異世界を考えていたら道路どうしてるんだという問題に突き当たり、地味に頭を抱えてる。そこがヨーロッパ風の世界だとして、大きな街道があるのなら、先行して古代にローマ帝国的なものがあったのか? 逆にそのような大権力がなかったとしたら、誰が(何が)道を作ったのか? — 小川一水 (@ogawaissui) August 25, 2025 普段意識してないが、我々現代人が見たり歩いたりしている道路のほとんどは自動車化された世界の道路であり、車と一緒に作られてきた道路である。もし異世界に車っぽいものを出すのなら、車の走れる丈夫で幅広で平らな道路も、誰かが作らなければならない。 それは誰が? — 小川一水 (@ogawaissui) August 25, 2025 まあ、そこまで考えなきゃいい(そこまで平均的リアリティレベルを上げる前にいくらでもやることがある)って話だけど……。丘も川も森も、みんな自動

蠅(はえ)を叩(たた)きつぶしたところで、蠅の「物そのもの」は死にはしない。単に蠅の現象をつぶしたばかりだ。―― 旅への誘(いざな)いが、次第に私の空想(ロマン)から消えて行った。昔はただそれの表象、汽車や、汽船や、見知らぬ他国の町々やを、イメージするだけでも心が躍(おど)った。しかるに過去の経験は、旅が単なる「同一空間における同一事物の移動」にすぎないことを教えてくれた。何処(どこ)へ行って見ても、同じような人間ばかり住んでおり、同じような村や町やで、同じような単調な生活を繰り返している。田舎(いなか)のどこの小さな町でも、商人は店先で算盤(そろばん)を弾(はじ)きながら、終日白っぽい往来を見て暮しているし、官吏は役所の中で煙草(タバコ)を吸い、昼飯の菜のことなど考えながら、来る日も来る日も同じように、味気ない単調な日を暮しながら、次第に年老いて行く人生を眺(なが)めている。旅への誘いは
【6月10日 AFP】英国のスリラー小説作家フレデリック・フォーサイス氏が9日、死去した。86歳。著作権エージェントのカーティス・ブラウン氏が公表した。フォーサイス氏は、1971年の「ジャッカルの日」の出版後、たちまち世界的なベストセラー作家となった。 ブラウン氏によると、短い闘病生活の後、自宅で家族に囲まれて亡くなった。 フォーサイス氏は、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領(当時)の暗殺を右派の過激派が企てるというストーリーの「ジャッカルの日」を、苦境を経て、わずか35日で執筆したことで知られる。 エドワード・フォックスが暗殺者役を演じた映画版はヒットし、昨年、エディ・レッドメイン主演で動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」でもリメークされた。 「オデッサ・ファイル」(1972年)や「戦争の犬たち」(1974年)など、25冊以上の本を執筆。売り上げ部数は全世界で7500

セルギー神父 トルストイ原作の映画『セルギー神父』(1978)は、イーゴリ・タランキン監督による作品で、セルゲイ・ボンダルチュクが主演した、実に、19世紀ロシア社会のロシア正教という一種異端のキリスト教世界と現世のかかわりを、淡々と描く傑作であった。 セルゲイ・ボンダルチュク生誕100年周年記念上映で、あの大作『戦争と平和』の監督であり、もちろん、メインは『戦争と平和』4部作の一挙上映だが、ボンダルチュク出演の『セルギー神父』は小品だが、ロシアの田舎地方での住民による、神の存在に関する会話から始まり、キャメラは次に話す人物を映さず、少しづづキャメラが移動しながら話す人物をとらえる手法は、巧みにスタンダードサイズの画面に、見る者を引き付ける磁力がある。 主人公スチェパン・カサツキーは、少年時代から自尊心が高く、何事においても人から賞賛されることを願う性格であった。美しき貴族の女性と婚約する。

