「生物になるために最低限必要な遺伝子は何個あればいいのでしょうか?」 この質問に答えるため、科学者たちは数年にわたる試行錯誤を経て、493個の遺伝子だけで生きることができる人工細胞「JCVI‐syn3B」を作り出しました。 しかし、これには新たな疑問が生じました。 「これほど遺伝子を削ぎ落とされた生物は、進化が可能なのでしょうか?」 米国のインディアナ大学(IU)で行われた研究では、限界までブロックを抜かれたジェンガのような遺伝子を持つ人工細胞に自然淘汰圧が加えられ、進化が強いられました。 1つでも遺伝子が変異して機能を失えば死ぬ生物に、進化は可能だったのでしょうか? 研究内容の詳細は2023年7月5日に『Nature』にて掲載されました。

東京大学(東大)は2月27日、世界各地の地層から産出した化石骨格の姿勢の比較解析を行い、鳥類の翼の前縁に張った膜状構造「前翼膜」は、恐竜の「マニラプトル類」で進化し、それが子孫の鳥類へと受け継がれて翼となったことを見出したと発表した。 飛行生態が進化する以前に恐竜系統で獲得された前翼膜(出所:東大Webサイト) 同成果は、東大大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻の宇野友里花大学院生、同・平沢達矢准教授らの研究チームによるもの。詳細は、動物学に関して分類学からバイオインフォマティクスまで幅広い分野を扱うオープンアクセスジャーナル「Zoological Letters」に掲載された。 鳥類は、およそ1億5000万年前(中生代ジュラ紀末期)までに、恐竜から進化したことがわかっている。そしてこれまでの研究から、祖先である恐竜の段階で羽毛や鳥類型の呼吸器(気嚢系)などがすでに進化していたことが見出

この画像を大きなサイズで見る オーストラリアの堆積物の中から、これまでで最古となる、保存状態の良い魚の心臓の化石が発見された。 心臓はデボン紀(4億19200万年~3億5890万年前)に生息した「節頸目」の魚のもので、それまでアゴのある魚(顎口類)では最古とされた心臓より2億5000万年も古い。 これほど古いにもかかわらず、S字で2室ある心臓には古代の魚と現代のサメとの類似性を見てとれるという。 アゴのない脊椎動物からアゴのある脊椎動物とへいたった進化をひもとくヒントになると考えられている。 この研究は『Science』(2022年9月15日付)に掲載された。 心臓の位置が現代のサメと同じ 太古の魚の心臓の化石は2008年、西オーストラリア州の「ゴーゴー累層」で発掘された。 この地層には古生代デボン紀の岩礁生物の化石が豊富に残されており、歯の起源やヒレから手足への遷移など、進化について貴重

Hiroyuki Kanaya @simpletocomplex <#拡散希望>睡眠の起源に迫る一連の研究がScience誌で特集。我々のヒドラでの取り組みも紹介されています。興味のある方は↓ science.org/content/articl…睡眠に必ずしも脳が必要でないとすると、その最小構成要素は何であろうか。 2021-11-03 10:57:00 リンク www.science.org ‘Ifit’s alive,it sleeps.’ Brainlesscreatures shed light on why we slumber Sleep’s benefits may extend far beyond the brain, with role for muscles, immune system, and gut 8 users 3991 Daichi Konno

カナダのロイヤルオンタリオ博物館の古生物学者らにより、カンブリア紀に生息していたとみられる新種の生物の化石が発見されました。 A giant nektobenthic radiodont from the Burgess Shale and the significance of hurdiid carapace diversity | Royal Society Open Science https://doi.org/10.1098/rsos.210664 Massive new animal species discovered in half-billion-year-old Burgess Shale | Royal Ontario Museum https://www.rom.on.ca/en/about-us/newsroom/press-releases/massive-n

