「自戒を込めて」と前置きするとなに言ってもいいというか、恥部を晒す言い訳じみたニュアンスがあって迷うところですが、マジで「自戒を込めて」の話をしたいです。映画でもアニメでもドラマでもなんでもいいのですが、その感想をSNSやブログに書く際、使わなくなった単語、というのがあるんです。 例えば「駄作」。あるいは「擁護」。もっと挙げます。「信者」「アンチ」「爆死」「改悪」「クソ」「カス」「黒歴史」「時間を返せ」「界隈」「にわか」「地雷」「逆張り」……。他になにかあるかな。もちろん、元からほぼ使ったことがない単語もありますが、数年前までの自分が普通に使っていたものも含みます。あまりに記号的に使われすぎた、という意味では「ポリコレ」あたりも入ってしまうかな。 自分が使わなくなっただけでなく、こういう単語を使って感想を書く人と、少しずつ距離を取るようにもなりました。その人が云々ということではなく、自分の

細田守監督『果てしなきスカーレット』を見てきた。 www.youtube.com 『ハムレット』がベースで、近世あたりのデンマークを舞台にした時代劇アニメである(中世警察:あれは中世ではないだろ…)。デンマーク王女スカーレット(芦田愛菜、ハムレットに相当)は父王アムレット(市村正親)を叔父クローディアス(役所広司)に殺され、復讐を誓うが失敗し、どうも死者の国っぽいところをさまようことになる。そこでもやはり復讐を求めるスカーレットは、ずっと後の時代の日本の看護師だという聖(岡田将生)に出会うが… まず、話の前提として、私は1年に平均して5本『ハムレット』あるいはその翻案を見ているシェイクスピア研究者である(ウソだろそんなに『ハムレット』やってるわけない…と思う人はこのブログの「ハムレット」タグをクリックしてください。友であり同胞である市民諸君、世の中は諸君が思っている以上に『ハムレット』で溢

世界99 上下巻セット 集英社Amazonこの『世界99』は『コンビニ人間』などで知られる村田沙耶香の3年以上にわたる連載をまとめた大長篇だ。10人の子どもを産むことで一人の人間を殺しても良い、特殊なシステムが生まれた日本を描き出す「殺人出産」や、カジュアルに人が自死するようになり『可愛い死に方100選』のような本が本屋に自然と並ぶようになった世界を描く出す「余命」のようにラディカルな形で出産や死を扱う短篇を書いてきた村田沙耶香だが、本作はそうしたSF的な短篇群の集大成的な長篇といえる。 僕も2025年の3月に刊行されて少ししてから読んでいたのだが、久々に衝撃を受けたと言うか、うーんと考え込んでしまうようなSFで、どう紹介しようか、と考えあぐねているうちにだいぶ時間が経ってしまった。僕はSFを読みすぎたこともあってかだいたい元ネタや潮流がわかって、半ば予想&身構えながら読んでしまう。 だが

「ジャズ名盤を聴け!」 「ジャズ名盤を聴け!」中山康樹 いわゆる名盤ガイドではない。 もっと、大事なこと、、、「音楽は自分の心で自由に楽しむものだ」ということに、気づかされる。 そして、笑ってしまうくらい独断、毒舌の語り口が痛快。 ジャズ評論家・中山康樹の「ジャズ名盤を聴け!」は、お気に入りの一冊だ。 ジャズは、何やら、難しい、敷居が高い空気を漂わせる。 入門書や名盤ガイドを読んでも、道に迷うばかりだ。 いったい、なぜなのか─── 著者は、本書の前書きで持論を説く。 抜粋してみる。 「ジャズをむつかしく語りたがる人たち」がいて、その一方に「ジャズをむつかしく聴きたがる人たち」がいる。そういう両者が相乗することによって、なにやらジャズはむつかしい、敷居が高い、暗いといったイメージを植えつけているにすぎない。 ジャズは決して難解な音楽ではない。そうしたイメージにとらわれ、個々のミュージシャン以

じゃじゃまる @JajacircleS 01.小さな恋のうた(MONGOL800) 開始0.5秒でわかるカラオケ音源。このアルバムの方向性が一撃でわかる。特徴の無いちょっと声細めの女性ボーカルで、平日夕方のカラオケ店の通路で耳をすませば聴こえてくる感じで、大変落ち着く。なんか最後に古いSFのUFOみたいな音が入る。これがDJ-MIX? 2025-09-10 12:08:42 じゃじゃまる @JajacircleS 02.空に唄えば(175R) 原曲の特徴の上澄みを30%カットしたようなエコな仕上がり。低音がやたらデカく、これもまたカラオケ店の通路にいる感じがしてエモい。最後の「ウォイ」がジャンプどころか、かかとすら地面に付いてるくらいのアンニュイさがあってかなり味わい深い。 2025-09-10 12:08:43 じゃじゃまる @JajacircleS 03.青春(THE HIGH-LOW


