理化学研究所(理研)数理創造プログラムの横倉祐貴上級研究員らの共同研究チームは、量子力学[1]と一般相対性理論[2]を用いて、蒸発するブラックホールの内部を理論的に記述しました。本研究成果は、ブラックホールの正体に迫るものであり、遠い未来、情報[1]を蓄えるデバイスとしてブラックホールを活用する「ブラックホール工学」の基礎理論になると期待できます。 近年の観測により、ブラックホールの周辺のことについては徐々に分かってきましたが、その内部については、極めて強い重力によって信号が外にほとんど出てこられないため、何も分かっていません。また、ブラックホールは「ホーキング輻射[3]」によって蒸発することが理論的に示されており、内部にあった物質の持つ情報が蒸発後にどうなってしまうのかは、現代物理学における大きな未解決問題の一つです。 今回、共同研究チームは、ブラックホールの形成段階から蒸発の効果を直

要旨 理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正チームリーダーと情報通信研究機構電磁波研究所の佐藤晋介研究マネージャー、首都大学東京大学院システムデザイン研究科の牛尾知雄教授(大阪大学大学院工学研究科 招へい教授)らの国際共同研究グループ※は、最新鋭気象レーダを生かした「3D降水ナウキャスト手法」を開発し、30秒毎に更新する10分後までの降水予報のリアルタイム実証を7月3日に開始しました。 降水分布の予測手法として、気象レーダが捉える降水パターンの動きを追跡し、将来もそのまま動き続けると仮定して予測する「降水ナウキャスト手法」が知られています。この手法は、シミュレーションと比べて計算量が大幅に少ないのが利点ですが、予測精度が急速に低下するという欠点があります。また平面上の降水パターンを追跡するもので、雨粒の鉛直方向の動きを考慮しないものでした。そこで、国際共同研究グ
理化学研究所は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)に含まれる長寿命の放射性物質を、生活に役立つ貴金属に変える実証実験に2018年度から着手する。理論上は可能とされるがこれまで実用化には至らず、「現代の錬金術」とも言われるが、実現できれば、処分に困る「核のごみ」の減量や有効活用にもつながるという。【岡田英】 実験は、内閣府が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT(インパクト)」の一環。まずは、核のごみに含まれ、放射線量が半減するのに650万年かかる放射性物質「パラジウム107」を、宝飾品や歯科治療、車の排ガス浄化用触媒などに使われる無害な貴金属「パラジウム106」に変える。理研仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の加速器で、「重陽子」(陽子と中性子各1個で構成)のビームをパラジウム10…

理化学研究所は4月26日、アトピー性皮膚炎の原因遺伝子を突き止め、ワセリンを塗ると発症を予防できる可能性があるとの研究成果を発表した。新たな治療法や予防法の確立につながるという。 アトピー性皮膚炎の発生メカニズム。JAK1の遺伝子配列に異常が発生した結果、連鎖的に酵素が活性化し、最終的にプロテアーゼに影響。角質の保湿効果を低下させる。 アトピー性皮膚炎を自然発症するマウスを作製し、病気の原因となる遺伝子変異を調べたところ、細胞の増殖や分化に必要なたんぱく質「サイトカイン」を伝達する「JAK1」分子の遺伝子配列に突然変異が生じていることを発見した。JAK1の異常が角質をはがす酵素「プロテアーゼ」にも影響し、角質による保湿効果が低下することで、アトピー性皮膚炎を招く――というメカニズムを解明した。 こうしたマウスの表皮に、JAK1の働きを阻害する薬剤や、保湿効果を高めるワセリンを塗布したところ

