2018年の税制改正で決まった返品調整引当金廃止の適用が、半年後の21年4月に迫っている。同時期に適用が始まる「収益認識に関する会計基準」(収益認識基準)については、出版業界の対象企業は一部にとどまりそうだが、引当金廃止は中小含めた全事業者にあてはまるため、相応の準備が必要だ。その制度変更は出版業界特有の「委託販売」「常備寄託」の特異性を見直すことにもつながる。出版会計に詳しい公認会計士の碇信一郎氏にその概要と着目すべき点などを聞いた。 【成相裕幸】 知っておきたい出版会計と「収益認識基準」の基礎 2021年4月1日以後に開始する事業年度から、新しい会計基準が適用になります。それが「収益認識に関する会計基準」です。 これは、国際的な会計基準と日本の会計基準とを近づける作業(コンバージェンス)の一環として行われるものです。新しい収益認識基準が適用となる対象は大企業を中心とする一部の企業になり

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