千葉県銚子市の缶詰工場で働くホー・ティ・トゥイ・ニュンさん(38)は、毎朝8時から缶詰工場のラインに立つ。魚の頭と尾を機械で切り落とし、異物を手で取り除く。焼いた魚を網から下ろす繊細な作業もこなす。作業は工程ごとに分かれ、数時間おきに担当する工程が変わる。 「入ったばかりの頃はどの工程も戸惑いましたが、すぐに覚えました。担当がどんどん変わるけれど、全部慣れるとかえって面白いです」 ニュンさんはベトナム人技能実習生。8歳の子どもと夫を母国に残し、夏からここで働く。従業員80人のうち、同じ国からの技能実習生はニュンさんを含め16人。 缶詰工場の社長は話す。「銚子の1次産業は、外国人なしでは成り立たない。漁獲から水揚げ、卸売、加工まで、どの段階も彼らが支えている」 外国人なしで成り立たないのは銚子だけではない。ただ、経営者側には心配がある。外国人が将来、日本を選ばなくなる恐れだ。選ばれ続けるには

小泉進次郎前農相(左)から引き継ぎを受ける鈴木憲和農相=東京都千代田区の農林水産省で2025年10月22日午前9時5分、中津川甫撮影 お米の小売価格が一向に下がる気配を見せません。政府は高値対策として「おこめ券」の配布に前向きですが、券を配って消費者が高いお米を買えば、高値が維持される方向に働き、専門家は「マッチポンプ」と指摘します。宇田川恵記者は、これ以上の消費者のコメ離れを食い止め日本のコメづくりを守るには、国が事実上の減産政策をやめ、思い切った増産へ向かうしかない、と訴えます。 宇田川恵(オピニオン編集部) 高値支える「おこめ券」 「おこめ券をもらえるまでコメは我慢するつもり」。知人が楽しみな表情でそう話すのを聞き、ぎょっとした。おこめ券という言葉が独り歩きし、妙な期待を生んだり、問題の本質から目くらましされたりしていないか。 政府は物価高対策として自治体への「重点支援地方交付金」の

政府が食料品価格高騰対策として推奨する「おこめ券」を巡って、配布する場合に実務を担う自治体側から「あってはならない選択肢」「時間がかかり手数料がかさむ」と、離脱表明や異論が相次いでいる。市民のために使える予算が増えるのに、なぜ不評なのか。 「コストが上乗せされ、使途も限定されるため、消極的だ」。岐阜県羽島市の松井聡市長は9日、おこめ券を配布しない方針を市議会定例会で述べた。 おこめ券は今秋、鈴木憲和農相の提唱で、政府の総合経済対策のメニューとして急浮上した。今年度補正予算案で、自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」を2兆円拡充し、うち4000億円を「おこめ券」の配布を含む食料品価格高騰に対応する特別加算(特別枠)としたのだ。1人あたり3000円相当を利用でき、国は全1741市区町村に食料品価格高騰対策について対応を求めているという。 群馬県みどり市のように、おこめ券を先行配布している自

当時のアベノミクスは「金融緩和・財政出動・成長戦略」の三本の矢を打ち出した。そんな浜田氏は言う。 「かつてと状況が変わった」――。 サナエノミクスとも呼ばれる高市首相の掲げる経済施策。高市氏は総裁に当選した直後の会見で「デフレではなくなったと安心するのは早い」と述べ、政権発足後は「責任ある積極財政」を掲げて戦略的な財政出動を謳った。 高市早苗総理 ©時事通信社 日経平均株価は5万円を越え、内閣支持率も7割超。だが足元では物価高が止まらず、賃金上昇は追いつかない。 8日に審議入りした補正予算案は一般会計の歳出が18.3兆円と、コロナ禍以降最大規模まで膨らんだ。 ――まず金利についてはどうですか。 「私はかつて、大規模な金融緩和を安倍氏に提言した立場です。しかし、今の日本に必要な政策は真逆」 安倍晋三元総理 ©時事通信社 浜田氏がそう語る真意とは? 「週刊文春」は、浜田氏の直言「サナエノミクス

高市首相は衆院予算委で、長期金利が上昇している現状への危機感を問われ「長期金利が上がり続けていくというようなことよりも、日本が成長し、政府債務残高の対国内総生産比率が下がっていく姿を見せる方が大事だ」と述べた。
高市早苗首相は8日の衆院本会議で、今後のコメ政策について「国内主食用、輸出用、米粉用など『多様なコメの増産』を進める」と明言した。高市政権になって増産にかじを切った石破政権からの方針転換を指摘する声も出ていたが、「増産」に言及することで懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。 高市氏は「国民の主食である米の安定供給は、食料安全保障の観点から不可欠だ」と強調。石破政権下の2025年4月に閣議決定した今後5年間の農政の方針を示す「食料・農業・農村基本計画」で、掲げられたコメの増産目標に向け、「国内外で需要を創出し、その拡大を図る」などと説明した。具体的には精米だけでなく、パックご飯や米粉などの需要拡大を挙げ、「戦略的に取り組む」とも語った。 いずれも公明党の角田秀穂氏への答弁。角田氏は「前政権は増産方針を掲げたが、鈴木憲和農相が『需要に応じた生産』に戻されたことに、増産準備を進めてい

