<今年前半に出た報告書や科学論文によって、この複雑な慢性疾患の解明が進んだ。かかる確率は以前より下がったが、何年にもわたり複数の身体機能に健康影響を引き起こす可能性もあり、決して油断はできない> 2020年以降、新型コロナウイルスの後遺症は世界中で大きな問題になっている。何百万人もの人々の健康や生活の質(QOL)に影響を与えただけでなく、労働生産性や労働力全体の低下をもたらし、経済に数十億ドルの損失をもたらしてきた。 コロナ後遺症は科学的にもかなり注目されており、これまでに2万4000本以上の論文が発表されている。人類史上、4年間でこれほどまでに集中的に研究が行われた健康状態は他に例を見ない。 SARS-CoV-2ウイルスへの感染によって引き起こされる、長期的な健康への影響の総称が新型コロナウイルス後遺症(long COVID)だ。 息切れなどの長期的な呼吸器症状から、衰弱性疲労やブレイン
<マスク着用がこのまま定着してしまったら、若者たちが担う未来の日本社会は一体どうなってしまうのか> 日本政府の新たな方針発表により、3月13日からついに正々堂々とマスクを着用せずに生活できる日々が戻ってきた。私は混み合った電車や病院など感染リスクの高い場所以外では、マスクをしないで過ごしている。 ところが、予想を上回る数の人々がマスク生活を続けている(13日の品川駅では約9割の人がマスクを着けていたという)。感染リスクのある場所だけでなく、周りに誰もいない道路を一人で歩いている人までマスクをしている。花粉症のせいかとも思ったが、どうやらそれだけが理由ではない。日本で花粉症を持つ人は人口の約半分だし、花粉の飛ばない雨の日まで皆マスクをしているのだから。外国人の目には、日本だけがコロナ感染の真っ最中のように見えるだろう。非常に奇異だ。一体どうしてまだマスクを着けているのか? 私は周囲の人々に、
ヒオカ/1995年生まれ。地方の貧困家庭で育つ。noteで公開した自身の体験「私が“普通"と違った50のこと――貧困とは、選択肢が持てないということ」が話題を呼び、ライターの道へ。“無いものにされる痛みに想像力を"をモットーに、弱者の声を可視化する取材・執筆活動を行い、若手論客として、新聞、テレビ、ラジオにも出演 <なぜそんなことを言ってくるのか。貧困家庭の子は「生まれてきてはいけなかった」存在で、進学やあらゆる人生の選択肢をあきらめなくてはならないのか。貧困家庭出身の女性ライターが「可視化したい」ものとは>貧困をテーマにした記事が公開されると、多くの人から理解を得られる一方で、目も当てられないようなコメントがたくさん付く。しかし、無理解の根源は、悪意よりも、単にごく身近に困窮している人がいないことからくる無知にあるのかもしれない。 地方の貧困家庭に生まれ育ち、現在はライターとして活躍す
イギリスでは虫歯の治療に12ヶ月待ちを記録する異常事態となっている...... REUTERS/Phil Noble (BRITAIN) <すぐにでも手を打ちたい、口内のつらいトラブル。しかしイギリスの場合、1年近い辛抱が求められる事態になっている> パンデミックにより、イギリスの歯科事情は著しく悪化した。英国民保健サービス(NHS)の待機者リストは肥大化し、虫歯の治療に12ヶ月待ちを記録する異常事態となっている。 激しい痛みを抱えたまま1年も待てないとばかりに、自ら対処を試みる人が相次ぐようになった。抜歯や麻酔などの専門知識なくして応急処置を試みる人々が現れ、「DIY治療」の流行だとして問題になっている。 英ガーディアン紙は5月30日、『瞬間接着剤と自力の抜歯:イギリスの破れかぶれの「DIY歯科治療」の耐え難い現実』と題する記事を掲載した。「最近はホラーストーリーが豊富にある」と記事は述
コロナにかかった時のためにイベルメクチンを買ったボリビアの男性(5月19日、ボリビアではコロナ治療薬としての処方が認められている) Rodrigo Urzagasti-REUTERS <アメリカでは家畜用の寄生虫駆除薬であるイベルメクチンをコロナ治療薬として勝手に服用し、具合が悪くなって救急車で運び込まれる患者が急増> 米オクラホマ州郊外のある医師によれば、馬用の寄生虫駆除薬に使われるイベルメクチンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として過剰摂取した人々が、地元の病院の救急処置室を埋め尽くしているという。 同州東部と南部の複数の救急処置室に勤務しているジェイソン・マクエリエ医師は、地元テレビ局KFOR-TVに対して、「この薬の服用にあたって医師の処方が必要なのには理由がある。場合によっては危険だからだ」と述べた。 イベルメクチンを服用する人が増えている事態に、米食品医薬品局(FDA)をはじ
