世界トップレベルの研究水準を目指して国が新たに支援を行う「国際卓越研究大学」について文部科学省は、初の認定候補としていた東北大学が、有識者会議による検討の結果、認定の水準を満たしたと発表しました。ことし10月以降に正式に認定され、今年度中におよそ100億円の助成が開始される見込みです。 「国際卓越研究大学」は、国が設立した10兆円規模の基金「大学ファンド」の運用益を活用し、世界トップレベルの研究水準を目指して重点的に支援する大学で、去年8月、東北大学が初の認定候補として選ばれました。 その後、海外の大学の学長経験者などからなる有識者会議は東北大学が策定した計画の細部について具体的な検討を行ってきましたが、文部科学省は14日、有識者会議が東北大学は「国際卓越研究大学」の認定の水準を満たすと判断したと発表しました。 文部科学省は、国立大学法人法の改正が施行されることし10月以降に必要な手続きを

文部科学省は9日、国立大学の教育研究や経営改革の成果を相対評価して運営費交付金を傾斜配分する新方式について、2019年度の各大学の評価結果を公表した。全86大学のうち16大学については、引用回数が多い論文をより低コストで生み出せた大学を高く評価。東京工業大が最も高い評価を受け、計4大学の交付金を上積みした。19年度の交付金の総額は18年度と同額の1兆971億円。各大学の規模などに応じて交付する

2019年度の入試は楽観できない(※写真はイメージ)この記事の写真をすべて見る 数値は6月15日現在、河合塾調べ(分離・分割方式ではなく独自日程で実施されている大学は含まれない)※資料作成:河合塾 大学の出口である就職環境は今や「売り手市場」といわれるほど好転したが、逆に大学の入り口は狭くなってきた。特に私立大学の文系は併願校が全滅というケースもあるという。アエラムック「就職力で選ぶ大学2019」の取材で、大学入試が難化している理由を探った。 【私大が難化? 2018年国公私立大の入試結果はこちら】 * * * 「ここ2、3年の都市部の私立大学合格者数の絞り込みが予想以上にすさまじく、入試の難化が顕著です」 と話すのは、ベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の渡邉慧信さんだ。 「理系学部は変わりないが、私大文系の入試が極端に難化してきた」という。例えば進研模試の偏差値

2020年度に始まる「大学入学共通テスト」に導入予定の民間英語試験(認定試験)を東京大学が活用するかどうかに注目が集まっている。この問題では、東大ワーキンググループ(WG)が7月、「活用しない」を最優先とする答申を五神真学長に出し、文部科学省が8月、実施に向けた進捗状況を公表した。こうした現状に対し、高大接続改革の設計に当たってきた安西祐一郎・中央教育審議会前会長は「答申が採用されて英語入試が矮小化されるなら、東大は時代の牽引者として国民が負託すべき大学に値しない。そんな大学に多額の税金を注入する必要はない」という。東大の責任とは、何か。(聞き手・読売新聞専門委員 松本美奈) ウェブ上で「交論」しませんか。(サイト上匿名もできますが、名前、職業、年齢、連絡先は明記を) メール送信先 daigaku2014@yomiuri.com ■英語入試についての民間委託試験の活用 ――2020年度、つ

経営が厳しい私立大学が増える中、文部科学省はこれらの大学に対し債務超過の危険性などが確認できた場合、学生の募集停止や学校法人の解散といった指導を行うと通知しました。 具体的には、まず大学経営が3年連続で赤字となったり借入金が預貯金より多くなったりした場合、文部科学省の委員会が大学が提出した経営改善計画などをもとに3年間をめどに改善に向けた助言を行うとしています。 しかし、それでも経営が改善せず債務超過に陥る危険性が確認された場合は、学生の募集停止や学校法人の解散といった指導を行うとしています。 大学経営に詳しい東京大学大学総合教育研究センターの小林雅之教授は「私学助成金という税金が投入されている以上、国は指導や助言は行わなければならない。一方で、教育の問題は経営とは別で大学の自主性は尊重されるべきだ。文部科学省による画一的な指導は問題になるだけだ」と話しています。

科学技術白書がようやく日本の学術的発信力の低下を認めた。 それについて『サンデー毎日』に所見を寄稿した。もう2週間前なので、採録。 先日発表された科学技術白書がようやく「わが国の国際的な地位の趨勢は低下していると言わざるを得ない」ことを認めた。 「引用回数の多い論文の国際比較で日本は10年前の4位から9位に転落した。論文数も減って2位から4位になったが、4倍に増えた中国はじめ主要国は軒並み増加している。」(毎日新聞、6月14日) 各国の政府の科学技術関係予算の伸び具合を00年と比べると、中国が13.48倍(2016年)、韓国が5.1倍(同)、日本は1.15倍(2018年)。博士課程への進学者はピークの03年度を100とすると2016年度は83。海外派遣研究者の数も00年を100とすると2015年度で57にまで減った。注目度の高い研究分野への参画度合い(14年)では、米国91%、英国63%、
「三つのポリシー(方針)」という言葉をご存知だろうか。一般の方には馴染みがないとは思うが、今や大学関係者であれば、誰もが知っている。大学の理事はもとより、学部長や学科長といった多少ともマネジメントに関わる教員であれば、できれば神棚に奉っておきたいと思っているだろう。 なぜなら、それが「タテマエ」の領域を踏み越えて、大学教育の「現場」をかき回すようになると、相当に厄介な代物であることに気づいているからである。実際、近年の文部科学省による高等教育政策は、三つのポリシーを「ホンネ」として活用させることに躍起になっているので、事態はなおさら悲観的である。 さて、三つのポリシーとは、いったい何なのか。それは、大学教育にいかなる影響を与えるのか。今回の記事では、この点について論じてみたい。 三つのポリシー(方針)とは? 端的に言えば、現在、各大学が策定し、公表することを義務づけられている「ディプロマ・