奇妙な世界 @kimyonasekai 7年前ぐらいに考えた「新入生のための海外幻想文学リスト」です。なるべく入手が容易で、特に予備知識がなくても初読で読んで楽しめる面白い物語、というコンセプトで選んでいます(既に入手が難しくなってしまってる本もありますが…)。 pic.x.com/1aBphmVyHO 2025-03-20 09:30:31 リンク kimyo.blog50.fc2.com 新入生のための海外幻想文学リスト ネットの一部で話題になっているらしい、J.Uchidaさんによる「新入生のための海外現代文学リスト(2018年版)」と、それに触発されたshigeyukiさんの「学生のための海外文学リスト50+4」を見させてもらいました。どちらも非常によいリストなのですが、見ている内に自分でも選びたくなってきました。 選択の方針としては、shigeyukiさんが書かれている「読んでい

【書評】豊﨑由美・広瀬大志『カッコよくなきゃ、ポエムじゃない!』 評者:武久真士 入門書の時代です。2023年の紀伊國屋じんぶん大賞では、第3位に千葉雅也『現代思想入門』がランクインしました。僕も寄稿した松田樹・赤井浩太編『批評の歩き方』は、批評の入門書と呼んでよいものです。あるいは「文学理論」や「メディア論」についてフィルムアート社が出している「クリティカル・ワード」シリーズも、各専門分野の入門書として作られています。 ◯「人手不足」の現代詩壇『ポエムじゃない!』を扱う上で、日本の現代詩が厳しい状況におかれているという前提をまず共有しておきましょう。詩の読者が小説の読者に比べて圧倒的に少ないことは確実であると思われます。短歌よりも多分少ないでしょう。俳句とは……似たりよったりでしょうか。 自己紹介が遅れました。僕は近現代詩について色々書いている者で、基本的には詩の研究者です。研究でも批評

Published 2024/11/19 07:35 (JST) Updated 2024/11/19 10:57 (JST) 親しみやすい言葉による詩や翻訳、エッセーで知られ、戦後日本を代表する詩人として海外でも評価された谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さんが13日午後、老衰のため死去した。92歳。東京都出身。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長男賢作(けんさく)さん。 父は哲学者谷川徹三。10代で詩作を始め、1952年、20歳の時に第1詩集「二十億光年の孤独」でみずみずしい言語感覚を持つ戦後詩の新人として注目された。 詩人の川崎洋さんと茨木のり子さんが創刊した詩誌「櫂」に参加。現代詩に限らず、絵本、翻訳、エッセー、童謡の歌詞、ドラマの脚本など半世紀以上にわたって活躍した。「朝のリレー」など国語教科書に採用された詩も多く、幅広い年代の人々に愛読された。 他の詩集に「六十二のソネット」「こ

おれと日本文学の主流 おれは平均的な日本人より本を読んでいるような気はするが、主流とされる日本文学を読んでいない。ほとんど読んでいない。夏目漱石も芥川龍之介も太宰治も読んでこなかった。星新一もよんでこなかった。 たいへんな欠落だと考えている。その分なにを読んでいるかといえば澁澤龍彦とか、稲垣足穂とか、高橋源一郎である。高橋源一郎が宮沢賢治について小説を書いても、「元ネタしらねえ」ということになる。 太宰治。太宰治のことが頭に浮かんだのは『異世界失格』という深夜アニメを見たからだ。見たといっても三話くらいだ。 おれはアニメが見られなくなっている。とはいえ、すぐにカルモチンで自殺しようとする「先生」と、なぜか異世界でもちやほやされてしまう主人公。それよりも、情婦と心中しようとしてトラックに轢かれるのが少し印象に残った。 その印象があったのか、図書館の棚で『人間失格』を見つけたとき、ふと手にとっ

筒井康隆が『百年の孤独』を読んだら絶対に読めと命令形でお薦めしたガブリエル・ガルシア=マルケス『族長の秋』はどこまで笑っていいグロテスクなのか分からないバケモノみたいな傑作だった ホラー映画の紹介で「犬は無事です」といったキャプションがつくことがある。 怖い映画を見たいけれど、(たとえフィクションでも)犬が死ぬのを見るのは忍びない人に向けた配慮がなされる時代となった。同様に、惨たらしく子どもが殺されるような作品は、「悪趣味」だとか「下品」といった批判の的となり、厳しくゾーニングされる。 そういう配慮に慣れ親しみつつある身としては、ガルシア=マルケス『族長の秋』には頭ガツンとやられた。犬は死ぬし、子どもは助からない。50年前に世に出たからなのか、ラテンアメリカの腐敗国家を、配慮も容赦も踏みにじるように描いている。 治らない男色を恥じて自ら尻穴にダイナマイトを詰めてはらわたを吹っ飛ばす将軍。ス

