年賀状がない正月はどこかしら物足りなかった。書くのは年々辛くなってきたが、仕事の話ではない文面やほほえましい写真などには安らぐ心地がする。ある年、正月早々に出かけることがあって、暮れのうちに郵便局から届けてもらった時に、読んで不思議と興が醒めたのは、やはりまさにその瞬間のものだからなのだろう。 年末の前回に記した「」に共通するものとして、「様」という漢字の末画である右はらいにも、「〃」のような線が貫くことがある。これも、若年女性に顕著であるが、「」よりも若干年齢層が高いようにも思える。「」と同様に字面を飾ろうとする着想によるものであろう。この「様」に付される「〃」の部分も、装飾以上に明確な意味を込めたサインとして、「ハートマーク」で代行されることがある。 年賀状でも、宛名の印刷ソフトが普及し、個性の滲み出る手書きは少数派になってきた。我が家も、去年だったか、暮れの仕事の増加に追われてついに

SHARP書院WD-A521のマニュアル「WD-A521/A541/A551 日本語ワードプロセッサ取扱説明書(文書編)」を読んでいたところ、文字コードの記号一覧のところに、絵文字が160種類ほど収録されているのを見つけた。絵文字の中にマル金とマルビが含まれていることから、あるいは1984年頃にデザインされた可能性が考えられるが、WD-A521それ自体は1990年11月の発売だ。だとすると、これより古い書院にも、絵文字が搭載されているのかもしれない。 ただ、ワープロのマニュアルは、どこの図書館を探しても所蔵がない。SHARPも、既に当時のマニュアルは破棄してしまっており、全く在庫がないようだ。だとすると、個人蔵のマニュアルを探すことになるのだけど、全く雲をつかむような話で…。この日記を読んだ方で、手元に古いワープロ(書院に限らない)のマニュアルをお持ちの方は、ぜひ文字コードのページを調べて
小学校高学年の男児が、平仮名の「へ」の右側の部分に「〃」を交差させて「」と書いていた。友達への手紙の宛名でのことだ。聞けば、10歳前後になるクラスの女子が手紙などでそう書いているからという。 親が教えたことがすべてであったころは、遥か昔になってしまった。子供ながらに、親や教員など大人だけでなく、友達や漫画などの影響を共有する自分の文字社会ともいうべきものを持っているようだ。この宛名に付く助詞「へ」の書き方は、私が小学生の頃にも見たことがある。懐かしさが出る気がするので、今でもたまに使うという女子学生もいる。 これは、教科書にも辞書にも新聞にも、載ることはまずない。いわゆる変体仮名として位置付けられたこともない。しかし、確かに世の中には存在しているのであって、実は性別や年齢によって使用に傾向性が存在する位相文字として、気になっている。そば屋などに貼ってある芸能人や作家などのサイン色紙にも、縦
フォントブログ 閉鎖と一部記事の移管について 平素はフォントブログをご覧いただき誠にありがとうございます。 数年前よりブログの更新を中止したまま、諸般の事情で過去の記事は公開をしていましたが、時代に合わない内容や、すでに古い情報をこのまま残しておくのは良くないと考え、フォントブログを閉鎖することにいたしました。 これまでお世話になった方々、私に様々な機会を与えてくださった方々、そして約25年間に当ブログをご覧いただいた方々に心より感謝いたします。 私自身2014年に関東から地元へUターンをし、書体デザイナーやフォントメーカーの方、文字関係者の方と直接お会いする機会が減ってしまったこと、また私自身の環境の変化により、以前のように情報収集をする時間の確保が難しくなってしまいました。フォント好きとして初心に帰り、過去の一部の記事は順次個人サイト (PETITBOYS) のブログのほうへアーカイ

