こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。この夏は、読んでみようと思っていながらも、なんとなく後回しにしてた本を何冊か読みました。 そのうちの一冊が『鈴木邦男の愛国問答』(集英社新書)。鈴木邦男さんはもっともリベラルな右翼として私は一目置いていたのですが、世間的には知る人ぞ知る、くらいの認知度だったので、2023年に亡くなったときもテレビニュースでは報じられなかったと思います。だから1年近く、亡くなったことを知りませんでした。 私は2022年に刊行した『思考の憑きもの』の「世にも奇妙な「反日」の巻」で鈴木さんの著書からいくつか引用しています。歴史の教科書を反日教科書と激しく攻撃していた右派に異を唱えてたのが、右翼の鈴木さんだったのが意外でした。初めから終わりまで日本を否定してる反日教科書なんてものはない。解釈がわかれる歴史的事件に関しては両論併記してこどもたちに考えさせればいい、とリベラル
2022年11月29日、宮台真司氏が暴漢に襲われた。彼が教授を務める東京都立大学のキャンパス内で何者かに背後から頭を殴られ、刃物で首や背中や腕などを斬られて、救急搬送された。犯人の男は逃走し、警察が行方を追っている。そのニュースは大きな衝撃をもたらした。 宮台氏は、30年来の私の友人である。愕然とした。身が震え、その夜は眠れなかった。 宮台氏は重傷だが、命は助かった。数時間もの大手術を受け、何十針も縫ったという。心配でたまらない。どんな痛い、辛い、恐ろしい思いをしているだろう……。 12月3日、お昼のこと。突如、宮台さんからメールが届いた。えっ! 目を疑った。襲われてまだ4日だ。全治1か月の重傷で入院しているはずなのに……。 実は、今回の事件の前に宮台さんにメールを送っていた。2023年2月に私の新著が出る。寺山修司が今も生きていて、80歳代半ばで、アイドルグループをプロデュースする。その

「ミソジニー」という言葉をSNSなどで目にする機会が増えた。が、厳密にはどういう意味の言葉なのだろうか。江原由美子氏が『ひれふせ、女たちミソジニーの論理』(慶應義塾大学出版会)をもとに解説する。ミソジニーがわからなかった「ミソジニー」という言葉がある。「女性嫌悪」「女性蔑視」などと訳されたりする。女性や女らしさに対する嫌悪や蔑視のことだという。男性が女性に対して持つだけでなく、女性が同性に対して持つこともあると言われる。 よくフェミニズムで使われるという解説もあるが、私は、フェミニストであると自認しているにもかかわらず、これまでこの言葉を使ってはこなかった。 なぜ使わなかったかというと、素直に分からなかったからだ。この言葉を使うことで何か明らかにできると感じたことは一度もなかった。その言葉に、何かを明らかにしてくれる分析力を感じるよりもむしろ、来歴も機能もおそらく異なるはずの様々な現象

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