1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『1940年体制―さらば戦時経済』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』『仮想通貨革命』『ブロックチェーン革命』など。近著に『中国が世界を攪乱する』『経験なき経済危機』『書くことについて』『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』『「超」英語独学法』などがある。野口悠紀雄ホームページ ------------最新経済データがすぐわかる!-------
東日本大震災から丸2年。福島県に企業が少しずつ戻り始めた。手厚い補助金だけが目的ではない。産業集積や物流網を評価し、投資している。ただ、海外からの風評被害など依然障害も。復興へ向けた課題は多い。 福島県郡山市中心部からクルマで20~30分の郡山西部第2工業団地。この地で計測器大手、アンリツの新工場建設が急ピッチで進んでいる。現在は建屋の鉄骨が組み上がったところで、今夏の操業開始を目指している。 新工場は、7万平方メートルの敷地に30億円強を投資して建設する。これからも需要の伸びが期待されるスマートフォンの生産検査に使う装置部品を生産する計画だ。郡山市中心部にほど近い既存工場と合わせ、国内外の製造拠点におけるマザー工場と位置づける。 経営企画室の佐野道彦部長は、福島県内での工場立地について「会社にとって、とても重要な決断だった」と振り返る。2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴って東

シリーズ「オペマネの思考法」の第1回では、お茶のサプライチェーンの例を用いて、事業プロセスから戦略を組み立てるというオペマネの思考法を紹介した。トップダウンで、降ってわいたような戦略を、現場が事業プロセスに無理やりに落とし込むというような勘違いのリーダーシップの真逆と理解していただきたい。 今回は戦略立案の有効な手段として使われるSWOT分析の落とし穴を指摘し、オペマネの思考法である「問題解決」からの切り口を考える。SWOT分析を用いて、現状維持を正当化して、問題解決に取り組まない日本の製造業がとるべき思考法を提案する。 問題解決の障害となる SWOT分析の落とし穴 事業戦略立案におけるSWOT分析は、事業部の強み(Strength)と弱み(Weakness)を列挙した上で、事業部にとっての機会 (Opportunity)と脅威(Threat)を列挙し、この4つの項目すべてをまな板の上に乗

2012年9月4日(火)から、立命館大学政策科学部の「研究入門フォーラム」というプログラムの一環として、学生15人と英国フィールドワークを行っている(9月12日までの予定)。これは学部2回生を対象に、フィールドワークを実際に体験させるプログラムで、国内のさまざまな自治体への訪問の他に、フランス、カナダ、中国、韓国、タイ、英国の海外フィールドワークのプログラムもある。私は今年度プログラムの担当ではないが、学生引率の1人として英国プロジェクトに参加している。今回の訪問先は、昨年に引き続いてHSBC、BPなどの企業、英国の地方行政機関、NGOなど多岐に渡るが、今回は英国の「製造業」に焦点を当てる。 昨年度のフィールドワーク: 「UK社会構造化モデル」 まず、この連載でも取り上げた、昨年度のフィールドワークの取り組みと成果を振り返る(第19回、第20回を参照のこと)。昨年度は、メインの研究テーマを

2010年12月24日、日本半導体業界に激震が走った。東芝が韓国のサムスン電子に先端システムLSIを生産委託すると発表したからだ。 日本経済新聞の記事によれば、東芝はリーマン・ショック以降、採算の悪化していたシステムLSI事業を以下のように整理するという。 まず、ソニーから購入した長崎工場は再びソニーに売却する。また、システムLSIの主力拠点であった大分工場はイメージセンサーの生産に衣替えする。さらに、最先端のシステムLSIは、サムスン電子および米グローバルファンドリーズに生産委託する。 その上で、サムスン電子に次いで世界シェア2位のNANDフラッシュメモリーに、経営資源を集中するとのことである。 なぜ、ライバルのサムスン電子なのか? 筆者はもちろん多くの関係者が驚いたのは、生産委託先が「なぜサムスン電子なのか?」ということであろう。何しろNANDフラッシュメモリーにおいては、サムスン電子

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