現代文明は石油の上に成り立っているといってよい。この石油というしろものは、生物が関与してできたものでありながら、現在の生態系には組み込まれていない。そのため文明が発達すればするほど、海洋汚染や二酸化炭素の増加による温暖化を引き起こし、生態系のバランスを崩すものと考えられてきた。 しかし、人類が放出した二酸化炭素を逆に石油に変え、生態系のバランスを取り戻す微生物が、静岡の油田のまっ黒なタールの中にいた。それが、私たちが発見した、廃液処理などに活躍しているシュードモナス属の細菌の仲間である。 油田に注目したのは、海洋汚染のなかでも近年クローズアップされてきた、タールボールの処理のためである。海に流出した石油は、物理的に取り除くか、界面活性剤で分散させて微生物で分解するしかない。 (写真1) 石油を取り込んでいるときのHD-1株。栄養培地では凹凸に富んだ厚い細胞膜に覆われた細胞構造をとる。細胞内

資源エネルギー庁は、将来の国産天然ガスの資源として期待されている「メタンハイドレート」について、愛知県と三重県の沖合で世界で初めて海底からのガスの採取に成功したと発表しました。 発表によりますと、12日午前9時半ごろ、愛知県と三重県の沖合で、国の委託を受けた独立行政法人のJOGMEC=石油天然ガス・金属鉱物資源機構が中心に進めているメタンハイドレートの試験開発で、海底より数百メートルの深さの地層から天然ガスの採取に成功しました。 資源エネルギー庁によりますと、海底にあるメタンハイドレートからの天然ガスの採取は世界でも初めてということです。 メタンハイドレートは、天然ガスと水が結びついてシャーベット状になった天然資源で、「燃える氷」とも呼ばれています。 日本近海の海底でも埋蔵が確認されているため、将来の国産天然ガス資源として期待が高まっていて、政府はこのうち愛知県と三重県の沖合で、ことし1月
太陽電池の効率を高める仕組み 太陽光発電の能力をいまの2倍以上に高める技術を京都大が開発した。特殊なフィルターを使い、太陽光の熱を発電用電池が吸収しやすい特定の光に変える。英科学誌ネイチャー・フォトニクス(電子版)で発表した。 太陽電池で最も普及しているシリコンは、太陽光のエネルギーを電気に変える効率が20%程度。どんなにがんばって改良しても30%ほどが限界とされる。太陽光にはいろいろな波長の光が混ざっている一方、シリコンが吸収して電気に変えられる光は特定の波長に偏っているためだ。 京大の野田進教授(電子工学)らは、特定の波長だけを取り出す特殊な「フィルター」のような素材を開発した。厚さ6.8ナノメートル(ナノは10億分の1)のガリウムヒ素という半導体の膜を、アルミニウムガリウムヒ素という半導体の膜ではさんだ。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申
海水と真水の塩分濃度の違いから電力を作り出す新エネルギーを実用化しようと日本とノルウェーで研究開発が進んでいる。太陽光や風力のように天候に左右されず、事実上無尽蔵に存在する夢のエネルギーだ。自然エネルギーはコスト高や効率の低さなどで普及が遅れており、新顔への期待は高い。漬物で発電?――。新エネルギーの研究現場に一石を投じた発電法は、キュウリやナスの塩漬けができる仕組みを使う。野菜の水分が抜けて

