小保方晴子さんがSTAP細胞論文問題で記者会見を開いた日の午前中、さる新聞社の社会部を名乗る記者さんから電話がかかってきた。午後からの記者会見を視聴したうえで、感想のコメントを提供してほしいという取材依頼だった。 しばらく考えて、お断りした。 先方には、コメント取材に応じられない理由として 「この件については、継続的にウォッチングしていないので、会見の中で出てくる言葉に関して、適切に判断できる自信がない」 という主旨の話をしたのだが、本心はもう少し複雑だった。以下、その「理由」について説明してみる。 この種の出来事についてコメントを求められた際の正しい対応は、多くの場合、思ったことをそのまま語ることに尽きる。多少ヌルくても、観察が届いていなくても、長い目で見て、正直にまさる戦略は無いからだ。 大向こうの受けを狙って、うがった意見を言おうとしたり、珍しいものの見方を誇示しようとする態度は、と

【書評】『父の戒名をつけてみました』/朝山実/中央公論新社/1575円 【評者】鳥海美奈子(ジャーナリスト) * * * 家族が亡くなったとき、多くの人はお寺に払う葬儀費用が高額なことに驚く。お布施に加えて、戒名料も「お気持ち」で渡さなければならない。しかし、初めてであれば相場も段取りもわからないのが一般的だ。不満や疑問を抱えつつも、葬儀社や檀那寺に言われるままに物事を進める人が大半なのではないだろうか。 著者は父の訃報に接し、戒名を自分でつけてみようと考える。本書はそんな出来心が引き起こした、父の葬儀にまつわる1年半の体験を綴ったルポルタージュである。 父は日頃から、「葬式なんかいらん」と断言していた。実家へ向かう新幹線のなかで生前の姿を想いつつ、戒名を決める。きょうだいと話し合い、喪主となった著者は家族葬を行うことにした。それ以外にも、多くの決断を迫られる。父を預けていた介護施設から家