実質GDP、年2.3%減に下方修正 設備投資落ち込みで―7~9月期改定値 時事通信 経済部2025年12月08日19時39分配信 高層ビルとタワーマンション群=東京都内 内閣府が8日発表した2025年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%減、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で2.3%減となった。企業の設備投資が落ち込んだことが影響し、11月発表の速報値(前期比0.4%減、年率1.8%減)から下方修正された。 積極財政、18兆3034億円 借金頼みで家計支援・成長投資―補正予算案を閣議決定 6四半期(1年半)ぶりのマイナス成長は変わらず、減少幅は拡大。市場では、10~12月期はプラス成長に回復するとの見方が強いが、けん引役に欠けるとの指摘も出る。物価高対応を中心とした政府の経済対策は常態化しており、ニッセイ基礎研究所の斎藤太

政府が28日に閣議決定した2025年度補正予算案を巡っては自民党内に「過大」と懸念する声がある。長期金利の上昇を警戒する財政規律派だ。高市早苗内閣の支持率が低下すれば、党内の路線対立が顕在化する可能性がある。「やりすぎなんじゃないか」。麻生太郎副総裁は民間資金を含めた経済対策の事業規模が42兆円になるとの説明を受けて周辺にこう語った。25年度の新規国債の発行額が前年度を下回ると聞くと「そうか」

高市早苗内閣が28日、総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を閣議決定した。一般会計の歳出は18.3兆円で、財源の過半を国債の増発でまかなって規模を膨らませた。市場は首相の唱える「責任ある積極財政」に長期金利上昇と円安で警告している。財政規律の緩みは大丈夫か。補正後の予算規模は133兆円で、24年度を5.5%上回る。現状で3%程度のインフレ率を大幅に上回る予算の伸びは、拡張的な政策で
![[社説]大型補正で金利上昇・円安は大丈夫か - 日本経済新聞](/image.pl?url=https%3a%2f%2fcdn-ak-scissors.b.st-hatena.com%2fimage%2fsquare%2f6ece1889ce8a8ee683b6f1ffa93e34a3d60471d0%2fheight%3d288%3bversion%3d1%3bwidth%3d512%2fhttps%253A%252F%252Farticle-image-ix.nikkei.com%252Fhttps%25253A%25252F%25252Fimgix-proxy.n8s.jp%25252FDSXZQO2282138028112025000000-1.jpg%253Fauto%253Dformat%2526bg%253DFFFF%2526crop%253Dfocalpoint%2526fit%253Dcrop%2526fp-x%253D0.27%2526fp-y%253D0.78%2526h%253D630%2526w%253D1200%2526s%253Dbe211f500ad351228c7d36f8714125e5&f=jpg&w=240)
21日に閣議決定された高市早苗内閣の総合経済対策の中で反発が上がっているのが、市販薬と効能やリスクが似た「OTC類似薬」への保険適用の見直しだ。2026年度には実施されると言及され、当事者からは負担増への悲痛な声が上がる。生活保護引き下げの対応も含め、社会保障改革の名の下に弱者切り捨てに突き進む自維政権は国民の理解を得られるのか。(加藤文、山田雄之) 政府が臨時閣議で決定した物価高対応を柱とする総合経済対策には、OTC類似薬を含む薬剤自己負担について、「現役世代の保険料負担抑制につながる制度設計を2025年度中に実現し、2026年度中に実施する」と盛り込まれた。これまで保険適用されたOTC類似薬の自己負担が増えることが現実味を帯び始めた。

Mount Fuji and the Shinjuku skyline in Tokyo, Japan, on Friday, Feb. 14, 2025. Japan is scheduled to releaseits fourth-quarter gross domestic product (GDP) figures on Feb. 17. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 高市早苗首相の経済ブレーンで、クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストは23日、外国為替市場で急速に進行する円安に対し、政府は積極的な為替市場への介入で対応するとの見方を示した。 会田氏は高市政権が新設した日本成長戦略会議のメンバーだ。NHKの番組で、政府はこれまでよりも為替介入を積極的にやり、「円安の副作用を軽減していくということになると思う」と述べた。日本

日本の財政状況が悪いという認識だった従来の政権では、介入で外貨準備を減らすことに抵抗があったと指摘。財政状況は良いという高市政権の認識に基づけば、現在の外貨準備は「あまりにも膨大だ」とし、「使ったらどうですかという発想により動きやすい」と話した。 会田氏によると、政府の純債務残高対国内総生産(GDP)比は過去4年半で133%から85%まで低下するなど、日本の財政状況は改善しているという。 高市政権の経済政策の司令塔となる日本成長戦略会議のメンバーに就任した会田氏は、城内実経済財政担当相が顧問を務める自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」のアドバイザーも務める。積極財政や金融緩和を重視するリフレ派の会田氏は、新政権の下でこれまでより積極的な為替介入が行われる可能性を示唆した。円安・債券安 高市政権による歳出拡大が日本の財政を悪化させるとの懸念から、円安と債券安(利回り上昇)が進ん

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