今日も映画の話をひとつ。 これは私の映画人生をスタートさせた映画と言っても過言ではない。 1994年公開、リュック・ベッソン監督の『レオン』だ。 このビジュアルは神好きな映画は何?と聞かれたら迷いなく『レオン』ですと答えている。 ただ、映画ファンから見るとベタ過ぎない?と思われるほどの有名作品だ。映画人生が長くなると好きが多くなってしまい、優劣をつけるのが難しくなるのだが、この作品は今でも1番好きと胸を張って言える作品だ。 中学生と言う多感な時期に観たことも起因してか、推しが死ぬ。という経験をダイレクトに経験したのが本作だったのかもしれない。と今となっては思う。あまりのショックで3日間くらい落ち込んでいたのは今でも覚えてる。 簡単にレオンのあらすじはこちら。(以降、ネタバレを含みます) 外出中に家族を惨殺された12歳の少女・マチルダは、隣に住んでいる男・レオンに助けを求める。レオンが凄腕

『夏の100冊』のくせに101冊あります。 ちょっと、マジで数が多すぎるので前段はこのくらいにしましょう。今日は時間がない。オモコロ特集 『新潮文庫の100冊 ぜんぶ読む』 概要 ① 本を読む ② 感想を書く ③ ①~②を100回繰り返す ④ 特集として書き起こす ⑤ オモコロがXで特集のポストをする ⑥ みんなが俺のことを「たいしたもんだ」って思う ★これから記事を読むみなさんへ★ 結果として42冊までしか読み切ることができませんでした。ご承知おきください。 いくぞ! 『博士の愛した数式』小川洋子 まず1冊目『博士の愛した数式』。 小川洋子、すごすぎる。数学と阪神タイガース。江夏の背番号28。完全数。本当に奇跡のようなつくりだ。しかしこれは天から降ってきた奇跡ではなく、小説家の努力と技量の上に成り立っている。 思慮深く優しい主人公(博士の家政婦)を嫌味のない形で優しい人に仕上げるのがす

はいどうも! はじめましての方ははじめまして。そうでない方はこんにちは。 ブログでは毎度お久しぶりのあでのいです! 前回の記事がジークアクス劇場公開時の感想だった訳ですが、今回は最終回の感想です。 ジークアクス全体の感想ではなく最終回に関しての感想ですね。 (めんどいのでタイトルも全部カタカナ表記で行きます) なんやかんやで先行公開の劇場版から約半年のお祭り騒ぎを私も楽しませていただいたクチなんですが、最終回に関してはマジで色々思う所があったので、一応ちゃんと文章化しておこうと思った次第でして。 とは言え、ぶっちゃけ先日Xのスペースの方で駄弁った内容を文字にしてるだけなので、文章読むのがタルいって人はRECしてるのでそっち聞いてくれたら良いかと思いますね。 https://x.com/adenoi_today/status/1938596970916176171 (最初は待機時間みたいな感


TVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(ジークアクス)が第12話「だから僕は…」で完結した。『機動戦士ガンダム』(1979-80年)で地球連邦がジオン公国に勝った設定をひっくり返して、ジオンが勝利した世界を描く一種の仮想戦記と思わせて、似たような世界が幾つもあるという多元宇宙の設定をぶち込み、『ガンダム』にとって正しい歴史とは何かを問うような物語を生み出した。文字どおり“何でもあり”だった『ジークアクス』が『ガンダム』の世界に拓いた可能性とは? 【画像】『ジークアクス』鶴巻和哉らの完結記念イラスト&メッセージ 『ジークアクス』が拓いた功績 仮想戦記は面白い。第二次世界大戦の勝者が連合国側ではなく枢軸国側だった世界を想像してみせたフィリップ・K・ディックのSF小説『高い城の男』(ハヤカワ文庫SF)も、第二次世界大戦に大日本帝国とアメリカ合衆国が参加せず、ドイツが勝利した世界で

水星の魔女以来数年ぶりのテレビシリーズということで、僕はたまらず劇場版から観にいった。鑑賞直後、感極まって一気に書き上げたnoteがこれ。 なんの配慮もなく思うがまま書いたnoteだったが、かなりのスキをいただいた。うれしかった。 僕のジークアクスは、こんなふうに喜びと共に始まったのだ。 しかし、いま、このnoteを書いている時点、つまり第10話が終わったところで、僕は深く失望している。 もちろん、ガンダムジークアクスにだ。 それは、僕自身がもう老人の感性になっていることからきているのかもしれない。それも無理もない。僕はもう48歳なのだ。 だが、ジークアクスを10話まで観て、決して僕の感性が鈍麻しているのでは無いと確信した。 ジークアクスには、決定的に足りないものがある。 それは、「ガンダム」の本質だ。 +++++++ガンダムという作品には、決して欠かせないものがある。それが無いと、ガン

