大手商社の三菱商事などは秋田県と千葉県の沖合で計画していた洋上風力発電からの撤退を正式に発表しました。その背景にはどんなことがあったのでしょうか。 最大の理由はコストの問題です。 三菱商事を中心とする事業体は2021年、国が促進区域として公募した秋田県沖と千葉県沖の3つの海域の事業者に決まりましたが、決め手になったのは売電価格の安さです。 このとき三菱商事などの事業体が提示したのは競合他社より2割以上安い1キロワットアワーあたり11円台から16円台と、価格で他社を圧倒しました。三菱商事などは当初、3つの海域で2028年から2030年にかけて発電を始め、あわせて134基の風車でおよそ170万キロワットを発電する計画でした。 しかし、世界的なインフレや円安などを背景に、資材費や人件費などが高騰し、洋上風力発電の事業環境は厳しさが増していきます。 三菱商事はことし2月、洋上風力発電事業に関連して

EV=電気自動車や太陽光パネルの価格がいま下落しています。 中でも太陽光パネルはこの1年半で価格が半分ほどに急落。背景にあるのは中国の「過剰生産」です。 世界の需要を大幅に上回る生産の結果、中国、そして世界でいま何が起きているのか。各国が直面する“トリレンマ”とは? 深刻な影響が広がっている現場を取材しました。 (中国総局記者 下村直人 / ベルリン支局長 田中顕一) 過剰生産によるデフレ輸出が波及ドイツ東部にある人口およそ4万の都市、フライベルク。 かつては鉱山や精錬業が主力産業でしたが、近年、再生可能エネルギーに関する企業の誘致を進めてきました。 しかしこの春、太陽光パネルの大手メーカーが工場を閉鎖。中国製品との競争で採算が悪化したことなどが理由で、市民からは諦めにも似た声が聞かれました。 「中国の安い製品に対抗するのは難しい。従業員が気の毒だ」 「会社が決めたことだから地元には何も

脱炭素社会の実現に向けて、政府は、薄くて軽く、折り曲げられる次世代の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を2040年には、原発20基分に相当する発電規模まで普及させるとする目標を正式に発表しました。 ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、折り曲げられるのが特徴で、建物の壁面などに設置できることから国土の狭い日本に適しているとされ、次世代の太陽電池として注目が高まっています。 この太陽電池について、経済産業省は26日、官民協議会を開き、今後の戦略をまとめました。 それによりますと発電能力の目標については、課題となるコストを従来の太陽電池に近い水準まで引き下げ、2040年には、国内に、原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させるとしています。 政府は年内にも素案をとりまとめる新しいエネルギー基本計画の2040年度の電源構成で、再生可能エネルギーを初めて最大の電源とするシナリオを示す方向で検討

太陽光発電施設から銅線ケーブルを盗んだとしてタイ人の窃盗グループが逮捕された事件で、警視庁などは、盗品と知りながらこれらの銅線ケーブルを買い取っていた疑いがあるとして、栃木と茨城にある4つの業者を一斉に捜索しました。 捜索を受けたのは、栃木県小山市や茨城県古河市などにある金属くずの買い取りを行う4つの業者で、午前10時半ごろ、警視庁と栃木県警の捜査員が一斉に捜索に入りました。 金属価格の高騰を背景に銅線ケーブルなどが盗まれる被害が相次ぐ中、ことし5月に東京 日の出町の太陽光発電施設から送電用の銅線ケーブルおよそ840メートル、193万円相当を盗んだなどとして、ウェイチェークー・プリチャー被告(24)らタイ人の窃盗グループ7人が逮捕、起訴されています。 警視庁によりますと、盗んだ銅線ケーブルは中国人が経営する小山市内の買い取り業者に売却していたとみられ、その後の捜査で、この業者を含む4つの業

宇宙空間で太陽光によって発電した電気を、電波に変換して地上に送るためのシステムの実現に向けて、京都大学の施設で送電実験が行われました。 「宇宙太陽光発電」は、高度3万6000キロの宇宙空間に静止させた太陽光パネルで発電を行い、電気を電波に変換して地上に送る構想で、2045年以降の実用化が目指されています。

太陽光発電は、環境にやさしい、電気代の節約になるという話を聞く一方で、実は環境にやさしくない、お得ではない、火災や災害時のリスクがあるという説も耳にします。実際のところはどうなのか。気になる疑問を専門家にぶつけました。 (クローズアップ現代取材班) 質問に回答していただいたのは、建物の断熱や省エネが専門の東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の前真之准教授です。 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 前真之准教授 太陽光パネルは本当に “環境にやさしい”? ーー太陽光発電は、実は環境破壊につながるという話を聞きます。山林を切り開いて造成したメガソーラーなどの映像も目にします。太陽光発電は本当に環境にやさしいんでしょうか? まず太陽光発電を、大きく2つに明確に区別したほうがいいと思うんです。メガソーラーなど開かれた土地に設置する「野立ての太陽光」と、建物の屋根に設置する「屋根のせの太陽光」の2

