89歳になった文壇の巨匠による新刊は25編からなる掌編小説集。帯には「わが最後の作品集になるだろう」とある。「これ以上書けない、ということですね。時々『これいいな』と(アイデアを)思いついても、大抵昔に同じことを書いている。この中には駄作もあるけれど、みんなわりと傑作です」 『カーテンコール』病床の作者の前に、代表作『時をかける少女』『文学部唯野教授』の主人公や亡きSF界の同志が現れ、耳の痛い言葉を投げかけてくる「プレイバック」。自分を守ってくれた力持ちの女中を追想する「お咲の人生」…。遠い記憶や夢の情景を描く収録作が多く、「死の気配」が通奏低音となっている。「僕は怖がりだから、子供のころから『死』について考えてきた。それで(ドイツの哲学者)ハイデガーなんかも一生懸命読んできた。死が怖いから、そうやって自分で自分をごまかしていたのかもしれない」 長男で画家の伸輔さんが51歳の若さで亡くなっ

以前,松本清張の「或る『小倉日記』伝」について書いた.今回,松本清張のつながり(知る人ぞ知る)で,筒井康隆の「大いなる助走」(新潮文庫)について書いてみたい.私は,筒井康隆の愛読者である.旅行などの際に読みたくなれば,たとえ持っている本でも買ってしまうので,同じ本を何度も買うことも少なくない.私の友人にも筒井康隆の愛読者は多いようだ. 筒井康隆は,3度直木賞の候補となった(「ベトナム観光公社」(第58回),「アフリカの爆弾」(第59回),「家族八景」(第67回))が,いずれも受賞を逃している.その恨みつらみでこの作品「大いなる助走」を書いた…かどうかは知らないが,少なくとも創作のきっかけにはなっているだろう. 「大いなる助走」の主人公,市谷京二は,ある地方の同人誌「焼畑文芸」に作品を発表し,その同人誌仲間と知り合う.彼等は,文学に対する様々な姿勢のもとに,その同人誌に作品を発表し,文学談義
2021年7月28日、不可解な現象が起こった。 1989年に作家の筒井康隆さんが発表し、1995年に中央公論新社から文庫本が出版された小説『残像に口紅を』が突然、各通販サイトで上位にランクインしたのだ。 『残像に口紅を』(著:筒井康隆 / 中央公論新社)アマゾンでは、本の売れ筋ランキングの総合で一時は9位となり、日本文学部門などで1位を獲得。反響を受けて、同作は3万5000部の緊急重版が決定したという。 出版から30年以上が経過した日本文学の巨匠作品に、なにが起こったのだろうか?TikTokの紹介動画が580万回再生きっかけは、1人のTikTokユーザーによる動画投稿だ。TikTokで小説を紹介する動画を投稿している「けんご(@けんご小説紹介)」さんは2020年から動画投稿を行っており、若い世代に人気のTikTokクリエイターだ。 『残像に口紅を』は、話が進むごとに文字が1つ消えてい

筒井康隆(つつい・やすたか)/1934年、大阪府生まれ。同志社大学卒業後、乃村工藝社勤務を経て、デザインスタジオを設立。その後、江戸川乱歩に才能を認められ、創作活動へ。67年『時をかける少女』発表。81年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、87年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、89年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、92年『朝のガスパール』で日本SF大賞、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞小説賞受賞。仏シュバリエ章・パゾリーニ賞、紫綬褒章、菊池寛賞を受賞・受章。近著に『老人の美学』。 (撮影/写真部・小黒冴夏)この記事の写真をすべて見る 筒井康隆さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・小黒冴夏) 85歳を迎え、新作『老人の美学』(新潮新書)を刊行した文学界の巨匠・筒井康隆さん。情報化社会の本質と大衆の愚かしさを鋭く穿ち、フィクションへと昇華させ続けてきました。作家の林真理子さんと行

それで、「老人の美学」のネットのレビューを読んでふと思ったんだけど、「銀齢の果て」は、映画「銀嶺の果て」のオマージュなんだけど、知らないんじゃないかな。

筒井康隆、自作を語る 作者: 筒井康隆,日下三蔵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/09/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る作家・筒井康隆がこれまで自作をどのような考えのもと書いてきたのかをデビュー作から順々に語っていくインタビューが元となった一冊である。作品について語られるだけでなく、当時のSF業界や文壇のエピソード、映画やアニメにまつわる話などもたっぷり語られていく、筒井康隆ファンにとっては非常に贅沢な本である。 読んでいて驚かされるのが、筒井さんが実によく何十年も前のエピソードや自作のことを覚えていること。ショートショートや短篇のことなんか、もう意図も何にも覚えてなくてもしょうがなさそうだが、聞き手の日下三蔵さんがあれはどうだこれはどうだと作品名を上げると「ああ、あれはね」と当時それを書くことになった経緯や、意図や狙いを解説してみせる。もちろ

このフリガナって多分、フリガナが誰のためで、その相手にどう表現したら伝わりやすいかを考えた結果こうなったんだよね。やっぱり日本語面白いな。 http://t.co/pNS7XpFFjX

聖痕 [著]筒井康隆 1973年、5歳の葉月貴夫は突如襲われ性器を切断される。彼の神々しいまでの美貌(びぼう)に魅入られた変質者による凶行であった。「聖痕」、貴夫は喪失の跡をそう名づけ、やがて自らの存立基盤として受容していく。石油危機の年に開始されたこの喪失譚(たん)は、高度成長という高揚感時代の終焉(しゅうえん)を示唆する。東京タワーのごとく高く、新幹線のごとく速く。これらの欲望を実現させてきた高い成長率は、たしかにこの年失われた。だが人々の欲望はなおもいきり立ち、拡大し続ける。日本人にとって73年とは、欲望とそれを可能にしていた条件とが分裂し始めた年であったのだ。 やがて貴夫の美しさは、男女問わず周囲の人間の欲望を喚起し、運命を翻弄(ほんろう)していく。一方、他人の欲望を理解できない貴夫は、芸術表現にすら下等な性欲衝動を感じ、興味を抱かない。自己表現への根源的欲望も欠落しており、唯一純

『中央公論』に載っている谷崎賞の選評で、筒井康隆氏が、原爆を描けば新聞などでとりあげられやすいが、賞を与えるべきなのは、文学的新しさを持ったものであり、この作品はそうは思えないし、今までの作品数からいって、果たして谷崎賞にふさわしいのだろうか、と書いている。さすが筒井さんだと思ったけれど、これは、文学を知っている者なら誰でも思うことで、その程度のことを、筒井康隆でなければ言えなくて、「さすが」などと思ってしまう、これはもう、文壇の頽廃ではあるまいか。既に谷崎賞では、候補作には触れないことになっているから、他の候補作については知りえないが、まあ私にはどうでもいいことだが、臍を噛んでいる中堅作家の姿が目に浮かぶ。 - 間違いの指摘にも、いいやり方と悪いやり方がある。まず、heuristicな指摘とそうでないものがあるが、それは必ずしも指摘の仕方のよしあしとは関係ない。heuristicといって
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