高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁は大胆な答弁だった。中国軍が「戦艦」を使って台湾を海上封鎖すれば「存立危機事態」と認定する可能性があると認めた。存立危機事態を認定すれば、集団的自衛権を行使し、自衛隊に防衛出動を命じることができる。首相答弁は中国の台湾侵攻を抑止する効果がないとはいえないが、政府全体で周到に用意して答弁に臨んだ形跡は見当たらない。 売り言葉に買い言葉これまで政府は存立危機事態について具体例を示さず「総合的に判断する」と答弁してきた。首相自身も7日の衆院予算委員会で「実際に発生した事態の個別、具体的な状況に応じて、政府がすべての情報を総合して判断する」と述べ、従来の政府見解を踏襲した。 だが、立憲民主党の岡田克也元幹事長から執拗(しつよう)に追及された首相は踏み込んだ。中国が台湾を海上封鎖し、これに介入した米軍が武力攻撃を受ける場合には「存立危機事態になり得る」と答弁した。

トランプ米大統領(共和党)が4日夜に上下両院合同会議で臨んだ施政方針演説は約100分に及んだ。施政方針演説として歴代最長だといい、トランプ氏が「米国が戻ってきた」などと鼓舞するたびに、後方に控えた上院議長を務めるバンス副大統領やジョンソン下院議長、場内の共和党議員は起立して拍手した。産経新聞の集計では起立・拍手の回数は100回を超えており、1分に1回以上のペースで立っては座ってを繰り返した計算となる。 4日午後9時半(日本時間5日午前11時半)ごろ、トランプ氏は議場の「USA」コールに迎えられて登壇し、演説を開始した。バンス氏らが最初に立ち上がって拍手したのは、トランプ氏が謝意を伝えようと、ジョンソン氏とバンス氏の名前に続いて、傍聴席にいる妻メラニア氏に「ファーストレディー」と声をかけたときだった。 バンス氏らはその後も、トランプ氏がバイデン前政権(民主党)が推進した「多様性・公平性・包括

【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は21日放送の米FOXニュースラジオのインタビューで、ロシアのプーチン大統領が「望むのならウクライナ全土を手に入れることができる」と述べた。ロシアには「攻撃すべき理由はなかった」とプーチン氏を擁護。ウクライナのゼレンスキー大統領が停戦交渉を「困難にしている」と話した。トランプ氏は、自分が開戦当時に大統領だったなら、戦争は起きなかったとの持論を繰り返し、「ロシアを容易に説得できたはずだ」とした。トランプ氏はウクライナが戦争を始めたかのように発言し、ゼレンスキー氏と舌戦になった。番組では「ロシアが侵攻した」と述べたものの、プーチン氏の責任は認めなかった。 また「ロシアは合意を望んでいる」と述べる一方、停戦協議を巡ってロシア側が優位な立場にあると示唆し、「なぜなら(プーチン氏が)望むのならウクライナ全土を手に入れることができるからだ」と話した。 一方、

【台北=西見由章】台湾の検察当局が昨年8月、中国の台湾侵攻に合わせて武装蜂起を行う組織の育成を計画したなどとして、台湾の退役軍人7人を国家安全法違反罪などで起訴していたことがわかった。台湾メディアが8日伝えた。台湾の軍事施設や米国の窓口機関の写真と地理情報を中国側に提供していたという。 中央通信社によると、主犯は台湾陸軍を佐官級で退役した屈宏義被告(62)。2019年に中国人民解放軍の諜報機関関係者と知り合い、中国側の資金提供を受けて「統一作戦行動」に呼応する武装勢力の育成を始めたという。 屈被告は台湾の退役軍人6人を組織に勧誘。レーダー施設や基地などの軍事施設4カ所と米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所を撮影し、写真と地理情報を中国側に送信していた。攻撃目標にするためとみられる。 また屈被告は23年には親中派政党「復康聯盟党」を結成して主席に就任。候補者をリクルートして

