日本人の本の「読む量」は減っていない。「買う量」が減っている。『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』... 2024年4月に刊行された三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(『なぜはた』)は30万部以上のベストセラーになった。『なぜはた』では日本人は働きすぎで、新自由主義的な価値観(自己責任論など)を内面化しているせいで読書量が減っている、と分析して多くの人の共感を呼んだ。 しかし同書が破格の部数を叩き出し、「あそこに書かれている内容が正しい」と思われてしまうことは、出版業界の課題解決につながらない。筆者にはそうした危機感がある。 それが「本を売る」こととどうつながるかといえば、誤った現状認識の上に施策を組み立てても効果が薄いからである。 とはいえ、問題は『なぜはた』だけにあるのではない。『なぜはた』は出版業界をめぐる議論の「よくある」誤りを踏まえている部分が多いからだ。 ※なお

NotebookLMなどのAIに助けてもらいながら読むことのできるDRMフリー(テキスト抽出可能)なPDFまたはEPUBで本を売っているところのリストです(順不同)。ほかにもあったら教えてください。技術評論社 オライリー・ジャパン ラムダノート 翔泳社 CQ出版社 達人出版会(オーム社、アスキードワンゴ、近代科学社、近代科学社Digitalの委託販売も) インプレス サイエンス社 明治図書 ボーンデジタル マイナビ Manatee(インプレス、C&R研究所、BNN、ボーンデジタル、マイナビ出版、リックテレコム、共立出版) TAC出版 ラトルズ BOOKTECH技術書典 エクスナレッジ・ストア ほかにBOOTHやDLsiteにもいろいろありそうです。 おまけ青空文庫(著作権の切れた本をテキスト/HTMLで提供)プロジェクト杉田玄白(青空文庫の翻訳版) コンプリート・シャーロック・ホ
Amazonを見たら、新刊の予約ページはできていました。 「GarageBandとSunoAIではじめる曲作り入門」(2750円)は2025年8月29日に発売予定……。 ううう……。 さて、どうするか。出版契約も結んでいないので、いったんバラしてNoteあたりで売るか、Amazon KDPでやるか、他の出版社に持っていくか、選択肢もないわけではないのですが、締切の存在があるのとないのとでは突破力が違うんですよね。 せっかくなので、未定となった書籍の冒頭部分原稿をコピペしておきます。 「GarageBandとSunoAIではじめる曲作り入門」(仮称)音楽の作り方は決定的に変わったこれまで筆者は何度かテレビに出演したことがあります。2011年にエイベックスなどが主催する音楽コンテストで決勝に勝ち残ったのをきっかけにフジテレビの深夜番組に出たのが最初でした。このときにはiPadでGarage

(2024/04/11記) 近年の大学でのテキスト(教科書)販売の動向をめぐっては、特にコロナ以降、注視し、割としつこく書いてきた。2022/06/07に「教科書販売の憂鬱」、2022/12/30に「2022年の総括」、2023/05/28に「生態系の変化」といった具合である。 時系列で要旨をまとめると以下のようになる。 1)長らく低迷・漸減してきた教科書販売は2020年と2021年には例外的に下げ止まり、とくに2020年は近年まれに見る売れ行きを見せた。 それはコロナ禍によるリモート授業と大学に通えないことへの不安から、学生たちが心の拠り所としての教科書にすがったことで起こったイレギュラーな出来事だった。 2)2022年は学生の質と大学の対応によって売上に大きな差が生まれた。私はそれを「2019年までと同じ元の木阿弥の大学」「2020年並みの堅調だった大学」「2021年よりは緩やかに後

必要な論文が読めない――。学術誌の購読料が高騰し、購読契約を打ち切る大学が出ている。それならばと近年、論文をインターネット上で無料公開する見返りに「掲載料」を取る出版社が増え、研究者から「二重取りだ」と不満が高まっている。 学問の成果は人類の共有財産ともいうべきもの。「出版社はもうけすぎ」との批判も聞かれる。出版社側はどう考えているのか。国際科学誌のトップに君臨する「ネイチャー」発行元の日本法人社長を直撃した。 「研究者サポートが役割」 取材に応じたのは、英国とドイツに拠点を置く学術出版大手「シュプリンガーネイチャー」の日本法人社長、アントワーン・ブーケ氏。東京都港区の同法人オフィスでインタビューすることができた。 「私たち出版社の役割は研究者のサポートだ。研究者が研究し、迅速かつ効果的に出版できるよう支援するサービスを提供している」。穏やかな口調で切り出したブーケ氏はこう続けた。「研究サ