男女雇用機会均等法の成立から、もうすぐ30年。企業や社会の中で活躍する女性は増えたように思えるが、実際には女性管理職の比率が低かったり、出産後の女性がキャリアダウンを余儀なくされたりと、まだまだ厳しい現状が続いている。果たして、働く女性たちの未来はどうなるのか。ジェンダー研究の第一人者である上野千鶴子さんに、女性たちがこれからの時代を生き抜くための術を提言していただいた。 安倍政権の女性活用は「使い倒すか、使い捨てるか」 活用の仕方が完全に間違っている 上野千鶴子さん 1948年生まれ。東京大学名誉教授。立命館大学特別招聘教授。NPO法人WAN理事長。女性学、ジェンダー研究、介護研究のパイオニア。『女たちのサバイバル作戦』(文春新書)など著書多数男女雇用機会均等法が成立したのが1985年。女性の雇用・労働問題に取り組む女性ユニオン東京の伊藤みどりさんは、この年を「女の分断元年」と呼んでい
![「女子力を磨くより、稼ぐ力を身に付けなさい!」上野千鶴子さんが描く、働く女の未来予想図 - Woman type[ウーマンタイプ] | 女の転職type](/image.pl?url=https%3a%2f%2fcdn-ak-scissors.b.st-hatena.com%2fimage%2fsquare%2f69d571e26f2529659159bb718323851c4b57c823%2fheight%3d288%3bversion%3d1%3bwidth%3d512%2fhttps%253A%252F%252Fwoman-type.jp%252Fwt%252Ffeature%252Fwp-content%252Fuploads%252F2014%252F02%252Fog_25053_1.jpg&f=jpg&w=240)
今回、人工知能学会の学会誌名の変更と表紙デザインの変更に関し、さまざまなご意見や議論がウェブ上で展開され、ご批判も多く寄せられました。不快な思いをされた方々、また人工知能学会を日頃から支援して頂いている関係者の方々に深くお詫び申し上げます。 数多くいただいたご意見の中でも、最も多かった批判は「女性蔑視ではないか」「女性差別ではないか」というものでした。今回の表紙デザインに、女性を差別するような意図はありません。しかしながら、「ロボットが女性型をしている」「それが掃除をしている」「ケーブルでつながれている」等の要素が相まって、女性が掃除をしているという印象(さらには女性が掃除をすべきだという解釈の余地)を与えたことについては、公共性の高い学術団体としての配慮が行き届かず、深く反省するところです。 また、このデザインの技術的な背景に関するご批判もいただきました。デザイナーがデザインに込めた意図
13日朝、宮城県女川町にある震災で被災した店が入る仮設商店街の複数の店で、現金や商品が盗まれているのが見つかり、警察は盗みなどの疑いで捜査しています。 13日午前7時半ごろ、宮城県女川町鷲神浜にある仮設商店街、「おながわコンテナ村商店街」で、店の窓ガラスが割られていると警察に通報がありました。 商店街の関係者によりますと、商店街にある9つの店のうち6つの店で、現金やパソコンのほか、果物などの商品が盗まれたり、窓ガラスが割られたりしているのが見つかったということです。 商店街にある飲食店の経営者が、13日午前0時ごろに店を閉めた際には異常はなかったということで、警察は被害額を確認するなど盗みなどの疑いで調べています。「おながわコンテナ村商店街」は、東日本大震災で被災した女川町内の店が集まり、おととしの7月にできた仮設の商店街で、コンテナを利用して飲食店や青果店、花屋など9つの店が営業していま
もしかしたら以前にも愚痴ったことがあるかもしれない。いや、あれはfacebookのほうだったか。障害児の年齢が上がれば上がるほど、就労の場や住まいの場など、みんなまとめて面倒をみてくれるような大法人へと親は集まっていく。 むかし地元でそのような役割を果たしていた大法人は経営的な限界に達した。これ以上は大きくなれない、と。それから数年、親たちは隣町の大法人に進路先と一生の支援を求めていくようになった。 おそらく大法人は生涯にわたる安心と引き換えに数百万を要求する。が、死ぬまで子どもの面倒をみてくれるとなれば、親は払う。子どもが幼いときから関係者に「お金をためておいたほうがいい」というアドバイスを受けたことのある保護者はたくさんいるだろう。数百万支払う親がほんの10人も集まれば、それを原資の一部として新たな施設を建てることも計画できる。社会福祉法人には国庫補助だってある。そうやってますます大き
計画3700戸、着工はゼロ 原発避難者向け復興住宅 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の被災者向けの公営住宅の建設が進んでいない。地震、津波被災者向けの災害公営住宅は相馬市に完成した80戸にとどまり、原発事故の避難者向けの復興公営住宅の着工はゼロ。来春を目標とする原発事故避難者の入居開始時期は、ずれ込む恐れも出てきた。また、地震、津波に襲われ、被害を受けた被災地の道路や鉄道、港湾、防潮堤、水道などの社会基盤は、復旧、復興工事が進みつつあるが、避難区域では大部分で現地調査や災害復旧査定が始まったばかり。工事の加速化には現場での人材不足や建設資材の高騰、公共事業の入札不調など被災地特有の難問が立ちはだかっている。 入札不調で整備遅れ 原発事故の避難者向けの復興公営住宅で、県は2015(平成27)年度までに県内に計3700戸の整備を計画している。これまで、郡山市、いわき市、会津若松市などに計
大阪市の橋下徹市長が導入した公募制度で就任した民間出身の男性校長や男性区長が、立て続けにセクハラ騒動を巻き起こした。校長は児童の母親に「もうあんまりやってないの?」と卑猥(ひわい)な言葉を投げかけたなどとして、9月11日付で更迭された。区長については調査が進むが、「昼下がりの情事だよ」などと発言したとされる。橋下氏は外部人材に行政や教育現場に新たな価値観を吹き込む役割を期待しているが、今回の騒動以外でもトラブルが続発。その価値観に疑問符がつきはじめている。10代少女にも「もうやったん?」 「旦那愛してる?」「もうあんまり、やってないの?」。6月、大阪市内の飲食店。市教委の事実認定によると、市立小の男性校長(59)は児童の母親にこう語りかけたとされる。 また5月には別の児童の母親に複数回にわたり、「僕と会えなかったら寂しい?」「君の気持ちを聞かせてよ」などと不適切なメールを送信。親睦会の場で
無料通話アプリ「LINE(ライン)」を使った子供同士のトラブルやいじめが深刻化している。メンバーから知らないうちに除外され、突然「仲間」とつながりが断たれたり、グループに入れてもらえなかったりする「LINE外し」などの事例が各地で頻発。悪口やいたずら写真の公開などと合わせ、トラブル相談件数が急増しているといい、情報モラルについての教育が急務になっている。【岡礼子】 島根県で学校向けの情報モラル講座を開いているネットいじめ対応アドバイザーの長谷川陽子さんには、トラブルの相談が多数寄せられている。急増したのは昨冬以降。同県の公立中学ではクラスの女子生徒全員で作ったグループから1人だけを外したり、LINEを使っていない生徒を日常生活でも仲間外れにしたりするケースがあった。 別の中学では今年初め、男子生徒が同校の女子生徒の顔写真に自分の裸の写真を合成してLINEで公開。女子生徒はショックで一時
どうも夏になるとツイッターで不用意なことを書く人が増えるのか、ネット憲兵のみなさまが活動しやすくなるのか、この夏はバイト先で不適切な行為に及んだ若者の問題がブームになっている。その数が増えたように見えるのは単に注目を集めているからで、いつぞやの飲酒・喫煙告白が目立ってたときと同じだと思うけど、じゃあどうしてそんなことを書いてしまうのかという点についても、あまり話に進展はないように思える。 彼らの社会は「うちら」で完結する。「うちら」の外側はよくわかんないものである。よくわかんないものが干渉してくれば反発する。そして主観的には彼らは「なにも悪いことはしていない」。彼らにとって「悪いこと」とは明確な脱法行為のみである。あるいは「うちら」の結束を乱す行為だ。なにか、よくないことをしでかして、叱られたとする。しかし罰せられない。それは許されているということだ。明確な処罰が下されない限りは許されてい

