しかし熊谷氏によると、実際には地域防災計画に基づき災害対策本部を災害「警戒」本部に移行しただけで、24時間の動員体制は解除されていなかったという。つまり本部の看板は一時架け替えたが、市による実質的な対応は変わっていなかったというシンプルな話だ。 東京新聞やNHKなども時事通信を「後追い」 ところが、時事通信の記事は「(市の)対応を問題視する声が上がっている」と紹介したうえで、「国や千葉県の初動対応の遅れも指摘されている」と結び、千葉市の対応にも問題があったのではないかとほのめかした。その一方、記事は災害警戒本部に移行した事実には触れていない。熊谷氏は「本当に悪意のある記事。『解散』という表現自体が不適当です」と話す。 熊谷氏によれば「悪意のある」報道はそれだけでは終わらなかった。時事の一報を受けて、ほかの新聞・テレビの取材が千葉市に殺到。まさに災害対応に当たっているさなかに、市の危機管理部

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地図の最大手ゼンリン。後編は同社が現在行っている各地方自治体との地図協定だ。本稿前編でも述べたが、有事の際、地図は必須のアイテムとなる。ただ、いつ起こるかわからない災害のために日頃から備えておくのはなかなか難しい。であればこちらから仕掛けましょう、とゼンリンは動き出した。その取り組みについてお伝えする。 ”防災の鬼”渡辺実氏は次のように語る。 「ゼンリン住宅地図の実物を見るとわかるけど、地図上に住宅など建物の形に加え、各家に住んでいる人の名前(名字)まで書き込まれています。これはゼンリンのスタッフが足で歩いて、表札を見て作っている。だから表札で公開されている個人情報を基にして名字を記載しています。こうした詳細な住宅地図を国民が自由に入手にできる国はありません。紛争地帯などに行くと、住宅地図などもってほのか、そんなもの民間が作ることはあり得ません。まさに地図は平和の象徴なのです」(渡辺氏)

「地図と言えばゼンリン、ゼンリンといえば地図」と言われるくらい、日本の地図業界のトップを走るゼンリン。「今どき地図なんかは買わずに、Googleで調べるよ」なんて言う人も、GoogleMapの右下を見てほしい、「地図データ (C)Google ZENRIN」の文字が確認できるはずだ。つまり、天下のGoogleだってゼンリンの地図なしではマップサービスを展開することはできない。そして地図と防災は切っても切れない間柄。地図マニアでもある“防災の鬼”渡辺実氏がゼンリンの心臓部に潜入する。 対応してくれたのはゼンリン 上席執行役員 第一事業本部長の山本勝氏。まずは“防災の鬼”渡辺実氏の第一声。 「ゼンリンさんには大昔から本当に世話になっているんですよ。私は街づくりに携わることが多く、町並みのデザインから地域防災のアドバイザーまでやるので、地図とは切っても切れない生活なんですよ。被災地入りするときも

綾里駅前の「津波てんでんこ碑」。毎年3月11日午後2時46分に、右下の「忘れない」の文字に日時計の影が差す=岩手県大船渡市で 「津波が来たら家族ら他人のことに構わずすぐに避難しろ」という意味の「津波てんでんこ」という言葉について、7割の人が知らないうえ、多くの人が「自分だけ助かればよい」という自己中心的な行為だと感じるとの調査結果を、東洋大の及川康准教授(災害社会工学)がまとめた。本来は各自で避難することを事前に家族で話し合っておくことなども含めた心構えを示した言葉だが、浸透していない実態が浮かんだ。 「てんでん」は「てんでんばらばらに」という意味。岩手県大船渡市出身で子供のころに昭和三陸大津波(1933年)を経験した津波研究家の山下文男氏(故人)が広め、東日本大震災を機に津波防災の啓発で改めて注目されている。

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