「変革への意思や体制強化計画が評価された。大変光栄に思うとともに、身の引き締まる思いだ」 9月1日、政府の10兆円ファンドの支援対象となる「国際卓越研究大学」の最終候補に選ばれた東北大学の大野英男学長は、記者会見で喜びを語ると同時にそう自己評価してみせた。正式認定にはまだプロセスが残るが、東京大学や京都大学を差し置いて事実上、卓越大の第1号に内定した。今後、長期にわたりファンドから年間数百億円の支援を受ける見込みだ。 政府からの覚えがめでたい 文部科学省が公表した審査結果の東北大学の箇所を読むと、若手研究者が挑戦できる機会の拡大に向けて若手の安定雇用を推進する「テニュアトラック制度の全学展開を図っていること」が、評価ポイントの1つとして挙げられている。 テニュアトラック制度とは、平たく言えば若手研究者をまず試用期間にあたる3~5年程度の有期雇用で雇い、公正な審査を受ける機会を与えて、それに

「オーバードクター」の死… 九州大学箱崎キャンパスで発生した火災現場から発見された遺体の身元が、46歳の元学生であることが明らかになった。 福岡市東区箱崎6丁目の九州大箱崎キャンパスで7日朝に研究室を焼いた火災で、福岡東署は15日、焼け跡から見つかった遺体は研究室に出入りしていた同区の職業不詳の男性(46)と発表した。署によると、死因はやけどによる火傷死。男性が放火、自殺したとみて調べている。 出典:西日本新聞記事 記事によれば、研究者を志したものの貧困に苦しんでいたという。 詳細はみわよしこさんの記事にまとめられている。 九大箱崎キャンパス放火・自殺事件~「貧困」という切り口から見えてくるもの いったい何が起こったのか… 記事によれば、男性は大学院中退後も研究者を志していたという。いわゆる「オーバードクター」だったといえるだろう。 「オーバードクター」とは、「大学院博士課程に三年以上在学

三角フラスコを持つ科学者。チリ・サンティアゴの研究所で(2015年11月4日撮影、資料写真)。(c)AFP/MARTIN BERNETTI 【5月23日 AFP】人は魅力的な容姿の科学者の研究に対してより強い関心を示すが、その能力についてはより平均的な容姿の科学者よりも劣っているとみる傾向があることを示唆する研究論文が22日、発表された。 【編集部おすすめ】イケメンでなくても「クリエーティブ」ならモテる、英研究 米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に掲載された論文は、専門家による講義の動画をインターネットで配信するTED talksなど、インターネットを通じた関わりが増す現代において、とりわけ科学の分野では、人が他人を見た目で判断しやすいという実態が浮き彫りになったとしている。 英ケンブリッジ大学(

