フランスで撮影された磁気共鳴画像装置(2012年10月29日撮影)。(c)AFP/JEAN-PIERRE CLATOT 【4月11日 AFP】人がどの程度の痛みを感じているのかを脳スキャンで測定することに成功したとする論文が、10日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された。痛みの度合いを検査で正確に計測することが将来、可能になるかもしれない。 論文の主著者、米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)のトール・ウェイジャー(Tor Wager)准教授は「現在、痛みやその他の感情を測る上で臨床的に許容できる方法は、本人にどう感じるか聞くしかない」と指摘する。 研究チームは被験者114人を対象に、左前腕に「温かい」から「熱い」までの熱を加え、磁気共鳴画像装置(M


神経と骨肉、同じ幹細胞から=定説覆す成果−大阪大 神経と骨肉、同じ幹細胞から=定説覆す成果−大阪大 脊椎動物の受精卵が胎児に成長する前の胚の段階で、神経系と骨・筋肉が別々の幹細胞からできるとしていた定説を覆し、同じ「体軸幹細胞」から生まれるメカニズムを、大阪大大学院の近藤寿人教授や竹本龍也助教の研究グループがマウスの実験で解明した。17日付の英科学誌ネイチャーに発表した。 近藤教授によると、従来の説は高校生物の教科書のほか、大学の専攻や人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究などの専門分野でも常識として扱われているという。今回の成果によって、教育と研究の現場で定説が見直される可能性が出てきた。 研究グループは、たんぱく質「Tbx6」の遺伝子をなくしたマウスの胚で、骨や筋肉のもととなる中胚葉が発生せず、代わりに神経系の脊髄が複数生まれる現象に着目。一つの体軸幹細胞から、たんぱく質「Sox2」が

神経細胞の中心から末端部に様々なたんぱく質を運ぶ「キネシン1」という運搬役のたんぱく質が働かなくなると、アルツハイマー病の発症につながる物質が末端部にたまってしまうことを、名古屋大の松本邦弘教授と久本直毅准教授(生命理学)らが解明した。仕組みがわかったことで、治療法の開発につなげられる可能性がある。9日付の米科学誌で発表する。 脳が萎縮するアルツハイマー病は、神経の伝達に必要な「APP」というたんぱく質が脳内の神経細胞の末端部にたまって変異し、蓄積されてしまうことが原因だと考えられている。 APPは、神経細胞の中心部から末端部に向けてレールのように延びた微小管をキネシン1によって運ばれる。APPが末端部にたまりすぎると、通常は別の運搬役のたんぱく質によって中心部に戻され、分解される。 松本教授らは線虫の細胞を使い、キネシン1など運搬役の二つのたんぱく質を働かなくした上で、APPが往復

海に生息する無脊椎(せきつい)動物のホヤの幼生は、魚などの脊椎動物とは異なる仕組みで筋肉を動かして泳ぐことを、大阪大大学院の西野敦雄助教(動物学)らと自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の共同研究チームが突き止めた。多数の筋肉を協調して動かす脊椎動物への進化過程を探る手掛かりになるという。米科学アカデミー紀要に25日、発表した。 ホヤは生物の進化系統で、ヒトや魚類などの脊椎動物に最も近い位置にいる無脊椎動物。4億年以上前に脊椎動物との共通祖先から分岐したとみられ、生物進化のモデル動物として盛んに研究されている。 西野助教らは、わずか36個の筋肉細胞を使ってオタマジャクシのように巧みに泳ぐホヤの幼生(体長約1ミリ)に着目。高速カメラによる観察や分子生物学の手法で泳ぎ方を分析した。 その結果、筋肉の収縮の仕組みが脊椎動物とはまったく違うことが判明。魚などの脊椎動物は数百万個もの筋肉細

約6550万年前(白亜紀末)に恐竜をはじめ地球上の多くの生物が絶滅したのは、小天体の衝突が原因だったことが、日本など12カ国の国際研究によって新たに裏付けられた。5日付の米科学誌「サイエンス」(電子版)に発表した。 「小天体衝突説」が提唱されたのは1980年。91年にメキシコ・ユカタン半島で白亜紀末に形成された「チュルブ・クレーター」(直径180〜200キロ)が発見され、有力な説となった。直径約10キロの小天体が衝突し巨大地震と津波が発生。粉塵(ふんじん)や火災で太陽光が遮られた結果、多くの動植物が絶滅したと考えられている。しかし、火山噴火や複数の天体衝突を原因とみる研究者もあり、論争が続いていた。 国際研究では、地質、古生物、地球物理など関係分野の研究者41人が、最新のデータや数値モデルを使って衝突の影響を再検討。その結果、「小天体の衝突による地球環境の劇的な変化は、それだけで生物の大量
東京都心に置いた粘菌(上)は、エサを求めて広がり(中・8時間後)、鉄道網のような姿になる(下・26時間後)=手老さん提供 「粘菌」と呼ばれる単細胞生物が鉄道網のような高度なネットワークを構築する能力があることを、北海道大学の手老(てろう)篤史研究員らが突き止めた。 実験で、粘菌が首都圏鉄道網のミニチュア版そっくりに変形していく様子を確認した。22日付の米科学誌「サイエンス」に発表する。 粘菌は、胞子から小さなアメーバが生まれ、アメーバ同士が融合して、変幻自在に伸びるネバネバの集合に育つ。実験では、関東地方をかたどった容器(縦21センチ、横17センチ)の中で、横浜や千葉など首都圏の主要36駅に当たる位置にエサを配置。東京都心に粘菌を置いた。粘菌はエサを求めて広がり、次第に実際の鉄道網のようになった。 粘菌が変形した「鉄道網」を分析すると、輸送効率やアクシデント時の迂回(うかい)路の確保といっ