【台北=西見由章】ロシア系のハッカー集団が今月上旬以降、台湾の官公庁や企業に大規模なサイバー攻撃を仕掛けている。台湾の頼清徳総統が「領土回復」を旗印に台湾統一を掲げる中国が、帝政ロシアに占領された土地は取り戻そうとしない「二重基準」(台湾メディア)を指摘したためだ。中国に領土奪還を呼び掛けたとして露ハッカー集団が報復を宣言する一方、中国当局は沈黙している。 「中国が台湾を併呑しようとしているのは領土保全のためではない。もしそうなら、なぜ愛琿(あいぐん)条約でロシアに占有された土地を取り戻さないのか」。頼氏は台湾のテレビ局のインタビューで「中国は世界秩序を改変し自らの覇権を実現しようとしている」だけだと訴えた。 米欧に対抗するため戦略的な協力を深めている中露にとって、領土紛争の歴史はデリケートな問題だ。帝政ロシアは清朝が第二次アヘン戦争で英仏に敗北を重ねたのに乗じ、1858年の愛琿条約でアム

韓国内に100体以上あるとされる慰安婦像の撤去を求めて活動している韓国の保守系団体「オンマ(母さん)部隊」の朱玉順(チュ・オクスン)代表がこのほど来日し、日米韓の研究者らによる慰安婦問題を巡る国際シンポジウムに出席した。朱氏は、元慰安婦の女性が強制連行されたとする説は「噓」だったと指摘し、「噓で国民をだますことは日本であれ、韓国であれ、許せない」と訴えた。 さらに朱氏は、元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(正義連、旧挺対協)前代表の尹美香(ユン・ミヒャン)氏(同団体への寄付金を横領した罪などに問われ、2審で執行猶予付き有罪判決。検察が上告)を批判。「親北朝鮮、北朝鮮従属の立場で慰安婦を利用し、反国家活動、反韓国の活動をしている」とし、慰安婦運動を長年率いてきた尹氏の狙いは、日韓関係の「破壊」にあると指摘した。慰安婦問題とは別に「尹美香問題」があるとの見解も示した。 シンポジウムでの朱氏の発言

政治団体「NHKから国民を守る党」は東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)に24人の候補者を擁立し、選挙ポスター掲示板で同団体に割り当てられる最大24枠のポスターを貼る権利を販売する方針を示している。立花孝志党首は16日、自身のユーチューブ番組で、ポスター掲示板について「ネット時代にベニヤ板に紙のポスターを貼るのはやめるべき」とした上で「いろいろな種類のポスターがドーンと貼られると面白い。多くの人が選挙に関心を持ち投票に行けば万々歳だ。選挙をフェスにする」と語った。 立花氏は、24人が出馬する理由について「都知事になろうと思ってやっている活動ではない」とし、「選挙は政治的な目的を達成するためにやる。NHKにお金を払わない人を増やし、NHKをぶっ壊すためだ」と述べ、NHKの政見放送を「ジャック」する狙いがあると説明した。 「NHKはCМをやらず、どんなにお金を出しても放送枠は買えないが、

1日、シンガポールで、韓国の申源湜国防相(中央右)と会談する木原稔防衛相(同左)=防衛省提供・共同日韓両国は1日の防衛相会談で、韓国海軍の海上自衛隊機へのレーダー照射事件に関する再発防止で合意し、防衛交流を再開しようとしている。だが、事実解明の棚上げには自民党をはじめとする保守陣営に強い不満が残った。火器管制レーダーを照射された日本側には事実を示すさまざまなデータがあり、全面否定する韓国の主張が荒唐無稽だからだ。ここにきて、照射の隠蔽(いんぺい)は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領(当時)の指示」だったことなど、一連の経緯を韓国の一部軍人らが非公式に日本側に説明していたことが明らかになった。 2018年12月20日午後3時頃。能登半島沖、日本の排他的経済水域(EEZ)の大和堆と呼ばれる漁場で、通常の警戒監視活動中だった海上自衛隊P1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦(3200トン)から火器管制レーダー