【読売新聞】 読売新聞社は、27日から始まる「秋の読書推進月間」に合わせて全国世論調査(郵送方式)を実施した。全国の市区町村のうち約3割が、地域に書店がない「無書店自治体」となっていることについて、改善の必要があると「思う」とした人

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TDB企業コード:982054551 東京都中央区旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行 新型コロナウイルス関連倒産 特別清算開始命令受ける 負債10億4977万円TDB企業コード:982054551 | 東京都中央区 |旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行 新型コロナウイルス関連倒産 | 特別清算開始命令受ける 負債10億4977万円 「東京」 (株)ダイヤモンド・ビッグ社(資本金1億円、登記面=渋谷区神宮前6-12-17、代表清算人三橋和夫氏)は、5月19日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。 当社は、1969年(昭和44年)9月に設立された。出版大手の(株)ダイヤモンド社(TDB企業コード:985181931、渋谷区)の子会社として、旅行ガイドブックの編集・出版の受託制作を手がけ、『地球の歩き方』『地球の歩き方リゾートスタイル』『地球の歩き方ポケット』などを発行していた。特
ダイヤモンド・ビッグ社倒産 「地球の歩き方」出版2023年05月30日17時28分配信旅行ガイドブック「地球の歩き方」 帝国データバンクは30日、旅行ガイドブック「地球の歩き方」を出版していたダイヤモンド・ビッグ社(東京)が東京地裁から特別清算開始命令を受けたと発表した。19日付。負債総額は2022年3月末時点で約10億4977万円。 コロナ禍支えたゼロゼロ融資 「ゾンビ企業」は増加―返済ピーク、事業断念も 同社は出版大手ダイヤモンド社(同)の子会社で1969年9月に設立。新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限なども影響し、業績不振に陥っていた。出版事業は2021年に学研ホールディングスのグループ会社に譲渡し、今年3月の株主総会で解散を決議していた。 経済 コメントをする 最終更新:2023年05月30日18時15分

目次 「出版流通は、もはや既存構造では事業が成立しない」紙代は、恐ろしい勢いで上昇した1000円台の新書が増えている相次ぐ雑誌の休刊…社員が半年に1度ぐらいのペースでやめる週刊誌の「量と質」の低下に嘆き無料メディアも勢い失う「PV広告単価、昨年の半分に」なぜ有料メディア化に失敗するのか 「出版流通は、もはや既存構造では事業が成立しない」「出版流通はもはや既存構造では事業が成立しない。市場の縮小に、トラック運転手の労働時間規制を強化する『2024年問題』が重なり、本を運ぶ費用を賄えない」(日経新聞5月24日)――こう話すのは、出版取次大手トーハンの近藤敏貴社長だ。トーハンは、2023年3月期の出版流通事業が4期連続で経常赤字になることが見込まれていて、出版各社に書籍や雑誌の運搬費の値上げを相談するという。 物流業界で、今、大きな問題となっているのが「2024年問題」だ。ブラック化しているトラ

今年の正月に,本を書こうと唐突に決心した.長年ある本を書いてみたいと思っていたのである.それは,直近に実現したい夢の一つでもある.内容は,自分の専門分野の教科書のようなもので,学生のころ読んだある教科書を理想としてイメージしている.まあ,今のところは,仮に書き終えたとしても出版してくれるところがあるかどうかは分からない. そこで,数年前に一部で話題になった,Paul J. Silvia の「How to Write a Lot: A PracticalGuide to Productive Academic Writing」(如何にして多く書くか ― 学術書の生産的執筆への実践的ガイド)という本を,今年の初めに読んでみた.それから8か月以上も経ってしまったが,自分のため,また,本ブログを読んで下さる方への有用な情報の発信のため,ここに本書の内容を簡単にまとめてみたい. 著者 Paul J
このたび、清水俊史氏の『上座部仏教における聖典論の研究』(以下、『聖典論』)が弊社より刊行されることとなりました。本書『聖典論』をめぐってはかねてから、さる先生を中心に異様な盤外戦が繰り広げられ 、間違った情報が意図的に流布されており、出版元である弊社としましても大変困惑しております。正確な状況を説明する必要性を感じましたので、極めて異例のことではありますが、今回、弊社は公式な声明を発表することと致しました。 2016年に『聖典論』の刊行が社内で決定した後、2017年4月に清水俊史氏より「さる先生から自分に研究不正があるとの指摘を受けた」との報告が弊社にありました。それに前後して、弊社に対しても、そのさる先生から『聖典論』の出版を取り止めるようにとの連絡を数度にわたり受けました。 両者の申し立ての後、弊社は、第三者委員会を立ち上げ、複数の専門家に双方の資料を精査していただいたところ、全会一
「止まらない本離れ」「街から本屋が消える」……。暗い話が目立つ出版業界だが、そんな“衰退論”を覆そうとする人々がいる。顧客が本に出合う場を変え、出合い方を変え、出合う意味までも根本から考え直す。そこには他業界にとっても価値がある、人口減時代に生き残るマーケティングのヒントがある。 2020年1月31日~2月1日の2日間、東京・二子玉川駅直結の商業ビルに挟まれた半屋外広場「二子玉川ライズ ガレリア」が、大勢の人でごった返した。建物の間を冷たい風が吹き抜ける中にもかかわらず、来場者は昼から夜まで途絶えない。目当てにしているのは、その場に集まった40店の「本屋」だ。 このイベント「二子玉川本屋博」は、二子玉川の蔦屋家電を中心とする実行委員会が、独自の選書や販売の工夫で知られる全国の書店の協力を経て初めて実現したもの。出店者はブックオフコーポレーションが展開する「青山ブックセンター」のような有名

