政府が食料品価格高騰対策として推奨する「おこめ券」を巡って、配布する場合に実務を担う自治体側から「あってはならない選択肢」「時間がかかり手数料がかさむ」と、離脱表明や異論が相次いでいる。市民のために使える予算が増えるのに、なぜ不評なのか。 「コストが上乗せされ、使途も限定されるため、消極的だ」。岐阜県羽島市の松井聡市長は9日、おこめ券を配布しない方針を市議会定例会で述べた。 おこめ券は今秋、鈴木憲和農相の提唱で、政府の総合経済対策のメニューとして急浮上した。今年度補正予算案で、自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」を2兆円拡充し、うち4000億円を「おこめ券」の配布を含む食料品価格高騰に対応する特別加算(特別枠)としたのだ。1人あたり3000円相当を利用でき、国は全1741市区町村に食料品価格高騰対策について対応を求めているという。 群馬県みどり市のように、おこめ券を先行配布している自

鈴木憲和農相(右)と山下雄平副農相=東京都千代田区の農林水産省で2025年12月5日午前11時39分、中津川甫撮影 農林水産省が5日公開した鈴木憲和農相の資産に、「JA山形おきたま」からの借入金として497万円が盛り込まれていた。 鈴木氏は高止まりするコメ価格の対策として、全国農業協同組合連合会(JA全農)などが発行する「おこめ券」の活用を提唱しているが、一部で手数料収入が入るJA側への利益誘導との批判もある。 JAと金銭的な利害関係がある状態は、巨額の公費を投じる政策の正当性に誤解を生む恐れもある。 鈴木氏の事務所によると、借入金は「山形県南陽市の居宅購入に対するローン残高だ」という。鈴木氏はこのほかの住宅ローンとして、4549万円を記載したが、借入先の金融機関名はなかった。 鈴木氏は同日発表した談話で「資産公開制度は『公職にある者としての清廉さを保持・促進し、行政への国民の信頼を確保す

農林水産省が事実上の減反政策(生産調整)との批判がある「需要に応じた生産」を、法律に盛り込む方針を固めたことが判明した。石破茂前首相はコメ政策を増産に転じる方針を掲げたが、高市早苗政権の誕生で旧来の農政に逆戻りしたとの指摘もある。法律に明記することで政府判断の急転換を縛り、政権が代わってもコメ政策の原則を安易に転換させない仕組みにする狙いとみられる。 政府関係者が明らかにした。来年の通常国会に提出予定の食糧法改正案に盛り込む方向で調整している。 旧来のコメ政策を堅持するため、同法に政府の役割として「需要に応じた生産を促進すること」や、生産者に「需要に応じた生産に主体的に努力すること」といった内容を定める方針という。また国や自治体に対し、需要に応じた生産を可能とする情報提供の責務も盛り込む方向で進めている。 国は2018年産米から農家に生産数量目標を配分する減反政策を廃止。それ以降は生産現場

「鈴木大臣の支持基盤は農村です。コメの価格が暴落すれば次の選挙に響きますから、非常に困るわけです」と“政官業トライアングル”の利権構造を指摘し続けてきた宮城大学の大泉一貫名誉教授 配っても「焼け石に水」…『おこめ券』で潤うのは「JAと農水族」!? 鈴木憲和農林水産大臣が就任早々に言及し、一気に関心を集めた「おこめ券」。これほど話題に上ったことが、かつてあっただろうか。 いわゆる「おこめ券」は2種類あり、全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が「全国共通おこめ券」を、JAグループの全国農業協同組合連合会(JA全農)が「おこめギフト券」を発行している。いずれも1枚500円だが、印刷費など経費で60円差し引かれるため、支払いに利用できる額は440円だ。 10月30日に鈴木農相と面会した全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長は、米価高騰におこめ券で対応するという農相の案を「支持する」と表明

2027年国際園芸博覧会(花博)」の日本政府出展起工式で、記念撮影に臨む(左から)鈴木憲和農林水産相、高市早苗首相、金子恭之=2025年11月2日、横浜市瀬谷区 「農家を儲けさせること」が使命なのか? 鈴木憲和農水相が任命された際、高市早苗総理から次のように言われたことを地元で明らかにした。 「あのね、稼いでね。稼げるようにしてね。稼がなきゃだめよ、稼ぐのよ! じゃあ、あとよろしく」「ガチャンと切られました。これが総理の農林水産業への思いと気持ちです」(2025年11月17日付TBS NEWS DIG) 高市総理や鈴木農水相にとって、農水省は農家を儲けさせるためにあるようだ。 同省は農業という業界の霞が関出張所のようである。かれらにとって、国民や消費者への食料の安定供給は眼中にない。これが農水省はもとより自民党だけでなく、他の政党も含めた農林族議員の本音である。 衆参両院の農林水産委員会は

コメの価格がいまだ高騰しているのに、大増産せず、また価格にも介入しないと発言した鈴木憲和農水相に批判が集まっている。しかし、現役農家のSITO.さんは「コメは需要に応じて生産しなくては価格の大暴落を招き、離農の原因になる。また価格は市場原理に任せる必要があるため、鈴木農水相が間違っているわけではない」という――。 【この記事の画像を見る】 ■物議を醸している来年度の生産量 高市政権で、新たに農林水産大臣に就いた鈴木憲和氏のさまざまな発言が物議を醸しています。早くも辞任を求める声が出たり、野党議員から資質を問われたりと方々から批判を浴びていますが、実際のところはどうなのでしょうか。 もっとも批判されているのが、コメを「増産」から「減産」へと転じさせたとされている点です。しかし、これは誤解でしょう。じつは「減産」したのではなく、「需要予測に応じて調整した」に過ぎないのです。 次年度(令和7/8