約三〇億年前の生命の誕生以来、生物進化の系統樹は多岐に広がった。脊椎動物から四肢動物が生まれたのが約四億年前、その後、四肢動物から哺乳類が生まれ、哺乳類から霊長類が生まれ、霊長類からサル類と類人猿が分化し、類人猿からオランウータンとゴリラがそれぞれ分化しつつ、遅れて約八〇〇~五〇〇万年前に別れるのがチンパンジーと人類であった。 ヒト上科 テナガザル科 ヒト科 オランウータン亜科 ゴリラ亜科 ヒト亜科 チンパンジー族 ヒト族(人類) アウストラロピテクス亜族 ヒト亜族 ヒト属(現生人類) 進化系統樹の分岐点となるヒトと類人猿やチンパンジーとを分ける存在「最終共通祖先(Last Comon Ansestor:LCA)」は今のところ発見されていない。近年の遺伝子研究では突然変異的に忽然と人類が登場したのではなく、比較的早い時期からそれぞれの種に特徴的な遺伝子の分岐が起こり始め、両者の交雑が繰り返
海洋研究開発機構などが培養した古細菌の一種(中央)。腕のような突起が伸びている。矢印が示すのは古細菌が放出した小胞=同機構提供 海洋研究開発機構などの研究チームが、深海で採取した泥を使って、ヒトをはじめとする「真核生物」の祖先に当たるとみられる微生物の培養に世界で初めて成功したと明らかにした。単純な生物が複雑な生物へと進化した謎に迫る発見だとして、米科学誌サイエンスは20日、今年の10大研究成果の一つに選んだ。 培養された微生物は直径約0・0005ミリ(0・5マイクロメートル)の「古細菌」(アーキア)の一種。泥から人間を作ったギリシャ神話のプロメテウスにちなみ「プロメテオアーカエウム」と名付けた。 地球の生物は「細菌」「古細菌」「真核生物」の3種類に大別される。真核生物は古細菌の一種から進化・誕生したとの説が有力だが、実際の祖先に近い古細菌を培養して分析できた例はない。このため培養は世界中

東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター システムウイルス学分野の佐藤准教授らは、ヒトを含む160種のほ乳類のゲノム配列のメタ解析により、ウイルス感染を防御する遺伝子APOBEC3(注1)の進化原理を明らかにしました。 内在性レトロウイルス(endogenous retrovirus; ERV、注2)は、宿主のゲノム中に残るウイルス感染・侵略の痕跡です。ヒトを含む哺乳類において、ERVはゲノムの大きな割合を占めているため、哺乳類の祖先は大量のレトロウイルス感染にさらされてきたと考えられています。このようなレトロウイルス感染に対抗するため、哺乳類はさまざまなウイルス感染防御機構を進化させてきました。ウイルス感染防御を担う遺伝子のひとつに、APOBEC3ファミリー遺伝子があります。興味深いことに、APOBEC3ファミリー遺伝子は、ほ乳類の進化の過程において遺伝子重複によりコピー数を増大させ

福山大生命工学部生物工学科の佐藤淳准教授(進化生物学)の研究グループが、共通の祖先から分かれたと考えられてきたアザラシ、アシカ、セイウチの遺伝子の分析から、アザラシの祖先だけ別の過程で陸から海へ進出した可能性があるとする論文を発表した。同じ陸の生き物から進化したと考えられてきた水族館の人気者たちが、実はルーツを異にする動物だったことを示唆する研究結果に、水族館のベテラン飼育員も関心を示している。 アザラシ、アシカ、セイウチの仲間は「鰭脚(ききゃく)類」と総称される海生哺乳類。耳たぶがなく腹ばいで移動する「アザラシ科」▽小さな耳たぶがあり、前後の脚で体を起こして歩く「アシカ科」▽大きな牙を持つ「セイウチ科」――など、主に体の特徴で分類されている。 佐藤准教授によると、これまでは3000万~4000万年前にイタチの仲間から分かれた後、陸上で暮らしていた祖先が海に進出し、時間をかけてそれぞれの形