靖国神社(東京都千代田区)で1日、石柱に英語で「トイレ」と書かれた落書きが見つかった器物損壊事件で、中国の動画投稿アプリ「小紅書(レッド)」で、男性が、石柱に落書きしている様子が投稿されていることが分かった。 動画によると、男性は英語で「アイアンヘッド」と名乗り、「日本政府による汚染水の海洋放出に対して、われわれには何もできないのか」などと話した。男性は、辺りが薄暗い中、石柱の台に登り、石柱に向かって放尿しているようなしぐさをした。その後、赤いスプレーで英語で「Toilet」と書いて立ち去った。 靖国神社の石柱に落書きする動画が中国の動画投稿アプリに投稿されている落書きは1日午前6時20分ごろ、通行人が発見し、周囲にいた警察官に申し出た。警視庁麴町署が器物損壊の疑いで捜査している。

香港の民主活動家でカナダに留学している周庭(アグネス・チョウ)氏(27)が26日、約3年ぶりに動画投稿サイト「ユーチューブ」の自身のチャンネルを更新した。 周氏は約23分の動画(日本語訳付き)の中で、服役していた香港の刑務所での生活などを紹介。東野圭吾の本を20冊以上読んだことや、獄中で毎日手紙を書いていたが、6月4日に書いた手紙だけが友人に届かなかったことなどを明かした。6月4日は1989年に北京で天安門事件が起きた日。周氏は「政治や敏感な話とは関係のない、刑務所での出来事を書いた手紙でした…今でもなぜなのか分かりません」などと語った。 周氏は2020年12月、無許可集会を扇動した罪などで禁錮10月の実刑判決を受け、香港の刑務所で半年余り服役していた。 周氏は昨年9月に香港を離れてカナダの大学院に留学中。香港警察は今月上旬、香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑でも逮捕され保釈中の周氏が

「日韓財務対話」に出席した鈴木財務相(左手前から4人目)と韓国の秋慶鎬・経済副首相兼企画財政相(右端)=29日午後、財務省日韓両政府が29日、金融危機時に外貨を融通する通貨交換(スワップ)協定の再開に合意した。日韓関係の冷え込みを象徴する課題の一つだっただけに、合意で両国経済は大きく歩み寄ることになる。ただ、通貨スワップ協定が日本経済にもたらすメリットは乏しく、韓国支援という側面が大きいのが実態だ。 通貨スワップは金融危機などでドルやユーロといった外貨が国外に流出するなどした際、事前に取り決めた条件で国家間で通貨を融通する仕組みだ。 日本は米国と中央銀行間で金額上限のない通貨スワップ協定を結んでおり、金融市場が混乱した場合、いくらでもドルを入手することができるため、あえて韓国と交換する必要はない。そのため、対等に見える日韓通貨スワップは、事実上、日本が韓国を支援する仕組みとも言える。

性暴力や虐待などの被害を受けた若年女性らに対する支援事業を巡る住民監査請求で、異例の再調査を勧告された東京都。公金が投じられる事業に対する姿勢が問われているが、今回、監査請求を行った「暇空茜」を名乗る男性は、産経新聞の取材に「(監査結果の)内容に不服はある。住民訴訟を提起した」と話した。21日には交流サイト(SNS)で訴えを起こしたことを明らかにした。 男性は公文書開示請求などで、コラボが都に提出した事業計画書や実施状況報告書などの資料を入手。それを基に会計処理の不正の疑いを指摘した。 監査は入手資料に加え、都監査委員会の調査で判明した新たな帳簿記録を対象とした。男性の訴えの多くはこの記録を基に「妥当でない」と判断された。 男性は新たな帳簿記録について、「公開していた会計書類と矛盾する。現時点で信頼性は皆無だ」と語る。訴えの多くを退けながら都に再調査を求めた都監査委の判断にも、「論理矛盾だ

政府が、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを4月1日から原則、季節性インフルエンザと同等の「5類」に緩和する方針を固めた。感染状況を見極め、岸田文雄首相と関係閣僚が20日に協議して決定する。複数の政府関係者が18日、明らかにした。分類の変更にあわせて、屋内でのマスク着用については、症状のある人らを除き原則、不要とする方針だ。 分類変更を巡っては、厚生労働省の専門家組織が11日、入院調整機能の維持など「必要な準備を進めながら段階的に移行すべきだ」とする見解を公表していた。 新型コロナは現在、感染症法上の1~5類の分類とは別に危険度が2番目に高い2類相当の「新型インフルエンザ等感染症」に規定され、2類の結核よりも厳しい対策が取られている。分類変更に法改正は必要ない。 医療費や入院費は、全額公費負担だが、5類になればこうした措置の法的根拠がなくなり、一部自己負担となる。政府は、経過措置とし