書籍をまったく読まない人の割合がここ数年で急増している。特に若者の比率上昇が顕著であることから、若者が本を読まなくなったことが市場縮小の原因と考える人も多い。だが、本当にそうだろうか。日本の経済状況を考えると、若者は本を読まなくなったのではなく、読みたくても読めない状況と考えた方が自然だ。(加谷 珪一:経済評論家)電子書籍が拡大するも紙の衰退に追いつかない 国立青少年教育振興機構が、全国の20~60代の男女5000人を対象に行った調査によると、1カ月の間にまったく紙の本を読まなかった人は全年代合計で49.8%にのぼった。2013年に行われた同様の調査では28.1%だったので、紙の本を読まない人が大幅に増えたことが分かる。まったく本を読まない人の増加率は20代がもっとも大きかったので、一部のメディアでは「若者の本離れ」などと報じている。 一方で、タブレットやスマホを使って本を読む人は年々増

「ヤベェ本を買ったぞ……」 たった一つのツイートをきっかけに、創業100年を超える老舗出版社でちょっとした騒動が起きた。 この「ヤベェ本」とは、平凡社が出版する学術書「有職装束大全」のことだ。日本に伝わる有職装束研究の第一人者である八條忠基さんが執筆した全320ページの大作で、2018年6月の発売以来、装束研究者を中心に高い評価を得ている。初刷は3000部で在庫はじわじわ減っていき、19年9月時点では数百部が残る程度だったという。 9月21日に冒頭のツイートが投稿されると、その状況が一変した。 同書を購入したrobin(@robiiiiiimmm)さんが「ヤベェ本を買ったぞ…」と有職装束大全の魅力をTwitterで紹介。この投稿は2万8000件以上のリツイートと6万3000件以上のいいねがつくほど拡散され、3連休明けの24日には日本全国の書店から大量の問い合わせが平凡社に押し寄せ、数百部あ

理工系の研究者に本を書いてもらい、出版の手助けをするのが私の仕事である。しかし、理工系研究者*1たちからは、本を書く時間なんてとてもないよ本を書く暇があったら研究をしたい という声を聞くことが多々あり、その頻度は年々増えているように思われる。それでも無理やり時間を作って本を書いてもらおうと思えば、 そもそも、今の時代に本(教科書・専門書)を書く意味がどれほどあるの? という疑問に対して、納得できる回答をしなければいけない。これによい答えを用意できるかどうかは、理工書出版というビジネスの存続においても、その一員としてこの先仕事を続けるうえでも、死活問題だ。 以下は、この件についての現段階での考えをまとめたメモである。 ※言うまでもなく、所属企業の見解ではありません。 ※下記の記述には、職務上知り得た情報は含まれておらず、一般に公開されている情報だけをもとに書いています。 ※とても不完全な
執筆依頼を送ると「一人じゃ書けないけど、知り合いにも一緒に書いてもらったらできるかも」という返事を頂く事があります。要するに「単著」ではなく、「共著」という事です。しかし共著は単著に比べてデメリットが多く、完成に至らないまま中止・自然消滅に至ることがかなり多く、基本的にはお断りしています。 もちろん世の中には執筆者それぞれの、当人にしか知り得ない専門性を活かした、論文を集めた本もあります。良い論文でも短いと、複数集めて本にする以外にないという事もあります。しかしこの様な論文集も完成に至るまでには、編者や編集者が多大な苦労を強いられている事はあまり知られていません。 そこで今回はなぜ共著が単著より難しく、デメリットが多いのかを説明したいと思います。安易な気持ちで共著にはしない方が良いと思いますが、もしどうしてもそうなってしまった場合、以下に述べる点を前もって気に留めて頂ければ幸いです。 ・当
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