2019年1月29日、小説家で批評家の橋本治氏が亡くなった。その仕事のひとつに、日本美術史を独自の視点で読み解いた『ひらがな日本美術史』(全7巻)がある。シリーズが完結した2007年に、批評家の浅田彰氏との間で交わされた対談を、追悼の意を込めて転載・公開する。 私の中に「奇」はない 浅田 お久しぶりです。二十五年くらい前に、『広告批評』が紀伊國屋ホールで開いたシンポジウムで、オブザーヴァーと称して隣どうしに座らされて以来ですよね。 橋本 あれは何だったんですかね。僕はオブザーヴァーになってくださいって言われた記憶もないんですよ。客席にいてくださいって言われて、何か最後に言ってくださいって言われて、すごく過激なことを言ったという記憶だけはあるんですけどね。 浅田 ぼくはそのとき、橋本さんのデビュー作「桃尻娘」が雑誌に掲載されたときからのファンだと言ったんですけど、あれ以来、橋本さんは、元祖ひ
橋本 治 osamu_hashimoto 1948年東京生まれ。東京大学在学中、駒場祭のポスター「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」で話題を集める。イラストレーターとして活動中の1977年に小説『桃尻娘』が小説現代新人賞佳作となり作家デビュー。以後、小説・エッセイ・古典の現代語訳・批評・戯曲などあらゆる分野で、40年にわたり八面六臂の執筆活動を行う。この講義に関連する著作としては、『日本の女帝の物語』(集英社新書)、『双調平家物語ノート1 権力の日本人』『双調平家物語ノート2 院政の日本人』(ともに講談社)などがある。2019年1月29日没。 橋本治とは何だったのか? 高橋源一郎×安藤礼二 特別対談 新しい批評スタイルへの衝撃 安藤 橋本治さんって色々な意味で本当に「大きい」人でした。どういうところから始めたらいいのかちょっと見当もつかないくらいの……
橋本治さんが亡くなった。 今日(2019年1月29日)の15時9分だと伺った。 私にとっては20代からのひさしい「アイドル」だった。最初に読んだのは『桃尻娘』で、「こんなに自由に書くことができるのか」と驚嘆して、それからむさぼるように、橋本さんのあらゆる本を読み漁った。 何年か前についに念願かなってお会いすることができて、『橋本治と内田樹』という対談本を出すという幸運に恵まれた。 その後、『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞を受賞したときには、橋本さんが選考委員を代表して、「授賞の理由」を語ってくれた。 20代からのあこがれの人が、僕の作品を解説してくれたのである。 謝辞のためにマイクの前に立ったときに「いま、橋本治さんが、授賞の理由についてお話ししてくださいましたけれど、これはアマチュアバンドが自費出版で出したCDが音楽賞をもらったときにジョン・レノンがその曲のコード進行について解説して

橋本治さんが亡くなりました。 https://this.kiji.is/462906163407635553 悲しい知らせです。 橋本治さんは、ごく若かった時期から、ずっと変わらずに敬愛してきた文筆家でした。 追悼と感謝の意味をこめて、2015年の10月に書いた原稿をハードディスクから召喚してみなさんのお目にかけることにします。 内容は、橋本治さんが書き下ろした新作義太夫(「源氏物語 玉鬘」旅路の段より長谷寺の段)をご紹介するための文章で、2015年10月11日「花やぐらの会」《鶴沢寛也(女流義太夫三味線)さん主催の女流義太夫のイベント(@紀尾井小ホール)》のパンフレットに掲載されたものです。 芝居を観るのはうじうじした人間で、自分は、竹を割ったような性格なのだから、そういうものとは無縁なのだと、ごく若い頃から、ずっと、そう思っていた。本当は違う。私は、雨が降ると、いつまでも窓の外を眺め

橋本治(はしもと・おさむ)/1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『三島由紀夫とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。近著に『たとえ世界が終わっても』『知性の顛覆』『いとも優雅な意地悪の教本』等この記事の写真をすべて見る 「『そうならなきゃいいな』と思っていた知性は、顛覆してしまった」 そう語る作家の橋本治氏は同時に、「だからといって慌て騒ぐ必要もない」とも続ける。橋本氏が考える「知性」とは? 著書『知性の顛覆』で論じた日本人がバカになってしまう構造について話を伺った。 ――『知性の顛覆』というタイトルは、どんな発想から生まれたのでしょう? 橋本:どういう発想……って言われても、私は普段から、そういうイジワル


最新刊「バカになったか、日本人」を発売した橋本治 説明できない総理大臣、進まない復興と原発再稼働や集団的自衛権の議論、強引な解散・総選挙…。 最新刊『バカになったか、日本人』で、ここ数年の日本の「なんかヘンだな」に斬り込んだ、橋本治。まともな議論ができなくなった日本人の姿をあぶり出した著者が語る“自民大勝”と日本の未来―。 ―衆院選の結果はどう受け止められましたか? 橋本 まあ最初からわかってたことだし、マスコミがね、そうやって「自民圧勝」「自公3分の2で大勝」とかって煽(あお)るわけだけど、自民党は前回より2議席減らしてるわけでしょ。そこはもうちょっと大声で言っていいんじゃないかと思いますね。 ―沖縄では、4選挙区すべてで自民党が惨敗しましたしね。 橋本 まあ、比例で復活当選しちゃったけど、沖縄が「ノー」を上げたってことは、今後もっと安倍政権ってひどくなるだろうから、そういう声がほかの地