フォントブログ 閉鎖と一部記事の移管について 平素はフォントブログをご覧いただき誠にありがとうございます。 数年前よりブログの更新を中止したまま、諸般の事情で過去の記事は公開をしていましたが、時代に合わない内容や、すでに古い情報をこのまま残しておくのは良くないと考え、フォントブログを閉鎖することにいたしました。 これまでお世話になった方々、私に様々な機会を与えてくださった方々、そして約25年間に当ブログをご覧いただいた方々に心より感謝いたします。 私自身2014年に関東から地元へUターンをし、書体デザイナーやフォントメーカーの方、文字関係者の方と直接お会いする機会が減ってしまったこと、また私自身の環境の変化により、以前のように情報収集をする時間の確保が難しくなってしまいました。フォント好きとして初心に帰り、過去の一部の記事は順次個人サイト (PETITBOYS) のブログのほうへアーカイ

「改定常用漢字表」に対する意見募集は、2009年の3月から4月に行われたのが1回目(http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2009/shin_kanji_ikenboshu.html)、現在行われているのが2回目(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1050&BID=185000443)だが、1回目と2回目では「亀」の「いわゆる康熙字典体」として丸括弧内に掲示された「龜」の字体が違う(下図)。 今回(2回目)の「龜」は、JIS X 0208またはJIS X 0213の例示字体と異なっており、Adobe-Japan1-6にも入っていない。関連するエントリは「カメの書き順とか画数とかをめぐって」。

以下、先ほどTwitterでつぶやいた内容のまとめ。 「折紙の研究って、実際問題、何を研究してるの?」と疑問に感じる人も多いと思うので、いくつかつぶやいてみます。 「折紙の設計技法」目的の形を1枚の紙を折って作るにはどうすればよいか?というのを考えます。ボックスプリーツを用いた設計、サークルパッキングなどと呼ばれる技法が考案されています。コンピュータによる設計もある程度できるようになっています。 「剛体折紙」折紙の、紙を鉄板、折り線をヒンジで置き換えた場合に、はたしてそれは折りたたむことができるか、ということを考えます。実際に工業製品や建築物を作る上で重要な問題になります。 「曲線折紙」曲線・曲面を含む折紙の設計技法については、まだほとんどわかっていません。2008年のSIGGRAPHで「Curved Folding」という論文が発表されましたが、その設計方法については、ほとんど言及されて
年末はカレンダーをいただく季節ですが、それと同時にいくつか手帳もいただくことがあります。私は以前は、いろいろと電子手帳だのモバイル関連機器を試したのですが(たぶん5機種くらい買った)、どれもどうも使い心地が悪く、結局ここ6〜7年は紙の手帳に戻ってきました。 手帳は慣れたものを毎年買っているのですが、実はそれ以外にすっごく欲しい手帳があったんです。それが「紙の手帳」。いや、別に「紙の手帳」という名前がついているわけじゃなくって、私が勝手にそう呼んでいるだけなんですが、紙の代理店の人とか紙商さんとかが持っているのを見ていて、「欲しいなぁ」と思っていたんです。 それを先日いただくことができました! やったー!! スケジュールを書くところとかは普通の手帳なんですが、巻末についている資料がすばらしいんです。紙業提要とか製紙会社別銘柄表とか抄紙機性能一覧表とか、日本の製紙の資料がズラーッと100ページ

InDesign CS4で「※」や「×」などの文字が、「和字」であるように振る舞ったり、「欧文用文字」であるように振る舞ったりする。Adobeに問い合わせ中の事例で、再現性が環境に依存する可能性があるのだけれど、とりあえず、わたしの環境における挙動をメモ。 InDesign CS4で「環境設定>組版>CIDベースの文字組みを使用」をオフ、「段落>文字組み」は「行末約物半角」とし、テキストフレームに以下のようなテキストを入力する。 あ±1 あ×1 あ÷1 あ§1 あ※1 あÅ1 あ†1 あ‡1 あ¶1 これを一度保存して開き直したものが下図。「あ」の後ろに和欧間のアキが入っており、「※」などの記号類は欧文用文字として扱われている。 これだけでもCS3との非互換性が問題なのだが、さらに面倒なことに、テキストを編集することによって記号類の属性が変化することがある。下図は、1行目の「±」の前の「あ