再生可能エネルギーの導入を拡大し、全国で効率的に電力を融通しあうのに欠かせない送電網を強化するための整備計画がまとまりました。2050年までに最大7兆円の投資が必要とされ、今後、経済産業省などは具体化に向けた検討を進めることにしています。 太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、脱炭素社会の実現に向けた主力電源と位置づけられていますが、効率的な利用には地域をまたいで電力を送る送電網の強化が課題となっています。 こうした中、全国の電力需給を調整する「電力広域的運営推進機関」が再生可能エネルギーの導入拡大に向けて送電網の整備計画をまとめました。 それによりますと、2050年に再生可能エネルギーを電源構成全体のおよそ5割まで高めた場合、太陽光や風力発電の多い北海道や東北と東京を結ぶ送電網を新設するほか、周波数が異なる西日本と東日本で電力を融通しあうための送電網の増強などが必要だとしています。 そ

温室効果ガスの排出量の削減に向け、東京都で新築住宅への太陽光パネルの設置を義務化するための条例が、全国で初めて成立しました。 すべての新築住宅が対象になるのか。住宅の価格はどのようになるのか。記事の後半でQ&A形式で詳しく解説します。 全国で初めて成立 15日に開かれた都議会の本会議では、2025年4月から都内に新築される住宅に太陽光パネルの設置を義務化するための条例の改正案の採決が行われました。 その結果、改正条例は都民ファーストの会や公明党、共産党、それに立憲民主党などの賛成多数で可決・成立しました。 都議会第1党の自民党などは「太陽光発電は推進する立場だが、現時点で義務化は都民に十分に理解されておらず、納得してもらえる状況にない」などとして反対しました。 この条例は大手住宅メーカーを対象に、太陽光パネルを設置できる新築住宅の数や、日当たりの条件などから算出された発電容量の目安の達成状

再生可能エネルギーの代表的な存在、太陽光発電。 日本の太陽光発電は10年前から急速に拡大し、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の規模を誇ります。 ただ、太陽光発電に使われるパネルには寿命があるって知っていますか?その寿命は20年から30年。 迫り来る、太陽光パネルの“大廃棄時代”にどう対応すればいいのでしょうか。 (仙台放送局記者 高垣祐郷) 先月下旬、私は太陽光パネルの廃棄の実態を取材するため、岩手県奥州市にある産業廃棄物の処理工場を訪ねました。 すると、敷地には使用済みの太陽光パネルがぎっしり。 およそ1000枚になるというパネルは、私の身長ほどの高さにまで積み上げられていました。 「これでもだいぶ処分したほうなんですけどね…」 こう話すのは、この会社の取締役、菊地信一さんです。 去年1年間に、会社に運び込まれた太陽光パネルはおよそ3万枚。 その多くは雪の重みなどで破損したものでしたが、な

ことし5月の電気料金は、再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取る制度で電気料金に上乗せされる負担額が上昇することを受けて、大手電力会社10社すべてが値上げすることになりました。 これは、火力発電の燃料となる天然ガスなどの輸入価格は下がったものの、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電された電気を大手電力会社が買い取る制度に基づいて電気料金に上乗せされる負担額がことし5月から上昇するためです。 前の月と比べた値上げ幅は、使用量が平均的な家庭で、 ▽北海道電力が30円、 ▽東京電力が20円、 ▽北陸電力と沖縄電力が15円、 ▽四国電力が13円、 ▽東北電力と中国電力が7円、 ▽九州電力が3円、 ▽関西電力が2円、 ▽中部電力が1円となります。 一方、ガス料金は、都市ガスに一部含まれている液化石油ガスの輸入価格が上がったことから、大阪ガスが3円の値上がりとなります。 東京ガス、

住宅などの太陽光パネルで発電された電気を電力会社が決められた価格で買い取ることを義務づける制度が今月から順次、終了します。これによって、買取価格が大幅に下がるため、電力会社に電気を売る「売電」から、バッテリーに蓄えてみずから使う「蓄電」へ切り替える動きが広がると見込まれています。 この制度は契約期間が10年間とされ、制度の開始当初から参加している家庭では、今月から順次、契約期間が終了することになります。 契約期間が終わっても、電力会社などに電気を販売できますが、1キロワットアワー当たりの買取価格が、制度の開始当初は48円だったのに対し、今後は7円から10円程度へと大きく下がります。 このため、昼間に余った電気を売らずに蓄電池にためておき、夜間などにみずから利用する家庭が増えると見込まれています。 これに合わせて、住宅向けの蓄電池の需要も伸びると見込まれ、メーカー各社が新たな製品の開発や販売