理化学研究所や京都大などの研究グループは、アトピー性皮膚炎の原因となる遺伝子を、マウスを使った実験で突き止めたと発表した。 新たな治療薬や予防法の開発などにつながる成果という。米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版に26日、掲載される。 理研の吉田尚弘研究員らは、アトピー性皮膚炎を発症するマウスを調べ、「JAK1」というたんぱく質の遺伝子の一部が変化し、異常に活性化しているのを発見。その結果、皮膚の角質に働く酵素も活性化し、角質がはがれて刺激を受けやすくなっていることが分かった。JAK1の働きを防ぐ塗り薬や、刺激から皮膚を守るワセリンなどをマウスに塗ると、アトピー性皮膚炎の発症を予防できた。
STAP細胞論文の不正問題で揺れた理化学研究所について、会計検査院は不当な入札で業者を指定して高級家具を購入したり、契約担当部署に無断で研究試料を購入したりといった不適切な会計を指摘した。STAP細胞については、研究費は約五千三百二十万円で、不正に関する調査費が九千百七十万円掛かり、計約一億四千万円だったとした。 検査院によると、理研は二〇一一年三月、神戸市の研究施設の応接セットなどに使うイタリアブランドのいすやテーブル数十点を計九百五十四万円で購入。入札を募りながら、実際には「座面と背もたれに計二百八十八個の穴があること」と指定し、ミリ単位で大きさを定めるなど、そのブランド以外を排除していた。 また、架空発注による着服などを防ぐための規則に反し、研究員が契約部署を通さずメーカーから人工DNAを直接購入したケースが〇九~一四年度に三千八百九十二件(計三億八千二百五十万円)あった。検査院は、
人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜細胞を移植する世界初の臨床研究を実施した理化学研究所と先端医療センター病院(神戸市)のチームは2日、同市内で記者会見し、昨年9月に1例目の移植を受けた目の難病「加齢黄斑変性」の女性患者の術後について「経過は良好で拒絶反応はない。移植後1年のがん検査でも、異常は確認されなかった」と明らかにした。低下傾向にあった視力も、維持されているという。 チームは兵庫県内の70代の女性患者の皮膚からiPS細胞を作製し、網膜色素上皮の細胞シートに加工。昨年9月12日にシートを患者の右目に移植した。1年間かけ、移植した細胞ががん化しないかといった安全性と効果を評価していた。 会見した理研の高橋政代プロジェクトリーダー(54)らによると、女性患者は「治療を受けてよかった。明るく見えるようになり、見える範囲も広がったように感じる」と話しているという。 今回の臨床研究は加

STAP細胞論文を昨年掲載した英科学誌ネイチャーは、24日付電子版でSTAP細胞が存在するかどうかについて詳しく分析した2論文を掲載した。これらの論文を「STAP現象が真実ではないことをはっきりと立証した」と位置づけ、一連の騒動に区切りをつけた。 ネイチャーは「近年で最も議論を呼んだ科学の話題について再考する」としてSTAP細胞の論評を掲載。同じ号に米中などの研究チームと、理化学研究所などのチームがそれぞれ論文を発表した。 米中などの研究チームは七つの研究室でそれぞれ計133回の再現実験をした結果、「STAP細胞は再現できなかった」とした。理研のチームは残っていたSTAP細胞に由来するとされた試料を分析し、「STAP細胞はES細胞に由来する」と結論付けた。理研チームのデータは、昨年末に理研調査委員会がSTAP細胞の存在を事実上否定した根拠になっていたが、改めて論文の形で示した。 STAP細

理化学研究所は7日、STAP細胞の論文不正問題で研究不正を認定した元研究員の小保方晴子氏(31)から、論文掲載料約60万円が返還されたと発表した。理研が研究費の一部として3月下旬以降、小保方氏に返還を求めていたもので、国に返納する。 理研によると、6日付で振り込みがあった。小保方氏の代理人弁護士の事務所は「理研側の調査には納得していないが、これ以上の係争を避けるため」とのコメントを出した。 請求されていたのは、昨年1月に英科学誌ネイチャーに掲載され、その後、撤回されたSTAP細胞論文2本の掲載料。STAP細胞の研究自体は行われたとして、研究費の総額約3500万円や、不正の調査や検証にかけた8360万円については対象外とされた。理研は3月23日以降、複数回にわたって小保方氏に封書やメールで費用の返還を請求。本人から反応はなかったが、今月はじめに代理人弁護士を通じて支払いの意思表示があったとい

