桜餅といえば、粒感のあるピンク色の餅で餡を丸く包んで桜の葉を巻いた和菓子だ。関西で生まれてこのかた、「桜餅」と言われればまずこれだった。それ以外の「桜餅」の存在なんて想像すらしていなかった。 ところがどうだ、東京に来てみれば見慣れないやつが桜餅を名乗っていた。平べったい生地で餡をロールケーキのように巻いてその上からさらに桜の葉を巻いた和菓子。関東ではこれを「桜餅」と呼ぶらしい。 アホか。どこが餅だ。今日からきみは桜クレープと名乗りなさい。おしゃれぶりやがって。なんだその軽やかなフォルムは。ヨックモック気取りか。洋菓子のパーティにでもお呼ばれしているのか?大体その葉っぱはなんだ。意味があるのか?その桜の葉っぱはな、本物の桜餅をそのまま触ると手がべたついてしまうから巻かれているんだよ。きみは見たところ結構さらさらしているようだが本当に桜の葉っぱが必要だったか?そのまま手でつまんで食べられそうな

よく行くスーパーまでの道に、野菜の無人販売所がありまして、そこは無人販売所としては結構頑張ってる感じがするんだ なんかビビっちゃって何も買ったことはないんだけど、野菜に加えて漬物とかキムチなんかも売ってるみたいで、ちゃんとポップもあって、ときどき車が止まってなにか買っているのを見かけもする 総合して、いい無人販売所なんです そこに最近立て看板があって、「あー、しば漬け食べたい」って書いてあるんだよ その横には、夏らしくクワガタの絵なんかも添えてある これまでの人生で、一度も俺の中にあったことのない感情なんだ 「あー、しば漬け食べたい」っていうのは そんなことは、思ってもみなかった むしろ、可能であればこのしば漬けを食べずに済ませたいな、と思ったことが何度かあるくらいだ 大学時代、付き合っていた彼女とよく行っていた中華料理屋があって、そこはチャーハンと唐揚げがすっげえうまくて、他もだいたい何

部屋に謎の虫(ゾウムシっぽい見た目)が出現したので、とりあえず殺虫剤をかけて殺害したんだが、思ったよりしぶとくもがいていて、なんだか悪いことをしたなあという気分になった なんだか、っつうか明確に悪いことをしてるのはそうなんだが、まあ、それはそれとして 虫、すげえもがいてたんだよな 生きることへのシンプルな欲求、力を感じた まあ俺も突如致死性の毒液を吹きかけられたらあのくらいもがくんだろうけど、まあ、それはそれとして たいして目的もなく、志低く、むしろ早く死にたいなんて思いながら生きている俺が、しっかり生きている虫を殺してしまったなあ、と思うわけですよ まあしかし、正直にいうと、小気味良さもある マジメに生への執着を持って生きていて、機会がありゃバリバリ繁殖もやっちゃうような、生命の優等生クンだったわけだ、やつは 俺はいっぽう、あーだりーはよしにてーとか、ナメたことを言いながらダラダラ惰性で

俺の家の近くでボーダーコリーが飼われている。白黒のモワモワした毛並みのあの犬だ。 この犬、何だか俺を好きで好きでたまらないみたいなのだ。 俺も犬は好きなので出勤途中に散歩している他の犬などを見かけるとアイコンタクトして飼い主にも黙礼くらいはしているのだが、件のボーダーコリーは俺と目が合うともんのすごい勢いで俺の所に突っ込みたがり、飼い主の奥さんが慌ててリードを引っ張るくらいだ。リードで引っ張られながら二本足で立ち、「おい待て!素通りするな!俺を撫でろ!」と言わんばかりに前足をもがかせて。俺が立ち止まり撫でようとすると即座に地べたに寝っ転がって腹を見せて、俺が腹を撫でると「よしよしわかってるじゃないか」と満足そうにするのだ。そしてそれを見ながら飼い主の奥さんは「あー…あんたシャンプーしたばかりなのに」とぼやく。 多少俺にしっぽ振ったり目で追ったりする犬は多いが、この犬のそれはちょっと異常なく

住んでいる家から歩いて15分ぐらいのところに砂浜がある。晴れでも曇り空でも、海を見ているとまったく印象は異なるのにどこか気持ちが楽になるので、他にやることも特にないし、暇さえあれば行っている。 今日は台風一過の晴天がまだ続いていて、朝10時ぐらいに浜に着いたら、俺と同じような地元民がけっこう遊びに来ていた。盛夏のような密集した感じではなかったけども、犬を散歩させている人だとか、少年団の水泳教室みたいのとか、俺と同じようなぼんやりした中年みたいな人とかが浜辺に適当に散らかっていて、活況という雰囲気だった。 … 波打ち際で、歩き始めたばっかりという感じの小さい子供とお母さんらしき女性の二人組が遊んでいた。幼児がえっちらおっちら、やじろべえのように左右にバランスを取りながら、右足で地面を踏んだエネルギーを体の左側に、今度は左足で踏んだエネルギーを右側にやるのが見えるようで、そうやって濡れた砂の上

結論何も問題ではない。藤井風のサブスク発言とは藤井風 @FujiiKaze サブスクでたくさん再生してくれる人、それを呼びかけてくれる人たち真面目にありがたいな。。 https://twitter.com/FujiiKaze/status/1419585810819547141?s=20 大人気のシンガーソングライターである藤井風が投稿した1つのツイートに対し一部ファンが騒いだことに端を発する。藤井風がサブスクリプションサービスで自身の音楽を聞いてくれること、さらに周囲への”サブスク視聴”を呼びかけるファンに感謝の意を表した。 ところが、一部のファンがこのツイートに「サブスクじゃなくてごめんなさい」などと本人のコメント意図を汲めない返信をしたり、 曲解して「寝ている間にサブスクで無音再生して、再生数を増やします!」というキャンペーンを呼びかけるファンまで現れた。 リプ欄見ていて意外とサ

──人は皆、いつかカレー作りに熱中する日がやってくる。俺のCデイはまさに今日であると言えた。 これは秘伝のカレーレシピではなく、俺がバターチキンカレーと呼べるものを作るまでの物語である。カレーとは何だろうか。カレーだけに一口に言うならばインド発で香辛料をふんだんに使ったスパイシーな料理等とでも言っておけば良いだろうが、誰もがそれを思い浮かべた際、そのイメージは一様ではないだろう。カレーとは料理であり、概念である。 きっと誰もが心の内に思い思いのカレーを秘めている。 スパイスなのか、ルーなのか。肉か、魚か、それとも野菜か。 時にナンで食い、時にライス、また時にはチャパティ、パン、ヌードル、言い出したら際限が無い。付け合せや隠し味になんて言及すらしたくない。 台所になぞ録に立ったことのない男子大学生が天啓の如くチャーハン作りに凝りだすように、俺は今カレーに拘りを持とうとしていた。 俺のカ

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