ロックダウン中は、一部の公園の遊具が閉鎖されるところも… (Credit:Thurtell-iStock) 『豪首相、「感染ゼロ戦略」を断念』という見出しの日本語記事が出たことで、Twitterを中心にSNSでは、オーストラリアはゼロ戦略を諦めた...という話題でもちきりになった。 記事にはこうある。 オーストラリアのモリソン首相は22日、厳格な国境封鎖やロックダウン(都市封鎖)によって新型コロナウイルスの「市中感染ゼロ」を目指す戦略を断念したことを認めた。・・(略) 「都市封鎖を永遠に続けることはできない。どこかの段階でギアチェンジをする必要がある」と述べた。・・(略) この記事の内容だけだと、オーストラリアの国内事情を説明しておらず、一足飛びに「もう感染者数にはこだわらず、感染蔓延していてもロックダウンはせずに、ウィズコロナに方針転換する」かのような印象を受ける。そのため、「オーストラ
<呼吸器系感染症とばかり思われていたが、脳神経に与える影響が注目され始めた> 神経学者のガブリエル・デエラウスキンが、新型コロナウイルスが脳に与える長期的な影響に懸念を抱き始めたのは、昨年1月のこと。武漢から届いた初期の報告に、回復者が嗅覚と味覚を失っていると書いてあったのだ。 人間の五感のうち2つが突然失われるなんて、神経学者として見過ごすわけにはいかないと、デエラウスキンは思った。その懸念は、すぐに警戒へと変わった。 きっかけは、テキサス大学保健科学センターでデエラウスキンに付いている研修医の1人に、新型コロナ感染が確認されたことだ。研修医は30代の女性で子供がいるが、1カ月にわたり家族と離れてホテルで隔離生活を送らなくてはならない。 だが本人が最も混乱したのは、幼い子供たちと離れて暮らすことよりも、それに対する自分の感情だった。「子供や仕事のことをもっと心配するべきだと、彼女も頭では
回復ぶりをアピールしようとしたが、苦しげな様子が目につく結果に(10月5日、ホワイトハウス) Erin Scott -REUTERS <退院直後の動画を見た専門家は「肺の機能に問題あり」と断言> 新型コロナウイルスに勝ったとばかり、「勝利宣言」をしながら、苦しげに肩で息をするドナルド・トランプ米大統領。ネット上で話題になった動画を見た複数の専門家が、どう見ても肺が正常に機能しているとは思えないと、本誌に語った。トランプは10月1日に受けた新型コロナウイルス感染症の検査で陽性と分かり(当初は公表せず)、翌2日に首都ワシントン郊外のウォルター・リード国立軍医療センターに入院した。そして週明けの5日には早くも退院してホワイトハウスに戻ると、バルコニーに立ってマスクを外し、親指を立てる得意のゼスチャーをして、凱旋将軍よろしく敬礼をして見せた。 退院前のツイートでも「とても気分がいい」、「20年前
<豪フローリー神経科学メンタルヘルス研究所は、「新型コロナウイルス感染症により、パーキンソン病のリスクが高まるおそれがある」との研究論文を発表した> 南半球の豪州では、冬シーズンを迎えた2020年6月下旬から8月上旬にかけて新型コロナウイルスの感染拡大が広がり、人口が2番目に多い南東部ビクトリア州で現在も夜間外出禁止などの行動制限が課されている。 このような状況のもと、豪フローリー神経科学メンタルヘルス研究所の研究チームは、9月22日、学術雑誌「ジャーナル・オブ・パーキンソンズディジーズ」で「新型コロナウイルス感染症により、パーキンソン病のリスクが高まるおそれがある」との研究論文を発表した。 新型コロナウイルスの脳・中枢神経系の影響 責任著者であるケビン・バーラム教授は「新型コロナウイルスが脳や中枢神経系にどのように侵入するのかについてはまだ完全に解明されていないが、新型コロナウイルスが脳
ロシアでは、新型コロナウイルスに感染した人が4月に入って急激に増えてこれまでに12万人を超え、感染対策を担う首相や閣僚、さらに軍の内部でも感染が広がるなど深刻な事態になっています。ロシアでは、先月中旬から首都モスクワを中心に感染が拡大し、新たな感染者が2日の発表では9600人余りとなるなど1日数千人規模で増え続けて、これまでに12万人を超え、亡くなった人は1200人を上回っています。 先月30日には、感染対策を担うミシュスチン首相が感染して入院したのをはじめ、閣僚や政府高官、さらにロシア軍の内部でも感染が広がる事態となっています。 国営テレビも、感染者の急増でモスクワ市内の病院の集中治療室のベッドに空きがない状況を詳しく伝え、医療態勢もひっ迫しているとみられます。 感染者が急増した背景として、ロシア政府がすべての国際線の運航を停止した3月下旬までにイタリアなどから多くの人が帰国したことや