化石の分析によって、後ろ脚がヘビの祖先にとって役立っていた可能性が示唆された/Courtesy Ral OrencioGomez (CNN) ヘビは7000万年にわたり後ろ足を持っていたが、その後の進化の過程で失われた――。新たな化石を分析した結果として、20日の米科学誌サイエンスアドバンシズにそんな論文が発表された。 ヘビは1億7400万年前~1億6300万年前に出現。その後の進化で手足のない生態に適応したが、これまでの限られた化石記録からは変化の様子が分かっていなかった。 従来の説ではヘビに手足があった期間について、四肢のない現在の体形に適応するまでの過渡期に過ぎないとの見方もあった。 しかし、新たに発見された保存状態のよい化石を分析した結果、長期間にわたり後ろ足があったことが判明した。 分析対象となったのは、ナジャシュ・リオネグリナと呼ばれる初期の種。研究者はアルゼンチンのパタゴニ

Point ■商業的に漁獲されていた魚に、急速な進化を引き起こす遺伝子変化が発見された ■漁獲されている魚の多くが、ここ数十年の間に、成長と成熟が遅くなっている ■これは成長の遅い小さい魚ほど、網から脱出しやすく、遺伝子を次世代へ残しやすいことが関係していると考えられる 生物の進化は数千年、数万年という時間的スケールで緩やかに進むものというイメージがあります。 しかし、実際の進化は、非常に短期間で起こる可能性があるのです。 その一例が漁獲対象とされている魚たち。商業価値のある魚類は、ここ数10年の間に成長が遅くなり、漁獲量の低下に繋がっている可能性があると指摘されています。そして、そんな急速な変化を起こしている理由が、強い収穫圧力にあるというのです。 この研究は、ノルウェー国立ベルゲン大学の研究者により発表され、8月2日付けで科学誌Scienceに掲載されています。 漁師の網から逃げるため

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年 作者: マットウィルキンソン,Matt Wilkinson,神奈川夏子 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2019/02/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る すんごい。知的興奮の宝庫。 タイトルのとおり、脚、ひれ、翼という「生物がその場から異動するために使う器官」がいかにして進化してきたかについての一冊。 進化は偶発的に起こるものだ。僕も大好きな『ワンダフル・ライフ』の著者である生物学者のスティーブン・ジェイ・グールドは、仮に生命の誕生から進化の過程をもう一度やり直したら今とは違う生物界となっているだろうと断言した。 つまり今の生き物の進化はすべて偶然によるもので、そこに必然性はないとグールドは言っている。 しかし、本書ではそれに真っ向から対立し、生物の運動器官の進化には必然性や明確な理由が存在して

雪の中でじゃれ合う馬(2017年11月19日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / dpa / Karl-Josef Hildenbrand 【1月25日 AFP】優秀な競走馬から畑ですきを引く農耕馬まで、馬の足の指の数は5本だったとの研究論文が24日、発表された。現代馬は足指が1本だけとする通説を覆す研究結果だという。 馬やシマウマなどのウマ科動物は、数百万年に及ぶ進化の過程で足の指が段階的に退化して消失し、最終的に先端がひづめになっている巨大な中指だけが残ったと、科学者らの間では長年考えられていた。これは哺乳類の中で他に類を見ない特徴とされている。しかし、英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された論文によると、この説は少なくとも部分的に誤りがあるとい

東京大学(東大)は9月26日、脊椎動物の基本構造が5億年以上の進化を通して変化しなかった要因として、遺伝子の使い回しから生じる制約が寄与している可能性が高いことを大規模遺伝子発現データ解析から明らかにしたと発表した。 同成果は、東京大学大学院理学系研究科の入江直樹准教授らの研究グループによるもので、9月26日付の英国科学誌「Nature Ecology & Evolution」に掲載された。 脊椎動物は5億年以上前に出現して以来、さまざまな形をした動物種に進化し、多様化してきたが、基本的な解剖学的特徴については、どの脊椎動物種も共通しており、体のサイズや重量、体色が多様化してきたことなどに比べると、ほとんど変化がないことが知られている。 この要因についてはこれまでの研究により、脊椎動物の基本構造を決定づける胚発生期が、進化を通して多様化してこなかったことに原因があると考えられてきたが、なぜ