私は以前、研究者として働いていました。そして長い間、自分はずっと研究者を続けていくのだと思っていました。でも、ある時ふと思い立って、研究者を辞めて別の職に就きました。今、その過程を振り返って書いてみます。 これから研究者になろうと思っている方や、今すでに研究者で、これから続けるかどうか迷っている方などに特に読んで欲しいと思って書きます。それ以外の方でも読み物として楽しんでいただけたらと思います。 読む前に注意してほしいこと 読む前に注意していただきたいことが2点あります。まず、この文章は一個人の体験および感想に過ぎず、決して日本の研究者を代表して書いているつもりはありません。研究者の方がこの文章を読んで、「俺の環境はそんなじゃない」とか「私はそんな風に思わない」とかあるかと思いますが、それも当然のことですので、あらかじめご了承ください。 もう1点、この文章は「誰も知らなかった研究業界の打ち
阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2012年7月 6日 [leaks]慶応義塾への第2公開質問状 6月にお送りした質問状に、たった1行「お答えできません」という大変示唆的なご回答をいただきまして有り難うございました。さて、このブログで予告しましたように、経歴詐称問題を義塾の他の教員の方々にも戦線を拡大していこうかと存じます。どこにでもホイッスル・ブロワーはいるもので、弊誌に以下のような情報が寄せられました(もちろん弊誌は独自に確認作業を行っており、この内部告発は一部加筆および削除を加えてあります)。 中村伊知哉(大学院メディアデザイン研究科)教授の盟友の菊池尚人(同研究科)准教授も、DMC途絶後もずっと「KMD准教授」とし続けていたので、調べてください。こちらはキム氏の経歴詐称が話題になった後に「特任準教授」に直していますが、たしかその前は特別招聘准教授でしかなかったはず。でも自
この春、博士の学位を取得できた。しかしながら学振は不採用、ポスドクの公募も次々に敗れ、また、東北の震災の影響で応募していた採用枠そのものが消えるなどして(そう聞いている)、ついに野良博士となってしまった。 他大学には、就職できなかった学位取得者に対して大学が1年間だけ雇用する制度があると聞いたが、"僕が所属する研究室のある大学"にそのような制度はない。僕は客員研究員という、無報酬の立場で研究を続けることを選択した。 この立場の博士を何名か知っている。彼らは塾講師などのアルバイトで生計を立て、奨学金制度を利用して予算をまかない研究を続けているらしい。新年度、4月を目前に、僕もまたそのような選択を覚悟したところであったのだ。 3月末に開催された某学会での発表は反響があった。「面白いじゃないか」と声をかけて下さる先生もいた。その日の懇親会では、この情けない無職っぷりを、恥を捨ててアピールしまくっ
先日、東京大学大学院工学系研究科の教員であるアニリール・セルカン氏が経歴を詐称しているのではという疑惑が持ち上がった。この問題について東京大学が調査を行い、その結果学位取得論文に大幅な不正行為がみられたとして、セルカン助教の工学博士の学位を取り消したと発表した。 東京大学の発表によると、 当該学位請求論文のうち約4割が「他者の著作物から盗用した」ものその主要な部分についても約4割が既発表の文献資料並びにウェブサイト上に公開されている文章もしくは図表を盗用したものだった出典不記載に止まらず、自らの創作物であるかのように偽装した悪質な盗用と判断できる箇所が11箇所、その疑いがあると判断できる箇所が計10箇所存在する だったという。これだけ大きな盗用を行いながら、誰もそれに気付かなかったということに驚きを隠せない。
「事業仕分け」によって、若手研究者への助成金に大鉈がふるわれた。 それについての記事が配信されてきたので、採録する。 「来年度予算の無駄を洗い出す行政刷新会議の事業仕分けで、文部科学省の若手研究者育成事業が「削減」と判定された。博士課程在籍者らに経済的不安を感じさせず、研究に専念させることを狙った事業だが、「成果目標が明確でない」などとみなされた。 このままでは研究が立ちゆかなくなる――。京都大大学院生らは、予算削減に反対する要望書を文科省に送る「メール作戦」に乗り出した。 3日夜。京都大のキャンパスの一室に、人文・社会科学系の院生ら7人が集まった。メンバーは「予算削減は若手研究者の意欲を喪失させ、科学の発展を損なう」などとする要望書を練り上げた。要望書に各自の主張を書き加えて、文科省にメール送信し、財務省に働き掛けてもらうことを決めた。 他大学院などの研究者らにも要望書を送り、メール作戦
国立や独立行政法人の研究機関に所属する研究者の7割が今後の研究環境に不安を感じていることが、研究者の労働組合でつくる国立試験研究機関全国交流集会実行委員会の調査で分かった。「抑うつ」「焦燥感」など健康状態に問題を感じる研究者も7割近い。最近の早期結果を求める成果至上主義に、強い不安や閉塞(へいそく)感が広がっているとみられる。 4~5月、インターネットで調査。実行委に所属する労組のうち15単組736人が回答した。男性83%、女性17%で、終身雇用の研究者は93%だった。 今後の研究環境に不安を感じると回答したのは71%。「役立つ成果ばかり求められ、基礎研究の研究費が得にくい」「失敗を許容する雰囲気が薄れつつある」などの理由を挙げた。不安を感じない人は4%だった。 また、疲労感や無力感、孤独感など65%が何らかの問題を抱えていた。具体的には「生きていく自信がない」「軽いうつと診断された」「睡
遠距離恋愛5年目の彼は38歳、6年前に国立大文系の博士課程を出て 3年前から大学の非常勤講師を数コマと、バイトをしています。 非常勤は彼の専門分野ではなく各々違う授業内容で、準備が大変そうです。 私は30歳で休日もとれないような仕事ですが、楽しくて当分結婚は考えていません。 彼は結婚したがり、今は薄給なので常勤になったらすぐにでもと言います。 そんな彼に疑問が沸いてきました。 授業準備は大変そうなのですが、土日はオフで趣味。平日は準備以外は趣味。 大学が休暇の期間はバイトだけなのでのんびり。 論文は書いていなさそう。5年間学会発表もしていません。 聞くと、「専門分野によって違う。」と。 博士号は仕事には関係ないから、もうしばらく後でいいとも言います。 小町内では、論文に追われ寝る暇もない、論文の数で実績が… とよく見るのですが、文系は違うのでしょうか? 非常勤の仕事をきちんとこなしていれば
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