川口則弘さんから新刊『ワタクシ、直木賞のオタクです。』(バジリコ)が届いた。 すでにブログに書いたもの、と聞いてはいたが、やはり読んでないものもあり、読んでいると、有馬頼義の、直木賞をとったあと一年近く注文がなくて苦しんだ、という述懐が間違い(嘘)であるという記述があり、おおっ、出ました文学的被害妄想、と思ったのである。 『川端康成伝』で紹介したが、林芙美子が死んだあとのしのぶ座談会で、林が、『放浪記』で世に出たあと、『新潮』に書かせて貰うまで二十年かかったと言っていた、という話が出ている。だが、実際にはほどなく書いていたし、誌名の間違いかと思ったが、林は最初から『中央公論』『改造』その他主要な雑誌には寄稿しているのである。 また『江藤淳と大江健三郎』に書いたが、江藤淳は『夏目漱石』を出したあと、中村光夫に会って、「注文はあるかい」と訊かれて、「いえ、全然ありません」と答え、中村が「そうだ
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