存在そのものが謎2017年4月、『生物はウイルスが進化させた』(講談社ブルーバックス)を上梓した。副題に「巨大ウイルスが語る新たな生命像」とあるように、この本はウイルス一般ではなく、ウイルスの中でも特に最近研究が盛んに行われるようになった「巨大ウイルス」に焦点を絞った本だ。 巨大ウイルスは2003年に初めて発見されて以降、続々と新たなタイプが見出されており、かくいう私も、2015年に東アジアでは初となる巨大ウイルス「トーキョーウイルス」の分離に成功している。 巨大ウイルスは確かに「巨大」なのだが、それはあくまでも「それまでのウイルスにとって巨大」なだけであって、われわれ生物からしたら相変わらず「微小」である。 では、ウイルスにとってはどれだけ巨大なのか。私たち人間の立場にたとえれば、『進撃の巨人』に登場する3〜4メートル級の巨人に相当するサイズ感であって、超大型巨人のごとくではとうていない

(CNN) 60年前に深海で見つかった紫色の靴下のような姿をした生物が、進化の初期段階の生物だったことが分かったとして、オーストラリアや米国の研究チームが科学誌ネイチャーに論文を発表した。生物の進化の過程について探る手がかりになるとしている。 「珍渦虫(ちんうずむし)」と呼ばれるこの生物は、脳も目も生殖器もなく、1つだけある開口部から餌を取り込んで排泄(はいせつ)物を出す。スウェーデン沖で発見され、1949年に報告されていながら、正体についてはさまざまな説があった。当初は軟体動物と誤解され、複雑な生物が退化して単純な生物になったという説が有力視されていたという。 しかし西オーストラリア博物館のネリダ・ウィルソン研究員らのチームが調べた結果、珍渦虫はもともと進化の枝分かれの初期に位置する単純な生物だったことが分かったという。 研究チームは12年前に太平洋でこの生物の4種類の新種を発見し、履き

兵庫県丹波市の1億1000万年前の地層から、鳥類か鳥類に進化する前の段階の恐竜のものとみられる卵の化石がまとまって見つかりました。完全な姿で残っている卵の化石もあり、専門家は進化の過程を知るうえで極めて貴重な発見だとしています。 この地層からは10年前、国内最大級の新種の草食恐竜「丹波竜」の化石が発見され、地元の発掘グループが引き続き調査を進めたところ、去年10月、100点以上の卵の化石がまとまって見つかりました。中には、人の親指ほどの大きさで、丸い形を保った完全な姿の化石も4つあったということです。 さらに詳しく調べたところ、これらの化石は、鳥類か、鳥類に進化する前の段階の「獣脚類恐竜」のものとみられ、「トロオドン」という恐竜の卵と特徴が似ているということです。前白亜紀の「獣脚類恐竜」のものだとすれば、卵の化石が完全な姿で見つかるのは世界で7例目で、鳥類ならば、完全な形で見つかったものと

このたび、当館学芸員・林 昭次(地史研究室)を含めた国際研究チームによる『大型陸生動物の骨内部組織』に関する研究論文が、生物学分野の イギリスの国際学術雑誌「Biological Journal of the Linnean Society」において平成27年9月8日にオンラインで先行公開されました。 論文タイトルは 『Biomechanical evolution ofsolid bones in large animals: a microanatomical investigation』 (日本語訳 :『大型動物がもつ骨の生体力学的進化:骨の内部構造観察による新知見』)。下記ホームページで論文の要旨と電子版の本文を閲覧することができます 。 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bij.12660/abstract ※論文の本文は有料

化石史料から我々が知り得る、人類の「文化」の始まりについての知見というものは、存外に少ない。化石には残りにくいもの、というのがあまりにも多いからだ。例えば、我々は、我々の祖先がいつ、言葉を話し始めたのかいまだに知らない。 Like Us on Facebook しかし、遺伝学の進歩は、ゲノムに残された情報を元に人の歴史を辿ることを可能にし始めている。その一つの成果がこれだ。ヒトが衣服をまとい始めたのは、7万数千年前のことである、という。 きっかけはささいなことであった。ドイツに住むあるアメリカ人遺伝学者の息子が、学校から一枚の紙を持ち帰った。「最近、シラミが発生しているので注意してください。なお、シラミは寒さに弱いので人体を離れると24時間以上生きることはできません」。 遺伝学者、マーク・ストーキングはこれを読んではたと気付いた。シラミが人の体から離れて生きることができないのならば、

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