ガンダム視聴歴は鉄血と水星のみで、宇宙世紀は見たことがなかった。 前情報として「シャアが出てくる」「宇宙世紀が別展開になったif」ということだけは知っている状態で観始めた。 新キャラ中心だからファースト未視聴でも楽しめますよみたいなこと言ってる人いたんだけど、あれは嘘だったようです。嘘つくのやめてもらえませんか? 1話:いきなり総集編が始まったかのような印象。カットの入り方にかなりの違和感。映画を再構成して圧縮しているからか、劇場版未視聴にとってはかなり違和感のある入りになっている。鉄血も水星も1話の出来が良く、推しの子とかウィッチウォッチとか1話はキャッチーで収まりが良いものが多いから、いよいよ違和感が強かった。コロニー内遠景など、作画はきれい。 2話:全然意味がわからず、途中で視聴を止めた。YouTubeのガンダムチャンネルで無料公開されているファーストの1話を見た。これでこの作品が何


公開当時は非常に話題となった作品らしいけど、全然知らなかった。 知人から観た方がいいよと勧められた。 なのでレンタルしてきて、ジャケットからして不穏。 花冠してる女性が泣いている姿を見るのは初めてかもしれない。 最近は寝る前に映画一本観るのに嵌ってて、この映画もそのスタイルで鑑賞した。 結論からいって、最初から全部おかしい。 怖すぎた。でも引き込まれもした。 だから気づけば、真っ赤な目をしながら二回目を視聴していた。 でもね、二回観て分かったことがある。 まず死体が安っぽい。色味も。造形も。どことなくチープ。 埋められて足だけ突き出してる死体とかまるでコントみたいで思わず笑ってしまった。 しかも一度笑うと感情が緩んで怖さが抜ける。 これってもしかしてコメディ映画なんじゃないの?って 実際、本当にちょっと声を上げて笑ってしまった。 でもその時に気付いてしまった。 この恐怖の薄れが、あの信者た

結論:それ、白雪姫の必要ある? メッセージと思われるもの 1.強い女性 2.白人絶許 3.ルッキズムの否定 なんていうかねポリコレ説教映画になってて滑稽だったディズニーが作り上げたアニメ版白雪姫(原作からの改変) 白雪姫は透き通るような白い肌だから白雪姫 王子と出会い恋に落ち恋人になる 邪悪な女王は自分の美しさに拘りがある 鏡が世界一美しいと評価した白雪姫を許せない 美しさによって女王に逆恨みされ毒リンゴを口にする 倒れた白雪姫は王子様のキスで目を覚ます 女王は小人の襲撃に会い崖から転落し死亡 白雪姫は王子と結ばれてハッピーエンド おおよそこんな感じよね 小人はただで白雪姫を匿わない 労働の対価としてそれを提供する 今回の実写映画 雪の中生まれたから白雪姫 王子は存在せず、盗賊(義賊)がそのポジションで登場 死刑にされるところを白雪姫が助ける(ここでは恋に落ちない) 邪悪な女王は自分の

最近好きなアルバムができた。 The Avalanches - 『Since I Left You』だ。 今まで好きな曲やアーティストはもう100以上あるけど、好きなアルバムは1つも無かった。 たぶんベストアルバムとかを答えるのは違うんだろうなと思っていた。ヒットした曲の詰め合わせというか。別にアルバム自体が好きな訳では無い。 『Since I Left You』は違った。 1つの写真でしかなかった楽曲が、アルバムの次のページでも続いている。 楽曲は音楽になり、音楽は絶え間なく流れ、 流れが世界を作る。 ベストアルバムを聴いていた自分が何か足りないと感じていたもの。 それは流れだった。 名場面ばかりが人生じゃないよな。音楽の詳しい話(技術、時代背景)はわからない。 意外だったのが全ての曲がサンプリングで作られていること。 何度も聴いていると、「2番目の曲の裏で流れてた音が、13番目の曲

徳永英明については、バラードおじさん?みたいな印象がある程度 壊れかけのレディオは好きだが、曲はそれしか知らない。年齢だけ調べた。63歳。父より歳上 知らんおじさんの怒涛のバラード。無論、十中八九ラブソングだろう。正直、最後まで聞いていられるか心配だ。寝てしまうかもしれない。二日酔いだし そうした不安が杞憂となるまでに有した時間は約6秒だった。一発目の、歌い出しの、出だしの、最初の、その、一声。おじさんはその一瞬で分からせた。耳が気ん持ちぃいイイぃ良いざます♡ おかしくなっちゃう 還暦を超えないと発することのできない、恐ろしく深みのある高音。それと完全な調和をなす、計算され尽くした掠れ声。喉から特殊な超音波でも出してるのか。目の前のおじさんの歌声が、ありえないことになっている。 この人... まさか、歌に自信ニキ...? 知れず「うわ、エッっぐ...」ともらしていた。岩場でゲジゲジを見た時

リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く