神戸市にあるスーパーコンピューター「京」が今年3月、雨水によって電気系統の一部がショートして停電し、丸1日停止していたことが6日、関係者への取材で分かった。計算が一時止まったが、データの消失や本体の故障はなく、現在は通常通り稼働している。運用する理化学研究所計算科学研究機構によると、京の一般利用が始まった2012年9月以降、ソフトウエアの障害で停止したことはあったが、停電による設備障害が原因の

STAP(スタップ)細胞の論文不正問題を巡り、理化学研究所で保管されていたES細胞(胚性幹細胞)が盗まれたとして、理研の元研究員(60)が、窃盗容疑の告発状を兵庫県警に提出し、県警が受理した。 容疑者は不詳としている。受理は14日付。 告発状などでは、理研の旧「発生・再生科学総合研究センター」(神戸市中央区)で2013年3月までの間に、小保方晴子・元研究員(31)が当時所属していた研究室から、何者かがES細胞入りのチューブ80本を盗んだとしている。小保方氏の代理人の三木秀夫弁護士は「コメントする立場にないが、疑義を受けるようなことはない」と話した。 理研の調査委員会は昨年12月、STAP細胞は、別の万能細胞であるES細胞だったとほぼ断定している。
日本科学技術ジャーナリスト会議は17日、優れた科学報道・著作に贈る今年の「科学ジャーナリスト大賞」に、理化学研究所のSTAP細胞論文の問題を取り上げた毎日新聞社記者・須田桃子氏の著作「捏造の科学者 STAP細胞事件」を選んだと発表した。 「科学ジャーナリスト賞」には中国新聞社記者・山本洋子氏の連載「廃炉の世紀」、神戸新聞社論説委員・加藤正文氏の著作「死の棘・アスベスト 作家はなぜ死んだのか」など4件を選んだ。 大賞作品を「問題への肉薄ぶりと分かりやすく再構成した筆力は見事」と評価。山本氏の連載には「廃炉や廃棄物処理の難しさを丹念に追った」、加藤氏の著作には「放置してきた日本の対策の失敗を浮き彫りにした」とコメントした。 応募作品96件から賞を選考した。5月14日に都内で贈呈式が開かれる。

朝日新聞社のニュースサイト、朝日新聞の医療サイト『朝日新聞アピタル』(医療・健康・介護)についてのページです。最新記事の見出しは「膵がんパネル検査、適切な時期は?「標準治療開始直後」求める声」「「遺伝子スイッチ」操り、がんや筋肉の難病治療 エピゲノム編集とは」「田辺三菱製薬を米ファンドに売却 三菱ケミ「親孝行な子供だった」」「「もし血がついていたらどんな気持ち?」 生理を学ぶ、男女一緒に」です。

理化学研究所の野依良治理事長(76)が、今月末で辞任する意向を固めたことがわかった。理研を所管する文部科学省も了承し、後任人事の調整に入っている。野依氏は在任期間の長さや自らの年齢の高さを理由にあげているという。文科省関係者は「STAP細胞論文問題の引責ではない」としている。 野依氏は2003年10月に理事長に就任。3期12年目で、任期は18年3月まで。月内にSTAP細胞論文の問題を踏まえた理研の組織改革について外部有識者による評価が公表される見通しで、年度の替わり目を新体制をスタートさせる区切りととらえ、任期途中での辞任の意向を固めたとみられる。野依氏は理研広報を通じ「人事のことなので、お答えできない」とコメントしている。 理研は約834億円の予算と約3500人の人員を持つ日本を代表する研究機関。予算などをより自由に使えるよう優遇する新制度「特定国立研究開発法人」に指定する動きがある。政

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