※このエントリをきっかけにして、本を出しました。 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784098252077 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20140921/1411290361 ごみ収集のサービス(の一部)を受けるには、自治会に加入しないといけないというこの話。 ゴミ収集は行政のサービスだろ? 元増田が引っ越した鹿児島のある自治体では、ごみをステーションに捨てようとしたら「お前は自治会に入ってないからこのステーションは使えない」と言われたというのだ。 元増田は、ごみ収集は自治体(市町村)の仕事なのだから、税金で支出されるべきで、自治会費負担をからませられてはかなわない、と主張する。これにたいして、はてブのコメントでは、 自治ってこういうことだろ、住んでる所によって行政サービスや経費が

Winny作者でP2Pソフトウエア開発に貢献したプログラマー 金子勇氏の急逝(関連記事)にあたり、WIDEプロジェクトのファウンダーであり慶応義塾大学環境情報学部長・教授である村井純氏より追悼の言葉を寄稿いただいた。以下、全文を掲載する。 金子勇さんはソフトウェア開発者として極めて貴重なパイオニアでありヒーローでもありました。 途中困難がありましたが、その困難は多くの新たな支持者と友人をもたらし、新たな夢の実現に向けて活動していたと聞いていて、期待を持ってその成果を待っていました。 そのような環境を構築された平木先生、稲葉先生、壇先生、など関係者の方々に心より敬意を表します。 さて、私たちとしては金子勇さんの残された技術と背景となっていた精神と勇気を理解し、発展させ伝えていくことが使命です。 また、金子勇さんが受け止めた困難の社会的要因を追求し、金子勇さんのスピリットが健全に羽ばたける世に

乙武さんの件に関連づけて何か書けば、多くの人に読んでもらえるのだろうとは思ったが、どうもそのような気になれなかった。少し疲れているからであろうか。あるいは論点が定めづらいからであろうか。 ぼんやりと考えていたのは、「差別」という事象は、まず差別する主体があって、その責任が問われるかのように思われているけれど、そうではないよなあ、ということ。この点を踏まえておかないと「差別」というのは個人に帰責させる意味に捉えられてしまうし、そこから必然的に反論を試みようとする人も増える。もちろんこの言葉を使わずに、きちんと「改善されるべき(あるいは改善されるのは好ましい)状況」がきちんと指摘されるならばそれでいい。でも、他にあまり手ごろな言葉がないのも事実。 そして、障害当事者が一般的なサービス等にクレームをつけると、明示的に「差別」という言葉を使うことが無くても、漠然と「差別であるかどうか」という観点か
参考リンク:まさか自分が(はてな匿名ダイアリー) これを読んで、いろいろ思い出した話もあるので、ここに書いておきます。増田さん、あなたは「自分は30代前半女。容姿も良くなく、結婚も恋愛も諦めている」と冒頭に書かれています。 だから、「こんな性的ないやがらせには無縁だと考えていた」のですね。 僕は男ですが、「容姿も良くなく、恋愛も結婚も無縁だと諦めかけていた」ので、お気持ちはなんとなく想像できます。 「男は、もっと『いい女』にちょっかいを出すはずではないのか?」 あなたの疑問にお答えするために、僕の知りあいの劇画原作者から、聞いた話を書いておきます(あくまでも伝聞です。そういうことにしてください。彼の話の内容とは一部変えてあります)。 ある田舎の病院に、優秀な医者がいました。 その科はキツイことで知られており、新しく入ってくる医者は少ないのですが、必要不可欠の診療科であり、各病院では引く手

