農林水産省が事実上の減反政策(生産調整)との批判がある「需要に応じた生産」を、法律に盛り込む方針を固めたことが判明した。石破茂前首相はコメ政策を増産に転じる方針を掲げたが、高市早苗政権の誕生で旧来の農政に逆戻りしたとの指摘もある。法律に明記することで政府判断の急転換を縛り、政権が代わってもコメ政策の原則を安易に転換させない仕組みにする狙いとみられる。 政府関係者が明らかにした。来年の通常国会に提出予定の食糧法改正案に盛り込む方向で調整している。 旧来のコメ政策を堅持するため、同法に政府の役割として「需要に応じた生産を促進すること」や、生産者に「需要に応じた生産に主体的に努力すること」といった内容を定める方針という。また国や自治体に対し、需要に応じた生産を可能とする情報提供の責務も盛り込む方向で進めている。 国は2018年産米から農家に生産数量目標を配分する減反政策を廃止。それ以降は生産現場

スーパーで欠品が相次いだ2023年産米の需給を巡り、農水省は生産量が最大で56万トン不足していたとの試算結果を示した。不足分は、政府備蓄米放出の目安となる10年に一度の不作に相当する。同省が需要量を過少に評価して需給を見誤り、備蓄米放出が遅れた結果、米不足による混乱が広がったことが改めて浮き彫りとなった。今後は需給把握の精度向上が課題となる。 これまで、同省は需要に対して米の生産量は足りているとの主張を堅持。不足・高騰の原因は、集荷業者や卸売業者による流通の停滞や目詰まりにあるとしてきた。ところが、米の安定供給に関する関係閣僚会議で説明を一転。23年産は44万~56万トン、24年産は28万~32万トンが不足していたとの見方を示した。 備蓄米の放出は、大凶作や連続する不作などで需要に対して生産量が不足した場合に行う。備蓄運営の基本指針に不作の明確な定義はない。ただ、2001年に備蓄運営研究会

オピニオン編集部・宇田川恵 なぜコメは高騰しているのか。昨年の夏から1年近く取材をしてきて、本当の答えが分かった気がする。 「コメを買ったことはありません。まさに売るほどあります」。農相だった江藤拓氏が5月半ば、大勢の人を前に平然と言い放った言葉だ。 育ち盛りの息子に「おかわり」をさせられないとうつむく母親。5キロ入りのコメを買えず、2キロ入りでしのごうとするお年寄り。学生におなかいっぱい食べさせたいがこれ以上は提供できない、と涙ぐむ食堂経営者……。 こうした一人一人の苦しみを、コメ行政のトップが我がこととして切実に感じていなかった。これこそが異常な米価が放置された本質的な原因だと言えよう。 後手の農水省、価格下げたくなかった? そもそも米騒動が起きた昨夏に備蓄米を十分放出していたら、こんな事態にはならなかった、と見る専門家は多い。コメの需給が安定していれば、切迫感から来る混乱は生じなかっ

江藤拓農林水産相は21日、石破茂首相に辞表を提出し、受理された。「コメは買ったことがない」発言が「令和のマリーアントワネット」(立憲民主党の小川淳也幹事長)などと批判され、混乱を招いた責任を取った。歴代農水相を巡っては失言や不祥事が相次ぐ。平成12年以降、33人(重任や臨時代理除く)のうち江藤氏を含む約10人が引責辞任。「政治とカネ」の問題が後に発覚する事例もあり、業界で「鬼門のポスト」と称される。(肩書は当時) 「政治とカネ」は5件政治とカネを巡り任期途中で退任した事例は約5件。事務所経費問題で平成19年8月に赤城徳彦農水相が辞任し、後継の遠藤武彦農水相も自身が組合長を務める農業共済組合の不正受給問題が発覚し、わずか8日で辞任した。 平成19年8月、当時の安倍晋三首相に辞表を提出した赤城徳彦前農水相=首相官邸 (酒巻俊介撮影)27年2月には西川公也農水相に自身が代表を務める政党支部への違

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