中央アジアの旧ソ連構成国、タジキスタンのラフモン大統領は14日、カザフスタンの首都アスタナで開かれたロシアと中央アジア5カ国の首脳会議で、プーチン露大統領に対し、「旧ソ連時代のように中央アジア諸国を扱わないでほしい」と述べ、タジクは属国扱いではない対等な国家関係を望んでいると表明した。会議の公開部分の発言をタジクメディアが伝えた。 【写真】プーチン大統領と話すタジキスタンのラフモン大統領ロシアが「勢力圏」とみなす旧ソ連諸国の首脳が、公の場でロシアに批判的な発言をするのは異例。ウクライナ侵略を受け、旧ソ連諸国の多くがロシアから一定の距離を置こうとする動きを強めており、ラフモン氏の発言はそうした傾向の表れである可能性がある。 ラフモン氏は「旧ソ連時代、中央アジアの小国は(ソ連指導部から)関心を向けられていなかった」と指摘。「ロシアはタジクを食糧面や貿易面で支援してくれているが、その半面、対等

今夏の東京五輪・パラリンピックを成功させるには、大会の安全確保が欠かせない。そのためにも、主役である選手を新型コロナウイルスの脅威から守る必要がある。 政府が日本代表選手を対象に、ワクチンの優先接種を認める方向で調整しているのは、妥当な判断といえる。 選手には早めに接種を受けてもらい、感染リスクを下げた上で大会を迎えるのが望ましい。 欧米では選手への接種が進む一方で、ワクチンの確保さえままならない国・地域もある。海外の全選手が接種を受けて来日することは期待できない。 加えて、感染力や重症化リスクの高い変異株が世界的に猛威を振るっている。海外選手と接触の機会が多い日本の選手らにとって、心理的な負担は大きく、本番での競技に響きかねない。 大会組織委員会はワクチン接種を前提としない開催準備を進めており、選手らは滞在する選手村で隔離状態に置かれる。選手のワクチン接種は、大会の安全性をより高める安全

フジテレビと産経新聞社は19日、合同で行った過去14回の電話世論調査で、調査業務委託先のコールセンター現場責任者が、実際には電話していない架空の回答を1回につき百数十件、不正に入力していたと発表した。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、調査業務を委託していた調査会社「アダムスコミュニケーション」(本社・東京都)が再委託した「日本テレネット」(本社・京都市)の社員が約1年間にわたり、計14回分の調査の一部で不正なデータ入力を行っていたことが19日、分かった。 産経新聞社とFNNは昨年5月、合同世論調査の業務委託先について、それまで長年契約していた調査会社との契約終了に伴い、アダムス社に変更した。変更後の調査は昨年5月から今年4月までが1カ月に1回、今年5月が2回の計14回。6月はまだ実施していなかった。 世論調査は全国の18歳以上の男女約1千人を対象に電話によるアンケート形式で実施。アダムス社は14回分すべてについて、無作為に選んだ固定と携帯の電話番号約1千件の約半数を日本テレネットに割り振っていた。 産経新聞社とFNNの調査によると、日本テレネットが請け負っ

日本政府は、韓国からの輸出管理厳格化の撤回要求を拒否し続けた上、米国が韓国に圧力をかける構図を作り上げたことが、韓国政府の今回の決定につながったとみている。日本政府は貿易管理をめぐる当局間の協議再開には応じるものの、「一切妥協はしない」(政府高官)方針だ。 「ほとんどこちらのパーフェクトゲームだった」韓国政府の突然の方針転換に日本政府高官はこう語った。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告を改めさせ、日米韓の安全保障協力が維持されるからだけではない。日本側の予想を超え、韓国が輸出管理の厳格化をめぐる世界貿易機関(WTO)への提訴手続きまで見合わせたからだ。韓国側は8月下旬、日本政府による対韓輸出管理厳格化への対抗措置としてGSOMIAの破棄を決定し、破棄撤回の条件として輸出管理厳格化の見直しを求めていた。韓国側の態度が変化したのは「ここ2、3日」(政府筋)だったという。

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