今回のサブタイトルにある“活劇小説”という言葉を提唱したのは、2023年に亡くなった書評家の北上次郎である。北上は1981年に書かれた「活劇小説宣言」という小文の中で、背景や小道具にこだわり形骸化してしまった冒険小説が袋小路から抜け出すには肉体の復権しかないと論じ、肉体の闘争を核とする新たな冒険小説を活劇小説と名付けた。それは単にアクション描写や暴力描写が書かれた作品を指すのではない。ちっぽけな個人が行く手を阻む大きな障壁をいかにして乗り越えるのか、というダイナミックな図式があるからこそ“新しい冒険小説”なのであり、主人公が対峙する“大きな障壁”に時代なりの創意工夫を行っている作品こそが優れた活劇小説になるのだ。では現代日本における優れた活劇小説の書き手は誰か。そう考えた時に思い浮かぶのが、今回インタビューを行った深町秋生だ。深町は活劇作家として独自の路線を突き進んでいる、と断言していい存

森絵都 DIVE!! あさのあつこ バッテリー 上橋菜穂子 守り人シリーズ 高飛び込みの玉井選手の銀メダルを見て胸が熱くなったので。 【追記】 こんなにたくさんブコメが集まるとは思っていなかったので驚いた。おまいらのお気に入りを知ることができて嬉しい。 ちなみに増田は作家読みしていて、乙一や椎名誠、群ようこ、有川浩あたりもハマった。

競馬ファンとしても知られた作家の大崎善生さんが8月3日、下咽頭がんで亡くなった。66歳だった。 札幌出身で、早稲田大学卒業後、雑誌「将棋マガジン」編集部を経て、「将棋世界」編集長をつとめた。2000年にノンフィクション『聖の青春』で第13回新潮学芸賞を受賞。2001年2月、退職して作家活動に入り、『将棋の子』で第23回講談社ノンフィクション賞を受賞。そして、2002年には初めての小説『パイロットフィッシュ』で第23回吉川英治文学新人賞を受賞するなど、ノンフィクション作家としても小説家としても活躍した。 2014年の「第30回優駿エッセイ賞」から同賞の選考委員をつとめた。私も同じタイミングで選考委員となり、昨年まで毎年、最終候補となった16作品についての意見や感想、評価を披露し合った。 古井由吉さん、吉永みち子さん、大崎さん、優駿編集部の山上昌志さん、そして私の5人でスタートしたのだが、古井

すがるなく秋のはぎわらあさたちてたび行く人をいつかとかまたん/よみびとしらず花札の絵柄のような春よ来いなんてことない日も悪くない/俵万智うしろ手に堕ちし雲雀をにぎりしめ君のピアノを窓より覗く/寺山修司足もとに末枯れゆく草おほひゐてザボンひとつを分けあひて食ふ/小山光夫山川のとどろとどろと暮れゆけば西の狭間の光こほしも/土屋文明やるせないと思えるうちはまだ光っているのだろうなブラウスふわり/野口あや子いるんだろうけど家に入って来ないから五月は終わり蚊を見ていない/永井祐夕焼けの雲に向かって「アカ」「アオ」と水兵さんの手旗信号/穂村弘台風が近づく朝にサキちゃんもカイくんも来てお鍋は空っぽ/林あまり泳ぐには少し早いね真っ白な切手を売って暮らしていたい/服部真理子やさしくて怖い人ってあるでしょうたとえば無人改札機みたいな/杉崎恒夫あたたかな桃と思えば産まれ出てまもなく吾子の頭に触れる/森垣岳ついて

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