ロシアの新型コロナウイルス危機対策センターによると、1日時点で国内の新たな新型ウイルス感染者数がこれまでで最多の7933人確認され、感染者の累計は11万4431人となった。写真は新型コロナ患者を受けれているモスクワ市内の病院。4月28日撮影(2020年 ロイター/Maxim Shemetov)ロシアの新型コロナウイルス危機対策センターによると、1日時点で国内の新たな新型ウイルス感染者数がこれまでで最多の7933人確認され、感染者の累計は11万4431人となった。 直近24時間以内に確認された死者は96人で、死者数は1169人となった。ロシアではミシュスチン首相(54)も感染するなど、4月に入って感染者数が急増し、30日時点で10万人を突破。ただ、死者数は比較的少人数にとどまっている
<より多くの人をウイルスにさらすことで集団免疫を獲得する、というスウェーデンだけの「人体実験」には国内から反対も出始めている> ロックダウンに頼らない独特の新型コロナウイルス対策で知られるスウェーデンで、感染者が増え続けている。しかも米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、死亡率は4月30日時点で12%超。これは、感染者が1000人を超える国の中で6番目に高い割合で、現在の感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さだ。 新型コロナウイルスの感染拡大を抑える対策としては、北欧諸国も含むヨーロッパの多くの国が全国的な封鎖措置を取り、厳しい移動規制を敷いている。こうしたなか、スウェーデンは全国的な移動規制や外出制限をしないという独自路線を貫いており、ストックホルムの通りの人でもカフェの客入りも一見、普段
<大規模な濃厚接触者の追跡など、新型コロナ対策の手本とされてきたシンガポールの感染者数が東南アジア最多に。新規感染者の多くは、当局が無視してきた外国人出稼ぎ労働者だ> 東アジアと東南アジアの一部の国は3月まで、新型コロナウイルス対策の手本と見なされていた。特にシンガポールと台湾は、パンデミック(世界的な大流行)の震源地だった中国と経済的・地理的・文化的に深いつながりがありながら、新型コロナの感染爆発をうまく防いでいた。 いくつかの国はその後も健闘中だ。台湾で確認された感染者数は4月25日時点で、わずか429人。ロックダウン(都市封鎖)も回避している。3月初旬に感染率が危険なレベルに達していた韓国でも、ウイルスの抑え込みに成功した。 だがシンガポールでは、3月23日には510人未満だった感染者数が現在は1万2000人を突破。東南アジアで最悪の数字を記録している。 当局は大規模な濃厚接触者の追
トランプ大統領が「ゲームチェンジャーになる」と期待した治療薬だったが......Inside edition-YouTube <トランプ大統領が新型コロナウイルス感染症の治療に大きな期待感を示していた抗マラリア薬の「クロロキン」、ブラジルで臨床試験を実施されていたが......> 抗マラリア薬のひとつ「クロロキン」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に効果があるのではないかと注目されてきた。 しかしこのほど、ブラジルの研究チームが臨床試験を実施し、「クロロキンの高用量投与は、安全性に問題があるため、新型コロナウイルス感染症の治療に推奨すべきでない」との見解を明らかにした。この結果をまとめた未査読の研究論文は2020年4月11日、医学分野の査読前論文プラットフォーム「メドアーカイブ」で公開されている。トランプ大統領「クロロキンがゲームチェンジャーになるかもしれない」 クロ
<中国の復旦大学の研究チームは、軽度の新型コロナウイルス感染症から回復した175名を分析し、被験者の約30%は抗体レベルが極めて低いことがわかった......> 獲得免疫とは、病原体固有の免疫的な記憶を獲得することで生体を防御する働きであり、病原体に対抗するためのタンパク質、すなわち「抗体」が重要な役割を担う。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した人はその原因ウイルスである新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の免疫を獲得していると推定されるが、感染後、どのように免疫を獲得するのか、どれくらいの期間、免疫が持続するのかなど、解明されていないことも多い。 被験者の約30%は抗体レベルが極めて低かった中国の復旦大学の研究チームは、2020年2月26時点で軽度の新型コロナウイルス感染症から回復し、上海公衆衛生臨床センターから退院した175名の血漿を採取。新型コロナウイル
