いろいろな本が本棚や床のうえで冬眠している。母が、読み終わったから次に読む?と送ってくれたゲーテの『若きウェルテルの悩み』も『親和力』も、いつかいつかと思っているドストエフスキーもシェイクスピアも。古典といわれる文学たちが新しい文学たちとの間にはさまり静かに本棚に佇む。 細かい文字が読みづらくなってきて、おやおや・・と自分で自分にびっくりする。本を読むということがあたりまえのようだったが、実は読むための自分の部品に限りがあることがあたりまえということにびっくりする。そして背表紙を眺めてかんがえる。 新しい文学も読みたいが、やはり部品が故障する前に古典は読みたい......。それから、十代、二十代のときに読み、どこに感動したのかは憶えていないのに、そのときの衝撃だけは強く憶えている、あの文学たちを、あのときと同じ出版社の、あのときの判型やデザイン、書体のままで、揺らめく古書の薫りとともに、も

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