このテーマで書いた 二回目 に続いて、また数字の話。 書き文字の数字1のサンプルがたまたま集まったので載せます。これはこないだスイスのベルンで泊まったホテルで。チェックインの時にもらうカードにホテルの人が書いてくれた「331」と「9.11」と「11.11」。331号室、11月9日から11日までの宿泊、ということです。11 がきれいにつながっている。やっぱり左のくちばしはベースラインからぐっと上に持って行くのが基本のようです。 写真はいちおう撮っておいたけど、この一枚だけじゃ記事にならないな、と思っていたら... 出張を終えて家に戻ると、うちの長男が学校から注意をもらってきた。黒字は担任の先生(フランス生まれ)が書く「11.11.」。ループが入っている。

地方では、学会が始まるかなり前に、宿の外に出ることをここのところ心掛けている。島根県の松江市では、出雲大社や松江城など名所は前に行ったようにも思え、その城は遠くから見られればもうそれで十分だった。 宍道湖畔のホテルを出て、バスに乗り、また歩いてみる。そうしたことを繰り返す中で、山陰の「陰」の書きやすい異体字など、すでに知られたものが今でも看板などに多少は残っていることに気づく。 珍しくほんの少しながら予習したことを活かしつつ、白「潟」天満宮(新潟で有名な「さんずいに写」を確認)、「鼕」(ドウ)伝承館、「淞」(ショウ)北台、「附」属中学に居並ぶ「付」属小学校など、気になるところを踏査してみる。ほかにもいろいろと特色ある字が目に入ってきた。 そして、会場の県民会館に向かう途中で、昔ながらの小さな豆腐屋を見掛けた。看板には店の名前に「豆腐」ではなく、「豆富」が使われている。松江では昭和38年(1

InDesignやIllustratorの合成フォント機能では、文字種(漢字/かな/全角約物/全角記号/半角欧文/半角数字)ごとに各種の設定ができる。では、それぞれの文字種には、具体的にどのような字が含まれるのだろう。答えは合成フォントのファイルに書いてあるのだが、そのままではわかりにくいので図にしてみた。図に用いたフォントは、ヒラギノ丸ゴProとMinion Pro。 「かな」は下図のとおり。小書きの「か」(U+3095)と「け」(U+3096)が入っている点からするとAdobe-Japan1-5以降のcmapを想定しているようなのだが、JIS X 0213で追加されたカタカナ(小書きの「ク」など)は入っていない。 「全角約物」は下図のとおり。フォントによっては全角でない文字も含まれる。引用符(シングルとダブル)は「全角約物」に分類されているので、引用符に「半角欧文」のフォントを利用した

起こる可能性がある。当然考えられる。 ・あり○るよね ・あり○る気がする ・あり○るんじゃない 私はよく「う」と「え」の間で舌が迷うことがあり、 常々「ありうる」って言い回しずらいなーと思っていたんです。 今回調べてみると、苦手な文法の話しが全面に出てきて理解に苦しみましたが、そのあたりの事情がわかりました。 元々、古語に「あり得」(ありう)という語がありました。 意味は“生きていることができる” それが「ありうる」に変化し、口語として定着したものです。 一方、単体で使う「得る」は、 元々古語の「得」(う)という言葉で、 それが「うる」と「える」の二つに変化しました。 今では「える」の方が一般的になっています。 「ありうる」は文語の「うる」の活用が残ったものです。 以下に活用を並べてみます。 ■文語「うる」(下二段活用) ありえ(ず)---ありえ(たり)---ありう---ありうる(こと)-
【大切なお知らせ】 2025年10月の放送法改正によるNHKのインターネットサービスの見直しのため、「クリエイティブ・ライブラリー」(※「素材」ページ)は、9月30日(火)をもって、提供を終了させていただきました。 期日までにダウンロードいただいた素材につきましては、10月以降も引き続き<利用のルール>に則ってご利用いただくことができます。 とっておきの映像・音声素材を提供 「NHKクリエイティブ・ライブラリー」は、NHKアーカイブスの番組や番組素材から切り出した映像や音声を、 視聴者のみなさんの表現・創作活動に利用していただくための「創作用素材」として、インターネットを通じて 提供する無料のサービスです。 2025年10月の放送法改正によるNHKのインターネットサービスの見直しのため、ダウンロード提供は終了させていただきました。 素材のダウンロード、作品の外部発表も可能 期日までにダウン

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