家庭用の太陽光発電をめぐって、国の制度で一定の価格を保証して電気を買い取る期間がことし11月から順次、終了します。これに伴って電力各社は今後、新しい買い取り価格の公表を本格化することにしていて、利用者の選択も注目されます。 家庭の太陽光発電の買い取り価格は、2009年の制度導入当初、普及に向けて1キロワットアワー当たり48円に設定されましたが、導入から10年が経過することし11月から順次、終了することになり、ことしは制度を利用する家庭全体の20%余りがその対象になります。 これに伴って、各電力会社は新しい買い取り価格を決めることにしていて、大手はことし4月から6月にかけて公表していくほか、新たに参入した電力会社でも今月から公表が相次ぐ見通しです。 制度導入当初に太陽光発電を始めた家庭では、買い取り価格が大幅に引き下げられることが予想されるうえ、これまで一律だった価格にも違いが出る見込みで、

九州地方では秋に入って電力の供給が需要を上回って需給のバランスが崩れるおそれがあり、大規模な停電を防ぐために全国で初めて、太陽光発電などを一時的に停止させる「出力制御」が実施される可能性が出ています。 このため九州電力は、電力の需給バランスが崩れて大規模な停電が起きるのを防ぐため、火力発電所の稼働を抑えるとともに、今月に入って余った電気を本州や四国に送る需給調整を初めて行っています。 しかし、こうした手段を講じても需要の少ない日には電力供給が過剰になるおそれもあるとして、九州電力が太陽光などの事業者に一時的に発電の停止を求める「出力制御」の実施を求める可能性が出ています。 仮に「出力制御」が実施されれば離島を除いて全国で初めてとなります。 実施にあたって世耕経済産業大臣は先週、「透明性、公平性の確保が非常に重要で、万が一、制御が行われた場合には国の審議会でも検証する」と述べ、特定の事業者に

太陽光や風力発電などの普及を進めるため、経済産業省は1日から新たなルールを導入します。送電線の空き容量を実質的に増やして、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が受け入れやすくする狙いです。 送電線の空き容量は、これまで火力などすべてがフル稼働している前提で算出していたため、実際には余裕があっても空き容量が足りないとされて、太陽光発電などが十分に受け入れられていないと指摘されていました。 このため、新ルールは実態に合わせ実績をもとに計算することで空き容量を実質的に増やし、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が受け入れやすくします。 東北電力が試験的に導入したところ、空き容量が最大で60%増えたということで、経済産業省は新ルールの効果を期待しています。 資源エネルギー庁の電力基盤整備課の曳野潔課長は「時間と費用がかかる送電線の増強ではなく空いている隙間を賢く使うことで、できるだけ多

小泉元総理大臣と細川元総理大臣は国会内で記者会見し、直ちにすべての原発を廃止し、2050年までに自然エネルギーに全面的に転換するための法案の骨子を発表し、国会で審議するよう各党に協力を呼びかけていく考えを示しました。 骨子は、東京電力福島第一原発の事故により原子力発電が極めて危険で国民に過大な負担を負わせることが明らかになったとして、直ちに原発を廃止し、太陽光などの自然エネルギーの導入を推進して、2050年までに、すべての電力を自然エネルギーで賄うことを目指すなどとする国の基本方針を規定しています。 小泉氏は記者会見で「今までの言動を見ていると安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しいと思っているが、国民多数の賛同を得て、近いうちに必ず原発ゼロは実現する」と述べました。 そのうえで小泉氏は「どの政党であれ原発ゼロ、自然エネルギー推進に全力で取り組むのであれば、われわれは協力していきたい。国会で議

太陽光で発電した電気の買い取り価格の引き下げが進んだことなどを背景に、先月までの半年間に太陽光発電の関連企業が倒産した件数は、去年の同じ時期の2倍以上に増えています。 太陽光で発電された電気は、国が決めた価格で電力会社が買い取り、利用者の電気料金に上乗せされる仕組みになっています。 しかし、この制度で料金に上乗せされる金額は、今年度の総額で2兆円を超える見通しになっていることなどから、国は利用者の負担を抑えるため、買い取り価格の引き下げを進め、現在は制度が始まった5年前のおよそ半額の水準になっています。 倒産の増加の背景には買い取り価格の低下があると見られ、信用調査会社によりますと、倒産した関連企業の中には太陽光パネルや部品のメーカーも増えているということです。 信用調査会社は「買い取り価格は今後も引き下げられる可能性があり、太陽光の関連企業からは『もはや経営が成り立たない』という声も聞か

再生可能エネルギーの申し込みが急増している問題を受けて、経済産業省は、再生可能エネルギーで発電した電力のすべてを買い取ることを電力会社に義務づけた制度を見直し、いつでも太陽光発電などの買い取り量を減らす検討をしていることが分かりました。 再生可能エネルギーによる電力は、現在、電力会社が固定価格ですべての電力を買い取ることが義務づけられていますが、高い価格での買い取りを背景に申し込みが急増し、買い取りを一時的に制限する動きが相次いでいます。 このため、経済産業省は、再生可能エネルギーのうち発電量が不安定な太陽光と風力発電を対象に、制度を抜本的に見直す検討をしていることが分かりました。 現在、電力会社は、太陽光などの発電量が需要を上回るおそれがある場合に限っては年間30日を上限に買い取らなくてもいい仕組みとなっていますが、新規の契約については、この上限をなくしていつでも買い取り量を減らすことを

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