国立大学の収入の3~4割を占める「運営費交付金」の配分が決まり、文部科学省が9日、発表した。2016年度からは、大学を目的別に3分類し、取り組みに応じて交付金の一部約100億円を配分する。 年間約1兆1千億円の運営費交付金はこれまで、おおむね大学の規模などに応じて機械的に決められた。今回は、従来大学が受け取ってきた運営費交付金の1%程度をあらかじめ減額。生じた約100億円を再配分した。 文科省は、今後6年間で国立大がめざす方向性を「地域に貢献」(55大学)、「全国的な教育研究」(15大学)、「世界で卓越した教育研究」(16大学)に分け、各大学に改革方針を提出させた。16年度はこの内容を評価し、17年度以降は実行状況に応じて配分を決めるという。各大学が同じように「ミニ東大」になるのではなく、特色を持たせて競わせるのが狙いだ。 再配分額について従来の額と比べると、全86大学のうち42大学が増額

9月24日付本連載記事『安倍政権、大学教育を破壊するトンデモ改革!教育の自由をはく奪し、金で頬を叩く』で、現在進められている国立大学改革を紹介した。安倍政権は、「今後10年間で、世界大学ランキングトップ100に10校以上をランクインさせる」という目標を設定し、国立の各大学が重点支援のための3つの枠組み「地域貢献」「特定分野」「世界水準」のいずれかを選択し、その枠組みのなかで改革の取り組み状況等について評価を行い、国立大学運営費交付金のメリハリある配分を行うことを打ち出した。 これは、3つの枠組みのいずれかで成果が挙がれば交付金が増えるという「金で頬を叩くことで、言うことを聞かせる政策」であり、国立大学教育の自由度を著しく損なう。結果的に86の国立大学のうち、全体の3分の2近い55大学が地域貢献を選択、特定分野を選択したのは15大学、世界水準を選択したのは16大学となった。 確かに世界水準を

英国の教育専門雑誌が発表した世界の大学ランキングで日本勢の退潮が顕著に。政府はトップ100に10校の目標を掲げるのにトップ200にいた5校が2校に激減。これは国立大の研究活動を低迷させた文科省の責任です。読売新聞によると《下村文部科学相は2日の閣議後記者会見で、「論文引用の日本の地位が低下傾向にある。留学生や外国人教員の比率も国際的な評価が低く、文科省も大学も危機感を持たないといけない」と述べた》のですが、元凶がご自身である点に気付きません。 工学系の論文数で日本が韓国にも負けるようになったのでは、世界に伍していけるはずがありません。《これはやばすぎる:日本の工学系論文数はすでに人口5千万の韓国に追い越されていた!!》(ある医療系大学長のつぼやき)の分析をご覧ください。かつては得意としていた物質科学、エンジニアリング、コンピュータ科学の分野で韓国に置いて行かれました。 論文数全体でも先進国

文部科学省は8日、全86の国立大学に、既存の学部などを見直すよう通知した。主に文学部や社会学部など人文社会系の学部と大学院について、社会に必要とされる人材を育てられていなければ、廃止や分野の転換の検討を求めた。国立大に投入される税金を、ニーズがある分野に集中させるのが狙いだ。 国立大には、法人化された2004年度以降、6年ごとに「中期目標」を作って文科省に提出する義務がある。6月末が16年度からの目標案の提出期限で、大学の認可を受けるには、目標が通知の趣旨に沿っている必要がある。 通知は「特に教員養成系や人文社会科学系学部・大学院は、組織の廃止や社会的要請の高い分野に転換する」ことを求めた。例えば、人文社会系の卒業生の多くがサラリーマンになるという実績を踏まえ、大学は地元で必要とされている職種を把握。需要にあった人材を育てる学部に転換するなどといった想定だ。 文科省によると、自然科学系の…

政府は、ことし夏に取りまとめる成長戦略に、全国各地にある国立大学について、卓越した教育や研究を推進する大学、地域のニーズに応える人材育成を推進する大学など3つに分類し、運営費交付金の配分方法を見直すことなどを盛り込む方向で調整に入りました。 具体的には、▽世界トップの大学と肩を並べて卓越した教育や研究を推進する大学、▽分野ごとのすぐれた教育や研究の拠点となる大学、それに▽地域のニーズに応える人材育成や研究を推進する大学など、各地にある国立大学を3つに分類するとしています。 そして、規模などに応じて国立大学に配分していて、毎年度合わせておよそ1兆1000億円となっている運営費交付金について、来年度からメリハリを付けるとしています。 また各大学に自己改革を促すため、学長の裁量で決められる経費を設けることも盛り込む方針です。 政府は、15日開く産業競争力会議の課題別会合で議論し、今後、具体化に向

大学とは、「稼ぐ力」を身につける場所 文部科学省の「第1回実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」(2014年10月7日)でなされた提言が議論を呼んでいるという。 大学を「グローバルで通用する高度なプロフェッショナル人材」を輩出するG型(グローバル)と、「ローカルな労働集約型の産業で生産性向上に資するスキル保持者」を輩出するL型(ローカル)に分別して再編すべし。ごく一部のトップ校、学部以外はL型大学と位置づけて、職業訓練機能を強化せよ――。 これが提言の骨子。今の大学教育から生み出される人材と現実の経済社会が求める人材のミスマッチはよく指摘されていることだし、私もそれは強く感じる。 義務教育の目的が憲法で言うところの「最低レベルの生活ができる能力の付与」だとすれば、なぜ高校まで義務教育にしないのか、そもそも高校はどんな位置づけにあるのか不明である。大学教育の目的

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