第3回:SEKAI NO OWARI「RPG」を音楽家の観点から分析 第3回目はSEAKI NO OWARIの「RPG」を取り上げます。 下世話な旋律とゲームの世界観が若者の心を掴んだ 日本の音楽シーンに於いてヒップホップがメインストリームにならないのは、我が国の音楽文化が歌謡曲に根ざしているからに他なりません。オシャレなヤングがどんなに東京で気取っても、先の紅白を見ても分かる通り結局の所メロディと明確なコード進行が大好きなのです。 そこでSEKAI NO OWARIです。彼らは日本の伝統芸能である歌謡曲を前面に押し出しています。4分の4拍子、ホ長調。全体的に2拍でコードチェンジが行われ、そこにはっきりくっきりしたメロディが乗り、それが下世話な感じを表現していて、彼らが購買層と考えているヤングたちにはとても魅力的に響きます。 歌謡曲を作ることは、実は大変難しいことです。多くのヒップホップ・

音楽と恥 クラシック曲をアレンジした世俗曲は昔から多々あります。しかし先達の優れた才能と研究の成果であるそれらの完成された曲を上回るアレンジは容易なことではありません。その中でも成功した稀有な例として、「天使にラブ・ソングを2」の挿入歌である「Joyful,joyful」が挙げられます。 これはベートーヴェン作曲交響曲第9番「合唱付き」第4楽章のレチタティーヴォ以降の旋律をアレンジしたものですが、歌詞もヘンリー・ヴァン・ダイクが1907年に作詞したものをなぞっており、神を賛美している点に於いてオリジナルを充分に尊重しているものと言えるでしょう。 ローリン・ヒルの歌唱に緻密なアレンジが相まって、これをベートーヴェンへの冒涜とはおよそ考えられません。むしろリスペクトの塊であるとも受け取れます。 ——— 他方の例。グスターヴ・ホルストは「組曲『惑星』は完成された作品なので手を入れるな、抜粋も許さ

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