケート界で名指導者として知られるエテリ・トゥトベリーゼ氏が、自身のSNSに投稿していたウラジーミル・プーチン大統領との2ショットやロシア国旗などを削除して同国内で大きな批判を浴びている。ロシア国営通信社「RIA」は「トゥトベリーゼがソーシャルネットワーク上から、ロシア国旗を掲げた写真やプーチン大統領との2ショットの写真を削除した。〝政治的事件〟の悪化後に、彼女がプロフィールの大規模な〝粛清〟を実行し、すべてのロシア国旗の画像が消えた。さらに、プーチン大統領の誕生日に祝福した投稿も消えた」と報道した。 トゥトベリーゼ氏が〝ロシア関連投稿〟を削除した理由について同メディアは「トゥトベリーゼの意思表示は即座に注目を集めた。彼女は、ウクライナでのロシアの特殊作戦の開始後に、西側の制裁に陥ることを恐れている可能性がある」と制裁回避の意図を分析した。 また、ロシアメディア「REA

ウクライナに侵攻を続けるロシア軍は、東部の要衝マリウポリの一部を掌握した模様で、南東部で支配地域を広げることに力を注いでいるとみられます。ウクライナの地元メディアは、マリウポリの市長がすでに市外に退避したと伝えています。 また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「ロシア軍は24日、マリウポリの中心部のキリスト教の教会を占拠し、市の全域の掌握に向けて部隊を展開している」との分析を示しています。ロシア軍が攻勢を強めている東部マリウポリについて、ロシア側とともに戦闘を続けている親ロシア派の武装勢力は、指導者のプシリン氏が24日、市内に入ったと明らかにしました。 プシリン氏らは、市内西側のショッピングセンターにロシア側が設置した食料などの配布所を訪問し「ウクライナから解放されたら、再建を始める」と伝えたとされ、マリウポリの一部地域がロシア側に掌握されたことがうかがえます。 こうした中、ウ

ブリンケン米国務長官は23日、ウクライナに侵攻して民間人を対象に無差別攻撃を続けるロシア軍の行為を、米国は「戦争犯罪」に認定したと表明した。同盟友邦諸国や国際機関と情報共有したうえで、犯罪人の告発も視野に調査を続けるとしている。 24日にベルギーで開催される北大西洋条約機構(NATO)や先進7カ国(G7)の緊急首脳会議を前に、同盟国との結束により、ロシアの残虐行為に責任を負わせる姿勢を打ち出したとみられる。 ブリンケン長官は声明で、プーチン露大統領が「ウクライナ各地で死と破壊をもたらす容赦ない暴力を引き起こした」と非難したうえで、高層住宅、学校、病院、インフラ、商業施設、救急車両に至るまで数千人の民間人を犠牲にした「無差別攻撃に関する数々の信頼できる報告をみてきた」と指摘した。 特に東部マリウポリで住民多数が避難し、「子供たち」と上空から見えるように書いた劇場に対する空爆を、チェチェン戦争

ウクライナや周辺国への人道支援をめぐり、岸田総理大臣は、日本時間の24日夜開催されるG7=主要7か国の首脳会議で、さらに1億ドルの支援を行う方針を表明する方向で調整に入りました。 また、ポーランドなど周辺国に避難している人たちを支援するため、自衛隊の医官などを派遣することも念頭に、保健医療分野での人的貢献を行う方針も明らかにする方向で検討を進めています。 岸田総理大臣は、日本時間の24日午後、ベルギーの首都ブリュッセルを訪れ、ウクライナ情勢をめぐって24日夜、緊急に開かれるG7=主要7か国の首脳会議に出席します。 会議で、岸田総理大臣は、先に表明したウクライナや周辺国への1億ドルの人道支援に加え、さらに1億ドルの支援を行う方針を表明する方向で調整に入りました。 また、1億ドル規模で行うとしている円借款についても積み増し、2億ドル規模とする方向でも調整しています。 さらに、ウクライナからポー

この記事の写真をすべて見るウクライナのゼレンスキー大統領が23日、国会で12分にわたってオンライン演説をした。ロシアによるウクライナへの侵攻を巡り、「日本はアジアで初めて援助の手を差し伸べた」と述べ、謝意を示した。以下に演説の全文を掲載する。 【写真】プーチン氏の顔写真とともに「間抜けなプーチン」の文字が書かれた火炎瓶 * * * 細田衆議院議長、山東参議院議長、岸田総理大臣、日本国会議員の皆様、日本国民の皆様。本日は私がウクライナ大統領として史上初めて、国家元首として直接皆様にお話できることを光栄に思います。 両国の間には、8193kmの距離があります。経路によっては、飛行機で15時間もかかります。ただし、お互いの自由への思いに差はありません。また、生きる意欲の気持ちにも差はありません。それを実感したのは、2月24日です。日本がすぐ援助の手を差し伸べてくれました。心から感謝しており

ロシア中央銀行は3月6日、米ビザやマスターカードの決済システムを利用する国内銀行発行のクレジットカードが9日以降、海外で機能しなくなると発表した。一部の国内銀行は代わりに中国の銀聯(ユニオンペイ)の決済システム利用を検討しているという。マカオで2013年11月撮影(2022年 ロイター/Tyrone Siu)ロシア中央銀行は6日、米ビザやマスターカードの決済システムを利用する国内銀行発行のクレジットカードが3月9日以降、海外で機能しなくなると発表した。一部の国内銀行は代わりに中国の銀聯(ユニオンペイ)の決済システム利用を検討しているという。 中銀によると、ロシアで発行されたマスターカードとビザカードは国内では有効期限まで利用が可能。海外で利用できなくなるカードには、外国銀行のロシア子会社が発行したものも含まれる。 ビザとマスターカードは5日、ロシアでの事業を停止すると明らかにしていた。
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