コメの値段が下がらない。備蓄米の放出で下がると言ったのは前任者だった。農政を一転させる農水省「はえぬき」大臣の打つ手も危うい。 新農水大臣は「農協の利益代表」「新しく農林水産相になった鈴木憲和氏ですが、彼は自民党の国会議員というより農協の利益代表ですよ。国民や消費者ではなく、農協のほうを向いて働いているだけです」 語気を強めてこう批判するのは、農政に詳しいキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏である。 農水省の発表によれば、直近の銘柄米の価格は5kgで4540円と過去最高を記録した。山下氏は、鈴木農相の政策ではコメ価格は高止まりを続けると指摘する。 Photo by gettyimages 「小泉進次郎前農相は、コメ価格を下げるために増産する方針でしたが、鈴木農相は一転して、来年は5%程度の減産を行い、さらに備蓄米として買い入れ、コメの供給量を減らすと打ち出しました。つまり、米価
2025年10月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。政治・経済部門の第1位は――。 ▼第1位 進次郎農水大臣のほうがよっぽどマシ…高市政権に潜り込んだ「コメの値段を下げたくない農林族」の正体 ▼第2位 ノーベル経済学賞研究で「日本人の給与が上がらない理由」がわかった…日本の生産性を下げた"悪しき文化" ▼第3位 産油国なのにガソリン難民が急増…プーチンの大誤算「冬を迎えられないロシア人」の厳しい現実自民党と維新の連立政権下で、コメ価格は下がるのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「合意文書のなかに過去に例がないほどに高騰しているコメ価格を下げる政策について言及がなかった。食料品の消費税をゼロにしても、農業保護のために高価格維持政策を行う農政の転換をしない限り、物価高対策は叶わない」という――。

これは米価下落の「予兆」なのか。 「高値で買ったコメの販売先がない。売れないコメを買い取ってくれないか」。関東地方でコメ卸売業を営む代表男性(59)のところには最近、各地の集荷業者から相談の電話が次…

アフリカでコメの消費量が伸び続けている。おいしく調理も簡単なことから、需要は約30年間で4倍に急増し、米食がすっかり定着した。アフリカ東部のウガンダで10年にわたり稲作の研究、普及に取り組む神奈川ゆかりの専門家、宮本輝尚さんは「経済性と環境を両立しながら持続的な農業を目指したい」と語る。 「味が良く貯蔵や輸送に適しており、都市化で共働き家庭が多いアフリカでは調理のしやすさが特に受け入れられた」と宮本さんは人気の理由を説明する。 国際協力機構(JICA)の専門家で、日本大生物資源科学部(藤沢市)の出身。首都近郊の国立作物資源研究所(NaCRRI)を拠点に「持続的なコメ振興プロジェクト」(エコ・プライド)のチーフアドバイザーを務める。 ウガンダのコメ生産量は20年で6倍に増えた。「土地が肥沃(ひよく)で気候と需要に適合した」(宮本さん) 主力は陸稲。水稲に比べ収量や品質は落ちるが、水田を作らな

石破首相、持論貫徹不透明 コメ増産に農林族反発 時事通信政治部2025年08月06日07時06分配信 コメの安定供給に関する関係閣僚会議で発言する石破茂首相(右手前)=5日午後、首相官邸 石破茂首相がコメの増産に踏み切る方針を表明した。「令和の米騒動」となった価格高騰を機に、長年の持論である増産に道筋を付けたい意向だ。ただ、農家への影響を懸念する自民党農林族は早々に反発しており、政権基盤が揺らぐ中で推し進められるか見通せない。 石破首相、コメ増産にかじ 輸出拡大、放棄地も活用―政策を抜本転換・関係閣僚会議 首相は5日、コメの安定供給に関する関係閣僚会議に出席し、「生産量に不足があったことを真摯(しんし)に受け止め、今後の需給逼迫(ひっぱく)に柔軟かつ総合的に対応する」と強調。増産への転換を明言した。 コメ増産は、首相が2008~09年に麻生内閣で農林水産相を務めた時からの自説。事実上の「

コメの安定供給等実現関係閣僚会議に臨む石破茂首相(中央)。左は小泉進次郎農水相=2025年8月5日午後4時27分、首相官邸 この記事の写真をすべて見る なぜ、米価が高騰しているのか。国や農林水産省は、これまで「流通の目詰まり」が原因と説明してきた。農水省は調査を行い、「流通の目詰まりは確認されなかった」と発表。8月5日、石破首相は米価高騰について「生産量の不足」が主因だったと認めた。 【ガチで解説】コメ不足の真相を徹底解説【農水省の長年の説明は的外れだった】 * * * 「悪者扱い」された流通の怒り つまり、「ブラックボックス」はなかった、ということだ。 「『流通業者は悪玉だ』と信じた客から、『米をため込んで、もうけているんでしょ』と言われたこともあります。なぜ、『申し訳ありませんでした』と謝れないのか」 東京近郊の老舗米店の店主、中村真一さん(仮名)は、憤懣(ふんまん)やるかたな



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