第2次トランプ政権下で芸術界が混乱に陥り、指導者が不安定な状況に対処する中、美術館や博物館には沈黙が漂っている/Jason Lancaster/CNN/Getty Images (CNN) 米国有数の現代画家エイミー・シェラルド氏が7月にスミソニアン国立肖像画美術館での大型展を中止した時、美術界には衝撃が走った。 シェラルド氏は、自由の女神像を黒人のトランスジェンダー女性として描いた絵画の展示方法をめぐり、キュレーター側と対立したことを受けて中止を決めた。同氏は検閲を理由に挙げ、後日の論評でも、連邦予算の補助を受けて博物館群を運営するスミソニアン協会(本部・首都ワシントン)が検閲に「屈服」させられたと主張。政府が文化機関に服従を求めればどういうことになるか、「歴史が示している」と警告した。トランプ政権はスミソニアンの博物館群に対する締め付けを強化しようと、前代未聞の措置を講じている。シェ

グッゲンハイム美術館 Photo by David Heald (C) Solomon R. Guggenheim Foundation, New York. 美術館における多様性の実情 ミネアポリスの警察官によってジョージ・フロイドが殺害されたことをきっかけに、全米各地で大規模な「Black Lives Matter」を掲げた人種差別への抗議行動が起こっているのを受け、企業や組織などが、相次いでこの動きへの支持を表明している。 美術界もこの流れに乗っているものの、業界全体では依然有色人種の占める割合が少ないのが現状である。アンドリュー・W・メロン財団が2019年に発表した報告書によると、キュレーターにおいては84パーセント、運営に関わるポジションでは88パーセントが白人で占められている。国勢調査で自らの人種を「白人」と回答した割合が76.5パーセント(2019年)であることを考慮すると、

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