■ 年金機構から基礎年金番号の付番機能を剥奪せよ 我が目を疑うニュースが飛び込んできた。 性同一性障害者に年金共通番号 一時ネット閲覧可能に,共同通信, 2013年5月7日 日本年金機構が、性同一性障害で性別変更した人を判別するため、昨年10月から基礎年金番号10桁のうち前半4桁に共通する固定番号の割り当てを始めていたことが7日、分かった。この4桁の番号が性同一性障害者を示すと明記した機構の内部文書が一時インターネットで確認できる状態だった。 「内部文書が一時インターネットで確認できる状態だった」というのが意味不明だなと思いつつ、Twitterを検索してみたところ、この問題と戦っている方々のツイートと、問題提起のブログが見つかった。 GID(性同一性障害)年金基礎番号 強制付番問題について, URAIKADA | FTMTSのために, 2013年4月19日 急ぎで載せました「GID(性同
某テレビ番組から保育所への株式会社参入(http://p.tl/bs-M– )へのコメント依頼取材を頂きましたが、所用があり対応できませんでしたので、ここでコメント致します。まず株式会社(やNPO)に参入規制を行う合理的理由はなかったので、方向性としては良いと思います。 とはいえ、幾つかセットで検討しなくてはいけないテーマがあります。それは①配当規制②撤退スキーム③情報開示義務 です。 【配当規制】 まず配当規制から。某保育企業は4〜5%の配当を行っています。原資は運営補助(税金)です。資金調達コストと言いますが銀行利子よりは随分と高い。これは良いのか否か。 特に上場企業においては配当圧力が課されますが、税によって投資家を潤すことは正しいのか、また労働分配率を本来なら高められる部分が、配当される可能性があるのではないか、という議論があります。これに対しては、配当規制という手法が考えられます

自分が代表をしているNPOは、地元自治体に暮らす障害児とその家族にしか直接の支援をしていない。法人で掲げる理念の中に自治体名を入れているし、どの利用者の家も少しがんばれば自転車で行けるぐらいの距離だ。一番遠くても片道5キロぐらい。 多くの事業所がいくつもの自治体をまたがって支援を提供しているのに対して、このようなやり方はかなり流行らない。学生の頃からこの地域に育てていただいた恩返しという意味もあるけれど、人口数万人程度の小さな地域なのだから、障害児支援中心の事業所なんて2つもあれば、かなり対応できるのではないかと思っていた。 今でもその考えはさほど変わっていない。どのぐらいの社会資源が必要であるのかは、子どもの数からある程度は予測できる。屋内・屋外など、複数の支援形態を併せて1日に子どもを15人ぐらい支援できる事業所が2か所あり、一般的な子育て支援の資源(保育所、幼稚園、学童保育所など)が
23日付けの朝日新聞は、一面のトップで『ユニクロ、「世界同一賃金」導入へ 優秀な人材確保狙う』と題するニュースを配信した。 で、二面にその解説記事を載せ、三面にはユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長のインタビューを掲載している。 私は、柳井社長の発言そのものよりも、朝日新聞がこういう紙面の作り方(←具体的には「一私企業のプレスリリースに近い話題のために、一面トップからの3ページを費やす編集方針」ということ)をしたことに、強い印象を受けた。 というよりも、率直に申し上げて、あきれた。 「朝日新聞は、財界人の提灯を持っていると思われることを恐れなくなったんだな」 と、ちょうど電話をかけてきた知人を相手に話し込んだほどだ。 インタビューが載ったのが、「○○経済」「○○ビジネス」のようなタイトルを冠した媒体であったのなら、はじめから何も騒ぐことはない。その種のメディアが、有力

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