紙面で読む作家・橋本治さん 自民党の安倍政権は、不思議な政権だと思う。 2012年末の総選挙に圧勝して以来、高い支持率を保っている。考えてみれば、「戦後最低」と言われた、6割に届かない低い投票率の選挙で成立した内閣が、半数を大きく超える支持を保っているそのこと自体が、不思議な現象ではある。 12年の総選挙は、グダグダになってしまった民主党政権の信認を問うようなものであったはずだが、与党民主党の分裂、離党騒ぎが外にも波及してしまった結果、多党乱立の選挙になってしまった。10以上の政党が似たような、そしてそれぞれに違っているらしいことをアピールした結果、どこに投票したらいいのか分からない人が投票を棄権して、その人たちが選挙の後で安倍政権の支持をした、ということだろう。安倍政権の不思議さは、安倍政権よりも、これを支持する国民の方にあるのだと思う。 安倍政権が高い支持率を得ている理由
「考える人」誌上で『浄瑠璃を読もう』の連載を始めたのは二〇〇四年のことですが、実はその前からイラストレイターの岡田嘉夫さんと組んで、歌舞伎の演目を絵本にするという仕事を始めていました。『仮名手本忠臣蔵』から始まって『義経千本桜』『菅原伝授手習鑑』『国性爺合戦』『妹背山婦女庭訓』の五作で、先々月にようやく完結しました(ポプラ社刊)。 近世人のややこしいドラマを子供に分かるように書くというのは、すごくむずかしいようで、実はそうでもありません。「なんということでしょう」とか「大変です」というような言葉を接続詞的に使って文章作者が身を乗り出してしまうと、なんとなく話の説明が出来てしまうのです。私が絵本にした五作品は、すべて『浄瑠璃を読もう』にも収録されていて、ベースは義太夫節の浄瑠璃です。人形浄瑠璃は太夫が全篇を語ってしまうものであることを考えれば、作者が登場人物の立場に立って読者を先導してしまう

演劇ニュース 芝居・演劇・俳優「シアターリーグ」の演劇ニュース。舞台・ミュージカルを中心に、関連する映画・ドラマ・DVDなどの情報です。 蜷川幸雄演出、佐藤隆太・小出恵介・勝地涼・栗山千明・三浦涼介・谷村美月・尾上松也などの出演で、 騒音歌舞伎「ボクの四谷怪談」が9月より上演されます。 9月からのBunkamuraシアターコクーン公演が、 騒音歌舞伎(ロックミュージカル)「ボクの四谷怪談」と発表されました。 「ボクの四谷怪談」は、作家・橋本治が学生時代に書き下ろした戯曲。 鶴屋南北の歌舞伎「東海道四谷怪談」が見事に昇華し、多様な音楽が挿入されている作品とのこと。 キャストは、佐藤隆太、小出恵介、勝地涼、栗山千明、三浦涼介、谷村美月、尾上松也、 麻実れい、勝村政信、瑳川哲朗、青山達三、梅沢昌代、市川夏江、 大石継太、明星真由美、峯村リエ、新谷真弓、清家栄一、塚本幸男、新川將人。 演出はシアタ
「スーパークールビズ」について、私の周辺にいる同世代の男たちは、異口同音に反対の意を表明している。 「くだらねえ」 「ポロシャツとか、何の罰ゲームだよ」 意外だ。 就業経験の乏しい私には、どうしてポロシャツが罰ゲームなのか、そこのところの機微がよくわからない。 「どうしてダメなんだ?」 彼らは説明する。 「あり得ないんだよ。単純な話」 「ポロシャツで会社行くくらいなら、いっそフーテンの寅で行く方がまだマシだってことだよ」 「でも、お前だって普段着からネクタイってわけじゃないだろ?」 「だからさ。たとえば、お前がどこかの編集者と打ち合わせをするとして、パジャマで出てこいって言われたら、その通りにするか? しないだろ?」 「……話が違わないか?」 「いや、違わない。オフィスでポロシャツを着るってことは、自由業者の生活経験に換算すれば、パジャマでスターバックスに行くぐらいに、赤面なミッションだと

独身上手と結婚上手の間で (全4回) 待つ人がいると思うと、 家路は遠い?近い? 創作とシングルライフは相性がいい? 五十代男性三人が語る、結婚・離婚・ 家族サービスから肉体まで 構成:福永妙子 撮影:橘蓮二 (婦人公論1999年9月22日号から転載) 篠原勝之 ゲージツ家。 1942年北海道生まれ。 17歳で上京、 深沢七郎、 唐十郎らとの交流を 経て創作活動へ。 鉄の作品シリーズを経て、 ガラス、 石のゲージツに取り組む。 愛称は“クマさん” 橋本治 作家。 1948年東京生まれ。 『桃尻娘』を振り出しに、小説や評論、 時評など健筆は 多岐にわたる。 93年に 『窯変源氏物語』 全14巻を完結、 現在『双調平家物語』 (全12巻・小社刊)を 執筆中
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