プラナリアの再生の図。プラナリアを切断すると(中の写真)切断したそれぞれの部分から頭や尻尾がでて個々のプラナリアとして再生する(阿形研究室提供) 生物の頭や尾が正しい位置に形成されるメカニズムを、京都大学大学院理学研究科の阿形清和教授(再生生物学)らの研究チームが扁形(へんけい)動物のプラナリアの実験で突き止め、8日付(日本時間)の米科学誌「米国科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載された。プラナリアが正しい位置に頭と尾を再生する「極性現象」は100年以上前に判明していたが、そのプロセスは解明できていなかった。再生医療の臨床応用に貢献する発見といえる。 研究チームは、プラナリアが尻尾を形成する過程を観察。細胞の分化などを促すタンパク質「ヘッジホッグ」が尻尾を形成する分子を発現させることを確認し、さらに、ヘッジホッグが作用する過程で結びつく受容体を作る遺伝子も突き止めた。 そこでチームは、プラ
成績を上げるためにはよく寝ること――。そんな教訓が得られそうな実験結果を、渡辺武郎・米ボストン大教授らのグループが発表した。学習中に活動する脳の領域が睡眠中にも活動しており、その活動が活発なほど学習効果が高い傾向があることを、機能的磁気共鳴画像(fMRI)で脳の活動の様子を調べて確認した。米専門誌に発表した。 学習後に寝るほうが学習効果が高まるといわれているが、その仕組みはよくわかっていない。そこで、グループは、7人の被験者に、複雑な画像を素早く識別する訓練をしてもらった。 訓練中は、脳の視覚情報を処理する特定の場所が活動する。学習した後、fMRIの中で寝てもらったところ、その場所が活発に活動することがわかった。 寝ないで同じ訓練をすると識別の正答率は上がらなかったが、寝た後は正答率が上がった。睡眠中の活動が活発な人ほど、睡眠後の正答率が上がる傾向があることも明らかになった。睡眠中に

米テキサス大のチームが盗作が疑われる医学論文約200本を見つけ出し、著者や編集者に見解を問いただした。「盗作された側」は「露骨な盗作」とあきれかえるが、「盗作した側」は、「先に論文が出ていたとは知らなかった」と言い訳が目立った。こうした盗作の実態が明らかになるのは珍しい。 6日付の米科学誌サイエンスが掲載する。 チームは、米国立医学図書館が運営する医学・生命科学の論文データベースを対象に独自開発のプログラムを使って表現の相似性を調べ、著者が異なっていた約9千本を抽出。実際に論文を読んで212本を「盗作の可能性がある」と判断した。著者や掲載紙の編集者と連絡のとれた163本について電子メールでアンケートを行った。 「盗作された側」の著者からは「こんな露骨な盗作は初めて」「科学者として受け入れたくない」など厳しい反応が多い。一方、「盗作した側」は「データ借用の許可をとらなかったことは謝罪し

東北大の五十嵐和彦教授らのグループが、がん抑制遺伝子「p53」がつくるたんぱく質が、別のたんぱく質「Bach1(バックワン)」と結合すると、細胞の老化を抑えることを発見した。Bach1はp53の働きを調整する役割を果たしているという。五十嵐教授は「実用化に結びつくには時間がかかるが、がんや老化を制御する治療薬の開発につながる可能性がある」としている。 p53は、老化の促進と、がん増殖の抑制という表裏一体の機能を持つ。Bach1は細胞に存在し、「転写因子」と呼ばれるたんぱく質の一つ。 マウス実験で、正常な細胞では、Bach1がp53の働きを阻害しているが、Bach1を欠損させたマウスでは細胞老化が進行することを確認した。今後、Bach1がp53の機能を阻害する仕組みの解明にも取り組みたいという。 研究結果は、16日付の米科学誌の電子版で発表する。【伊藤絵理子】

ドイツ・ミュンヘン(Munich)の水族館で泳ぐサメ(2006年4月6日撮影、本文とは関係ありません)。(c)AFP/DDP/JOERGKOCH 【10月16日 AFP】サメのメスがオスと交尾せずに妊娠していたことが確認され、科学誌「Journal of Fish Biology」の10月号で報告された。サメでこうした例が確認されたのは、今回で2回目となる。 このサメは、米バージニア(Virginia)州の水族館で飼育されていたカマストガリザメの「ティドビット(Tidbit)」で、ティドビットは8年間飼育されていたが、その間オスと交尾をしたことは一度もなかった。 論文の主執筆者、ニューヨーク州立大学ストニーブルック校(State University of New York at Stony Brook)海洋保全科学研究所のデミアン・チャップマン(Demian Chapman)博士は、サ







リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く