期待の星 洋上風力発電はまだコストが高い(北海の風力発電所、手前は変圧設備) Christian Charisius-Reuters 先週、主要国では初の脱原発法案を閣議決定したドイツ。2022年までに国内にある17基の原発をすべて停止し、自然エネルギーや天然ガスによる火力発電で代替する計画だ。チェコのクラウス大統領は「バカげた政策」と批判し、アメリカの政治アナリスト、デービッド・フラムは「(独首相の)メルケルは、欧州で一番重要な経済をどうする気だ」と嘆いた。 衝撃が走るのも無理はない。低コストで安定した電力供給源である原発を廃止すれば、電気料金が急騰するか停電するかで企業は国外に逃げ出し、経済が縮小してしまう恐れがある。ドイツ産業連盟(BDI)は4月末、脱原発を推進すればドイツの電力料金は2018年までに30%も上がると警告していた。 原発停止の第一弾は、福島第一原発と同型の原発で、3月
記者会見する菅直人首相=18日午後、首相官邸、飯塚悟撮影 菅直人首相は18日、首相官邸で記者会見し、昨年6月に策定した政府のエネルギー基本計画を見直す中で、電力会社から送電部門を切り離す発送電分離を検討すべきだとの考えを示した。「長年の原子力行政のあり方を根本的に見直さなければならない」とも語り、組織の見直しを進める姿勢を強調した。 首相は会見で、電力業界の形態について「電力会社自身が大きな発電所に合わせた形の配電システムをつくっている」と指摘。その上で、発電部門と送電部門を切り離す案について「今後のエネルギーのあり方を考える中では議論が及んでいくことになる。まさにそう(議論)すべきだ」と述べた。 また、原発を監視する原子力安全・保安院が原子力行政を推進する経済産業省の下にあることにも言及し、「チェック機関と原子力行政を進めていく立場の両方が同じ役所のもとに共存していた」として見直す
公益社団法人 化学工学会が3月28日、「大震災による東日本の電力不足に関する緊急提言」を発表しました。当センターではその趣旨に賛同し、以下に提言全文を掲載いたします。 たくさんのアクセス・反響を頂きまして、誠にありがとうございます。ご意見・お問い合わせはこちらまでメールにてお願いいたします。イラスト付きのわかりやすいパンフレットや、本提言の提案者の方々によるミラーサイトもございますので、併せてご参照頂けますと幸いです。当提言に関して、4月18日(月)に化学工学会による「電力不足対策に係わる緊急提言」シンポジウム —計画停電を最小限に食い止めるために— が開催されました。配布資料はこちらをご覧ください。 短期的には電力需要の時空間シフトが必要不可欠 公益社団法人 化学工学会 2011年3月11日に、東北・関東地方を襲った地震・津波による激甚災害の犠牲者のご冥福をお祈りすると共に、被災された方
節電関して、電気のしくみがずいぶん浸透してきましたが、それでも、健康を害しかねない過度な節電や、日常活動に支障がある節電もあって、わたし達の生活の質を落としているところがあるので、もう一度、大事なポイントを2つまとめます。 1. 供給のしくみから考えると、電気はほとんど貯められないので、節電は「ピーク時」に使わないようにする、極論すると、そのことが一番重要。(現状では、平日の明るい時間から夕食時にかけての、大量の人間が起きて、動いて、食事をしたりしている時間帯) 2. 他地域からの振り替えは、ほとんど出来ないので、東京電力・東北電力以外の地域の節電は「気は心」くらいの効果しかない。 もちろん、不要不急の電気はすべて、使わない方がいいです。発電所のダメージから、ベースとしての供給量が下がっていますから、その部分は使っていない部屋の電気を消す、使っていない家電の電源を抜く、必要以上の暖房をつけ
米国内で天然ガスの一種、「シェールガス」の生産量が急増している。世界的に供給が増えたことで、需要家が天然ガスを安く調達できるようになった。温暖化ガス排出量の少ない天然ガスが、低炭素社会の切り札になりそうだ。 米国で“地産地消”のエネルギー革命が起きている。 太陽電池や風力発電の普及ではない。都市近郊で天然ガスを生産して、周辺の都市で消費する動きが広がっているのだ。天然ガスは石油に比べて燃焼時のCO2(二酸化炭素)排出量が約3割少なく、低炭素社会に貢献する化石燃料と言われてきた。 その天然ガスの生産量が突如、米国で急増している。2005年から年4%のペースで増え始め、2009年には日量550億立方フィートを超えた。 その唯一かつ最大の要因がシェールガスである。シェールガスは頁岩と呼ばれる地中の岩盤層に閉じ込められた天然ガス。海底などに眠る天然ガスと違って、これまでシェールガスは地中に薄く広く

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