バーやレストランも隙間を開ければ営業できる(スウェーデンのストックホルム、3月26日) Colm Fulton−REUTERS [ロンドン発]新型コロナウイルス・パンデミックで都市封鎖が日常の光景となった欧州で独自路線を進み、「4月末には国民の半数に当たる500万人が感染するぞ」と数学者から警告されている国がある。スウェーデンだ。 「感染者数が少ないのは十分なPCR(遺伝子)検査を実施しないからだ」と批判される日本とスウェーデンの各種データを比べるため、自分で表を作成した。スウェーデンのPCR検査の実施件数は人口100万人当たりで日本の約12倍もある。 出所)各種データをもとに筆者作成 新型コロナウイルスの感染症数理モデルを各国に提供する英インペリアル・カレッジ・ロンドンのニール・ファーガソン教授らの報告書によると、スウェーデンは自己隔離・社会的距離の推奨・イベント禁止・休校措置はとってい
[Read more on Brazil’s Coronavirus cases and deaths.] RIO DE JANEIRO — As coronavirus cases and deaths mount in Brazil, President Jair Bolsonaro has remained defiant, the last notable holdout among major world leaders in denying the severity of the coronavirus. Brazilians, he declared last week, are uniquely suited to weather the pandemic because they can be dunked inraw sewage and “don’t catch a

Brazil President Bolsonaro Rejects Virus Lockdown: 'We'll All Die One Day' <感染者が急増中の大国で、科学を信じないリーダーのせいで感染予防が行えない。パンデミックの次の震源地になるか> ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、新型コロナウイルスは「ちょっとした風邪」にすぎないと一蹴し、国民に働いて経済を動かし続けるよう呼びかけている。ロックダウン(都市封鎖)にも反対で、自らの支持者に対してその理由をこう言った。「私たちはみな、どうせ死ぬのだ」アメリカのドナルド・トランプ大統領とよく並べて語られるボルソナロは3月29日、全国規模の隔離を命じるよう求める州知事たちとの何週間にも及ぶ論争を跳ね返し、パンデミック軽視の姿勢をますます鮮明にした。ブラジル保健省の発表では、同国における新型コロナウイルスの感染者数は4661人
全国の小中高校を休校に、という安倍首相の要請は唐突だったが(2月29日) ISSEI KATO-REUTERS <全国一斉の小中高校の臨時休校を要請したことは正しい判断だったが、その理由を「子供の命と健康を守るため」とあいまいな説明で済ませたことが他のデータとの矛盾を生み、国民との行き違いの原因になった> *この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2020年3月10日付)からの転載です。 1──日本にとって参考になる中国の新型コロナ(COVID-19)情報中国では新型コロナウイルスが猛威を振るっている。中国国家衛生健康委員会によれば、3月8日時点で新型コロナ(COVID-19)の確認症例は80,735名、死亡者は3,119名、致死率は3.86%となっている。また、中国疾病管理予防センター(中国CDC)が2月11日時点で集計した統計を公表した。公表内容を見ると、確認症例の年代別状況は(図表
新型コロナウイルスへの感染をおそれる職員たちの勤務拒否で休館したルーブル美術館と列に並んだ観光客(3月1日) Gonzalo Fuentes-REUTERS <感染症対策が進んだフランスでは国民も落ち着いている、と筆者。そのフランスから見ると、「検査拒否」も報じられる日本は五輪開催にふさわしくない国と判断されかねないという> 3月7日13時55分発表で716人だったフランスの新型コロナウイルス感染者が、4時間後の19時40分発表では949人になった。この記事がアップされるころには1000人を超えているだろう。国会議員も2人感染し、1人は集中治療室に入っている。もちろんニュースは新型コロナウイルスで溢れている。 だが、パリは、ふだんより人通りが減って、落ち着いている。公共交通機関の度重なるストで通りが車と自転車と電動キックボードで溢れていたのが嘘のようだ。マスクをした人も少ない。フランスでは
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